61 / 76
61
しおりを挟む
「良かった……が、とりあえずお前はもう王女殿下に近づくな」
「弓を放たれるわ、ナイフを向けられるわなんて、明確な殺意ありとみなして良いだろ」
お母様の言葉で安心をした、お父様とお兄様はすぐ頭を切り替え、厳しい表情をした。
確かにそうだ。私を邪魔だと言って、殺そうとした。
身分や権力があるからこそ、面倒すぎて抵抗しなかったけれど……。
「あれが王族……」
「本当に。姉上の人間離れした強靭な肉体と運があったから良かったものの」
「エディ?」
呆れるお母様はともかく、ノエル様の前だというのに私を貶めるような発言をするエディに、口元は笑えど目は笑っていない笑顔を向ける。
すぐに意図を理解したのか、エディは静かに視線を私から反らしたけれど。うん、後でおしおきだな。
ピリピリとした空気の中、少し和やかになったかなと思ったのだけれど、真剣な瞳をしたノエル様がお父様達の方を向いて口を開く。
「正式に国王陛下へ抗議の文を送り、それと共に送り返しましょう! ソフィア嬢がこれ以上苦しむなんて、おかしいです!」
「そうだな」
「強制送還だな! 力づくでも!」
今まで国王陛下の事を思って我慢してきたのに、まさかの言葉が出て私は驚き息をのんだ。
けれど、お父様やお兄様は乗り気だし、お母様やエディも力強く頷いている。
え、そんな事で無理矢理行動しちゃっていいの!?
相手は国王陛下でしょ!?
雲の上というか、存在しているのは知っているけれど、あまりに遠い存在すぎる人だ。
逆らう事は面倒くさい事というイコール図式しか頭に浮かばないのに。
「ザリエル帝国に乗り換えるのもありだと思います。ここは強気に行けば良いかと」
「いやいやいや! ノエル様はそれで良いのですか!?」
更にノエル様が大事になるような事を口にした事で、私は止めに入る。
今まで仕えてきた国を……そして家族を捨てる事になるんだよ!?
さすがに政略結婚した相手の為に、そこまでするのは違うと思う。
しかし、ノエル様は真剣な瞳で、私の肩を掴む。
「ソフィア嬢が傷つく事のが嫌です」
「え……」
家族や国を捨てる事より……?
思わずときめいてしまうというか、勘違いしそうになる。
そんな事を言われたら、誰だって自分に好意を持たれていると思っちゃうよ!?
高鳴る鼓動のせいで、黙って俯いている私に、ノエル様は更に口を開いた。
「それに、武力だけでなくソフィア商会の力も物凄いんですよ。どの国もマリアック辺境伯領を欲しがってくるでしょうし」
私が不安がっていると思ったのだろうか。明るく、楽しそうな声で。
どうして……どうしてノエル様は、そこまで私の事を考えてくれているのだろうか。
「弓を放たれるわ、ナイフを向けられるわなんて、明確な殺意ありとみなして良いだろ」
お母様の言葉で安心をした、お父様とお兄様はすぐ頭を切り替え、厳しい表情をした。
確かにそうだ。私を邪魔だと言って、殺そうとした。
身分や権力があるからこそ、面倒すぎて抵抗しなかったけれど……。
「あれが王族……」
「本当に。姉上の人間離れした強靭な肉体と運があったから良かったものの」
「エディ?」
呆れるお母様はともかく、ノエル様の前だというのに私を貶めるような発言をするエディに、口元は笑えど目は笑っていない笑顔を向ける。
すぐに意図を理解したのか、エディは静かに視線を私から反らしたけれど。うん、後でおしおきだな。
ピリピリとした空気の中、少し和やかになったかなと思ったのだけれど、真剣な瞳をしたノエル様がお父様達の方を向いて口を開く。
「正式に国王陛下へ抗議の文を送り、それと共に送り返しましょう! ソフィア嬢がこれ以上苦しむなんて、おかしいです!」
「そうだな」
「強制送還だな! 力づくでも!」
今まで国王陛下の事を思って我慢してきたのに、まさかの言葉が出て私は驚き息をのんだ。
けれど、お父様やお兄様は乗り気だし、お母様やエディも力強く頷いている。
え、そんな事で無理矢理行動しちゃっていいの!?
相手は国王陛下でしょ!?
雲の上というか、存在しているのは知っているけれど、あまりに遠い存在すぎる人だ。
逆らう事は面倒くさい事というイコール図式しか頭に浮かばないのに。
「ザリエル帝国に乗り換えるのもありだと思います。ここは強気に行けば良いかと」
「いやいやいや! ノエル様はそれで良いのですか!?」
更にノエル様が大事になるような事を口にした事で、私は止めに入る。
今まで仕えてきた国を……そして家族を捨てる事になるんだよ!?
さすがに政略結婚した相手の為に、そこまでするのは違うと思う。
しかし、ノエル様は真剣な瞳で、私の肩を掴む。
「ソフィア嬢が傷つく事のが嫌です」
「え……」
家族や国を捨てる事より……?
思わずときめいてしまうというか、勘違いしそうになる。
そんな事を言われたら、誰だって自分に好意を持たれていると思っちゃうよ!?
高鳴る鼓動のせいで、黙って俯いている私に、ノエル様は更に口を開いた。
「それに、武力だけでなくソフィア商会の力も物凄いんですよ。どの国もマリアック辺境伯領を欲しがってくるでしょうし」
私が不安がっていると思ったのだろうか。明るく、楽しそうな声で。
どうして……どうしてノエル様は、そこまで私の事を考えてくれているのだろうか。
421
あなたにおすすめの小説
処刑前夜に逃亡した悪役令嬢、五年後に氷の公爵様に捕まる〜冷徹旦那様が溺愛パパに豹変しましたが私の抱いている赤ちゃん実は人生2周目です〜
放浪人
恋愛
「処刑されるなんて真っ平ごめんです!」 無実の罪で投獄された悪役令嬢レティシア(中身は元社畜のアラサー日本人)は、処刑前夜、お腹の子供と共に脱獄し、辺境の田舎村へ逃亡した。 それから五年。薬師として穏やかに暮らしていた彼女のもとに、かつて自分を冷遇し、処刑を命じた夫――「氷の公爵」アレクセイが現れる。 殺される!と震えるレティシアだったが、再会した彼は地面に頭を擦り付け、まさかの溺愛キャラに豹変していて!?
「愛しているレティシア! 二度と離さない!」 「(顔が怖いです公爵様……!)」
不器用すぎて顔が怖い旦那様の暴走する溺愛。 そして、二人の息子であるシオン(1歳)は、実は前世で魔王を倒した「英雄」の生まれ変わりだった! 「パパとママは僕が守る(物理)」 最強の赤ちゃんが裏で暗躍し、聖女(自称)の陰謀も、帝国の侵略も、古代兵器も、ガラガラ一振りで粉砕していく。
『お前の顔は見飽きた!』内心ガッツポーズで辺境へ
夏乃みのり
恋愛
「リーナ・フォン・アトラス! 貴様との婚約を破棄する!」
華やかな王宮の夜会で、第一王子ジュリアンに突きつけられた非情な宣告。冤罪を被せられ、冷酷な悪役令嬢として追放を言い渡されたリーナだったが、彼女の内心は……「やったーーー! これでやっとトレーニングに専念できるわ!」と歓喜に震えていた!
婚約破棄されて去ったら、私がいなくても世界は回り始めました
鷹 綾
恋愛
「君との婚約は破棄する。聖女フロンこそが、真に王国を導く存在だ」
王太子アントナン・ドームにそう告げられ、
公爵令嬢エミー・マイセンは、王都を去った。
彼女が担ってきたのは、判断、調整、責任――
国が回るために必要なすべて。
だが、それは「有能」ではなく、「依存」だった。
隣国へ渡ったエミーは、
一人で背負わない仕組みを選び、
名前が残らない判断の在り方を築いていく。
一方、彼女を失った王都は混乱し、
やがて気づく――
必要だったのは彼女ではなく、
彼女が手放そうとしていた“仕組み”だったのだと。
偽聖女フロンの化けの皮が剥がれ、
王太子アントナンは、
「決めた後に立ち続ける重さ」と向き合い始める。
だが、もうエミーは戻らない。
これは、
捨てられた令嬢が復讐する物語ではない。
溺愛で救われる物語でもない。
「いなくても回る世界」を完成させた女性と、
彼女を必要としなくなった国の、
静かで誇り高い別れの物語。
英雄が消えても、世界は続いていく――
アルファポリス女子読者向け
〈静かな婚約破棄ざまぁ〉×〈大人の再生譚〉。
魔法学園の悪役令嬢、破局の未来を知って推し変したら捨てた王子が溺愛に目覚めたようで!?
朱音ゆうひ@11/5受賞作が発売されます
恋愛
『完璧な王太子』アトレインの婚約者パメラは、自分が小説の悪役令嬢に転生していると気づく。
このままでは破滅まっしぐら。アトレインとは破局する。でも最推しは別にいる!
それは、悪役教授ネクロセフ。
顔が良くて、知性紳士で、献身的で愛情深い人物だ。
「アトレイン殿下とは円満に別れて、推し活して幸せになります!」
……のはずが。
「夢小説とは何だ?」
「殿下、私の夢小説を読まないでください!」
完璧を演じ続けてきた王太子×悪役を押し付けられた推し活令嬢。
破滅回避から始まる、魔法学園・溺愛・逆転ラブコメディ!
小説家になろうでも同時更新しています(https://ncode.syosetu.com/n5963lh/)。
当て馬令息の婚約者になったので美味しいお菓子を食べながら聖女との恋を応援しようと思います!
朱音ゆうひ@11/5受賞作が発売されます
恋愛
「わたくし、当て馬令息の婚約者では?」
伯爵令嬢コーデリアは家同士が決めた婚約者ジャスティンと出会った瞬間、前世の記憶を思い出した。
ここは小説に出てくる世界で、当て馬令息ジャスティンは聖女に片思いするキャラ。婚約者に遠慮してアプローチできないまま失恋する優しいお兄様系キャラで、前世での推しだったのだ。
「わたくし、ジャスティン様の恋を応援しますわ」
推しの幸せが自分の幸せ! あとお菓子が美味しい!
特に小説では出番がなく悪役令嬢でもなんでもない脇役以前のモブキャラ(?)コーデリアは、全力でジャスティンを応援することにした!
※ゆるゆるほんわかハートフルラブコメ。
サブキャラに軽く百合カップルが出てきたりします
他サイトにも掲載しています( https://ncode.syosetu.com/n5753hy/ )
婚約破棄された竜好き令嬢は黒竜様に溺愛される。残念ですが、守護竜を捨てたこの国は滅亡するようですよ
水無瀬
ファンタジー
竜が好きで、三度のご飯より竜研究に没頭していた侯爵令嬢の私は、婚約者の王太子から婚約破棄を突きつけられる。
それだけでなく、この国をずっと守護してきた黒竜様を捨てると言うの。
黒竜様のことをずっと研究してきた私も、見せしめとして処刑されてしまうらしいです。
叶うなら、死ぬ前に一度でいいから黒竜様に会ってみたかったな。
ですが、私は知らなかった。
黒竜様はずっと私のそばで、私を見守ってくれていたのだ。
残念ですが、守護竜を捨てたこの国は滅亡するようですよ?
『選ばれなかった令嬢は、世界の外で静かに微笑む』
ふわふわ
恋愛
婚約者エステランス・ショウシユウに一方的な婚約破棄を告げられ、
偽ヒロイン・エア・ソフィアの引き立て役として切り捨てられた令嬢
シャウ・エッセン。
「君はもう必要ない」
そう言われた瞬間、彼女は絶望しなかった。
――なぜなら、その言葉は“自由”の始まりだったから。
王宮の表舞台から退き、誰にも選ばれない立場を自ら選んだシャウ。
だが皮肉なことに、彼女が去った後の世界は、少しずつ歪みを正し始める。
奇跡に頼らず、誰かを神格化せず、
一人に負担を押し付けない仕組みへ――
それは、彼女がかつて静かに築き、手放した「考え方」そのものだった。
元婚約者はようやく理解し、
偽ヒロインは役割を降り、
世界は「彼女がいなくても回る場所」へと変わっていく。
復讐も断罪もない。
あるのは、物語の中心から降りるという、最も静かな“ざまぁ”。
これは、
選ばれなかった令嬢が、
誰の期待にも縛られず、
名もなき日々を生きることを選ぶ物語。
悪役令嬢ですが、ヒロインの恋を応援していたら婚約者に執着されています
窓辺ミナミ
ファンタジー
悪役令嬢の リディア・メイトランド に転生した私。
シナリオ通りなら、死ぬ運命。
だけど、ヒロインと騎士のストーリーが神エピソード! そのスチルを生で見たい!
騎士エンドを見学するべく、ヒロインの恋を応援します!
というわけで、私、悪役やりません!
来たるその日の為に、シナリオを改変し努力を重ねる日々。
あれれ、婚約者が何故か甘く見つめてきます……!
気付けば婚約者の王太子から溺愛されて……。
悪役令嬢だったはずのリディアと、彼女を愛してやまない執着系王子クリストファーの甘い恋物語。はじまりはじまり!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる