【完結】異世界へ五人の落ち人~聖女候補とされてしまいます~

かずきりり

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第二章

09.二人の喧嘩

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 琴子の態度から、そうかなとは思っていたけれど、ハッキリ言葉にされると何とも言えない空気が流れる。
 ただ、子どもという年齢的な事だけで嫌いと言われるキィに、同情的な感情が沸き起こりつつも、琴子の主張を真っ向から違うと否定する事も出来ない。

「……え? 子ども居るでしょ?」

 キョトンとした顔で言い放ったのはキィで、琴子はビクリと肩を跳ね上げさせた。
 今や選択子なし、不妊症と言った言葉はよく少子化問題と共に、話題にのぼるのを知らないのだろうか。
 結婚していたら当たり前に子どもが出来ると思っているのかと思っているのだろうか。

「キィ……」

 そういう事は、あまりにデリケートな問題だからと、キィに声をかけたのだが、キィは面白そうに口を開いた。

「あ、分かった! 子どもも産めない欠陥品とか? だから子ども嫌いで私に当たるの? それこそ嫉妬……」

 バシーンッ!!

 あまりに酷い言葉だ。
 そう頭で認識する前に、琴子は思いっきりキィの頬をはたき、大きな音が響いた。
 一瞬、時が止まったように思えたが、すぐ正気に返ったキィは目に涙を浮かべる。

「うわぁあああん!」
「キィ!」

 赤く腫れあがる頬を冷やそうと、ウィルがすぐさま駆けつけて、手に持っていたハンカチを濡らして当てる。

「……そうやって、すぐ思った事を言うのが嫌なのよ! 言った言葉は取り消せないのよ!?」
「琴子様……っ!」

 感情的になる琴子に、アンドリューが駆け寄って背を撫でようとするが、琴子はその手を払いのけた。

「ひっく……うあ……」

 キィは泣きながらも、琴子の言葉は届いているのだろう。
 何かしら言葉を紡ごうとしているが、嗚咽がそれを遮っている。

「だから子どもは残酷で嫌い!」
「琴子様!」

 そう言い捨てて、琴子は部屋から出て行き、その後を追うようにアンドリューも出て行った。

「キィ……部屋へ戻って落ち着こう」

 相変わらず涙が止まらないキィはウィルに連れられて部屋へと戻り、私だけ取り残され、何とも居心地の悪い雰囲気だ。

「……お部屋へ戻りましょうか」
「そうだね」

 これ以上、ここに居た所で何かなるわけでもない。
 今日の講義的なものも継続不可能として終わりだろう。というより、あの二人の関係性を考えると、これから先は一緒に何かするというのは止めた方が良いのではとさえ思えてくる。
 ……同じ、異世界から落とされた者同士だけれど、慣れあうのも違うだろう。うまが合わないのならば仕方ない。

「……琴子、一体何があったんだろう……」

 この世界に骨を埋めるなら、自分の場所を見つければ良いと思うのだけれど、琴子の過去だけが少し気になった。
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