【完結】悪役令息の義姉となりました

かずきりり

文字の大きさ
11 / 83

11

しおりを挟む
「でも、お母様は愛人の子だと言って不安になっておりますよ?」
「ミア!」

 追撃するように言えば、お母様は焦る。
 お父様は一瞬呆けたが、少し息を吐きながら椅子に座り直した。その目には戸惑いの色が伺える。

「愛人など居ない。ルイスは、私の子ではない」
「あなた……っ」
「しかし、誰の子かは言えない。それは分かってくれ」

 苦しそうな表情で言葉を吐き出すお父様に、お母様は真剣な表情をして頷いた。
 流石は公爵家夫婦だなー。それなりの責任や重圧に慣れている感じだし、二人で乗り越えてきた信頼のようなものを垣間見る。
 だけれど、私はそこへ更なる爆弾を落とす。

「だけれど公爵家の血は流れているのですよね?」
「ミア! それは……っ!」
「……」

 焦るお父様の様子に、お母様が再度疑念の目を持つ。だけれど、曖昧に濁したままで居ても仕方ない事だ。
 それに……どうあがいても、そうとしか見えないのだ。

 ――魔術家、セフィーリオ公爵家特有の銀髪。

 私やルイスは綺麗な銀髪を持っている。勿論、お父様もだ。
 しいて言うなれば、私の瞳は紫で、ルイスは青という事くらい。
 だけれど、この銀髪は、魔術家セフィーリオ公爵家直系でしか現れない。
 だからこそ、お母様は疑ったのだし、黙ったままにしていても、所詮はそういう目で見られるのだ。

「……セフィーリオの血は流れているが、誓って私の子ではない」
「……あっ!」
「察してくれ。言えないのだ……っ!」

 一人、心当たりのある人物が存在している事に気が付いたお母様は顔面を蒼白に染めた。
 苦しそうに叫ぶお父様の姿を目にし、自分の嫉妬がいかに粗末なものだったのか痛感したのだろう。お母様は視線を下げて俯いた。

 ――リリアック・セフィーリオ。

 その相手として思い浮かんだのは、たった一人だろう。それ程までに二人は仲が良く、婚約者という縛りがなければ恋人同士に見えただろう。
 まぁ、そこは貴族や王族として、適切な距離は取っていたけれど。

「……申し訳ありません……つたない嫉妬で」
「嫉妬!?」
「本当に申し訳ありません!」

 自分の子ではない。しかし公爵家の血は流れている。
 それを言う事すら憚れるような事だけれど、しっかりと口にしたお父様へ、お母様は頭を下げた。

「嫉妬してくれたのか!?」
「それはしますよ!」

 むしろ嫉妬という言葉で歓喜しているお父様。
 両親の仲が戻ったようだし、ここから先は子どもが見て良いものではないだろうと、私は静かに退室した。

 ――これで、ルイスが過ごしやすい環境となれば良いのだけれど。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

悪役令息の婚約者になりまして

どくりんご
恋愛
 婚約者に出逢って一秒。  前世の記憶を思い出した。それと同時にこの世界が小説の中だということに気づいた。  その中で、目の前のこの人は悪役、つまり悪役令息だということも同時にわかった。  彼がヒロインに恋をしてしまうことを知っていても思いは止められない。  この思い、どうすれば良いの?

白い結婚を捨てた王妃は、もう二度と振り向かない ――愛さぬと言った王子が全てを失うまで』

鍛高譚
恋愛
「私は王妃を愛さない。彼女とは白い結婚を誓う」 華やかな王宮の大聖堂で交わされたのは、愛の誓いではなく、冷たい拒絶の言葉だった。 王子アルフォンスの婚姻相手として選ばれたレイチェル・ウィンザー。しかし彼女は、王妃としての立場を与えられながらも、夫からも宮廷からも冷遇され、孤独な日々を強いられる。王の寵愛はすべて聖女ミレイユに注がれ、王宮の権力は彼女の手に落ちていった。侮蔑と屈辱に耐える中、レイチェルは誇りを失わず、密かに反撃の機会をうかがう。 そんな折、隣国の公爵アレクサンダーが彼女の前に現れる。「君の目はまだ死んでいないな」――その言葉に、彼女の中で何かが目覚める。彼はレイチェルに自由と新たな未来を提示し、密かに王宮からの脱出を計画する。 レイチェルが去ったことで、王宮は急速に崩壊していく。聖女ミレイユの策略が暴かれ、アルフォンスは自らの過ちに気づくも、時すでに遅し。彼が頼るべき王妃は、もはや遠く、隣国で新たな人生を歩んでいた。 「お願いだ……戻ってきてくれ……」 王国を失い、誇りを失い、全てを失った王子の懇願に、レイチェルはただ冷たく微笑む。 「もう遅いわ」 愛のない結婚を捨て、誇り高き未来へと進む王妃のざまぁ劇。 裏切りと策略が渦巻く宮廷で、彼女は己の運命を切り開く。 これは、偽りの婚姻から真の誓いへと至る、誇り高き王妃の物語。

悪役令嬢?いま忙しいので後でやります

みおな
恋愛
転生したその世界は、かつて自分がゲームクリエーターとして作成した乙女ゲームの世界だった! しかも、すべての愛を詰め込んだヒロインではなく、悪役令嬢? 私はヒロイン推しなんです。悪役令嬢?忙しいので、後にしてください。

生まれ変わりも楽じゃない ~生まれ変わっても私はわたし~

こひな
恋愛
市川みのり 31歳。 成り行きで、なぜかバリバリのキャリアウーマンをやっていた私。 彼氏なし・趣味は食べることと読書という仕事以外は引きこもり気味な私が、とばっちりで異世界転生。 貴族令嬢となり、四苦八苦しつつ異世界を生き抜くお話です。 ※いつも読んで頂きありがとうございます。誤字脱字のご指摘ありがとうございます。

【完結】名前もない悪役令嬢の従姉妹は、愛されエキストラでした

犬野きらり
恋愛
アーシャ・ドミルトンは、引越してきた屋敷の中で、初めて紹介された従姉妹の言動に思わず呟く『悪役令嬢みたい』と。 思い出したこの世界は、最終回まで私自身がアシスタントの1人として仕事をしていた漫画だった。自分自身の名前には全く覚えが無い。でも悪役令嬢の周りの人間は消えていく…はず。日に日に忘れる記憶を暗記して、物語のストーリー通りに進むのかと思いきや何故かちょこちょこと私、運良く!?偶然!?現場に居合わす。 何故、私いるのかしら?従姉妹ってだけなんだけど!悪役令嬢の取り巻きには絶対になりません。出来れば関わりたくはないけど、未来を知っているとついつい手を出して、余計なお喋りもしてしまう。気づけば私の周りは、主要キャラばかりになっているかも。何か変?は、私が変えてしまったストーリーだけど…

【完結】私ですか?ただの令嬢です。

凛 伊緒
恋愛
死んで転生したら、大好きな乙女ゲーの世界の悪役令嬢だった!? バッドエンドだらけの悪役令嬢。 しかし、 「悪さをしなければ、最悪な結末は回避出来るのでは!?」 そう考え、ただの令嬢として生きていくことを決意する。 運命を変えたい主人公の、バッドエンド回避の物語! ※完結済です。 ※作者がシステムに不慣れかつ創作初心者な時に書いたものなので、温かく見守っていだければ幸いです……(。_。///) ※ご感想・ご指摘につきましては、近況ボードをお読みくださいませ。 《皆様のご愛読に、心からの感謝を申し上げますm(*_ _)m》

村娘になった悪役令嬢

枝豆@敦騎
恋愛
父が連れてきた妹を名乗る少女に出会った時、公爵令嬢スザンナは自分の前世と妹がヒロインの乙女ゲームの存在を思い出す。 ゲームの知識を得たスザンナは自分が将来妹の殺害を企てる事や自分が父の実子でない事を知り、身分を捨て母の故郷で平民として暮らすことにした。 村娘になった少女が行き倒れを拾ったり、ヒロインに連れ戻されそうになったり、悪役として利用されそうになったりしながら最後には幸せになるお話です。 ※他サイトにも掲載しています。(他サイトに投稿したものと異なっている部分があります) アルファポリスのみ後日談投稿しております。

【完結】転生地味悪役令嬢は婚約者と男好きヒロイン諸共無視しまくる。

なーさ
恋愛
アイドルオタクの地味女子 水上羽月はある日推しが轢かれそうになるのを助けて死んでしまう。そのことを不憫に思った女神が「あなた、可哀想だから転生!」「え?」なんの因果か異世界に転生してしまう!転生したのは地味な公爵令嬢レフカ・エミリーだった。目が覚めると私の周りを大人が囲っていた。婚約者の第一王子も男好きヒロインも無視します!今世はうーん小説にでも生きようかな〜と思ったらあれ?あの人は前世の推しでは!?地味令嬢のエミリーが知らず知らずのうちに戦ったり溺愛されたりするお話。 本当に駄文です。そんなものでも読んでお気に入り登録していただけたら嬉しいです!

処理中です...