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45: 海はー広いーなー大きーいなー♪
しおりを挟む「わぁ、屋根のない馬車って、初めて乗るよ。」
公園を出て直ぐの所に止まっていた馬車にジュリアが手を振り、馭者が帽子をチョイと上げる。
そうして乗り込んだ俺達は、カポカポと何だか可愛い足音を響かせて進む馬車の上で、ゆったり流れる景色を楽しみながら繁華街を後にした。
ずんぐりした灰色の馬に赤い車輪の馬車は可愛くて、少し高いところから見る繁華街、それに続く住宅街の街並みは何だかんだ外国みたいに見慣れない景色で、凄くデートらしくて、俺はモジモジと黒の手袋を嵌めた指先で手遊びする。
隣に座るジュリアの大きくてふかふかした毛皮のコートがむっちりと俺の左側面を包み、その密着具合とふかふか保温力で何だかホカホカしてきてしまった俺はそっとストールの結び目を緩めた。
「…ぁ、れ?…ネオン、少し、暑い?」
「ぁ、いや、ちょっと走ったから、かな?ハハ……」
何だかショックを受けてるような、ガッカリしてるようなジュリア。
でも、くっついてるのが嬉し恥ずかしくて火照った、なんて言えなくて、俺は走ったせいにして曖昧に笑う。
「ああ、そっか。ごめんな、ちょっとはしゃぎすぎたな♪」
そう言って笑うジュリアはもう普段通りで、さっきのは気のせいかな、なんて思って俺は景色に視線を戻した。
「ううん、俺もはしゃいじゃったから♪」
「港に着いたらカフェで何か飲もうと思ってたが、先に何か買おうか。」
なんて言いながら俺達はカポカポと住宅街を進んで行った。
ーーーーー
ーーー
ー
それから小一時間。
途中、果物の屋台で柑橘を数種類絞って貰ったミックスジュースを飲んだりしながら、俺達は目的地に到着。
「蒼い空!蒼い海!くすんでるけど割と白い砂?…浜!…海だーー!!きゃっほーーい☆」
そう、海だ!!俺、初デートに、海に来たんだーー!!イェーイ☆
すごーい!デート!すごーい!海だー!
「アハハ、ネオン、海は久し振りなの??取り敢えずカフェに入ろう!寒い!風がキツい!冬の海はこれだから!」
テンションMAXではしゃぐ俺をグイグイ引っ張って、ジュリアがお洒落な建物の扉を押す。
今日はこの港で何か祭りがあって、美味しい屋台なんかが沢山出るというので、やってきたのだ。
本当は、早朝から新鮮な魚介類が叩き売りされる市が祭りのメインイベントらしいのだが、流石に近いと言えど、早朝に港に着くのは無理だ。
なので、市は諦めてゆっくり行き、港町の散策やらを楽しんだ後に夜の屋台を楽しもうというプランだ。
俺はこんな祭りがあるなんて全く知らなかったんだが、ジュリアって結構色んな事知ってて、本当に凄いな…。
「ふぅ、中は暖かそうだ。さ、ネオン、お先にどうぞ♪」
「わ、ありがとう♪」
嬉し恥ずかし、平民向けの店だから別に良いのに…とか思いながらジュリアにエスコートされて入店する。
店内は、繁華街では見たことないような設えで、俺はドキドキしながら周囲を見回した。
全体的に白とティファニーブルーで統一された壁と床は、どちらも木にそのままペンキが塗られてて、絨毯?壁紙?なにそれ美味しい??と言わんばかりだ。
背後の閉じた扉の上部で、カラ、コロォンと音を鳴らすドアベルは流木や珊瑚で作られていて、金属のベルよりも乾いてくぐもった後を響かせる。
「ほぇー……凄いな、この海岸で拾ったのかな?」
ジュリアが誘導してくれるので、安心してドアベルを凝視し続けた俺は、気が付いたらふかっとしたソファ席に腰を降ろしていた。
わぁ、ソファはカウハイドの皮張りだよ!良いねぇ!牛さん柄良いねぇ!あ!?
「わぁぁ!これ知ってる!ビーチグラスって言うんだろ??」
テーブルの真ん中に、不揃いな形の磨りガラスが幾つか入った小瓶が飾ってあり、俺は直ぐに目を奪われる。わぁわぁ素敵だこれー!
「後で少し散策してみる?拾えるかもよ。」
「ほんと??するする!やったぁ!俺、こんなに海の近くに来たの初めてなんだ♪やったぁ~♪」
そんな、興奮して子供みたいにはしゃいでしまった俺を見詰め、ジュリアは蕩けそうな笑みを浮かべた。
(う"っ!!イケメンオーラが凄ぉい!)
心臓をぶすりと貫く様な色気に、お陰様でちょっとだけ冷静になれました。
落ち着け俺!デートなんだぞ!
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