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第一章
17.恵との勉強
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「魔法陣には物質の名前しか書けないの?」
「法則がよく分からないの。でも物質なら魔法陣が発動するのは実験済なのよ」
「なるほど……単語を組み合わせると……。図形にも意味を持たせないといけないのかぁ」
「等価交換の法則も分からないし。せいぜい銅の形を変化させるくらいしか、まだ出来ないわ」
全く理解していない私の言葉にも、恵は真摯に耳を傾けてくれる。
気が強くて、怒鳴ってばかりで、喧嘩腰。気難しいというイメージが崩れ落ちてきているの。
「あ、飲み物欲しいわ」
……まぁプライド高くて気が強いのは確かだけれど。
私が疲労から深く息を吐くと、恵は何かに気が付いたのか、私の顔をジッと見つめて頬に手をあてた。
「……ちゃんと寝てるの? クマが酷い。肌荒れも酷い。髪だってパサついてるじゃない!」
「え……だって」
言いかけて、私は恵の顔を近くで見て止まった。
ツヤやかな髪、綺麗な肌。現代のスキンケアがない今の状態で、一体何をしたらここまで保てるというのだろうか。
ぐるぐると思考を回してプチパニックとなっている私を見て、恵は深く溜息を吐いた。
「メイドに言いなさい。何か色々あったでしょう? 分からなければ試しなさい!」
「良いの……かな」
「知らないわよ。でも良いんじゃない? あるものは使って。元の世界に戻って荒れまくった肌や髪で婚約者に会いたくないわよ、私」
凄い。凄すぎる。
意識高い系女子、凄すぎる。
「ロラン。何を使用しているんだ?」
「あぁ……何か色々と用意しているよ。後でメイドに持っていかせようか?」
「頼む」
デイルの目から見てもみっともないのかと肩を落とす。
学校へ行って、クラスの皆と会って……誰かの目に留まるからと身なりを整えてたあの頃とは違い、今はほとんど引きこもりだ。
会う人なんて限られている。手を抜いていたと言われれば……確かにそうだ。
それに少しでも勉強したかった。
「瑞希様、少しはお休みになった方がよろしいかと」
護衛の立場的にそう言うのだろうと、流した言葉。だけど……
「恵様は知識と美貌を兼ね備えているし、もっと頑張って聖女を目指した方が良いと思いますけどね。とても相応しいのに」
デイルと正反対な言葉。
恵を思って……というよりか、どこか下心がありそうな発言に耳を疑った。
「あんた本当にうざい」
「恵様の為を思って言っているだけですよ。帰りたいだなんて無駄な事を……」
「あんたは黙って手伝ってりゃ良いのよ!!」
恵のヒステリックな叫びに、ロランは口を噤んだ。
聖女を目指すなんて、デイルから言われた事なんてない。何か意味でもあるのだろうか。
「法則がよく分からないの。でも物質なら魔法陣が発動するのは実験済なのよ」
「なるほど……単語を組み合わせると……。図形にも意味を持たせないといけないのかぁ」
「等価交換の法則も分からないし。せいぜい銅の形を変化させるくらいしか、まだ出来ないわ」
全く理解していない私の言葉にも、恵は真摯に耳を傾けてくれる。
気が強くて、怒鳴ってばかりで、喧嘩腰。気難しいというイメージが崩れ落ちてきているの。
「あ、飲み物欲しいわ」
……まぁプライド高くて気が強いのは確かだけれど。
私が疲労から深く息を吐くと、恵は何かに気が付いたのか、私の顔をジッと見つめて頬に手をあてた。
「……ちゃんと寝てるの? クマが酷い。肌荒れも酷い。髪だってパサついてるじゃない!」
「え……だって」
言いかけて、私は恵の顔を近くで見て止まった。
ツヤやかな髪、綺麗な肌。現代のスキンケアがない今の状態で、一体何をしたらここまで保てるというのだろうか。
ぐるぐると思考を回してプチパニックとなっている私を見て、恵は深く溜息を吐いた。
「メイドに言いなさい。何か色々あったでしょう? 分からなければ試しなさい!」
「良いの……かな」
「知らないわよ。でも良いんじゃない? あるものは使って。元の世界に戻って荒れまくった肌や髪で婚約者に会いたくないわよ、私」
凄い。凄すぎる。
意識高い系女子、凄すぎる。
「ロラン。何を使用しているんだ?」
「あぁ……何か色々と用意しているよ。後でメイドに持っていかせようか?」
「頼む」
デイルの目から見てもみっともないのかと肩を落とす。
学校へ行って、クラスの皆と会って……誰かの目に留まるからと身なりを整えてたあの頃とは違い、今はほとんど引きこもりだ。
会う人なんて限られている。手を抜いていたと言われれば……確かにそうだ。
それに少しでも勉強したかった。
「瑞希様、少しはお休みになった方がよろしいかと」
護衛の立場的にそう言うのだろうと、流した言葉。だけど……
「恵様は知識と美貌を兼ね備えているし、もっと頑張って聖女を目指した方が良いと思いますけどね。とても相応しいのに」
デイルと正反対な言葉。
恵を思って……というよりか、どこか下心がありそうな発言に耳を疑った。
「あんた本当にうざい」
「恵様の為を思って言っているだけですよ。帰りたいだなんて無駄な事を……」
「あんたは黙って手伝ってりゃ良いのよ!!」
恵のヒステリックな叫びに、ロランは口を噤んだ。
聖女を目指すなんて、デイルから言われた事なんてない。何か意味でもあるのだろうか。
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