68 / 112
大仰な家族会議
03
しおりを挟む「柚希下がれ!! 魔力が切れるぞ!!」
ジェラルドと共に応戦しながらアルビオンが叫ぶ。
「そんなの気にしていられるような相手じゃないよ!!」
剣撃の重さにアルビオンが体勢を崩す。
すかさず柚希がアルビオンを庇った。
「アッシュフィールド公爵が剣豪だとは聞いていたけれど……」
ジェラルドも防戦に回っている。
くっそ……。
「ヴァニタス、マドリーン、大丈夫か? ……アッシュフィールド公爵の奴、完全に頭に血が上ってるな。俺がいることを忘れてやがる」
セオドアが俺とマドリーン、シルヴェスターの元へと来た。
「申し訳ございません、セオドア様」
「いや、こちらもまさかアッシュフィールド公爵が貴女を斬ろうとするとは……想像できなかった」
俺も同じだ。
まさか親父がマドリーンを斬ろうとするとは。
「なぁ、ヴァニタス。アレ、今できるか?」
セオドアが俺に尋ねた。
アレ??
「決闘の時の……」
あっ!!
「《歪んだこの想いよ、執着よ。願わくば彼を拘束して欲しい。私から決して離れぬように》」
セオドアとの決闘の際に歌った『アディクト』を口ずさみ、触手を召喚する。
「《対魔法・対魔術》《接続》《命令改竄》《代役使役》《標的:ナイジェル・アッシュフィールド》」
「《穏やかな聖母の声よ、彷徨い疲れ眠る骸に深く響け》」
セオドアが俺の代わりに触手を使役し、親父に差し向ける。
すかさず俺は『天使祝詞』を歌った。
アンデッドと違って親父には攻撃威力はないが、戦意喪失の面で言えば『プロミスド・サンクチュアリ』よりこちらの方が高い筈だ。
案の定、冷静さを取り戻したが故に動きを鈍らせた親父を、セオドアが使役する触手が拘束する。
「貴様……まさかセオドア様の偽物か? マドリーン、貴様が魔物を呼び込んだのか? それともヴァニタス、お前がマドリーンを洗脳したのか?」
観念したのか、親父は大剣を手放した。
前衛で戦っていた柚希、アルビオン、ジェラルドの3人はほっと息を吐く。
「まぁよい。殺せ」
やや投げやりに、親父が言い放つ。
「殺しはしない……が、少し大人しくはしてもらう」
セオドアはパチンと指を鳴らすと触手を消す。
すかさずジェラルドが縄で親父を椅子に拘束した。
「ティアニー公爵子息。貴様も洗脳されているのか?」
「あー、まぁ、とりあえず落ち着いて話聞いてよ」
一応公爵家当主相手なのだが、ジェラルドは容赦なく拘束してゆく。
セオドアの命令の方が上なのかもしれないが……案外面白い奴なのかもしれない。
「その歌……千紗ちゃんもよく聴いてた」
「そうか。転生者だから、この歌を知っていてもおかしくないのか」
マドリーンはコクリと頷く。
今更ながら、地下水脈攻略時のユスティートとスピルスの言葉を思い出す。
『ヴァニタス様が定期的に領域魔法を展開してくださいますし、時々歌声も屋敷に響いていましたが……ラスティルの言葉ではないですよね?古語でしょうか?』
こう口にしたユスティートに対して、スピルスはこう言った。
『いや。古語でもありませんし、他国の言葉でもないですよ。私もずっと気になってはいました』
スピルス……あの野郎、俺の歌う歌が全部日本の流行歌だって知ってて知らないフリしてやがったんだな……恥ずかしい。
後で覚えてやがれ。
22
あなたにおすすめの小説
その首輪は、弟の牙でしか外せない。
ゆずまめ鯉
BL
養子ゆえに、王位継承権を持たないオメガで長男のレイン(24)は、国家騎士団として秘密裏に働き、ただ義弟たちを守るためだけに生きてきた。
第一継承権を持つアルファで次男のリオール(19)は、そんな兄に「ごく潰し」と陰口を叩く連中を許せなかった。自分を犠牲にしてまで守る価値はないと思っていた。なにかと怪我の多い国家騎士団を辞めさせたかった。
初めて訪れた発情期のとき。約束をすっぽかされたリオールが不審に思い、兄の部屋へ行くと、国家騎士団の同僚──グウェンソード(28)に押し倒されるところを目撃して激高する。
「今すぐ部屋から出ろ!」
独占欲をあらわにしたリオールは、グウェンソードを部屋から追い出し、兄であるレインを欲望のままに抱いた。
翌朝、差し出されたのは特注の首輪──外せるのはリオールのみ。
「俺以外に触らせるな」
そう囁かれたレインは、何年も首輪と弟の執着に縛られ続けてきた。
弟には婚約者がいるのに、こんな関係を続けてもいいのか。
本当にこのままでもいいのか。
ひたすら執着して独占したがる弟と、罪悪感に苛まれる兄。
その首輪は、いつか弟の牙で血に染まるのか──。
どうにかしてレインを落としたいリオールと、弟との関係に悩むレインのオメガバースです。
リオール・グランケット(19)×レイン・グランケット(24)
※この作品は2015年頃に本文を書き、2017年頃にオメガバースに改稿、さらに2026年に手直しした作品になります。読みにくいかもしれません。ご了承ください。
三人称ですが攻めだったり受けだったり視点がよくかわります。攻め視点多めです。
【完結】だから俺は主人公じゃない!
美兎
BL
ある日通り魔に殺された岬りおが、次に目を覚ましたら別の世界の人間になっていた。
しかもそれは腐男子な自分が好きなキャラクターがいるゲームの世界!?
でも自分は名前も聞いた事もないモブキャラ。
そんなモブな自分に話しかけてきてくれた相手とは……。
主人公がいるはずなのに、攻略対象がことごとく自分に言い寄ってきて大混乱!
だから、…俺は主人公じゃないんだってば!
悪役令息の兄って需要ありますか?
焦げたせんべい
BL
今をときめく悪役による逆転劇、ザマァやらエトセトラ。
その悪役に歳の離れた兄がいても、気が強くなければ豆電球すら光らない。
これは物語の終盤にチラッと出てくる、折衷案を出す兄の話である。
噂の冷血公爵様は感情が全て顔に出るタイプでした。
春色悠
BL
多くの実力者を輩出したと云われる名門校【カナド学園】。
新入生としてその門を潜ったダンツ辺境伯家次男、ユーリスは転生者だった。
___まあ、残っている記憶など塵にも等しい程だったが。
ユーリスは兄と姉がいる為後継者として期待されていなかったが、二度目の人生の本人は冒険者にでもなろうかと気軽に考えていた。
しかし、ユーリスの運命は『冷血公爵』と名高いデンベル・フランネルとの出会いで全く思ってもいなかった方へと進みだす。
常に冷静沈着、実の父すら自身が公爵になる為に追い出したという冷酷非道、常に無表情で何を考えているのやらわからないデンベル___
「いやいやいやいや、全部顔に出てるんですけど…!!?」
ユーリスは思い出す。この世界は表情から全く感情を読み取ってくれないことを。いくら苦々しい表情をしていても誰も気づかなかったことを。
寡黙なだけで表情に全て感情の出ているデンベルは怖がられる度にこちらが悲しくなるほど落ち込み、ユーリスはついつい話しかけに行くことになる。
髪の毛の美しさで美醜が決まるというちょっと不思議な美醜観が加わる感情表現の複雑な世界で少し勘違いされながらの二人の行く末は!?
生まれ変わったら知ってるモブだった
マロン
BL
僕はとある田舎に小さな領地を持つ貧乏男爵の3男として生まれた。
貧乏だけど一応貴族で本来なら王都の学園へ進学するんだけど、とある理由で進学していない。
毎日領民のお仕事のお手伝いをして平民の困り事を聞いて回るのが僕のしごとだ。
この日も牧場のお手伝いに向かっていたんだ。
その時そばに立っていた大きな樹に雷が落ちた。ビックリして転んで頭を打った。
その瞬間に思い出したんだ。
僕の前世のことを・・・この世界は僕の奥さんが描いてたBL漫画の世界でモーブル・テスカはその中に出てきたモブだったということを。
今世はメシウマ召喚獣
片里 狛
BL
オーバーワークが原因でうっかり命を落としたはずの最上春伊25歳。召喚獣として呼び出された世界で、娼館の料理人として働くことになって!?的なBL小説です。
最終的に溺愛系娼館主人様×全般的にふつーの日本人青年。
※女の子もゴリゴリ出てきます。
※設定ふんわりとしか考えてないので穴があってもスルーしてください。お約束等には疎いので優しい気持ちで読んでくださると幸い。
※誤字脱字の報告は不要です。いつか直したい。
※なるべくさくさく更新したい。
某国の皇子、冒険者となる
くー
BL
俺が転生したのは、とある帝国という国の皇子だった。
転生してから10年、19歳になった俺は、兄の反対を無視して従者とともに城を抜け出すことにした。
俺の本当の望み、冒険者になる夢を叶えるために……
異世界転生主人公がみんなから愛され、冒険を繰り広げ、成長していく物語です。
主人公は魔法使いとして、仲間と力をあわせて魔物や敵と戦います。
※ BL要素は控えめです。
2020年1月30日(木)完結しました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる