【完結】婚約破棄された令息を婿に迎えますが、その人は私の最推しです!

かずきりり

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「注意って言ってもなぁ……」

 黒幕的な悪役の筈なのに、やってくる事はみみっちい。
 まぁ上から花瓶が落とされたり、施しの中に未だ毒が仕込まれている程度にはランクアップされたけれど。
 ……ランクアップと言って良いものかどうかは分からないが。

『小物並よのぅ』

 魔物の森でクレハと共に容赦なく狩っていく。
 ストレス発散を兼ねた食料調達だ。
 ノエル様グッズがいかに優秀とはいえ、人間適度な運動もストレス発散になるのだ。

「あぁああああ地味にストレス溜まるぅうう!!」

 倒した魔物を容赦なく風の刃で細切れにしていく。
 運びにくくなるだろう! と後でお兄様に怒られそうだけれど、森を燃やすよりマシだろうと言い訳しておこう。

「そろそろ良いかな……」

 魔物を倒し歩いて一直線。
 あと少し行けば崖という所まで来ていた。
 ここで狼煙を上げれば、一直線に来てくれる騎士達が森の入り口から順番に魔物を持ち帰ってくれる事だろう。

『細切れは自分で持ち帰るべきだのぅ』
「うっ」

 一番最後の魔物は大抵自分で持ち帰っているのだが……しまった、順番を間違えた。
 最初に細切れを作るべきだったか?
 後悔の念が押し寄せてきた瞬間、風を切る音が聞こえ、瞬間的に飛びのいた。
 ギリギリにかすめたものが木の枝に刺さる音が聞こえ、チラリと視線を向ければ、そこには矢が当たっていた。
 こんなもの、魔物が使うわけない。
 すぐに弓が飛んできた方向へと視線を向ければ、そこには王女殿下と、弓を持った護衛騎士が居た。

「ほんっと悪運が強いわね」

 ナイフをちらつかせて王女殿下がこちらに歩み寄ってくる。
 それを守るように護衛騎士も着く。
 二人共、明確な殺意を持っているようだ。

「ねぇ、早くノエルと離婚しなさいよ」

 ナイフを私の方へと向けて、王女殿下が近づいてくるのと同時に、私は後ずさる。

「じゃないとノエルが私と一緒に王都へ戻ってこないじゃない。あんた本当に邪魔なのよ!!」

 護衛騎士は弓を背負うと、剣を鞘から抜き出して、私に向けた。
 それに対峙しようと私も持っていたナイフに向かって手を伸ばすと、それを王女殿下が目ざとく見て厭味ったらしい顔をした。

「まさか私に歯向かって、傷でもつける気?」

 その言葉で、私はナイフを取り出す事を躊躇った。
 いくら自衛の為だからと言っても、ナイフを王女殿下の護衛騎士に向けるのはどうかと……何か間違いがあって、王女殿下に傷でもつけてしまったらと思ったのだ。

「あんたが離婚してノエルから離れれば良いだけなのよ」

 じりじりと迫りくる王女殿下と、護衛騎士の刃。
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