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第三章
10.目覚めと甘え
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望む望まないではなく、子どもは授かりものだと言う。
そして愛情は人によって表し方が違うし、受け取る人によっても解釈は違う。
まるでそれは恋愛のようではないだろうか。
幼い時に亡くした両親は、私の事を確かに愛してくれていたと思う。大事にされていたと感じていた。
だけれど、そうでないとしたら……一体どんな日々を送っていたというのだろう。
「……んっ……」
「キィ!」
「キィ様!」
翌日、キィが目を覚ました。
部屋にはウィルだけでなく、心配した私とデイル、琴子とアンドリュー。それに枢機卿や真まで来ていた。
「わた……し……」
「まだ起き上がるな!」
すぐに起き上がろうとしたキィをウィルは肩を掴んでベッドへと戻した。
少し驚いた表情をしたキィだが、怒る気力もないのか、そのままベッドへと沈み込んでいく。
「良かった……あまり身体を酷使しては本当に使い物にならなくなりますよ……」
「……あ……」
枢機卿は優しい瞳と力でキィの頭を撫でると、キィはそれを拒む事なく、ただ照れたように少しだけシーツを上げて顔を隠した。
「ここは枢機卿に任せておくか」
「うん」
「そうだね」
真が私達に耳打ちし、それに答えて静かに部屋を出た。
後ろにはデイルとアンドリューも安心したような表情で付いてくる。
「さてと。洗濯と掃除がまだ残ってたからやってくるわー」
「雑用みたいな事、まだやってんの?」
「色々と忙しそうだね」
「まーね」
笑いながら真は廊下を駆けて行った。
……キィが倒れたからと、訓練がなくなって自由時間を持て余している私達は何となく罪悪感すら感じてしまう。
性別だけの違いで、生活も変わるのかと。
枢機卿に任せておけばいいと言っても、やはり少し様子は気になるものだ。
……あんな言葉を放ったキィを放置するのは、どことなく心苦しいというもの。
「キィ? 果物でも食べる?」
「あっ!」
部屋へと入れば、枢機卿に頭を撫でられているキィが居て、思わず目を見開いてしまう。
「キィ様は先ほど、パン粥を食べさせませたよ。完食したのでお腹いっぱいかと」
「あ……あ……」
枢機卿の言葉に、キィの顔がどんどん真っ赤に染まっていく。
……そうか。食べさせた。つまり食べさせてもらったと。
……ふむ。
「良きことかな……」
「ちょ!!」
何やら喚いているキィを横目に、私は静かに扉を閉めて、何も見なかったように立ち去った。
まぁ、しっかり目と心に焼き付けてはいるけれど。
「少しは子どもらしさを見せてるのかな……?」
「体調も問題なさそうですね」
デイルと話ながら、キィにあげる筈だった果物は私がしっかり食させてもらおう。
そして愛情は人によって表し方が違うし、受け取る人によっても解釈は違う。
まるでそれは恋愛のようではないだろうか。
幼い時に亡くした両親は、私の事を確かに愛してくれていたと思う。大事にされていたと感じていた。
だけれど、そうでないとしたら……一体どんな日々を送っていたというのだろう。
「……んっ……」
「キィ!」
「キィ様!」
翌日、キィが目を覚ました。
部屋にはウィルだけでなく、心配した私とデイル、琴子とアンドリュー。それに枢機卿や真まで来ていた。
「わた……し……」
「まだ起き上がるな!」
すぐに起き上がろうとしたキィをウィルは肩を掴んでベッドへと戻した。
少し驚いた表情をしたキィだが、怒る気力もないのか、そのままベッドへと沈み込んでいく。
「良かった……あまり身体を酷使しては本当に使い物にならなくなりますよ……」
「……あ……」
枢機卿は優しい瞳と力でキィの頭を撫でると、キィはそれを拒む事なく、ただ照れたように少しだけシーツを上げて顔を隠した。
「ここは枢機卿に任せておくか」
「うん」
「そうだね」
真が私達に耳打ちし、それに答えて静かに部屋を出た。
後ろにはデイルとアンドリューも安心したような表情で付いてくる。
「さてと。洗濯と掃除がまだ残ってたからやってくるわー」
「雑用みたいな事、まだやってんの?」
「色々と忙しそうだね」
「まーね」
笑いながら真は廊下を駆けて行った。
……キィが倒れたからと、訓練がなくなって自由時間を持て余している私達は何となく罪悪感すら感じてしまう。
性別だけの違いで、生活も変わるのかと。
枢機卿に任せておけばいいと言っても、やはり少し様子は気になるものだ。
……あんな言葉を放ったキィを放置するのは、どことなく心苦しいというもの。
「キィ? 果物でも食べる?」
「あっ!」
部屋へと入れば、枢機卿に頭を撫でられているキィが居て、思わず目を見開いてしまう。
「キィ様は先ほど、パン粥を食べさせませたよ。完食したのでお腹いっぱいかと」
「あ……あ……」
枢機卿の言葉に、キィの顔がどんどん真っ赤に染まっていく。
……そうか。食べさせた。つまり食べさせてもらったと。
……ふむ。
「良きことかな……」
「ちょ!!」
何やら喚いているキィを横目に、私は静かに扉を閉めて、何も見なかったように立ち去った。
まぁ、しっかり目と心に焼き付けてはいるけれど。
「少しは子どもらしさを見せてるのかな……?」
「体調も問題なさそうですね」
デイルと話ながら、キィにあげる筈だった果物は私がしっかり食させてもらおう。
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