【完結】ネットゲームで知り合った配信者に恋をした

かずきりり

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 結局、慎司を利用して、でも出来なくて。ただ苦しめているだけなのではないだろうか。最低な女だ。
 でも、はっきり分かってしまった。私はロイさんとの思い出を消したくないのだ。
 最後の人であれと願った通り、私はこのままロイさんの事を身体に刻んだまま、他の人で痕跡を消したくないのだと。

「ごめんな」
「なんで慎司が謝るの……私がっ」
「焦りすぎたというか……まだ忘れられないんだろ?」

 慎司だって今にも泣きそうな顔をしているのに、そんな事を言ってくれる。私は、これ以上慎司の悲しい顔を見たくないのに否定できず、無言でいる事により肯定の意を暗に示した。
 ズルい、とは思う。
 傷つけたくせに、傷つけたくないとか。結局全て中途半端で、無駄に振り回しているだけなのに。

「俺は、ただ詩帆の幸せを願ってるだけだから」
「なん……で」

 こんな私に、まだこんな言葉を投げかけてくれる。それだけで私は更に涙を零してしまう。

「好きだから。何より詩帆が大事だから、幸せになってほしい」

 こんな無償の愛のようなものがあるというのか。
 私だって最初はロイさんの幸せを願っていたけれど、結局は嫉妬に狂って攻撃的となり、相手の幸せより自分を選んだというのに。

「慎司……」

 嬉しさと申し訳なさが込み上げる。ただ涙を流して視界を潤ませているだけしか出来ないなんて、私は一体何なのだろうか。

「あーあ」

 いつもの口調で言葉を放つと、慎司は私の横へとうつ伏せで倒れ込む。

「本当、詩帆は気にしないで良いから。俺が勝手に今もまだ好きなだけだから」

 慎司は横になったまま、私の方へ顔だけ向けて言う。

「申し訳ないとか要らないし、恋人じゃなくても友達……仲間だろ? こんな事になったけど、それでも支えるから甘えて欲しい。これだけは俺の我儘だな」

 いつもの満面の笑みではなく、少し引きつった笑み。
 だけれど、これが慎司の精一杯で、言っている事も強がりではなく本音なのだろうと、長年の付き合いから思えた。
 だって、慎司はそういう人だ。
 慎司の事を好きになれたら、どれだけ幸せだったのだろうか。
 そんな考えさえ沸き起こってくるけれど、結局私はロイさんへの思いを捨てきれないのだ。
 幸せになれる未来が目の前にあるというのに、それでも感情が動いてくれず、掴み取れない。
 幸せって何だろう?
 理性的に考えたものだろうか、それとも感情のまま動く事だろうか。

「詩帆」

 思わず考えに浸って苦笑していたら、慎司から声がかけられた。

「……しばらく、整理する時間が欲しい」

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