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85.フィン
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気が付けば、何故か全く知らない世界に聖獣として存在していた。自分勝手で傲慢な人間達は、生物の頂点に居るかのように振舞い、土地を自分達のものだと言わんばかりに制圧している。
聖獣として何を守れと言うのか。
そんな事を思いながら、聖獣としての役目は地に留まる事以外、放棄していた。
くだらない。
人間を観察するのにも飽きてきた……けれど……。
――真冬。
懐かしい声を思い出す。それは犬として生きてきた記憶に残る飼い主。
何故、前に生きていた生の記憶を持っているのかなんて分からないけれど、その記憶はとても大切だった。
愛されて、大事にされて……温もりを感じて。
毎日が幸せで楽しかった日々。そんな思いでがあるからこそ、完全に聖獣としての役目を放棄する事なんて出来なくて……。
――少しくらいは人間を助けて良いかもと思ってしまう。
外に出るのは危険だと言う事も分かっていた。
今の人間は感謝なんて覚えてないから。
強欲で全てを奪い取る程だから。
……でも。
前世の夢を見てしまえば、気持ちは揺らぐ。
あの人のような。
あの人みたいな。
そんな人間が居るのではないかと。
――そして外へ出てみれば……出会えたんだ。
案の定、人間に怪我を負わされたけれど、助けてくれた人が居た。
最初は、ご主人様に心が似ている人だと思った。
でも、その心が嬉しくて……側に居たくて……。ずっと傍に居たくて……その温かさに触れていたくて……。
そしたら、本当にご主人様で。
――離れたくない。
――放したくない。
――もう1人は嫌だ。
絶対に守る。そう自分自身に誓った。
「フィン?フィーン!……寝てたの?」
呼ぶ声が聞こえて目を開けると、そこにはシアの顔があった。
「……うたた寝してたみたい?」
「余程、疲れていたのね」
犬だし。と、ボソリと聞こえたのはスルーした。未だ犬扱いされても……いや、聖獣の姿は確かに犬に似ているけれど。
今はシアと同じ物を食べる事も、同じ視点で物事を見る事も出来る。
「……どうしたの?」
「あっ!そうだった」
何もなければ、わざわざ起こしてまで呼ばないだろうと思って訊ねてみると、案の定、用事があったようだ。
「お父様とお母様、それに王太子殿下……いや、国王様もいらしてるの!フィンに会いたいって!」
「…………」
「……そんな嫌な顔しないで……」
ダリス陛下はともかくとして……シアのお父さんには散々注意を受けていたのを思い出す。
シアとの距離が近いとか、シアの従者である事を忘れるなとか……あれが父親の感というものなのだろうか。まぁ、それも仕方ないかと思い、腰を上げてシアの後を追う。
森の中にある、俺達のカフェに。
聖獣として何を守れと言うのか。
そんな事を思いながら、聖獣としての役目は地に留まる事以外、放棄していた。
くだらない。
人間を観察するのにも飽きてきた……けれど……。
――真冬。
懐かしい声を思い出す。それは犬として生きてきた記憶に残る飼い主。
何故、前に生きていた生の記憶を持っているのかなんて分からないけれど、その記憶はとても大切だった。
愛されて、大事にされて……温もりを感じて。
毎日が幸せで楽しかった日々。そんな思いでがあるからこそ、完全に聖獣としての役目を放棄する事なんて出来なくて……。
――少しくらいは人間を助けて良いかもと思ってしまう。
外に出るのは危険だと言う事も分かっていた。
今の人間は感謝なんて覚えてないから。
強欲で全てを奪い取る程だから。
……でも。
前世の夢を見てしまえば、気持ちは揺らぐ。
あの人のような。
あの人みたいな。
そんな人間が居るのではないかと。
――そして外へ出てみれば……出会えたんだ。
案の定、人間に怪我を負わされたけれど、助けてくれた人が居た。
最初は、ご主人様に心が似ている人だと思った。
でも、その心が嬉しくて……側に居たくて……。ずっと傍に居たくて……その温かさに触れていたくて……。
そしたら、本当にご主人様で。
――離れたくない。
――放したくない。
――もう1人は嫌だ。
絶対に守る。そう自分自身に誓った。
「フィン?フィーン!……寝てたの?」
呼ぶ声が聞こえて目を開けると、そこにはシアの顔があった。
「……うたた寝してたみたい?」
「余程、疲れていたのね」
犬だし。と、ボソリと聞こえたのはスルーした。未だ犬扱いされても……いや、聖獣の姿は確かに犬に似ているけれど。
今はシアと同じ物を食べる事も、同じ視点で物事を見る事も出来る。
「……どうしたの?」
「あっ!そうだった」
何もなければ、わざわざ起こしてまで呼ばないだろうと思って訊ねてみると、案の定、用事があったようだ。
「お父様とお母様、それに王太子殿下……いや、国王様もいらしてるの!フィンに会いたいって!」
「…………」
「……そんな嫌な顔しないで……」
ダリス陛下はともかくとして……シアのお父さんには散々注意を受けていたのを思い出す。
シアとの距離が近いとか、シアの従者である事を忘れるなとか……あれが父親の感というものなのだろうか。まぁ、それも仕方ないかと思い、腰を上げてシアの後を追う。
森の中にある、俺達のカフェに。
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