【完結】ネットゲームで知り合った配信者に恋をした

かずきりり

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 冗談めかして続く会話。だけれど、そこには本音もある。

 ロイナル:明日も仕事だから、そろそろ寝るわ。
 しぃ:おやすみなさい! 良い夢を!
 ロイナル:おやすみ~!

 何が大丈夫なのか。信頼している子であれば言うのだろうか。
 ネガティブな方向に考えがうつっていく。

 ――私がロイさんと出会ったのは、半年くらい前。

 毎日ゲームをしていたけれど、時間が合わない時があれば、勿論会えない。そんな時は三日と開けずに、ゲームでメッセージが送られてくるのだ。
 ほぼ毎日と言って良い程のやり取りは、そのうち仕事の休憩中でも、メッセージを確認する為だけにスマホからゲームにログインするようになった。
 ロイさんの方も同じだったのか、返事は夜だけではなく朝や昼にも送られてくるようになった。
 そうなれば、ロイさんの方から連絡先を聞かれたけれど、私は今のままが良かったから頑なに拒んでいた。
 付かず、離れず。そんな距離感。
 ただ、ネットで知り合っただけの人だ。惹かれていく自分に気が付いていたからこそ、最後の境界線だけは保っていたのだけれど……ロイさんの方からメッセージアプリのIDを送られてきては、それを拒める程の自分ではなかった。
 これ以上、好きになっても無駄なのに。
 憧れのままで良かったのに。
 ロイさんの事をこれ以上知って、更に気持ちを深める事を自分自身で拒んでいたのに。
 自分の気持ちに勝てなかったのだ。
 ただ、連絡先を交換したと言ってもメッセージアプリだけ。本名も知らず、未だにハンドルネームで呼び続けているし、電話をした事もない。電話をすれば、更に気持ちが加速してしまうのは分かっていたし、ロイさんから電話がかかってくる事がないのも理由だ。
 そこに救われている部分もあるという複雑さだけれど。



 ◇



 あすやん:じれったいなーもう!
 りっぷ:それで? 今日はロイナルさん居ないの?

 今日はゲームで別の仲間達とパーティを組んで、素材収集をしている。

 しぃ:今日は動画の編集をしてみるって。
 あすやん:あ~、いつも配信ばっかだもんね。
 りっぷ:ライブ配信は長いし時間的にも見られません~! ポイントを抑えた動画があれば助かるね!
 あすやん:そして増える視聴者と登録者、増えるファン。
 しぃ:うぅ……。
 シン:で? しぃはどうしたいわけ?

 ロイさんと出会った頃に知り合った三人は、私とロイさんの仲も知っている。
 シンが立ち上げたギルドのメンバーでもあり、私もその一員なのだけれど、私がロイさんを優先している事を快く許してくれる。なんなら応援もしてくれてもいるのだ。
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