【完結】婚約破棄された令息を婿に迎えますが、その人は私の最推しです!

かずきりり

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「ソフィア!! 大丈夫か!」

 思いっきり尻もちをついて倒れた私の元へ、ノエル様がすぐに駆けつけてくれた。
 王女殿下を完全にスルーして。
 焦った声色で、話し方も完全に素へと戻っている。

 ――ソフィア。

 こんな状況なのに、呼び捨てにされた事が、とても嬉しく思えて心が温かくなる。

「怪我は!? 痛むところは!?」
「ないよ……大丈夫」

 ノエル様は私を支え起こすと、私に怪我がない事を確認すると、安心した表情で抱きしめて来た。

「ノエル!?」

 そこで声をあげたのは王女殿下だった。
 むしろ私はパニックというか混乱……これ何てご褒美という処刑なんですかね!?
 駄目だ、心臓が身体から飛び出そうな程に脈打ってる! 口から何かが出そう……!
 ノエル様の匂いがする……死ねる! このまま血圧上昇して死ねる! 心臓が身体を突き破る!!

「王女殿下! 早く非難しましょう!!」
「何言ってるのよ! 放しなさい! ノエル! ノエル!!」

 目つぶしから回復した護衛騎士が、暴れる王女殿下を何とか抱え、邸の方へと避難させようと必死だ。

「ソフィア! 俺達も離れるぞ!」

 ノエル様も私の手を引いて、森から離れようとする。
 しかし……折角ここまで来たのだ。このまま離れたとしても、スタンピートが解決するわけでもない。

「ソフィア!」

 考えこむ私を見て、ノエル様は焦った声を出す。
 きっと私の考えている事を何となく悟ったのだろう。
 その時、こちらに走って向かってくる人間らしき足音が聞こえた。

「ソフィア!?」
「姉上!!」
「お兄様!? エディ!? どうしてここに!?」

 何故かスタンピート討伐に行っていたお兄様と、領民達を避難させていたエディが、こちらにやってきた。

「姉上達が森に行くのが見えて……」

 どれだけ追いかけてきたのだろう。エディは肩で息をしている程だった。

「光が見えて何事かと思って来たんだが……」

 お兄様は倒された魔物を一瞥した後、王女殿下へと目を向けた。
 その目は怒りを宿しているようで、無言の圧を受けた王女殿下は罰が悪そうに目線を反らした。

 ――グァアアアア!!

 そんな事を話していれば、魔物の咆哮と共に強い足音がして地面が小刻みに揺れ始めた。
 大量の魔物が、すぐそこまで近づいているのだろう。

「くそっ!」
「エディとノエル様は王女殿下と共に逃げて下さい!」

 臨戦態勢を取るお兄様に、私も続く。
 ここで戦力になるのは私達二人だろう。あとは護衛騎士とノエル様だ。二人には王女殿下をしっかり守ってもらう必要がある。
 ……私が守るとか無理そうな人だし。自ら危険に突っ走りそうだ。私を殺したくて。
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