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豊穣祝祭期間
245: 地味令嬢とヤンキーは揚げ芋片手に乗馬デート
しおりを挟む胸がホカホカと暖かい。
何故なら、大量の揚げ芋が入った袋を抱えてるから……♡
枕サイズなの♡
もう、物理的にも精神的にもホッカホカである。
少し涼しすぎる風が頬を撫でる。
王都の馬術に面食らってた田舎馬君は、もう馴れたのかアレックスの指示にするすると従っていく。馬ってかしこぉい。
アレックスが私を腕で閉じ込めるようにして手綱を握り、
颯爽と馬を走らせる。
背中に感じる、アレックスの体温が、何だかむず痒くて、
胸が高鳴ってしまう。
ムーニスをそこそこ離れ、隣の村までもそこそこ、といった辺りでアレックスが馬をゆっくり歩かせる。
へへへっと思わず口から気の抜けた笑い声が零れる。
アレックスが私の肩に顎を乗せ、フフフっと笑って、頬や首筋にキスをしてくる。
「馬ごと、認識変換をかけたから、少しゆっくりしよう……。」
アレックスが耳元で囁き、私はちょっとモジモジしながら頷いた。
馬がポクポクと長閑な音を立ててゆっくり歩く。
その上で、私は横向きに馬に乗り直し、胸に抱いていた揚げ芋を、アレックスに食べさせたり、
自分で食べたり、
ポッキーゲームじゃないけど、口で渡してみたり、と
それはもうイチャイチャしながら進んだ。
村が近付けば暫く真面目に進み、村の神父や村人、孤児達に挨拶をして又隣村もしくは隣町へ。
今日廻った村や町はどこも祭は大盛況で、
例年のバザーメインより楽しい!と輝く笑顔で礼を言われた。
アレックスと村々を廻っては、肉料理や郷土菓子などを村民達から振る舞われるので、邸に戻っても腹が膨れて夕食は食べれなかった。
料理人達も、こうなるのは毎年恒例なので、要るって言われてからさっと作れるものしかこの時期は作らないし、食材の仕入れも考えてるので、食材が無駄になったりしないそうだ。
アレックスはそれを聞いて、とても感心していた。
なんでも、アレックスのお家は急用が出来て食事を用意したのに家族が食べずに下げられてしまう事がままあるらしく、
同じようにうちでも無駄にしてしまったのでは、と申し訳なく思っていたそうだ。
さすが、我が国の食材庫とか言われる領の料理人は、食べ物を大切にしてるんだな。
と思いつつ、きっとアレックスのお家でも、捨てると言って、こっそり誰かの御褒美になってるに違いないよ、と言えば、
「そうですね、お食事を下げた日は、
厨房を覗いてはなりませんよ?
目があると、捨てざるを得ませんからね……。」
と、悪戯っぽい笑みを浮かべて給仕の一人が言い、
その場の使用人全員が唇に人差し指を当ててシーーッ!と言った。
何だかその芝居がかったやり取りが面白くて、
私とアレックスは一頻り笑った後、唇に人差し指を当てて、
此処だけの秘密だと同意した。
アレックスと別れ、部屋に戻り、エリーに体を洗って貰う。
どうやらアーサーがとマミーが帰ってきたらしく、バタバタと玄関が騒がしかった。
風呂から上がり、部屋着に着替える頃、キャロ姉が帰ってきた。
部屋から顔だけだしてアーサーとキャロ姉にお休みを言って、部屋の明かりを消して、バルコニーで火照った体を冷ます。
「湯冷めしてしまいますよ?フェリシア様。」
穏やかな低い声が不意に耳元で聞こえ、同時に優しく後ろから抱き締められる。
「だって、すぐに暖めてくれる人が来るから…。」
後頭部をアレックスの首元に擦り付けながらそういうと、
アレックスはクスクス笑って首筋にキスを沢山降らし、
お姫様抱っこでベッドに運んでくれた。
定位置のアレックスの胸におでこを擦り付け、
今日は楽しかったとか、明日はどこを廻りたいとか、
取り留めもなくおしゃべりして、微睡む。
「なぁ、フェロー?
明日、1日令息喋りで過ごしてくれないか?」
もう、寝そう…というときに、ぽそりとアレックスが言う。
「……良いですよ?」
「本当か?……嬉しいよ。
……令息喋りにし忘れたらお仕置きしてもいいか?」
「………良いです、よ……」
「ありがとう……お休み、フェロー。」
そっとアレックスがガッツポーズをしたのにも気付かず、
私は眠りに落ちた。
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