【完結】ストーカーに召喚されて溺愛されてます!?

かずきりり

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「何か嫌な夢でも見たの?ミオ」

近くから聞こえる男性の声に、寝ぼけていた頭は覚醒し、そちらに目を向ける。

——夢じゃなかった——

ベッド脇に腰掛けてこちらを見ているのは、この世のものとは思えない美丈夫。という事は、舞の途中に光に包まれ、いきなりこの場所に出てきたのも現実だったんだ。
思わず起き上がろうとすると、美丈夫の手で制され、またベッドへ戻された。

「いきなり起き上がっては危ないよ、まだゆっくり休んで」

そう言って、私の目元に口づけた。

「!?」

何?一体何が起きているの?
目の前には美丈夫の顔、すでに今の体勢はベッドに押し倒されていると言っても過言ではない。
あまりの事に頭がクラクラするのは、脳に酸素が行き届いていないのだろうか。少し息苦しさまで感じる。
そんな私に心配そうな瞳で頭を撫でてくる美丈夫は、扉に向かい声をかけると、誰かが入室してきたようだ。

「お呼びでしょうか」
「ミオの支度を頼む」

そのやり取りだけで、女の人が入ってきて、何か世話をしてくれるのが分かる。

「また後で」

そう言って寂しそうな瞳をした美丈夫は私の頬に口づけると部屋から退室して行った。
……何?何が起きているの?
さっぱり分からない。
私はどうするのが正解なの?
入室してきた女の人に促されるまま起き上がり、言われるがまま水分を取り、言われるがままの支度をする。
無表情にやる事を指示してくれる女性の対応に、少し安心感を覚えた。
決められた事を望まれるがままに行うのは、とても楽だ。無表情だから感情が読めないけれど、今は表情を読んで何を望んでいるのか考え、先回りする行動も思いつかない。
そして指し示された衣装を前に、足踏みをしてしまった。
先ほどの美丈夫はスーツのような、しかしよく考えてみれば若干騎士のような装飾やマントがついていた気がする。
目の前にいる女性はロングスカートのメイド服を彷彿させる。
そして……私に用意されたのはフォーマルなロング丈のドレスに装飾を施したもの。結婚式とかで着るような、まんまドレス!という形ではないにしても、高そうな宝石等がついていて、少し足踏みした。
というか、そもそも、格式ばった何かがない限り冠婚葬祭全て制服で通じる年代で、フォーマルな格好なんて今までした事もない。
しかし、それを着る事が望まれているのだろう。
躊躇ったのは一瞬で、すぐに覚悟を決めて、その衣装を身にまとう。汚さないように、引っ掛けないように気を配ろう。足の先から指の先まで神経を張り詰めて。それだけを脳内が支配した。
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