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第四章
05.出て行った真
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「え」
「一体どういう」
「静かにしろ!」
騒めいたのは貴族達だ。何も聞かされていなかったのだろか、一気に場は騒がしくなったが国王の一喝により静かな空間へと戻った。
だけれど不安そうな表情は拭えない。
私達も呆気に取られて、聞き間違いかと思えてしまう。
「これは決定事項だ! とっとと出て行け!!」
響く国王の怒声に対して動いたのは真だった。
すっと立ち上がると、扉に向かって歩き始める。
「っ! 真!」
止めようと私が声をかけると、真は人差し指を唇に当てて「しーっ」と小さく言った。
だけれど、真一人が国から追放されて終わりだなんて、どう考えてもおかしいし納得いかない。
真一人を生贄のように差し出すなんて解せない。
私は真を追いかけようと立ち上がり走り出そうとするが、誰かに強く身体を引かれて引き留められる。
「落ち着いて下さい」
「何を!」
そこに居たのはデイルで、私の腕をしっかり掴んでいる。
力で振り払おうにも、流石騎士と言うだけあって、振りほどけない。
「真!!」
いつの間にこちらへと来ていたのか、キィや琴子の側にもウィルとアンドリューが来て抑えていた。
二人も真を追いかけようと立ち上がっていたようだ。
「今は不味いです」
「静かに」
ウィルやアンドリューに二人が諭されている間にも、真は扉の方へ向かって行く。
そして、重厚なドアは開き、真は扉の向こうへと消えて行った。
「……」
「真……」
ただ茫然と私達がその場に立ち尽くしていれば、護衛騎士達によって国王の方へと向かされて、膝を付かされる。
……無気力な人形のようだ。
だけれど、今起こった事が全て夢のようで、現実味がない。
出ていった? 真が? この国から?
……もう会えないというのか。
跪いているというより、ただ項垂れている私達に満足をしているのか、国王の陽気な声が降って来た。
「これで悪の芽を刈り取ったな!」
満足そうな声。
してやったりとでも言いたいのだろうか。
「あんな悪魔に負けるとは、それでも贈り人か!」
しかし、それとは正反対に、今度は説教が落ちる。
全くもって感情コントロールが出来ないんだなと何も感じない心で悪態だけが脳裏に浮かんでくる。
呆れる。
否、反吐が出る。
「まぁ、これからまともな贈り人三人で頑張ってくれ」
一転して、鼻で笑うような言い方へと変わる。
……誰が。
誰がこんな奴の為に!
言いたい……けれど、この国に君臨する国王だ。
今じゃない。
そう思って我慢をしながら、謁見の場から退出した私達は、急ぎ神殿へと戻る。
――枢機卿!
国に属していない神殿の……枢機卿が今の頼りだと思って。
「一体どういう」
「静かにしろ!」
騒めいたのは貴族達だ。何も聞かされていなかったのだろか、一気に場は騒がしくなったが国王の一喝により静かな空間へと戻った。
だけれど不安そうな表情は拭えない。
私達も呆気に取られて、聞き間違いかと思えてしまう。
「これは決定事項だ! とっとと出て行け!!」
響く国王の怒声に対して動いたのは真だった。
すっと立ち上がると、扉に向かって歩き始める。
「っ! 真!」
止めようと私が声をかけると、真は人差し指を唇に当てて「しーっ」と小さく言った。
だけれど、真一人が国から追放されて終わりだなんて、どう考えてもおかしいし納得いかない。
真一人を生贄のように差し出すなんて解せない。
私は真を追いかけようと立ち上がり走り出そうとするが、誰かに強く身体を引かれて引き留められる。
「落ち着いて下さい」
「何を!」
そこに居たのはデイルで、私の腕をしっかり掴んでいる。
力で振り払おうにも、流石騎士と言うだけあって、振りほどけない。
「真!!」
いつの間にこちらへと来ていたのか、キィや琴子の側にもウィルとアンドリューが来て抑えていた。
二人も真を追いかけようと立ち上がっていたようだ。
「今は不味いです」
「静かに」
ウィルやアンドリューに二人が諭されている間にも、真は扉の方へ向かって行く。
そして、重厚なドアは開き、真は扉の向こうへと消えて行った。
「……」
「真……」
ただ茫然と私達がその場に立ち尽くしていれば、護衛騎士達によって国王の方へと向かされて、膝を付かされる。
……無気力な人形のようだ。
だけれど、今起こった事が全て夢のようで、現実味がない。
出ていった? 真が? この国から?
……もう会えないというのか。
跪いているというより、ただ項垂れている私達に満足をしているのか、国王の陽気な声が降って来た。
「これで悪の芽を刈り取ったな!」
満足そうな声。
してやったりとでも言いたいのだろうか。
「あんな悪魔に負けるとは、それでも贈り人か!」
しかし、それとは正反対に、今度は説教が落ちる。
全くもって感情コントロールが出来ないんだなと何も感じない心で悪態だけが脳裏に浮かんでくる。
呆れる。
否、反吐が出る。
「まぁ、これからまともな贈り人三人で頑張ってくれ」
一転して、鼻で笑うような言い方へと変わる。
……誰が。
誰がこんな奴の為に!
言いたい……けれど、この国に君臨する国王だ。
今じゃない。
そう思って我慢をしながら、謁見の場から退出した私達は、急ぎ神殿へと戻る。
――枢機卿!
国に属していない神殿の……枢機卿が今の頼りだと思って。
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