ミラクルガール

今年の目標は禁煙で

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第2章 安藤妙子のちょっと慌ただしい日々

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 何事もなく、三日が過ぎた。
 喜ばしいことに、神様からの電話もない。安寧の日々を取り戻せたことを、神様に感謝(?)しながら、妙子はいつものように、教室で、百合子と朱美をまじえて昼ご飯を食べていた。
 今日はいつものママの手作りお弁当だ。
 ピカピカと輝くウインナーを箸でつまみ、お口に運んでパクパク、ゴックン……そのおいしさに思わずニコニコする妙子に、百合子が微笑んできた。
 「妙子ちゃんは、この時間が一番お幸せそうですね」
 「まあね。一心不乱に勉学にはげむ私がゆいいつ心休まる時間だから、昼休みは」
 「………」
 「………」
 「……あの、二人そろって黙らないで。ちょっと言ってみたかっただけよ」
 「そうよ。タエが、ガリ勉くんになるなんて……ないない」
 朱美は片手を左右に振りながら、したり顔で言った。
 「うむむ。さすがは悪友。私のことをちゃーんとわかっているわ」
 「まかせてよ」
 「おお、まかせるわ、兄弟」
 そう言い合って、朱美と妙子は自分たちのバカげた会話に破顔する。そんな二人をニコニコと見つめる百合子。仲良し三人組のほほえましい昼のひと時が過ぎいくなか、
 「あッ、マーくん」
 教室の扉のところにやって来た男子生徒に気付いて、朱美が席を立った。マーくんというのは朱美の彼氏だ。ひとつ年上で三年生。何事か話しあっていたが、ほどなくして、
 「うん、わかったわ」
 と、マーくんと別れて妙子たちのもとに戻ってきた朱美に、妙子はさっそくちゃちゃを入れた。
 「いいわね、朱美は。相思相愛の彼氏がいてさあ」
 だが、朱美はひるむ様子はなく、ちょっと小憎らしく笑んで、
 「タエ、ずばり、マーくんのような彼氏がいる私がうらやましいわけね」
 とかえしてきた。
 「べ、別にぃ」
 あー、なさけない。声が少し裏がえちゃってる、私。
 「でも正直な話。そろそろ彼氏をつくったら、タエとユリも」
 「え?……私は、そういうことは……」
 うつむいてモジモジとする百合子。―おお、なんと可憐の姿だ。私が男子なら絶対に放っておかないんだけどなあ……などと妙な感慨にとらわれた妙子は、百合子の仕草を真似てみた。
 「ええ?……私も、そういうことは」
 モジモジ、モジモジ……。
 「タエ、そういうキャラに合わないことしない」
 一刀両断に却下してくる朱美。ううう、手厳しい。
 「はいはい。どうせ、私はがさつで大雑把な女子ですよ、プンプン……って、なにニヤけているの、朱美」
 「実はそんなタエに、デートのお誘いがあるの」
 「はあ?」
 ポカーンとする妙子に、朱美が話をつづけた。
 「さっき、マーくんが来たでしょう。あれって今日の放課後、タエとユリをカラオケに誘って欲しいって話なの」
 「えッ、マーくんて、そんなに女好きなだったの。朱美のほかに、私と百合子まで彼女にしたいなんて……いや、いや、不潔よう」
 妙子はそう言って、自分の体を両手で抱きしめた。明らかに芝居かかった仕草なのだが、百合子にはそれが通じず、
 「……わ、私も嫌です」
 か細く、今にも泣きそう声をあげた。
 朱美といえば、頬をピクピクとひきつらせた。
 「タ、タエ……人の彼氏を勝手に極悪人にしないで」
 「ゴメンなさい」
 妙子は頭をかいて話を戻した。
 「つまり、向こうも誰か連れてくるってわけね」
 「そういうこと。まあ、グループ交際のようなものね。それで行くわよね?」
 「うーん、どうしようかな……」
 妙子が目を閉じ、腕を組んで考えこんでいると、放課後は華道部の活動があるから行けないと、百合子が言った。
 「それなら仕方ないわ。でも、タエはいいわよね」
 「うーん……うーん……うーん」
 「カラオケ代は、男たちが払うわ」
 「うーん……うーん……」
 「ジュース、スナック、それにちょっとしたご飯を注文したって、タダよ」
 「うーん?」
 そこで妙子の眼がパッと開き、キラリと光った。
 「朱美、その言葉に二言はない?」
 「ないわ」
 「だったら、行く!」
 現金を絵に描いたような女子―それが安藤妙子である。

         
 放課後。
 繁華街にある、とあるカラオケボックスの一室に、妙子の声が響く。
 「朱美。私、ピラフがいい。それとコーラ……ううん、やっぱり、ウーロン茶で」
 夕飯前だ。あまり重たいものは食べたくない。それにコーラを飲むとカロリーが気になる。お腹のまわりにお肉がついちゃうと、うんと気が滅入るので、ウーロン茶に変更なのだ。
 朱美が、みなの飲食物を内線電話で注文すると、さっそくマーくんのダチとその彼女がステージで仲良く唄いだした。朱美とマーくんは、二人で歌本を見ている。のちほど合流する男子二人は、また来ていない。
 私だけ一人ぼっち、さびしいなあ……とは露にも思わない妙子は、
 ♪ピラフ、ピラフ、ピラフだよー
 と、心の中で快哉と唄いながら、いまかいまかと料理の到着を待った。
 ほどなくして、従業員が注文した軽食と飲みものを運んできた。ピラフとウーロン茶のグラスが、テーブルの上にならぶと、
 「いただきまーす」
 妙子は声を弾ませて、さっそくスプーンでピラフをすくって、一口パクリ。
 いわゆる、ジャンクフードの類だが、なかなか美味で、ほくほく顔で食べていると男が一人室内に入ってきた。男子学生の制服を着ている。どうやら、遅れてきたマーくんのダチのようだ。でもって、ソファに空きはあるのに、わざわざ妙子の隣に座ってきた。
 なんだ、コイツ……と視線を横に投げた妙子は、ちょっとドギマギした。
 どっかの、ビジュアル系バンドのボーカリストのような、なかなかのイケ面だが、すぐにゲゲッときた。
 鼻にかかったような声で、「君が安藤妙子ちゃんだね、フフフ」と来られたからだ。
 「……ええ、そうですけど」
 妙子が十センチほどお尻を横にずらすと、その分きっちりビジュアル系くんが近寄ってくる。うわーかんべんして、とビジュアル系くんを無視するように、妙子はピラフを食すことに集中する。
 すると、
 「これ、飲むかい?」
 ビジュアル系くんが自分で持ってきた袋から、ビール缶を取りだし、テーブルの上に置いた。
 「いえ、私、アルコールってどうも苦手なんで遠慮しておきます」
 「それなら、こいつは?」
 今度は、タバコを勧めてきた。
 「いえいえ、タバコなんてもっと苦手でして……それに先輩、タバコは二十歳を過ぎてからですよ」
 「フフフ、意外とウブなんだ、妙子ちゃんは」
 ビジュアル系くん、タバコをくわえ、火をつけて吸いはじめた。妙子はムッときた。
 コ、コイツ、私が、タバコを苦手って言っているのに隣で吸いやがって……それに足までこれみよがしに組んで……うわ、ダメ、私、こういうタイプは生理的に。
 妙子の嫌悪感をよそに、そいつは話しつづける。
 「俺の名前は知っているよね。ここら辺じゃ結構有名なビジュアル系バンドのヴォーカルやっているから」
 わおッ、ほんとにバンドのヴォーカルだったんだ、コイツ。
 「ねえ聞いている、俺の話?」
 「えッ……ああ、聞いてますよ。バンドのヴォーカルなんでしょう。すごいすごい」
 またお尻を横にずらすが、エセビジュアル系野郎が追っかけてきた。
 「妙子ちゃん。この前、パジャマで登校したんだって。俺好きだな、そういうアナキーなことする女の子って。こんな可愛い後輩が学校にいるのを知らなかったなんて、フフフ、俺って愚かだよ」
 「………」
 「なにかリクエストはある? 唄ってあげるよ君のために。いや、君のためだけに」
 歯の浮くようなセリフに、ゾゾゾと妙子の全身に鳥肌が立った。
 「……い、いえ、結構です。遠慮しておきます」
 「遠慮なんてするなよ。俺、今彼女いないんだ。妙子ちゃん、俺の女になれよ」
 もう自分の彼女だと言わんばかりに、肩に手をまわし、耳元でそっと囁くように言ってきた。
 「はあ?」
 思わず顔を向けると、すぐそこにビジュアル系野郎の顔があった。眼をつぶって唇を近づけてくる。周りの人間がとめる間もないほどの早業だ。不意をくらって、妙子の手からスプーンが床に落ちた。
 あと一センチ。
 唇同士が触れあう瞬間、男の顔が三十センチ押しもどされた。その額にアイアンクローのように、妙子の手がかかっている。
 「なにすんじゃこの顔だけ野郎が。私の唇を奪おうなんて一億年早いわい」
 角田先生顔負けの口調で思いきり怒鳴り散らすと、妙子は自分の鞄をつかんで、「朱美、私、帰る」と席を立ったが、扉の前で半回転―
 「ピラフとウーロン茶はごちそうさま」
 ぺこりと頭をさげた。
 やっぱり、食べ物のお礼はちゃんと言わないと。うん、私って律儀者。
 あっけにとられる朱美やマーくんを残し、妙子はすたこらさっさとカラオケボックスをあとにした。

        
 繁華街を抜けて駅前に向かう妙子は、まだドキドキしていた。もう少しでレモン味の大切な瞬間が、あのアホな男に奪われるところであった。
 男って、みんな狼よ!
 プンプンと頬をふくらませて、肩で風切るように歩く妙子の足がとまった。
 ―あれって、橘じゃない?
 通りの反対側を、橘が、男たちと一塊になって歩いているのを発見した。
 男たちは三人で、若い。だけど橘とちがい学生服でなく、ジーンズやTシャツなどをだらしなく着ている。そのうちの一人が、橘の肩に手をまわしていた。
 なんだ、アイツも友達とつるんでいるのかと思いたいところだが、そんな和やかな雰囲気ではない。見るからに姿勢悪く歩く三人組は、なれなれしい様子で橘に話しかけているが、橘本人はうつむいている。妙子は、すぐにピピッときた。
 どうやら、橘はガラの悪い連中につかまっているようだ。その心配通り、一行は、ビルとビルの間の細い路地に入り、大通りからその姿が消していく。
 ど、どうしよう?……
 妙子は考える。
 選択肢はとりあえず、二つ。
 A案―見なかったことにして、このまま家に帰る。
 B案―助けに行く。
 ううう、どっちにしよう。でも、ここはやっぱりAよね。だって私、女の子だし。君主危うきに近寄らずって言うし……いや、ちょっと待って、そうよ今の私は……。
 笑い声をかみ殺すようにニンマリし、妙子は意気揚々と通りを渡っていく。
 
 「金出せよ、メガネくん」
 三人組のリーダー格らしい男が、さっそくカツ上げの口火を切った。
 「………」
 「聞こえねえのか。それとも痛いおもいをしてえのか」
 その路地は行き止まりで、橘を取り囲むように男たちが立ちふさがる。薄暗く、他の人間はいない。ちょっとやそっとでは十メートル向こうの大通りに戻れそうにない。
 橘は、ため息をひとつつくと、
 「……君たちに渡すお金はないよ」
 慌てず冷静に言った。
 「なんだと、もう一回言ってみろ」
 「だから、君たちに渡すようなお金は持ってないんだ。お金が欲しいなら、バイトをしたらどうだい。アルバイトを募集しているコンビニが駅前にあるよ」
 「くそッ、生意気な口をききやがって」
 鼻息荒く声を荒げて、リーダー格の男が身構えた。他の二人もそれにならう。もはや一発触発の事態だ。
 そこに、大通りからすたすたと歩み寄ってくる人影が一つ。
 「ガハハハハッ」
 まずは能天気な笑い声をあげ、それから声高につづけた。
 「君たち、やめたまえ。弱い者いじめをするのは」
 何事かと男たちが振りかえる。
 路地の入り口に、短めの紺のスカート、黒のハイソックス、白いブラウスとありふれた女子高生の制服に身を包んだ少女が、左右の腰骨にでんと拳をあて、胸をそらすように立っていた。
 「なんだ、おまえ」
 男の問いにも、フフフ……と、不敵な含み笑いをする妙子は、大通りからの光を背に受けながら、泰然と路地の奥へとすすんだ。橘の前に来ると、くるりときびすを返して男たちと対面。それから思うままに口を開いた。
 「私の名前が知りたいわけ? いいわ、教えてあげる。私は安藤妙子。イニシャルはA・T……そう、触れたらえらい目にあうこと必至の、アン・タッチャブルの妙子ってのは私のことよ」
 「普通、イニシャルで言うなら、下の名前が先じゃね?」
 「うるさい、そこッ」
 男のひとりがボソリと告げた指摘に、妙子は頬をちょっと赤らめつつ、強気のまま言いつのった。
 「と、とにかく、私、めちゃくちゃ強いわよ。なにしろ、バックに神様がついているんだから。さあ私が本気をだして、あなたたちをケチョンケチョンしちゃうまえに回れ右して帰りなさい」
 「おいメガネ。この意味不明女、おまえの知り合いか?」
 リーダー格の男が言った。
 「ちょっと意味不明女ってなによ。ははーん、そうよね、私がいくら強いって言ったところで、信じられないわよね。いいわ、私の実力ってやつをちょっとばかり見せてあげる」
 そう言って妙子は、カバンから子猫の絵柄の小銭入れを取りだし、ジッパーを開けて中をのぞきこんだ。
 一円じゃちょっと小さいわよね……十円はと……げげげ、十円玉がなくて百円玉だけじゃない……ぐすん、仕方ないけど、百円玉でいこう。
 男たちに見せつけるように、親指と人指し指の間に百円玉をつまんで、妙子は片腕をのばした。得意満面、余裕しゃくしゃくの表情で、
 「さあ、よーく見てちょうだい。この種も仕掛けもない百円玉を私がちょっと力を加えれば、ごらんの通り―」
 ぐにゃり……銅とニッケルの合金物である百円玉が変形するはずが、うんともすんとも折れ曲がらない。
 あれ、どうしてえ?……あっ、いけない。私、『力』をしばらく使えないようにしてって、この前、神様に言ったんだっけ。
 「おい、なにしてる。百円玉を折り曲げて見せるんだろうが」
 焦りがもろに顔にでた妙子に、男たちがニヤリと笑いだす。
 百獣のライオンのように自信満々の妙子の奇行を、いっとき固唾を呑んで見守っていたが、ただのハッタリだと結論づけたのだ。
 「おいイカレ女。てめえも金をだせ。そうしねえと、メガネくんと一緒にボコるぜ」
 「………」
 妙子は窮した。
 心臓がバクバクと鳴りだし、息苦しくなる。絶対絶命のピンチに腋の下にいやな汗をかいてきた。すごーく焦ってくる。ともかく、なにかうまいこと言ってこの場をくぐり抜けなければ……。
 「暴力反対! 人間は、会話で物事を解決できる生き物だって、私の学校の先生が言ってました。さあ、レッツ・トーク!」
 「ナメたことばかり言いやがって、この女」
 リーダー格の男が一歩踏みだし、キャアーッと悲鳴をあげようとした矢先、目のまえに男の背中が立った。他でもない、橘の大きな背だ。
 「いいか、彼女に少しでも手をだしてみろ。僕が君たちを徹底的にボコるぞ」
 そう言うと、宙に向かいワン、ツー、パンチ。でもって真上に飛びあがり、前蹴りを一つ―。
 格闘技にうとい妙子でも、橘が見せた体術の見事さはわかる。それほど、よどみない身体の動きであった。
 橘の告げた言葉のためか、それとも修羅場の到来のためか、妙子の心臓は早鐘打った。そんななか、男たちの会話はつづく。
 「てめえ、本気か?」
 「もちろん本気だよ。君たちを殴り倒したら警察に行く。僕は捕まるけど、君たちも病院行きのうえ、カツ上げの件で警察のご厄介になるんだ」
 妙子には見えないが、橘はちょっと酷薄な笑みを浮かべ、「覚悟はいいかい」と、一歩を踏みだした。
 橘がなにかしらの格闘技を会得していることを見知った男たちは、ひるみがちにあとずさる。包囲網がほころぶ。大通りまでの道は開いた。躊躇なく、橘は動いた。
 「行くよ」
 妙子の手首をにぎると、走りだす。
 結局、逃げるんかい……そうツッコミを入れたいところだが、腕を引かれるままに妙子も駆けだした。
 待ちやがれ、と怒鳴りながら、男たちが追いかけてくる。
 もちろん止まることなく、妙子と橘の二人は往来の人々がいる夕方の大通りを疾走していった。

 二分近く走ったところで、背後を確認して追跡者がいないことを知ると、妙子は声をあげた。
 「橘、ストップ、ストップ……もうダメ、私、走れませしぇん」
 橘が足をとめた。汗をかいて、ゼェゼェと息をつく妙子とちがい、涼しげな顔で、
 「そこに座ろう」
 妙子の腕を引き、大通りから脇道にそれた路地の、今は人通りまばらな開店前の焼肉店の軒下に導いた。早々に座りこむ妙子に対し、橘は立ったままだ。
 「ううう、死ぬ、死ぬわ」
 カバンからハンカチを取りだして額や首筋の汗をぬぐう妙子に、追っ手がいないことを確認した橘が小さく笑んだ。
 「オーバーだよ、安藤さん。これくらいで死ぬなんて」
 「そんなこと言っても、私、ほんとにダメだって」
 ふくれっ面で橘を見あげて妙子はハッとした。橘もハンカチを取りだし、わずかな汗をぬぐっている。メガネをはずしたその顔が、意外と、精悍でカッコイイんで、ちょっとドギマギしてしまった。
 「ん?……どうしたの、安藤さん」
 「べ、別に……それより、さっきのあれはなによ」
 「さっきのあれって?」
 「とぼけないで。さっきやった、シュシュシュのパンチとキックのことよ」
 「あー、あれは空手の技だよ。高校に入るまで、空手教室に通っていたから」
 「へえー、人は見かけによらないもんね。橘って、もっとモヤシっ子かと思っていたから……あ、ゴメン、失礼なこと言っちゃって」
 「いいよ、別に」
 橘はニッコリと笑うと、
 「でも、さすがは正義の味方だね。絡まれた僕を助けに来てくれて。でも、どうしたの。『力』が使えなかったようだけど」
 「ううう、それは私の勘違いでございまして。神様にしばらく『力』を封印して欲しいって頼んだこと、すっかり忘れていて……お役に立てず面目ない」
 「そうなんだ……でも、それでよかったんだよ。人智を超えた力は、悪魔とたたかう時だけに使うべきだから」
 「ごもっともで」
 「………」
 「なに? なにか私、変なこと言った?」
 微笑んでいる橘を、妙子はいぶかしげに見あげた。
 「いや、ぜんぜん。ただ、安藤さんて心根優しい人だと思って……助けに来てくれて、本当にありがとう」
 「い、いいわよ。お礼なんて、別に」
 思わずはにかんだ顔を隠すようにうつむきながら、妙子は立ちあがった。が、すぐにげえッ、とうなった。
 「どうしたの、安藤さん。吐き気でもあるの?」
 「ちがうわよ。ヤバイじゃない。私、思わず自分の名前を言っちゃたわ。それもフルネームで。この制服と合わせたら、きっとすぐにどこの高校か突き止められちゃう、さっきの連中に」
 「それはきっと心配ないよ」
 「心配なくはないわよ。私だけじゃなくて、橘だってヤバイわよ」
 「大丈夫だよ。さっきの連中、わざわざ安藤さんや僕を見つけだすことに時間を費やすようなタイプには見えない。ただ自分より弱そうな人間を見つけては金をせびる、若さを無駄に消費している哀しい連中さ」
 「………」
 「どうしたの?」
 「橘って、結構、ドライなのね」
 妙子にそう言われて、橘は頭をかいた。
 「冷たい人間に見える?」
 「ううん。意外と大人じゃんて感じ」
 「そうでもないけど……まあ、さっきの連中が安藤さんに因縁つけてきたら、僕に教えて」
 「教えたら、どうするの? まさかボッコボコ」
 「うん、草の根分けて見つけだし、ボッコボコ―って言いたいところだけど、まずは呪いの藁人形でも作って試してみるよ」
 「……冗談だって思っておくわ」
 「どうかな」
 橘がニヤリを笑うと、妙子は大仰に顔を横に振った。
 「げげッ……悪いけど、もうついていけないわ、橘には」
 「も、もちろん、冗談だって」
 慌てた様子で言いつのる橘に、妙子は相好を崩した。そして二人でひとしきり笑いあった。
 「まだ、さっきの連中その辺にいるかな? いたら嫌だなあ」
 「たぶん、大丈夫だと思うけど。よかったら、僕の家に来てしばらく時間をつぶすかい? ここからそんなに遠くないけど」
 「えッ?」
 突然の提案に、妙子は戸惑った。
 「でも、突然お邪魔したら家の人に迷惑じゃない?」
 「大丈夫だよ」
 「そ、そうなの……うーん、どうしようかな」
 悩める若き妙子だが、橘の次の言葉に骨抜き状態にされた。
 「無理強いはしないけど、この前に拾った子猫もいるし、来たらどう」
 
         
 「ただいま」
 一軒家の玄関の扉を開いて、橘が入っていく。
 「おじゃましまーす」
 つづいて玄関をくぐった妙子は、目を見開いた。二匹の成猫と、あの駅近くでさまよっていた子猫ちゃんが上がりかまちまで、小走りでお迎えに来た。
 「うわわ……カワイイ! 抱いてもいい」
 「もちろんだよ」
 妙子は子猫ちゃんを抱きあげた。この前よりも丸々としていて、毛並みもいい。喉を撫でると、ゴロゴロと鳴いてきた。
 「覚えてまちゅか? この前、駅のところで出会った妙子でちゅよ」
 「安藤さん―」
 「ええい言うな。赤ちゃん言葉になってしまうのは仕方ないのじゃ」
 「ちがうよ。玄関ではなんだから、僕の部屋に行かないかい」
 「あ、ああ……そうね」
 差しだされたスリッパを履いて、橘の部屋がある二階についていくと、成猫が二匹ともあとをついてくる。すごい慕われようだ。そして部屋に通されて、もうひとビックリ。
 ベッドの上で、また別の猫が二匹丸まって寝ているではないか。まさに、ここは猫のアパート状態だ。
 「いったい、何匹飼っているの」
 「これで全部だよ」
 「全部って、五匹も飼っているの」
 「ああ」
 「すごいわ。でも大変じゃない、世話が」
 「そうでもないよ。犬と違って散歩に連れていく手間はないから……ちょっと下に行って飲み物を取ってくるけど、なにがいいかな」
 「そうね、あるなら、ウーロン茶とか日本茶みたいのがいい」
 街中を突っ走ったおかげで、喉は乾いている。妙子は遠慮なく頼んだ。
 「了解。その辺に座って待っていて」
 橘が部屋からでていく。妙子は子猫を抱えたまま、ベッドの端に腰をおろした。喉を指で撫でながら、キョロキョロと首をめぐらす。
 部屋の中は、今座っているベッドのほかに勉強机、大きな箪笥、そして壁際にある本棚ぐらいで、ゴチャゴチャしていない。それに掃除が行き届き、埃っぽさもない。
 うん、清潔な男の子はポイント高いぞ、橘……胸の中でそうごちて、本棚を注視する。
 厚ささまざまだが、その背表紙に書かれているタイトルは、UFO、UMA、世界の魔術、都市伝説、オーパーツ……と、オカルト関係の本でびっしりだ。
 うわわ、ほんとに好きなのね。そっち方面のことが―呆れと感心をないまぜにした顔でいると、橘が、500mlのペットボトルとグラスがのったお盆を手に戻ってきた。
 「このウーロン茶でいいかな」
 「サンキュウ。グラスはいいわ。悪いけどキャップだけひねって」
 「はい、どうぞ」
 橘はふっと笑って、その通りに、ペットボトルを渡すと、子猫ちゃんを膝の上に置いたまま、妙子はゴクゴクとペットボトルを傾げていく。冷えていて喉越しがいい。
 「いやあー、うまいッ」
 「それはよかった」
 橘が勉強机の椅子をくるりとまわして腰掛けた。妙子と向きあう形だ。真っ黒な毛並みの猫が、橘の膝上に飛びのった。その猫の背中を撫でる橘を見ながら、妙子は話しかけた。
 「ねえ、この子猫ちゃんの名前は?」
 「実は、まだ決めていないんだ」
 「えーッ、可哀相じゃない。名無しの権兵衛なんて。タマでもポチでもいいから付けてあげてよ」
 「実は、安藤さんに名前を付けて欲しかったんだ。あの時、安藤さんが気付かなかったら、僕はあのまま帰っていた。ちょっと大げさだけど、その子猫の命を救ったのは安藤さんだ。ぜひ名付け親になってあげて」
 「そう?」
 妙子は顔をほころばす。誉められるとすぐに顔にでてしまう性格なのだ。
 「じゃ付けちゃうわよ、私が」
 「どうぞ」
 「この子は男の子と、それとも女の子」
 「女の子だよ」
 「じゃあねえ……」
 眉間にしわを寄せて考えこむ。なかなかいい名前が思いつかない。うーん、とうなりながら、なにかヒントになるものはないかと部屋の中を見回した。やはり目に付くのは大きな本棚だ。
 上から下へと背表紙に書かれている文字に視線を泳がせていく。
 悪魔……速攻で、却下。
 ヒバゴン……パス、パス。
 宇宙人グレイ……ダメ、ダメ。
 大天使ミカエル……大げさすぎる。
 南米の謎の吸血生物チュパカブラ……なによ、それ。ダーメ、怪しすぎる。
 うーん、なんかないかな……視線を本棚の下まで降ろしていき、ふと止まった。
 本のタイトルは、『世界の奇蹟』
 奇蹟―キセキ―英語で言えば、ミラクルか……うん、よさげじゃない。
 「決まった。ミラクルちゃんでどう?」
 「横文字?」
 「なに、ダメなの?」
 「いや、いいよ」
 橘は、すんなり賛同した。
 「それじゃ決まり。今日からあなたはミラクルちゃんよ」
 妙子がそう呼びかけると、子猫はミャアーと鳴いた。
 「ねえ聞いた。今名前を呼んだら鳴いたわよ。そうかそうか、お主も気に入ったか」
 すっかりはしゃいでいる妙子を見て、橘がニコニコと笑んでくる。
 「本当に、安藤さんは猫好きなんだ」
 「そうよ。だって、めっちゃ可愛いじゃない」
 「それはわかるよ」
 橘はうんうんとうなずき、次に思わぬことを口にした。
 「そこまで猫好きなら、将来は動物関係の仕事もいいかもしれないね。例えば、獣医とかトリマーとか。それに愛玩動物救命士なんてのもあるけど」
 「え、ええッ?」
 妙子の声が裏返った。
 高校卒業後どうするかなんて、まだろくに考えたことがない。進級して二年生になったばかりで時間の余裕はあるが、この一年の間に進学か就職かは決めなければならない身の上だ。
 将来のこと―毎日をのほほーんと生きている妙子には、ちょっとプレッシャーを覚える話題だ。それがこんな時に、唐突にでてくるとは。
 「どうしたの安藤さん。黙りこんで……なにかまずいこと言ったかな」
 「ううん、別に。そ、そうね、獣医さんなんてのもありかも。でも、まだどうするかはわからない。だってこういうことって、じっくりと考えないとダメじゃない」
 「そうだね」
 「橘はどうするの?」
 「僕かい。僕は冒険家になりたいんだ」
 淀みなく答える橘に、妙子の心臓はドキンと打った。でも、そんなことはおくびにださず、
 「冒険家かねえ……ふーん。それってどうやってなるの?」
 「そうだね。まずは大学に進学して、いろんなことをたくさん勉強しないといけないかな」
 「それから?」
 「どこかの探検隊に入るか、それとも一人で世界の秘境に踏みこんでいくか……まあ、その辺は未定だね」
 「なんか世界の秘境に行くって、すごーい危ない気がするけど、大丈夫?」
 「わからない。いや、きっと命の危険もあるよ。だけどこの世界に残っているいろんな謎を解き明かしたいんだ。特に、あのトロイの木馬を発見した、世紀の探検家シェリーマンも熱望した、幻の大陸アトランティスを見つけてみたいな」
 眼をらんらんと輝かせて話す橘。妙子はぽりぽりと頬をかいた。将来、何者になりたいのかまるでわからない自分に比べ、はっきり自分の進む道を決めている橘がうらやましく思えてくる。
 「がんばってね。橘ならきっと、そのなんとか大陸を発見できるわ」
 「そうかな」
 「そうよ」
 「そうだね。ありがとう、安藤さん」
 橘が興奮の面持ちで椅子から立ちあがる。膝にいた猫がビックリし、絨毯の上に飛びおりた。それにもかまわず、橘は本棚にすすんで、上から下へ視線を投げていく。
 「どこにいったのかな、アトランティス大陸について書いてあった本」
 「いいわよ、無理して探さないでも」
 「いや、見て欲しいんだ。安藤さんにもアトランティス大陸の想像図を」
 前のめりになって、本棚とにらめっこする橘に、妙子は思わず微笑んでしまう。
 「ねえ、橘」
 「なんだい、安藤さん」
 背中越しに答えた橘に、
 「その安藤さんて言うのはやめない。おない年なんだし、私は橘って呼んでいるんだから」
 「それなら、なんて呼べばいいの」
 橘が振りかえってきた。
 「安藤、でいいわよ」
 「でも、なにか抵抗があるよ」
 「ない、ない。さあ呼んでみて」
 「それじゃ、安藤」
 「なに、橘」
 「………」
 「………」
 「なにか、やっぱり変だよ」
 「そ、そう? じゃあ下の名前は。ちょっと呼んでみて」
 「えッ」
 「えッ、じゃないわよ。アメリカ人風でいいじゃない。下の名前で呼ぶあうのも」
 橘は少ししぶったが、妙子の顔を見据えて口を開いた。
 「……妙子」
 「なに、徹」
 互いの名を呼びあうと、しばし見つめあい、どちらかともなく視線をはずした。
 「……僕は今までのままでいいと思うけど」
 「……賛成。今まで通りでいいわ」
 視線を合わせないまま、二人は協定を結んだ。
 橘は再び本棚とにらめっこをはじめる。
 コホンと空咳をひとつしてから、妙子は話題を変えた。
 「橘って、兄弟いるの?」
 「兄や弟じゃないけど、妹がひとりいる」
 「へえー。いくつ?」
 「三つ下」
 「それなら中学生ね。部屋は隣?」
 「違うよ。妹は母親のほうに引きとられたから、ここには住んでいない」
 「母親のほうに引き取られたって……なによ、それ?」
 「三年ほど前に離婚したんだ、うちの両親。僕は父親のほうに引き取られて、妹は母親のほうに」
 「ゴ、ゴメン……なにかまずいこと訊いちゃって」
 「別にいいよ。すこぶる円満な協議離婚で、今も行き来はしているから」
 振り向かないが、橘の声はあっけらからんとしていて助かった。
 「それじゃ、お父さんと二人暮し?」
 「それもちょっと違うかな。父さんはいま海外に長期出張中なんだ。それで僕は一人暮らしの叔母の、この家でお世話になっている」
 「で、叔母さんはどこ? 買い物にでも出かけているの?」
 「叔母さんは仕事を持っているから、帰ってくるのは七時か、八時ごろかな」
 「ふーん。大変ねえ……」
 妙子はそう言ったあと、重大なことに気付いた。
 ひとつ屋根の下に、若い男と二人きりではないか。それもこうして部屋にまで招かれている。なにも男の子の部屋にお邪魔したのは、これが初めてではない。中学校の頃に行ったことがある。ただし、数名の男子と女子でワイワイガヤガヤとしたなかでだ。
 不意にカラオケボックスで、唇を奪おうとしてきたビジュアル系野郎の顔が浮かんだ。男ってみんな狼だと学んだはずなのに……妙子の心臓はバクバクしてきた。
 ど、どうしよう……橘が、チュウを迫ってきたら……。
 子猫ちゃんの背中に置いている手の平が汗ばむ。顔もカァッと火照った。そこに、橘が振りかえってきた。
 「どうしたの、急に黙りこんで」
 「べ、別に、なんでもないわよ」
 あわわ。声が裏返っちゃてる、私……。
 「………」
 橘が小難しい顔で近づいてくる。
 「た、橘……私、その、あの……だから、その……」
 喉がカラカラと渇いて、唇がうまく動かせない。もうしどろもどろだ。
 「安藤さん」
 ベッドに座る私と橘の距離、もう五十センチもない。ううう、心臓が破裂しそう!
 「橘、その、ダ、ダメよ」
 「いいんだよ」
 橘が、膝の上のミラクルちゃんを取りあげた。
 ウソッー、私をこのままベッドに押し倒す気、橘ッ……うわ、ヤバイ、ヤバイわ、と思ったら、橘はなぜか二歩後退。
 「なにもミラクルに遠慮することはないよ。トイレは階段をおりて右手にあるから」
 「へ?」
 小首をかしげて、素っ頓狂な声をあげる妙子に、橘が小首をかしげた。
 「あれ、トイレに行きたかったじゃないの」
 「う、うん。そうです。はい、行ってきます」
 自分勝手な妄想に、真っ赤に染まった顔を見られまいと、すっと立ちあがると扉まで一直線にすすむ妙子であった。
 
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