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34: ピロートークというより身の上話になってきました。
しおりを挟む「ほら、本当はΩの子を集めた施設みたいな所に行ければ良かったんだろうけど、何かそーゆーの、平民の孤児院みたいなとこしか無くてさ、仕方無く離れで暮らしてたんだけど、年頃になるとフェロモンが出るだろう??」
「そりゃ、年頃にはフェロモンは出るけどよぉ……はぁぁ~。」
呆れ返った様なジュリアの言葉に何だか焦り、俺は言い訳みたいにペラペラ喋った。
「だ、だけど、俺は他のΩより二年程早く初ヒートが来たんだ。先生の判断は正しかったと思うよ…?」
「はぁぁ~……。」
「ぅぅ…その……。」
「「………………。」」
うう、気まずい沈黙。
俺は暗闇の中キョドキョドと視線を上下させ、見えないジュリアの顔色を窺おうと四苦八苦した。
一方のジュリアは、俺にうまく伝える為に言葉を探していただけだったらしい。
優しく髪を撫でてくれる、温かい掌に、愛想尽かされて無くて良かった…、と心底ホッとする。
「なんて言えば良いのかな…。ごめんな、言葉が見つからなくて…。」
そう言って苦笑いするジュリアに、俺は掌に頬を押し付けて首を振った。温かくて、幸せな気持ちになる……。
「取り敢えず、平民のΩが集まる様な施設ってのは、Ωを守る為にあるんだ。αからΩを遠ざける為じゃなく。」
「守る……?」
俺の口調からジュリアは感じ取ったのだろう。噛み砕くように説明するその言葉は、俺にとっては新鮮で意外だった。
そう、確かに俺は、その施設はαからΩを遠ざける為にあると思っていたし、縁談、見合い、と言った事柄以外、Ωというのはαからは遠ざけるべき存在だと思っていた。
というか、そうでしょ?ジュリアの国では違うのかな??
「因みに、これは…辺境の蛮族とかはどうか知らんが、基本的に世界共通だぞ。俺の故郷だけの話とかじゃないからな。」
うっ!心を読まれた!
「心は読めないけど、顔見えなくても、そんな顔してるのが判るよ…。」
まじかよー。俺、そんな単純なのかな?
「因みに、孤児院みたいな感じなのは、平民の中でも貧困層なんかのΩを対象としてるからだ。
何故なら、ある程度の経済力があれば、家族が守るからだ。Ωは貴重だからな…。」
「貴重なのは……αだろう?」
俺の思わず口に出た言葉に、ジュリアがうーーん、と唸る。
「なんて言うのかな…。確かにαは貴重だし、成長した後は大抵優秀で、生産力も高くなるから珍重されるけど…。Ωはもっと貴重だし、ネオンの家門のα出生率は凄いけど……。普通はΩってαを産みやすいって言われてて……つーか、うーーん。うーーん。」
結局、ジュリアが言葉を選び選び教えてくれた事によると、Ωはαと番う事が殆どで、それでもってαを産みやすいので、色々出来損ないでヒート等の弊害はあるものの産まれたら珍重されているとの事だった。
……まぁ、そう言うことだね?と聞き返したらジュリアが又唸り出しちゃったけど。うーーん??
まぁ多分、Ωっ子達が令嬢達と同じ様に令息達に丁寧に扱われているのを鑑みると、多分、我が家門以外は皆、普段から、血縁であってもそーゆー扱い方をしてるって…ことかな??
「うん。そうだな。その解釈は合ってるぞ。」
「成る程、令嬢を姻戚関係の為の駒と見たり、大切な家族と見たりは家風次第だからな!それで考えると、俺の家は駒に武力をメインとした能力を求めてて、特に姻戚関係は気にしてないから……俺はやっぱり出来損ない以下♪あれ?何もおかしくないよな??」
「うーーん……。」
いつの間にか議論はスライドし、俺は混乱し、ジュリアは言葉を探して唸り続けた。
「頭が痛くなってきた…。少し落ち着こう…スーー……最高♡」
疲れ切ったのか、もぞもぞと俺の項に鼻を突っ込みジュリアが深呼吸する。
布団の中に潜り込んでるのに、わざわざ項に鼻を突っ込まなくてもいーじゃないか、等と思いつつ、俺はふかふかしたジュリアの胸筋に顔を埋め、その穏やかな鼓動と甘くスパイシーなフェロモンを静かに味わった。
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