上 下
62 / 140

ラフィの力?

しおりを挟む
 まんまと『暁の鷲』に成りすました烈たちは、砦の中を捜索していた。

「ラング、お嬢様はどこにいると思う?」

「まあ、定番は地下牢だが......あの部隊長さん......何考えてるかわかりゃしねえ......」

「じゃあ俺の出番かな?」

 傍らにいたラフィが軽く手を挙げた。

「何か策があるのか?」

「もちろんだよ、烈。簡単なことさ」

 そう言うと、ラフィは向こうにいた「暁の鷲」の団員に声をかけた。

「お~い。すみませ~ん」

 烈もラングも慌てた。なるべく目立ちたくなかったからだ。そんな二人にお構い無しにラフィは団員と話し込んでいた。

「なんだ? 見ない顔だな?」

「最近入ったんですよ~」

「そうなのか? 名前は?」

「ラバンって言います~」

「そうか。それで何の用だ?」

「実はゼス様から、何でしたっけ? あのお嬢様を処刑するから連れて来いって言われまして~。ただどこに閉じ込められてるのか俺分からないんですよ~」

「本当か? あれは大事な人質だぞ?」

「姫様がもうパバルの城にいるから、さっさと奇襲をかけて倒すつもりらしいですよ? その時に人質は邪魔になるからっぱぱっと殺せって」

「ああ、なるほどな。確かにあの人が言いそうだ。それならそっちの奥の階段を下ったところの地下牢だ」

「なるほど! ありがとうございます!」

 烈たちは驚いた。警戒心の強そうな傭兵たちに、簡単に喋らせたこともそうだが、何よりラフィはのだ。口をぽかんっと開ける烈たちを余所に、ラフィはたったったっと足取りも軽く戻ってきた。

「さあ、お嬢様の場所もわかったから、レッツラゴ~」

 おーっと片手を挙げるラフィに、烈もラングもどこか毒気を抜かれてしまっていた。
しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

魔物ばかりの異世界に転移したおっさんは何を思う

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:7pt お気に入り:58

異世界転移で無双したいっ!

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:0pt お気に入り:89

俺の異世界生活は最初からどこか間違っている。

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:0pt お気に入り:73

短編作品集(*異世界恋愛もの*)

恋愛 / 完結 24h.ポイント:347pt お気に入り:155

やっと買ったマイホームの半分だけ異世界に転移してしまった

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:0pt お気に入り:663

処理中です...