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ガルランディの事情
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長剣でそのまま押し込まれそうになるのを烈は何とかこらえた。
「ぐ......ぐおっ......なんて力だ」
烈の背中に嫌な汗が流れる。体格は烈の方が大きいはずなのに完全に力負けてしていた。
「そんなものか?」
「なに?」
「そんなものかと聞いたんだ」
がきんっと弾かれるように押し込まれて烈はたたらを踏んだ。
その隙を見逃すガルランディではない。右に左にと長剣を振り回し、次々と攻撃を繰り出した。
烈も辛うじてガードするが、強力な剣圧に一々剣が弾き飛ばされそうになるのをこらえるのがやっとであった。
「くそ! こいつ心技体が一致しかけてる! それが爆発的な力を産んでるんだ。しかも......」
烈はガルランディの剣技を受けていて気付いたことがあった。
辛うじて距離を取って、その疑問を確認した。
「はぁ、はぁ、あんた剣術は素人だな?」
ガルランディは少し意外そうな顔をした。
「ほう? よく気づいたな。確かに俺の剣は戦場と実践で磨かれただけのものだ。誰か師についてついて学んだものではない」
「だろうな。あんたからは何かの流派特有の癖や流れというものを全く感じない。にもかかわらず、剣技の冴えが尋常じゃないんだ。天才にもほどがあるだろうよ」
「己が天才かどうかはわからんよ。ただ私にはしなければいけないことのために戦っている。ゆえにここで負けるわけにはいかんのだ」
「そうかよ。だが変だな」
「何がだ?」
「それだけ強いのになんで、こんなうまみの少ない任務に駆り出されてるんだ?」
「うまみが少ない? ドイエベルンの南部半分が手に入るのだ。うまみが少ないということはないだろう?」
「少ないさ。あんたの実力はミアやスーヤ---『魔剣』に勝るとも劣らない。それほどの男がたかだかドイエベルン王国の南部半分程度を取るために、たった五千程度の兵士とともに他国を攻めさせるなんて、戦略上間違いもいい所だ」
「......」
「なあ、あんたもしかして国で疎まれているのか? それでこんな所まで駆り出されているんじゃないか?」
「想像するのは勝手だが、俺はただ任務を遂行するだけだ。余計な口は閉じてもらおう」
そう言って、ガルランディは長剣を振りかぶった。だが、今度はそれだけではない。明らかに当たらないだろうという遠間で足を止め、そのまま片手で長剣を振り下ろしたのだ。
ただし途轍もない速さでだ。
(勇者の光剣)
「嘘だろ!?」
烈はガルランディの予想外の動きと射程に慌てた。辛うじて避けるのが精いっぱいであった。
だが衝撃は遅れてやってきた。完全に躱したと思ったにもかかわらず。肩口から胸元にかけて、薄皮一枚が切り裂かれたのである。血がタラリと流れ、肩を叩く死神の気配に、烈はごくりと喉を鳴らした。
「流石は『勇者』だ。まさか当たるとは......何か仕掛けがあるのか?」
「解いてみろ。ドイエベルンの剣士よ」
「生憎と謎解きは得意じゃないんだ。それよりさっきの話の続きだ。あんた報われないんだろう? ドイエベルンに寝返ったらどうだ? ミアならあんたのこと最大限評価してくれると思うぜ?」
「その口を閉じるがいい!」
ガルランディは多少苛立っているようだった。
(勇者の光剣)
ガルランディは先ほどと同じ技を再度振るう。それに烈は真っ向から挑んだ。いや、真下からというべきであろうか。
(立花流・飛迅)
烈は体勢を低くして突撃し、上から襲ってくる長剣をものともせず、さらに一段階スピードを上げた。
「む!?」
懐に入り込まれたガルランディは今日初めて焦ったような顔をした。
だが、流石の歴戦の勇者である。烈の剣が跳ね上がる前に、ガルランディは体勢を低くする烈の顔めがけて、蹴りを見舞った。
今度は烈が焦る番だ。かつてこの技をここまで無理矢理破ったものなどいなかった。
烈は辛うじて横に飛んで避けたが、肩口を思いっきり蹴られる羽目になっしまった。
肩を抑えながら、ざっと地面を滑りつつ立ち上がる。それと同時に呼吸も整えた。
そして烈はある確信に至って、気づかれないように笑った。
「心技体が苛立ちで崩れ始めているな。勝機があるとしたらここしかない」
烈は心の中で何かを決意した。
「ぐ......ぐおっ......なんて力だ」
烈の背中に嫌な汗が流れる。体格は烈の方が大きいはずなのに完全に力負けてしていた。
「そんなものか?」
「なに?」
「そんなものかと聞いたんだ」
がきんっと弾かれるように押し込まれて烈はたたらを踏んだ。
その隙を見逃すガルランディではない。右に左にと長剣を振り回し、次々と攻撃を繰り出した。
烈も辛うじてガードするが、強力な剣圧に一々剣が弾き飛ばされそうになるのをこらえるのがやっとであった。
「くそ! こいつ心技体が一致しかけてる! それが爆発的な力を産んでるんだ。しかも......」
烈はガルランディの剣技を受けていて気付いたことがあった。
辛うじて距離を取って、その疑問を確認した。
「はぁ、はぁ、あんた剣術は素人だな?」
ガルランディは少し意外そうな顔をした。
「ほう? よく気づいたな。確かに俺の剣は戦場と実践で磨かれただけのものだ。誰か師についてついて学んだものではない」
「だろうな。あんたからは何かの流派特有の癖や流れというものを全く感じない。にもかかわらず、剣技の冴えが尋常じゃないんだ。天才にもほどがあるだろうよ」
「己が天才かどうかはわからんよ。ただ私にはしなければいけないことのために戦っている。ゆえにここで負けるわけにはいかんのだ」
「そうかよ。だが変だな」
「何がだ?」
「それだけ強いのになんで、こんなうまみの少ない任務に駆り出されてるんだ?」
「うまみが少ない? ドイエベルンの南部半分が手に入るのだ。うまみが少ないということはないだろう?」
「少ないさ。あんたの実力はミアやスーヤ---『魔剣』に勝るとも劣らない。それほどの男がたかだかドイエベルン王国の南部半分程度を取るために、たった五千程度の兵士とともに他国を攻めさせるなんて、戦略上間違いもいい所だ」
「......」
「なあ、あんたもしかして国で疎まれているのか? それでこんな所まで駆り出されているんじゃないか?」
「想像するのは勝手だが、俺はただ任務を遂行するだけだ。余計な口は閉じてもらおう」
そう言って、ガルランディは長剣を振りかぶった。だが、今度はそれだけではない。明らかに当たらないだろうという遠間で足を止め、そのまま片手で長剣を振り下ろしたのだ。
ただし途轍もない速さでだ。
(勇者の光剣)
「嘘だろ!?」
烈はガルランディの予想外の動きと射程に慌てた。辛うじて避けるのが精いっぱいであった。
だが衝撃は遅れてやってきた。完全に躱したと思ったにもかかわらず。肩口から胸元にかけて、薄皮一枚が切り裂かれたのである。血がタラリと流れ、肩を叩く死神の気配に、烈はごくりと喉を鳴らした。
「流石は『勇者』だ。まさか当たるとは......何か仕掛けがあるのか?」
「解いてみろ。ドイエベルンの剣士よ」
「生憎と謎解きは得意じゃないんだ。それよりさっきの話の続きだ。あんた報われないんだろう? ドイエベルンに寝返ったらどうだ? ミアならあんたのこと最大限評価してくれると思うぜ?」
「その口を閉じるがいい!」
ガルランディは多少苛立っているようだった。
(勇者の光剣)
ガルランディは先ほどと同じ技を再度振るう。それに烈は真っ向から挑んだ。いや、真下からというべきであろうか。
(立花流・飛迅)
烈は体勢を低くして突撃し、上から襲ってくる長剣をものともせず、さらに一段階スピードを上げた。
「む!?」
懐に入り込まれたガルランディは今日初めて焦ったような顔をした。
だが、流石の歴戦の勇者である。烈の剣が跳ね上がる前に、ガルランディは体勢を低くする烈の顔めがけて、蹴りを見舞った。
今度は烈が焦る番だ。かつてこの技をここまで無理矢理破ったものなどいなかった。
烈は辛うじて横に飛んで避けたが、肩口を思いっきり蹴られる羽目になっしまった。
肩を抑えながら、ざっと地面を滑りつつ立ち上がる。それと同時に呼吸も整えた。
そして烈はある確信に至って、気づかれないように笑った。
「心技体が苛立ちで崩れ始めているな。勝機があるとしたらここしかない」
烈は心の中で何かを決意した。
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