【完結】婚約破棄された令息を婿に迎えますが、その人は私の最推しです!

かずきりり

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「ちなみに、滞在はどの位を予定していらっしゃるのでしょうか?」

 お母様が広げた扇で口を隠しながら訊ねた。
 まぁ、こんな緊張したままの生活なんて嫌だしね。王族と一つ屋根の下なんて冗談極まりない。

「ノエルに、会いに来たのよね。話したい事もあったし、特に決めてないわ」
「決めてない……?」

 暗に、王族がそんな事で良いのかという非難めいた口調で、お母様の瞳は細められた。
 確かにあり得ない。公務もあるし、それなりにスケジュールだって管理されているだろう。
 というか、そんな長期居てもらいたくないというのが本音すぎる本音だ。
 お兄様やエディの表情も、げんなりとしている。

「そうだ、ノエル。明日は街を案内して? 今日は疲れたから休むわね」
「……分かりました」
「久しぶりのデートね! そうだ、先に辺境伯領の事を聞いておきたいわ。少し時間を頂戴」

 そう言って、王女殿下はノエル様の手を取ると部屋へと入って扉を閉めた。
 外に放り出されたままの私達は、お互いの顔を見やるしかない。

「王族のもてなし方など分からないからなぁ」
「ノエルに任せるか……?」

 お父様とお兄様はゲンナリした顔で項垂れている。

「それが最適かと」
「しかし、あれが王族……」

 エディもお手上げの様子だが、お母様は眉を顰めて少し軽蔑を含んだ声だ。
 まぁ自身も王女として育っていたのだから、思う所はあるのだろう。

「ノエル様と王女殿下は、付き合いも長いですし……ね」

 私も自分に言い聞かせるように言葉を発したのだが、家族がハッとした顔でこちらを振り向いた。

「ソフィアのが可愛いからな!?」
「妻はソフィアだ!」
「義兄上に限って浮気はしないですよ!」
「信じなさい。もう寝なさい」

 お父様やお兄様、そしてエディにお母様。
 心配そうに声をかけてくれる、かけがえのない家族達。
 あー、本当に愛されてるなぁと嬉しく思いながら、部屋へと戻り考えた。

 ――ノエル様は誰が好きなのか。

 ノエル様グッズを所せましと並べた部屋で、ゲームの内容と今この世界で起きている事を比べながら。
 ノエル様が好きな人と結ばれて幸せになるのが一番だと思っていたのに、胸のモヤモヤがある。
 少なくとも、一緒に居て楽しかった。私も幸せだった。
 
「……一緒に居たかったのかも……」

 言葉にすると、すんなり胸に入り込む。
 そうだ、私、一緒に居たかったんだ。
 それでも、ノエル様の幸せを願っているのも事実で、ノエル様に好きな人が出来た時は応援したいとも思っている。出来るかは別として。
 というか、それが私であれば良いと思っている事に気が付いてしまった。
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