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03.求婚しました
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茨のラビリンス。
始まりは主人公が母と湖へピクニックに出かける所からだ。
そこで獣に襲われ、主人公を庇って母は命を落とし、主人公にまで獣の牙と爪が襲いかかる……という時に、馬で遠出してきた男爵に助けられるのだ。
そして男爵は愛した女性の亡骸を見て、主人公を引き取る。そう、主人公は母と男爵との子どもなのだ。
「とりあえず男爵とは会わないようにしないと……」
ここ一週間程、ぶつぶつと呟きながらゲームの内容を思い出しては徹底的に頭へ叩き込もうとする。この世界、紙が高価で私のような平民が簡単に手に入れられる物ではないのだ。いっそ木の板を削りたいとさえ思うけれど、そうなると隠せない。だからこそ思い出して何度も呟いてしっかり記憶する。
「リズ?お買い物頼んでも良い~?」
「はーい!」
母から声をかけられ、良い子のように返事をする。というか、十歳ともなれば家の事をしつつ雑用程度なら周囲へ働きに出ているようなものだ。家の為に働く……そう考えると前世では学校行って勉強するフリして全力で遊ぶ……なんて贅沢だったのだろうか。思わず母を見つめ……
「お母さんって綺麗だよね」
「な……何言ってるの!?」
「いってきまーす!」
母をマジマジと見ると、本当に綺麗だったし、狼狽えて顔を赤くする姿は少し幼く見えて可愛かった。神絵師のスチルではシルエットだけだったのが残念な程だ。
お金とカゴを受け取って家を出てからも考える。当時男爵家のメイドだった母と、当時男爵令息でなかった父は身分違いの恋に落ちたが、父の父である男爵が許さず、母は追い出される。……身ごもっている事も知らず。
母は一人で産み育てる覚悟をして、男爵には伝えず現在に至る……そして父は確か……男爵を継ぎ、結婚したものの子どもも居なくて、奥さんは儚くなっている。だからこそ、助けた時に愛する人の忘れ形見として主人公を引き取るわけなんだけど……。
「リズー!良い果物はいったよー!」
母が幸せなら二人くっつけば良いけれど、引き取られたくないし……と思っていたら、幼馴染のポピーから声をかけられた。
ふわふわした赤茶の髪で茶色の瞳、地味な顔立ちだけれど、とても優しい一つ年上の少年。目利きが良い為か、いつも甘くて香りが良い果物が並ぶ果物屋の息子で、私はここの果物が大好きだ。もうここの果物があればそれで良い!
そこまで思って、ふと考えついた。
「ポピー……」
「何?今日は要らない?」
店先に並べられた果物の中でも、おすすめだろう物をいくつか手に取って見せてくるポピーの目をしっかり見つめて私は言った。
「私と結婚して!」
始まりは主人公が母と湖へピクニックに出かける所からだ。
そこで獣に襲われ、主人公を庇って母は命を落とし、主人公にまで獣の牙と爪が襲いかかる……という時に、馬で遠出してきた男爵に助けられるのだ。
そして男爵は愛した女性の亡骸を見て、主人公を引き取る。そう、主人公は母と男爵との子どもなのだ。
「とりあえず男爵とは会わないようにしないと……」
ここ一週間程、ぶつぶつと呟きながらゲームの内容を思い出しては徹底的に頭へ叩き込もうとする。この世界、紙が高価で私のような平民が簡単に手に入れられる物ではないのだ。いっそ木の板を削りたいとさえ思うけれど、そうなると隠せない。だからこそ思い出して何度も呟いてしっかり記憶する。
「リズ?お買い物頼んでも良い~?」
「はーい!」
母から声をかけられ、良い子のように返事をする。というか、十歳ともなれば家の事をしつつ雑用程度なら周囲へ働きに出ているようなものだ。家の為に働く……そう考えると前世では学校行って勉強するフリして全力で遊ぶ……なんて贅沢だったのだろうか。思わず母を見つめ……
「お母さんって綺麗だよね」
「な……何言ってるの!?」
「いってきまーす!」
母をマジマジと見ると、本当に綺麗だったし、狼狽えて顔を赤くする姿は少し幼く見えて可愛かった。神絵師のスチルではシルエットだけだったのが残念な程だ。
お金とカゴを受け取って家を出てからも考える。当時男爵家のメイドだった母と、当時男爵令息でなかった父は身分違いの恋に落ちたが、父の父である男爵が許さず、母は追い出される。……身ごもっている事も知らず。
母は一人で産み育てる覚悟をして、男爵には伝えず現在に至る……そして父は確か……男爵を継ぎ、結婚したものの子どもも居なくて、奥さんは儚くなっている。だからこそ、助けた時に愛する人の忘れ形見として主人公を引き取るわけなんだけど……。
「リズー!良い果物はいったよー!」
母が幸せなら二人くっつけば良いけれど、引き取られたくないし……と思っていたら、幼馴染のポピーから声をかけられた。
ふわふわした赤茶の髪で茶色の瞳、地味な顔立ちだけれど、とても優しい一つ年上の少年。目利きが良い為か、いつも甘くて香りが良い果物が並ぶ果物屋の息子で、私はここの果物が大好きだ。もうここの果物があればそれで良い!
そこまで思って、ふと考えついた。
「ポピー……」
「何?今日は要らない?」
店先に並べられた果物の中でも、おすすめだろう物をいくつか手に取って見せてくるポピーの目をしっかり見つめて私は言った。
「私と結婚して!」
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