【完結】ネットゲームで知り合った配信者に恋をした

かずきりり

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 ロイさんは、ただゲームが好きなだけだ。そして有用な情報を配信して、皆にもっと楽しんでもらいたいと言っていたのだけれど、それとは関係のない部分でも人が集まってくる。
 それだけ、ロイさんに魅力があるとも言えるのだけど。

「チャンネル登録ありがとう! じゃあまたね~」

 その言葉の後に、ロイさんの配信は切られた。
 ファンが増えて、登録者が増えるのは喜ばしい事なのだけれど、どこか複雑な心境だ。

「遠い人になっていくみたい」

 ポツリと呟けば、それが現実味を帯びて、感情が悲しみに支配されていく。そんな時、通知音が響きスマホにメッセージが届いた事を知らせる。

『今から一緒にゲーム出来る?』

 ロイさんからだ。

『すぐいく!』

 悲しみから一気に浮上し、すぐさまゲームへログインすると、待っていたようにロイさんからチャットが届いた。

 ロイナル:今、最初の村に居るよ。いつもの場所!
 しぃ:わかった、すぐ行くね!
 ロイナル:あ、パーティ招待送るね(笑)

 届いた招待を承認して、同じパーティを組んでから最初の村へ向かう。個人チャットも出来るのだが、パーティを組んでいれば相手の状態や場所まで分かるので、便利なのだ。
 最初の村は、色んな野良の人が全体チャットでパーティを募集していたりして賑やかだ。それに、全体の掲示板やゲーム内で売買出来る場所までもあるし、海辺の村なので近くには絶景ポイントも多々ある。
 私は村の入り組んだ狭い道を歩いて、海が眺められる小さな民家にある浜へと向かう。
 ここが、いつもの場所。いつも二人で休憩しながら、ゆっくり会話をする時に使っているのだ。

 ロイナル:今日の配信、無謀だったなと途中で諦めかけたよ(汗)
 しぃ:それでもクリア出来てたじゃない! 凄いよ!
 ロイナル:ありがとう! しぃが協力してくれたお陰だよ(笑)

 座ったり、寝転がるモーションを繰り広げながら、チャットを楽しむ。

 しぃ:最近、登録者数も増えてきてるよね!

 少し複雑な気持ちもあるけれど、喜ばしい事だからと、文字を打つ。

 ロイナル:あー。視聴者はいつもの人が多いけどね。まぁ、俺はゲームを楽しみたいだけだし、有益な情報があれば皆に教えたいだけだから!
 しぃ:でも、凄い事だよ! いっそ収益化してみれば?
 ロイナル:いや無理でしょ(笑)しぃみたいに出来ないって!
 しぃ:むしろ私は声かけてもらわない限り、デザインの仕事ないよ?
 ロイナル:でも凄いって! まぁ、俺も楽しんでゲームしながら収益になれば、確かに良いのかもしれないけど。
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