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後期だ!(まだ始まってない)
123: 黄昏地味令嬢と世界で一番美しい黄昏ヤンキー。
しおりを挟むごとり。
大きく舟が揺れて、バランスを崩した私をアレックスが受け止めて、二人我に返る。
はっはっと荒く短く息を吐き、若干酸欠気味の私と、
少し汗ばんで上気した顔のアレックス。
一度着せられた私のワンピースは再び脱がされ、
アレックスもシャツを脱いで逞しい筋肉を白日に晒している。
いつの間にか、地下水路を抜け、何本もの橋の下を潜り、舟は王城をぐるりと回りかけていた。
髪を掻き上げて、フゥーーッと大きく息を吐くアレックスを見ながら、私もゆっくり呼吸を整える。
どのくらい時間が経ったんだろう。
観光なんてムリムリ。
流れる景色も、誰かの視線も、なーんも見えなかった。
ただひたすら、アレックスの反応だけを見て、
アレックスの感触を楽しんで、
アレックスからの快楽に耽ってしまった。
さっきのヒロインの事も、此処が水路を観光中の舟だってこともスポーンとどっかに消えていた。
チャラリと首輪と鎖が音を立てる。
さっきまで、アレックスが愉しそうに弄んでいたのを思い出す。
いいな。私も今度アレックスに首輪着けてみよう。
私にやったんだ、文句は言わせない。
黒で鋲が付いてる厳ついやつ、ガチの番犬用の首輪に少しアクセサリー足したヤツにしよう。
なんなら、アレックスってドッグタグも付けといて貰う?
なーんて変態妄想に華を咲かせてたら、
アレックスが又クリンナップ掛けて髪を結い直してワンピースを着せてくれる。
私もアレックスにクリンナップを掛けて……
パンツ履いてないやん!
ってなって慌ててパンツを探して履く。
舟が止まる。
ささっと身嗜みを最終チェックされてから、私はアレックスに又お姫様抱っこされて舟を降りた。
街へと上がる階段を登ると、そこは人気の少ない、落ち着いた通りだった。
通りはえらく広く、
建物は最初の街並みよりグンとランクアップした建材が使われ、
如何にも高級ですよといった趣を醸し出している。
そのうちの一つ、少し青みがかった白に輝く中に、うっすら雲母の混じる層が見える高級そうな大理石と、
ベージュの大理石の組合せが美しいご立派な建物にアレックスは進む。
守衛2人が、チラリとこちらを見て、無言で脇に避けて目礼する。
はぇーすっごーい。
一体いつ誰が話を通してるんだろう。
中に入って、案内と共に背の高い観葉植物と白い岩で作られた細い通路を進む。
モンスーンとかが似合いそうな異国風の内装。
前世で云うとモロカンリゾートって感じ。
こんな所、エスコートで入店したら雰囲気に気圧されて足が止まりそうだけど、
お姫様抱っこのままなのでグングン進む。
突き当たりのエレベーターみたいな檻みたいなものに入れば、風魔法でグーーンと上昇する。
凄い!王城にもエレベーターないのに!
着いた先は屋上庭園だった。
チャパチャパと水が循環する、穏やかな噴水と、背の高い観葉植物の数々。
エキゾチックな花を眺めながら進むと、周りより少し高くなったスペースに案内される。
セッティングされたテーブルは白と落ち着いたゴールドで纏められ、飾られたグリーンと白い花のアレンジメントが爽やかだった。
アレックスに椅子に降ろされ、席に着く。
アレックスが向かいに座り、優しいアメジストの瞳で見つめてくる。
そっと辺りを見渡せば、グリーンと白のコントラストが美しい屋上庭園の先にプラチナ区域、
その向こうに王城が見える。
空が少しずつ暮れ泥み、王城とプラチナ区域の白をほんのり茜色に染め始めた。
もう、秋。
前世と違って高層ビルのないこの国は、360度美しい空模様を見せてくれている。
王城の白が、黄みの強い色にキラリと輝いて、
ふと、その光の大元である夕日を見る。
そこには、雲のない晴れた空を染め上げる赤みの黄金が広がっていた。
「アレックス様の髪の色、あの夕日の色ですよね。
ほら、あの空の色。」
思わず呟くと、アレックスも身を捩って後方の夕日を眺める。
その動作に、私は景色の良い席に座らせてもらったのだと気づく。
「へー。あんな良いモノに見えるの?光栄だな。」
そういって笑うアレックスは、
燃え盛る金色と茜の空を後ろに従えて雄然と佇み、
煌めいていて。
今、私の視界は世界で一番美しいものを映している、
そう思いながら、私はその光景を目に焼き付けた。
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