54 / 134
第二章
08.子どもが嫌い
しおりを挟む
今日は私、琴子、キィの三人で自主勉強をする日だ。
というのも、元居た世界の事を含めて、この世界の事を知るという目的もある。
「腐葉土? とかいうのあったよね? こっちの世界ではないのかな」
「石灰も使っていたけれど……買って手に入れていたので何とも……」
「その腐葉土や石灰というのは、どんなものですか?」
そう、今回は野菜の肥料について。
神力だけではなく、誰でも良い野菜を作る為だ。
私と琴子の説明で、アンドリューがメモをとっていく。一応腐葉土は似たようなものがあるとの事だが、石灰については首を傾げている。
「土を買う……そこに神力を含ませるというのは!?」
「結局、それじゃ神力頼りになるだろう」
ウィルの言葉にデイルが突っ込む。
私達三人と言っても、護衛騎士達も参加してくれる。居ないとこちらの世界での事が分からないから、必然的参加とも言えるが。
「堆肥やもみ殻……化学肥料は錬金術で行えるかな?」
「意外と真が化学肥料の原料を知ってそうよね……」
土作りに必要な土なんて分からない上に、分かったとしても買って終わりだった私は、そもそもの原料と言うか、それが何から出来ているのかも詳しくは知らない。
「育てる作物によっても違うと思うのよね……」
暗い表情しか見ていなかった琴子だが、真剣に考えてはくれているし、しっかり意見も出してくれる。体調的には大丈夫なのだろうと、安堵から息を吐けば、キィがガタリと椅子を鳴らして立ち上がった。
「なんなの!? 二人して分からない話ばっかり!」
「え、キィ……」
「ずるい! ずるいよ! そんな事、習った事もないのに!」
むしろ私だって習ったとかいうわけではない。多分学校で習ったとしても地層くらいな気がする、うん。多分。
それこそ農業系の授業がある学校でなければ、習うなんて事はないと思うのだけれど、キィには分からないのだろう。……年齢の差もあるし。中学や高校では当たり前に習っていると思っていそうだ。
「習ったわけではないわよ」
「じゃあ何で知ってるの!?」
溜息を吐きながら返した琴子の言葉に、更にキィが噛みついた。
「年齢を重ねるにつれて常識は染み付いていくでしょう。そう簡単に癇癪を起こしたりしないようにとかね」
嫌味のように言った琴子の言葉に、キィが目を見開いた後、悔しそうに唇を噛みしめた。
「琴子……落ち着いて」
これ以上、無駄に言い合っていても仕方ないと思い、私は止める為にも琴子へと声をかけた。
こういう時、どうしても年齢が上の方へと声をかけてしまうのは仕方ないだろう。でも、琴子はハッキリと言葉を告げた。
「子どもは嫌いなの」
というのも、元居た世界の事を含めて、この世界の事を知るという目的もある。
「腐葉土? とかいうのあったよね? こっちの世界ではないのかな」
「石灰も使っていたけれど……買って手に入れていたので何とも……」
「その腐葉土や石灰というのは、どんなものですか?」
そう、今回は野菜の肥料について。
神力だけではなく、誰でも良い野菜を作る為だ。
私と琴子の説明で、アンドリューがメモをとっていく。一応腐葉土は似たようなものがあるとの事だが、石灰については首を傾げている。
「土を買う……そこに神力を含ませるというのは!?」
「結局、それじゃ神力頼りになるだろう」
ウィルの言葉にデイルが突っ込む。
私達三人と言っても、護衛騎士達も参加してくれる。居ないとこちらの世界での事が分からないから、必然的参加とも言えるが。
「堆肥やもみ殻……化学肥料は錬金術で行えるかな?」
「意外と真が化学肥料の原料を知ってそうよね……」
土作りに必要な土なんて分からない上に、分かったとしても買って終わりだった私は、そもそもの原料と言うか、それが何から出来ているのかも詳しくは知らない。
「育てる作物によっても違うと思うのよね……」
暗い表情しか見ていなかった琴子だが、真剣に考えてはくれているし、しっかり意見も出してくれる。体調的には大丈夫なのだろうと、安堵から息を吐けば、キィがガタリと椅子を鳴らして立ち上がった。
「なんなの!? 二人して分からない話ばっかり!」
「え、キィ……」
「ずるい! ずるいよ! そんな事、習った事もないのに!」
むしろ私だって習ったとかいうわけではない。多分学校で習ったとしても地層くらいな気がする、うん。多分。
それこそ農業系の授業がある学校でなければ、習うなんて事はないと思うのだけれど、キィには分からないのだろう。……年齢の差もあるし。中学や高校では当たり前に習っていると思っていそうだ。
「習ったわけではないわよ」
「じゃあ何で知ってるの!?」
溜息を吐きながら返した琴子の言葉に、更にキィが噛みついた。
「年齢を重ねるにつれて常識は染み付いていくでしょう。そう簡単に癇癪を起こしたりしないようにとかね」
嫌味のように言った琴子の言葉に、キィが目を見開いた後、悔しそうに唇を噛みしめた。
「琴子……落ち着いて」
これ以上、無駄に言い合っていても仕方ないと思い、私は止める為にも琴子へと声をかけた。
こういう時、どうしても年齢が上の方へと声をかけてしまうのは仕方ないだろう。でも、琴子はハッキリと言葉を告げた。
「子どもは嫌いなの」
81
あなたにおすすめの小説
召喚されたら聖女が二人!? 私はお呼びじゃないようなので好きに生きます
かずきりり
ファンタジー
旧題:召喚された二人の聖女~私はお呼びじゃないようなので好きに生きます~
【第14回ファンタジー小説大賞エントリー】
奨励賞受賞
●聖女編●
いきなり召喚された上に、ババァ発言。
挙句、偽聖女だと。
確かに女子高生の方が聖女らしいでしょう、そうでしょう。
だったら好きに生きさせてもらいます。
脱社畜!
ハッピースローライフ!
ご都合主義万歳!
ノリで生きて何が悪い!
●勇者編●
え?勇者?
うん?勇者?
そもそも召喚って何か知ってますか?
またやらかしたのかバカ王子ー!
●魔界編●
いきおくれって分かってるわー!
それよりも、クロを探しに魔界へ!
魔界という場所は……とてつもなかった
そしてクロはクロだった。
魔界でも見事になしてみせようスローライフ!
邪魔するなら排除します!
--------------
恋愛はスローペース
物事を組み立てる、という訓練のため三部作長編を予定しております。
無魔力の令嬢、婚約者に裏切られた瞬間、契約竜が激怒して王宮を吹き飛ばしたんですが……
タマ マコト
ファンタジー
王宮の祝賀会で、無魔力と蔑まれてきた伯爵令嬢エリーナは、王太子アレクシオンから突然「婚約破棄」を宣告される。侍女上がりの聖女セレスが“新たな妃”として選ばれ、貴族たちの嘲笑がエリーナを包む。絶望に胸が沈んだ瞬間、彼女の奥底で眠っていた“竜との契約”が目を覚まし、空から白銀竜アークヴァンが降臨。彼はエリーナの涙に激怒し、王宮を半壊させるほどの力で彼女を守る。王国は震え、エリーナは自分が竜の真の主であるという運命に巻き込まれていく。
婚約破棄をされ、父に追放まで言われた私は、むしろ喜んで出て行きます! ~家を出る時に一緒に来てくれた執事の溺愛が始まりました~
ゆうき
恋愛
男爵家の次女として生まれたシエルは、姉と妹に比べて平凡だからという理由で、父親や姉妹からバカにされ、虐げられる生活を送っていた。
そんな生活に嫌気がさしたシエルは、とある計画を考えつく。それは、婚約者に社交界で婚約を破棄してもらい、その責任を取って家を出て、自由を手に入れるというものだった。
シエルの専属の執事であるラルフや、幼い頃から実の兄のように親しくしてくれていた婚約者の協力の元、シエルは無事に婚約を破棄され、父親に見捨てられて家を出ることになった。
ラルフも一緒に来てくれることとなり、これで念願の自由を手に入れたシエル。しかし、シエルにはどこにも行くあてはなかった。
それをラルフに伝えると、隣の国にあるラルフの故郷に行こうと提案される。
それを承諾したシエルは、これからの自由で幸せな日々を手に入れられると胸を躍らせていたが、その幸せは家族によって邪魔をされてしまう。
なんと、家族はシエルとラルフを広大な湖に捨て、自らの手を汚さずに二人を亡き者にしようとしていた――
☆誤字脱字が多いですが、見つけ次第直しますのでご了承ください☆
☆全文字はだいたい14万文字になっています☆
☆完結まで予約済みなので、エタることはありません!☆
私は聖女(ヒロイン)のおまけ
音無砂月
ファンタジー
ある日突然、異世界に召喚された二人の少女
100年前、異世界に召喚された聖女の手によって魔王を封印し、アルガシュカル国の危機は救われたが100年経った今、再び魔王の封印が解かれかけている。その為に呼ばれた二人の少女
しかし、聖女は一人。聖女と同じ色彩を持つヒナコ・ハヤカワを聖女候補として考えるアルガシュカルだが念のため、ミズキ・カナエも聖女として扱う。内気で何も自分で決められないヒナコを支えながらミズキは何とか元の世界に帰れないか方法を探す。
召喚失敗!?いや、私聖女みたいなんですけど・・・まぁいっか。
SaToo
ファンタジー
聖女を召喚しておいてお前は聖女じゃないって、それはなくない?
その魔道具、私の力量りきれてないよ?まぁ聖女じゃないっていうならそれでもいいけど。
ってなんで地下牢に閉じ込められてるんだろ…。
せっかく異世界に来たんだから、世界中を旅したいよ。
こんなところさっさと抜け出して、旅に出ますか。
投獄された聖女は祈るのをやめ、自由を満喫している。
七辻ゆゆ
ファンタジー
「偽聖女リーリエ、おまえとの婚約を破棄する。衛兵、偽聖女を地下牢に入れよ!」
リーリエは喜んだ。
「じゆ……、じゆう……自由だわ……!」
もう教会で一日中祈り続けなくてもいいのだ。
異世界でのんびり暮らしてみることにしました
松石 愛弓
ファンタジー
アラサーの社畜OL 湊 瑠香(みなと るか)は、過労で倒れている時に、露店で買った怪しげな花に導かれ異世界に。忙しく辛かった過去を忘れ、異世界でのんびり楽しく暮らしてみることに。優しい人々や可愛い生物との出会い、不思議な植物、コメディ風に突っ込んだり突っ込まれたり。徐々にコメディ路線になっていく予定です。お話の展開など納得のいかないところがあるかもしれませんが、書くことが未熟者の作者ゆえ見逃していただけると助かります。他サイトにも投稿しています。
https://www.alphapolis.co.jp/novel/793391534/466596284/episode/5320962
https://www.alphapolis.co.jp/novel/793391534/84576624/episode/5093144
https://www.alphapolis.co.jp/novel/793391534/786307039/episode/2285646
主婦が役立たず? どう思うかは勝手だけど、こっちも勝手にやらせて貰うから
渡里あずま
ファンタジー
安藤舞は、専業主婦である。ちなみに現在、三十二歳だ。
朝、夫と幼稚園児の子供を見送り、さて掃除と洗濯をしようとしたところで――気づけば、石造りの知らない部屋で座り込んでいた。そして映画で見たような古めかしいコスプレをした、外国人集団に囲まれていた。
「我々が召喚したかったのは、そちらの世界での『学者』や『医者』だ。それを『主婦』だと!? そんなごく潰しが、聖女になどなれるものか! 役立たずなどいらんっ」
「いや、理不尽!」
初対面の見た目だけ美青年に暴言を吐かれ、舞はそのまま無一文で追い出されてしまう。腹を立てながらも、舞は何としても元の世界に戻ることを決意する。
「主婦が役立たず? どう思うかは勝手だけど、こっちも勝手にやらせて貰うから」
※※※
専業主婦の舞が、主婦力・大人力を駆使して元の世界に戻ろうとする話です(ざまぁあり)
※重複投稿作品※
表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる