【完結】婚約破棄された令息を婿に迎えますが、その人は私の最推しです!

かずきりり

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 広々とした石畳。大通りの両側にはテントのようなものを立てた出店が並んでおり、人通りも多く騒めいている。
 田舎ではなく、それなりにちゃんと街となっているのだ。

「賑やかですね……王都より凄いのでは?」
「そんな事は~……お兄様?」

 謙遜しようと思ったけれど、私は王都に行った事がない。
 王都の学院に通っていたお兄様ならば、比較できるのではないかと声をかけた。

「ん? 王都の方が物流もしっかりしていて凄いだろ。ここは閉鎖的だからな」

 脳みそ筋肉かと思いきや、しっかり次期辺境伯として、ちゃんと答えを返してきた。

「だからですか……見た事のない物が沢山あります!」

 ノエル様は幼い子どものように目を輝かせて、周囲を見渡しはしゃいでいる。

「自立の為にも、私に出来る仕事があると良いのですが……」
「何を言ってるんですか!? それに平民くらいの稼ぎなら私が何とかしますよ!?」
「姉上」

 ノエル様の言葉に対し、ムキになった私をエディが止める。
 その視線は余計な事を言うなと言っているようだ。
 ……ノエル様に苦労はさせたくないのだけれど……ノエル様を止めるなということ……?
 女の私には分からない、男のプライドとかいうものなのだろうか。謎過ぎる。

「ソフィア嬢……それは……」

 言いかけて、ノエル様は何かに気が付いたように、側にあった出店の方へと駆けた。

「ノエル様?」

 何か欲しい物や気になる物でも見つけたのかと後を追い、後ろから覗き込むが、反物が並んでいるような店だった。
 ……服なら揃えた筈だけれど、一から自分で作ってみようとか、そういうのか?
 首を傾げていれば、ノエル様は丁寧に一つ一つの布を手に取って、じっくり眺めている。

「凄い……こちらの服を着た時から、見事な伸縮性と動きやすさやデザインに感動したのですが……布自体がもう王都とは別物だ……」

 ノエル様は、隅に置いてあるレースも手に取り、そちらにも見入った。

「細かい……こんなデザインは初めて見た……凄すぎる……」

 おぉ、そこまで高評価されて感動されるものなのか。
 あまりの事に、驚きポカンとしていると、店主が私達に気が付いた。

「ソフィア様! また素材がありましたら、いつでも卸して下さいね」
「あ、うん。在庫は大丈夫そう?」
「はい! 以前のものが、まだ残っておりますので!」

 私と店主の会話に、ノエル様がポカンとした顔をしているのに気が付いたエディが、説明を加えた。

「……この布やレース、開発したのは姉上なんですよ」
「……え?」

 大きく口と目を開けて驚くノエル様も可愛らしい。
 
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