54 / 57
54
しおりを挟む
ナイフとフォークなんて滅多に使わないから、食器が当たって音が鳴る。少し不器用さが目立って恥ずかしく思うけれど、それはロイさんも同じようだ。ロイさんの方から、食器の当たる音が聞こえる度に、心で安堵する。
私だけ出来ないなんて、置いていかれているようで。距離が離れるようで、何となく寂しいのだ。
こんな贅沢、自分では絶対しない。もうこの先ないだろうと思い、美味しい! 最高! と言いながら、肉料理・フロマージュとゆっくり味わいながら食べ進めて行く。
最後のデザートを食べ終わった時、ロイさんがスッとテーブルの上にカードらしきものを出した。
「上に部屋を取ってある」
この人は、どれだけ私の鼓動を跳ね上げさせるのだろう。拒むか、それとも心のままに付いて行くか。
チラリとロイさんの表情を盗み見れば、不安げに視線を彷徨わせていたが、口元は何とか微笑んでいた。
「行こうか」
私が拒否をするとは思ってもいないと言った言葉使いだけれど、その手が少し震えているのが見て分かった。
ロイさんでも緊張するのかと、戸惑いながら後を付いていけば、ロイさんから安堵のような息の漏れる音が聞こえた。
エレベーターの中では、お互い無言の空気が流れる。
こんな高そうな所を予約してくれたのかと思えば、気持ちが落ち着かない。一体、どういう事なのだろうと思う反面、ここまでしてもらえる事に喜びもある。
降りて、ロイさんの後をついて行くと、とある一室の前で立ち止まった。
「どうぞ」
開けられた部屋に覚悟を決めて入れば、そこは広々とした空間で、窓からは夜景が一望できる。ラブホテルとは全く違う空間。
「ロイさ……」
名前を呼ぼうとした唇を、いきなり塞がれ、そのままベッドへと移動させられ、押し倒される。
「付き合おうか」
サラリと発せられた言葉に、私はこれが夢かと疑ってしまった。
でも、温もりがあって、ロイさんの重みが身体にのしかかっている事で、かろうじて現実だと理解できる。
「しぃ。好き」
欲しかった言葉。
例えこれが夢だろうと、嘘だろうと、今はただ喜びを噛みしめたくて小さく頷くと、ロイさんは私の唇を貪るように重ねて来た。
その後は、激しく優しく口内を犯され、舌と舌が絡み合う。
「んっ」
漏れ出る声に興奮したのか、ロイさんは私の胸をまさぐりだし、突起を探し当てる。思わず背をのけぞらせると、その隙にブラのホックまで外されてしまう。
「あぁっ」
優しく突起を舐めたかと思えば、強く吸われ、その強弱で私は声を我慢する事も出来ずに、ただロイさんにしがみつく。
私だけ出来ないなんて、置いていかれているようで。距離が離れるようで、何となく寂しいのだ。
こんな贅沢、自分では絶対しない。もうこの先ないだろうと思い、美味しい! 最高! と言いながら、肉料理・フロマージュとゆっくり味わいながら食べ進めて行く。
最後のデザートを食べ終わった時、ロイさんがスッとテーブルの上にカードらしきものを出した。
「上に部屋を取ってある」
この人は、どれだけ私の鼓動を跳ね上げさせるのだろう。拒むか、それとも心のままに付いて行くか。
チラリとロイさんの表情を盗み見れば、不安げに視線を彷徨わせていたが、口元は何とか微笑んでいた。
「行こうか」
私が拒否をするとは思ってもいないと言った言葉使いだけれど、その手が少し震えているのが見て分かった。
ロイさんでも緊張するのかと、戸惑いながら後を付いていけば、ロイさんから安堵のような息の漏れる音が聞こえた。
エレベーターの中では、お互い無言の空気が流れる。
こんな高そうな所を予約してくれたのかと思えば、気持ちが落ち着かない。一体、どういう事なのだろうと思う反面、ここまでしてもらえる事に喜びもある。
降りて、ロイさんの後をついて行くと、とある一室の前で立ち止まった。
「どうぞ」
開けられた部屋に覚悟を決めて入れば、そこは広々とした空間で、窓からは夜景が一望できる。ラブホテルとは全く違う空間。
「ロイさ……」
名前を呼ぼうとした唇を、いきなり塞がれ、そのままベッドへと移動させられ、押し倒される。
「付き合おうか」
サラリと発せられた言葉に、私はこれが夢かと疑ってしまった。
でも、温もりがあって、ロイさんの重みが身体にのしかかっている事で、かろうじて現実だと理解できる。
「しぃ。好き」
欲しかった言葉。
例えこれが夢だろうと、嘘だろうと、今はただ喜びを噛みしめたくて小さく頷くと、ロイさんは私の唇を貪るように重ねて来た。
その後は、激しく優しく口内を犯され、舌と舌が絡み合う。
「んっ」
漏れ出る声に興奮したのか、ロイさんは私の胸をまさぐりだし、突起を探し当てる。思わず背をのけぞらせると、その隙にブラのホックまで外されてしまう。
「あぁっ」
優しく突起を舐めたかと思えば、強く吸われ、その強弱で私は声を我慢する事も出来ずに、ただロイさんにしがみつく。
15
あなたにおすすめの小説
『冷徹社長の秘書をしていたら、いつの間にか専属の妻に選ばれました』
鍛高譚
恋愛
秘書課に異動してきた相沢結衣は、
仕事一筋で冷徹と噂される社長・西園寺蓮の専属秘書を務めることになる。
厳しい指示、膨大な業務、容赦のない会議――
最初はただ必死に食らいつくだけの日々だった。
だが、誰よりも真剣に仕事と向き合う蓮の姿に触れるうち、
結衣は秘書としての誇りを胸に、確かな成長を遂げていく。
そして、蓮もまた陰で彼女を支える姿勢と誠実な仕事ぶりに心を動かされ、
次第に結衣は“ただの秘書”ではなく、唯一無二の存在になっていく。
同期の嫉妬による妨害、ライバル会社の不正、社内の疑惑。
数々の試練が二人を襲うが――
蓮は揺るがない意志で結衣を守り抜き、
結衣もまた社長としてではなく、一人の男性として蓮を信じ続けた。
そしてある夜、蓮がようやく口にした言葉は、
秘書と社長の関係を静かに越えていく。
「これからの人生も、そばで支えてほしい。」
それは、彼が初めて見せた弱さであり、
結衣だけに向けた真剣な想いだった。
秘書として。
一人の女性として。
結衣は蓮の差し伸べた未来を、涙と共に受け取る――。
仕事も恋も全力で駆け抜ける、
“冷徹社長×秘書”のじれ甘オフィスラブストーリー、ここに完結。
会社のイケメン先輩がなぜか夜な夜な私のアパートにやって来る件について(※付き合っていません)
久留茶
恋愛
地味で陰キャでぽっちゃり体型の小森菜乃(24)は、会社の飲み会で女子一番人気のイケメン社員・五十嵐大和(26)を、ひょんなことから自分のアパートに泊めることに。
しかし五十嵐は表の顔とは別に、腹黒でひと癖もふた癖もある男だった。
「お前は俺の恋愛対象外。ヤル気も全く起きない安全地帯」
――酷い言葉に、菜乃は呆然。二度と関わるまいと決める。
なのに、それを境に彼は夜な夜な菜乃のもとへ現れるようになり……?
溺愛×性格に難ありの執着男子 × 冴えない自分から変身する健気ヒロイン。
王道と刺激が詰まったオフィスラブコメディ!
*全28話完結
*辛口で過激な発言あり。苦手な方はご注意ください。
*他誌にも掲載中です。
病弱な彼女は、外科医の先生に静かに愛されています 〜穏やかな執着に、逃げ場はない〜
来栖れいな
恋愛
――穏やかな微笑みの裏に、逃げられない愛があった。
望んでいたわけじゃない。
けれど、逃げられなかった。
生まれつき弱い心臓を抱える彼女に、政略結婚の話が持ち上がった。
親が決めた未来なんて、受け入れられるはずがない。
無表情な彼の穏やかさが、余計に腹立たしかった。
それでも――彼だけは違った。
優しさの奥に、私の知らない熱を隠していた。
形式だけのはずだった関係は、少しずつ形を変えていく。
これは束縛? それとも、本当の愛?
穏やかな外科医に包まれていく、静かで深い恋の物語。
※この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。
隠れオタクの女子社員は若社長に溺愛される
永久保セツナ
恋愛
【最終話まで毎日20時更新】
「少女趣味」ならぬ「少年趣味」(プラモデルやカードゲームなど男性的な趣味)を隠して暮らしていた女子社員・能登原こずえは、ある日勤めている会社のイケメン若社長・藤井スバルに趣味がバレてしまう。
しかしそこから二人は意気投合し、やがて恋愛関係に発展する――?
肝心のターゲット層である女性に理解できるか分からない異色の女性向け恋愛小説!
苦手な冷徹専務が義兄になったかと思ったら極あま顔で迫ってくるんですが、なんででしょう?~偽家族恋愛~
霧内杳/眼鏡のさきっぽ
恋愛
「こちら、再婚相手の息子の仁さん」
母に紹介され、なにかの間違いだと思った。
だってそこにいたのは、私が敵視している専務だったから。
それだけでもかなりな不安案件なのに。
私の住んでいるマンションに下着泥が出た話題から、さらに。
「そうだ、仁のマンションに引っ越せばいい」
なーんて義父になる人が言い出して。
結局、反対できないまま専務と同居する羽目に。
前途多難な同居生活。
相変わらず専務はなに考えているかわからない。
……かと思えば。
「兄妹ならするだろ、これくらい」
当たり前のように落とされる、額へのキス。
いったい、どうなってんのー!?
三ツ森涼夏
24歳
大手菓子メーカー『おろち製菓』営業戦略部勤務
背が低く、振り返ったら忘れられるくらい、特徴のない顔がコンプレックス。
小1の時に両親が離婚して以来、母親を支えてきた頑張り屋さん。
たまにその頑張りが空回りすることも?
恋愛、苦手というより、嫌い。
淋しい、をちゃんと言えずにきた人。
×
八雲仁
30歳
大手菓子メーカー『おろち製菓』専務
背が高く、眼鏡のイケメン。
ただし、いつも無表情。
集中すると周りが見えなくなる。
そのことで周囲には誤解を与えがちだが、弁明する気はない。
小さい頃に母親が他界し、それ以来、ひとりで淋しさを抱えてきた人。
ふたりはちゃんと義兄妹になれるのか、それとも……!?
*****
千里専務のその後→『絶対零度の、ハーフ御曹司の愛ブルーの瞳をゲーヲタの私に溶かせとか言っています?……』
*****
表紙画像 湯弐様 pixiv ID3989101
羽柴弁護士の愛はいろいろと重すぎるので返品したい。
泉野あおい
恋愛
人の気持ちに重い軽いがあるなんて変だと思ってた。
でも今、確かに思ってる。
―――この愛は、重い。
------------------------------------------
羽柴健人(30)
羽柴法律事務所所長 鳳凰グループ法律顧問
座右の銘『危ない橋ほど渡りたい。』
好き:柊みゆ
嫌い:褒められること
×
柊 みゆ(28)
弱小飲料メーカー→鳳凰グループ・ホウオウ総務部
座右の銘『石橋は叩いて渡りたい。』
好き:走ること
苦手:羽柴健人
------------------------------------------
【完結済】25億で極道に売られた女。姐になります!
satomi
恋愛
昼夜問わずに働く18才の主人公南ユキ。
働けども働けどもその収入は両親に搾取されるだけ…。睡眠時間だって2時間程度しかないのに、それでもまだ働き口を増やせと言う両親。
早朝のバイトで頭は朦朧としていたけれど、そんな時にうちにやってきたのは白虎商事CEOの白川大雄さん。ポーンっと25億で私を買っていった。
そんな大雄さん、白虎商事のCEOとは別に白虎組組長の顔を持っていて、私に『姐』になれとのこと。
大丈夫なのかなぁ?
イケメンエリート軍団??何ですかそれ??【イケメンエリートシリーズ第二弾】
便葉
恋愛
国内有数の豪華複合オフィスビルの27階にある
IT関連会社“EARTHonCIRCLE”略して“EOC”
謎多き噂の飛び交う外資系一流企業
日本内外のイケメンエリートが
集まる男のみの会社
そのイケメンエリート軍団の異色男子
ジャスティン・レスターの意外なお話
矢代木の実(23歳)
借金地獄の元カレから身をひそめるため
友達の家に居候のはずが友達に彼氏ができ
今はネットカフェを放浪中
「もしかして、君って、家出少女??」
ある日、ビルの駐車場をうろついてたら
金髪のイケメンの外人さんに
声をかけられました
「寝るとこないないなら、俺ん家に来る?
あ、俺は、ここの27階で働いてる
ジャスティンって言うんだ」
「………あ、でも」
「大丈夫、何も心配ないよ。だって俺は…
女の子には興味はないから」
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる