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後期!
207: 地味令嬢とヤンキーの麗らかなお散歩。
しおりを挟む乱痴気騒ぎの後、寮室でシャワーを浴びて、
ヨロヨロと空き教室に向かう。
と、寮を出て暫く歩いた辺りでふわりと抱き抱えられる。
「おはよう、性悪猫。」
アレックスだぁーーー♡
「おはようございます、アレックス様。」
「ゆうべは随分と暴れたなぁ。」
「え"っ!?どーして知ってるんです?」
フフッと笑うだけのアレックスを見つめながら、何となく、悟っていく。
多分、夜のどっかの時点で帰ってきてたんだ……。
あんな乱痴気騒ぎを起こしてなかったら、一緒にお月見出来てたかと思うと、急激に体からやる気が全部抜けていき、私はアレックスの胸に顔を埋めた。
制服のジャケットを肩に掛けただけのアレックスの胸は、
ツルツルと上質な手触りのシャツの下に、ふかふかと立派な胸板が存在してて、
じわっと伝わる熱い位の温もりが、何だか久々で、嬉しかった。
「ちくしょぅ」
そう呟くと、アレックスが優しく頭にキスを落としてくれた。
「そう凹むなよ。来年は一緒に過ごそう。
それに、昨日フェローが月見てる時に俺も月見てたし。
……今日も月は綺麗だから…な?」
女の子同士仲良くするのも大事だよ……。
なんて、優しく囁かれながら、午前の爽やかな空気の中、私はアレックスに運ばれて庭園へとやって来た。
「……ここは……?」
「まだ体怠いんだろう?そのまま俺に凭れて花でも眺めておけよ。」
首を伸ばして辺りを見回そうとしたら、そっと頭を胸に戻されてしまった。
折角だし、ありがたく享受する。
アレックスの逞しい胸板が、ホカホカと熱を分けてくれて、ほっぺがじんわり温くなる。
くっつけた耳から、穏やかな鼓動が届いて……。
アカーン眠ーい!視力がんばへー。何かきーまぎらわせー。
「……秋薔薇、そろそろ、見頃ですね……。」
ふと、鼻腔を擽る薔薇の香りに目を上げて、立派な蔓薔薇のアーチに笑みが零れる。
香りの強い紫の薔薇。
前世から、紫の薔薇が好きだったのを思い出す。
何故なら、紫は香りが強く名前が面白い品種が多かったから。
シャルル・ド・ゴールとか、ステンレススティールとかね。
アレックスが歩みを止めてくれたので、そっと、品種名を確かめる。
"六角怪鳥乃尾羽"って書いてあった。
「フフフ…ロッカクケチョウノオバネ?こんな色なんですか?」
「ハハハ…変な名前。判らん、俺も六角怪鳥とやらは見たことがない。今度図書館にでも調べにいこうか。」
"貴方の唇"
"アパタイト将軍"
"あからさまな偽り"
"素敵な恋人達"
"王立学園"
何だか面白くて、アレックスが歩きながら他の薔薇の品種名を読み上げてくれた。
ピンク、黄色、紅白斑、橙ピンク斑、赤、どれもちょっと、
色とか想像出来ない名前で、2人でケラケラ笑いながら庭園を進んだ。
薔薇園を抜けると、青々とした芝が気持ちいい丘が広がっていた。
その先に木枠で区切られて乗馬用のコースがある。
学園内にランドスケープ庭園があるとか、流石異世界、流石王国。
なんて感心してる私を余所に、アレックスはズンズンと進む。
付いたのは、小高い丘のてっぺん近く、さわさわと風に梢を揺らしている大きな木の傍だった。
マジックボックスから、いきなり大きな敷き布とその上に重なったカラフルな敷き布、クッションの山が出てきて、
あっという間に上位貴族のピクニック様相を呈する。
ワーーーォ☆
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