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79.勝手に決めないで下さい
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「嘘……だろう」
国王は驚愕に目を見開いて、上空を眺めていた。ワイバーンの声だけでなく、何故かミゼラ公爵令嬢の声までもが城に届いている……という事は、先ほどのやり取り全て王都に居る人間達にも聞こえている事だろう。
「伝説のワイバーンに……シアが従えているのが……本当に聖獣だと言うの……?」
王妃も驚き、扇子で表情を忘れる程に先ほどまでのやり取りを見入っていた。
王太子が言っていた事は本当だったのだ。シアが従えていたのは本当に聖獣で、伝説なんかではなく実在していたと。
しかもシアに手を出せば命はないとまで言っていたのだ。
「あ……あぁ……」
恐怖、もしくは後悔なのか。既に脳内では処理できない程の感情が溢れ、身体が震えて立っていられなくなる。
自分達はシアに一体何をしてきたのか、そして第二王子が何をしでかしたのか。既に王族だから、なんて言う事は免罪符にならない。聖獣はそれ以上の存在だ。
目の前に圧倒的な力と権力が現れ、今まで自分達がどれだけ地位と権力の上に胡坐をかいていただけなのか理解した。実際、国の危機とも言える状態を作り出したのは王族で、更にそれを対処する事も出来ない無能さを曝け出した。
「……ミゼラ公爵令嬢は本当に有能ですね」
宰相が放った、全て詰め込まれているだろう言葉に対し、大臣達も無言で深く頷いた。その圧力に、国王と王妃は気力が尽きたように膝から崩れ落ちたところに、更にトドメとなる民の歓声が耳に届いた。
「さすがは王子妃……っ!」
「いや、第二王子が勝手に婚約破棄をしたらしいじゃないか」
「浮気のやつか」
「ならば王太子妃だ!」
「お互い相手が居ないぞ!ちょうど良い!」
騎士団や魔術師団の面々が勝手に騒ぎ出す内容に思わず狼狽える。既に貴族令嬢から離れて暮らしている私としては、今の暮らしを手放す気がない。貴族というだけで堅苦しいのに、王族に名を連ねるなど御免こうむりたい。しかも相手が居ないからとか……当人の気持ちは完全無視な辺り、流石政略結婚ばかりのお国柄だと思わざるおえない。国に縛り付ける思考回路が当たり前に出てくるなんて、前世の記憶持ってる今となっては気持ち悪いだけだ。
「やめないか!無礼だぞ!」
王太子が声を上げて注意をするも、それ以上の完成が騎士団や魔術師団から放たれる。日頃の訓練の賜物なのか、騎士団の肺活量は目を見張るものがある……と、感心してしまう程だ。鼓膜が破れそう……。
「いい加減にしろ!」
王太子の苛立ちが酷くなっていく中、フィンも無言で怒っているのか冷たい空気が流れる。ワイバーンも空気を呼んだかのように静かだったのだが……。
――あれは?
「え?」
遠くに見える、素早く移動する影を見つけたワイバーンが声を漏らす。その影が何なのかはっきりわかった時、私は思わず目を見開いた。
国王は驚愕に目を見開いて、上空を眺めていた。ワイバーンの声だけでなく、何故かミゼラ公爵令嬢の声までもが城に届いている……という事は、先ほどのやり取り全て王都に居る人間達にも聞こえている事だろう。
「伝説のワイバーンに……シアが従えているのが……本当に聖獣だと言うの……?」
王妃も驚き、扇子で表情を忘れる程に先ほどまでのやり取りを見入っていた。
王太子が言っていた事は本当だったのだ。シアが従えていたのは本当に聖獣で、伝説なんかではなく実在していたと。
しかもシアに手を出せば命はないとまで言っていたのだ。
「あ……あぁ……」
恐怖、もしくは後悔なのか。既に脳内では処理できない程の感情が溢れ、身体が震えて立っていられなくなる。
自分達はシアに一体何をしてきたのか、そして第二王子が何をしでかしたのか。既に王族だから、なんて言う事は免罪符にならない。聖獣はそれ以上の存在だ。
目の前に圧倒的な力と権力が現れ、今まで自分達がどれだけ地位と権力の上に胡坐をかいていただけなのか理解した。実際、国の危機とも言える状態を作り出したのは王族で、更にそれを対処する事も出来ない無能さを曝け出した。
「……ミゼラ公爵令嬢は本当に有能ですね」
宰相が放った、全て詰め込まれているだろう言葉に対し、大臣達も無言で深く頷いた。その圧力に、国王と王妃は気力が尽きたように膝から崩れ落ちたところに、更にトドメとなる民の歓声が耳に届いた。
「さすがは王子妃……っ!」
「いや、第二王子が勝手に婚約破棄をしたらしいじゃないか」
「浮気のやつか」
「ならば王太子妃だ!」
「お互い相手が居ないぞ!ちょうど良い!」
騎士団や魔術師団の面々が勝手に騒ぎ出す内容に思わず狼狽える。既に貴族令嬢から離れて暮らしている私としては、今の暮らしを手放す気がない。貴族というだけで堅苦しいのに、王族に名を連ねるなど御免こうむりたい。しかも相手が居ないからとか……当人の気持ちは完全無視な辺り、流石政略結婚ばかりのお国柄だと思わざるおえない。国に縛り付ける思考回路が当たり前に出てくるなんて、前世の記憶持ってる今となっては気持ち悪いだけだ。
「やめないか!無礼だぞ!」
王太子が声を上げて注意をするも、それ以上の完成が騎士団や魔術師団から放たれる。日頃の訓練の賜物なのか、騎士団の肺活量は目を見張るものがある……と、感心してしまう程だ。鼓膜が破れそう……。
「いい加減にしろ!」
王太子の苛立ちが酷くなっていく中、フィンも無言で怒っているのか冷たい空気が流れる。ワイバーンも空気を呼んだかのように静かだったのだが……。
――あれは?
「え?」
遠くに見える、素早く移動する影を見つけたワイバーンが声を漏らす。その影が何なのかはっきりわかった時、私は思わず目を見開いた。
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