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夏休み領地篇
96: 地味令嬢とわんこ達は狩猟採集民。
しおりを挟む「やー、気持ちよかった!
見たこと無い綺麗な小鳥は囀ずるし、風も水面も冷たくて気持ち良いし、
周りも静かで綺麗な花や樹木が沢山で、それなのに開けてて鬱蒼としてなくて散策も楽しい!
避暑にぴったりの場所だね!」
さっき騒がしくジェットスキーしてた三兄弟への皮肉が少し混じっているよーな、ないよーな、
そんな感想をニコニコ顔で言いながら、王子がボート遊びから帰還した。
ニコニコ顔で迎えるアーサーは腕一杯に山菜、野草。
口にも食べかけの酸っぱい野草。
キャロ姉のスカートの一番上の生地には沢山の野苺類。そして、
「あれ?フェリシア嬢は?」
「「フェリなら少し泳いでくるそうです。」」
「えっ!?でも、湖には人影なんて無かったけど??」
まさか、今度こそ??と四人が血相を変えて湖を振り返る。
『フェーーリーーーーーーーー♪』
それと同時に、キャロ姉が魔力を乗せた声で呼ぶ。
ーーーーーーーーー
ーーーーー
ーーー
『……フェ…ーーリ……ーーー……』
湖底に届いた声に、私は、最後に一匹仕留めて水面へと向かう。
ザバァッ!!
いぇーい♪勢いつけて浮上し、鯨のようにジャンプして水飛沫を盛大に上げてから岸に向かう。
クリンナップで水気を飛ばして皆の元へ合流する。
「アーサー!お姉!いっぱい獲ったどー!!」
「「いぇーい!じゃぁ、帰りましょうか♪」」
大小様々な魚と淡水棲のイカとタコみたいなヤツを大量にぶら下げた私を、客人が凄い顔で見詰めてるに全く気付かず、私達三兄妹はテキパキと帰り支度をした。
さーー庭でバーベキュー(魚)だー!!
屋敷に戻り、収穫を使用人達に預けてお茶にする。
王子はバーベキューは初めてだそうで、とってもキラキラした瞳で使用人達の往来を見詰めている。
今日は楽しかった、等という会話から、いつの間にか、黒騎士のプライベートな話題になる。
「まぁ、レオンハルト様は婚約者がまだいらっしゃらないのですか?
おモテになるでしょうに……、
何方か心良く思ってらっしゃる方は居られませんの?
実はフェリシアもまだ婚約…」
「奇遇ですね、レオンハルト様。
私もまだ婚約者を定めてないんです。
時勢もありますし、もう暫くは婚約者を定める積もりはなくって…。
父にもその旨、了承頂いてるんです。」
それまで、特に話を聞くでもなく過ごしていたのに、お姉の口から私の婚約者がいないという言葉が出掛かった瞬間、口から猛スピードで断りの言葉が出た。
ちょっとつっけんどんになってしまった。
レオンハルト様ごめんね。
王子が、クスクス笑ってレオンハルト振られちゃったね、と言い、
お姉がプクッと一瞬頬を膨らませてから諦めのため息をつく。
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