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第三章
01.各々の訓練
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「戦いは基本的に、前衛と後衛に分けられまして……」
長々と続く説明を話半分で聞く。というか、興味がないというのが正解だろう。
私の隣ではキィが前のめりになって真剣に聞いていて、ここにノートとペンがあればメモをしているだろうと思わされる程だ。
それほどまでに聖女としての地位が欲しいのかもしれないが、私としてはこのままでも十分だ。
思い入れのない国の為に努力をする理由もないし、今のままで生活は出来ている。あと必要なのは本当に自立する為の手段や知識、知恵だろう。
「攻撃は最大の防御!」
力強く言って神官の言葉に、ビクリと肩が跳ねた。
……確かに、それも必要だ。自立の中には、自分で自分の命を守る事も含まれる。
――魔物が蔓延る、この世界では。
私はチラリと訓練場の端へと視線を向けた。
そこには琴子が私達から離れて、一人別の神官の元で訓練をしている。
魔物に襲われ、生きたまま食われかけたという窮地を脱したが、その恐怖心はどれほどのものだったのか。琴子は一人後方支援に回るという事になったのだけれど……。
自分の身にも同じ事が起きるかもしれないという恐怖を忘れてはいけない。
「では、あの的に向かって攻撃をして下さい」
以前、魔物を倒した時のように、神力を掌に集める感覚を思い出すけれど、あの時のような感覚は起きない。
……色々と無我夢中だったしなぁ。
命がかかわるような事も、誰かを攻撃する事もなく生きて来たからこそ、的とはいえ攻撃すると言われても緊張感もなければ緊迫感もない。
――ドカァンッ!
全く何も出来ない私をよそに、キィは見事に神力で的を攻撃し、破壊させた。
「キィ様、素晴らしい! ミズキ様、何も出せませんか?」
「……全く……」
神力が集まる感覚は分かるのだけれど、どうも攻撃には抵抗があるのだろうか。
……何故か、ふと理沙に殴られた痛みを思い出す。
叩かれるのは痛いけれど、叩いた理沙だって痛いんだと。
「素晴らしい! 素晴らしい素質です! コトコ様!! こんなのは初めてです!」
端に居るのにも関わらず、その声は私達の方にまで容易に届き、ついそちらへと視線を向けて耳を澄ましてしまう。
「コトコ様は支援が最適なのですね! これはきっと大きな助けになります!!」
「ありがとうございます」
興奮しきった様子で褒める神官に、琴子は少し照れた顔で返していたのを見て、安堵の息を吐いた。
後方支援で良いと言われた時も安心したけれど、適正があるのならば尚更だ。
そんな琴子をアンドリューも嬉しそうに見つめていて、心がほっこりしている私は、キィが強く拳を握っていた事に気が付かなかった。
長々と続く説明を話半分で聞く。というか、興味がないというのが正解だろう。
私の隣ではキィが前のめりになって真剣に聞いていて、ここにノートとペンがあればメモをしているだろうと思わされる程だ。
それほどまでに聖女としての地位が欲しいのかもしれないが、私としてはこのままでも十分だ。
思い入れのない国の為に努力をする理由もないし、今のままで生活は出来ている。あと必要なのは本当に自立する為の手段や知識、知恵だろう。
「攻撃は最大の防御!」
力強く言って神官の言葉に、ビクリと肩が跳ねた。
……確かに、それも必要だ。自立の中には、自分で自分の命を守る事も含まれる。
――魔物が蔓延る、この世界では。
私はチラリと訓練場の端へと視線を向けた。
そこには琴子が私達から離れて、一人別の神官の元で訓練をしている。
魔物に襲われ、生きたまま食われかけたという窮地を脱したが、その恐怖心はどれほどのものだったのか。琴子は一人後方支援に回るという事になったのだけれど……。
自分の身にも同じ事が起きるかもしれないという恐怖を忘れてはいけない。
「では、あの的に向かって攻撃をして下さい」
以前、魔物を倒した時のように、神力を掌に集める感覚を思い出すけれど、あの時のような感覚は起きない。
……色々と無我夢中だったしなぁ。
命がかかわるような事も、誰かを攻撃する事もなく生きて来たからこそ、的とはいえ攻撃すると言われても緊張感もなければ緊迫感もない。
――ドカァンッ!
全く何も出来ない私をよそに、キィは見事に神力で的を攻撃し、破壊させた。
「キィ様、素晴らしい! ミズキ様、何も出せませんか?」
「……全く……」
神力が集まる感覚は分かるのだけれど、どうも攻撃には抵抗があるのだろうか。
……何故か、ふと理沙に殴られた痛みを思い出す。
叩かれるのは痛いけれど、叩いた理沙だって痛いんだと。
「素晴らしい! 素晴らしい素質です! コトコ様!! こんなのは初めてです!」
端に居るのにも関わらず、その声は私達の方にまで容易に届き、ついそちらへと視線を向けて耳を澄ましてしまう。
「コトコ様は支援が最適なのですね! これはきっと大きな助けになります!!」
「ありがとうございます」
興奮しきった様子で褒める神官に、琴子は少し照れた顔で返していたのを見て、安堵の息を吐いた。
後方支援で良いと言われた時も安心したけれど、適正があるのならば尚更だ。
そんな琴子をアンドリューも嬉しそうに見つめていて、心がほっこりしている私は、キィが強く拳を握っていた事に気が付かなかった。
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