1 / 8
01話
しおりを挟む
私の名はメルデス。38歳。クルミア王国の女王だ。
北方にある強大な帝国に対して、南方国家群は対帝国同盟を組み立ち向かったが3年も経たず敗退してしまった。
クルミア王国はそんな南方国家群のうちの1つであり、国土も広くなく、人口も少なく、特産物もない、治安を守るのがせいぜいの軍隊とは名ばかりの警備兵がいるだけの無害な国家だ。
対帝国同盟に参加したのも近隣の国との付き合いからで、同盟に糧秣を少し提供した程度で帝国軍と戦火を交えることはなかった。
そのことが幸いして同盟に参加した各国が重い処分を受ける中、極めて軽い処罰が下された。
その処罰とはクルミア王国第36代女王である私に帝国公爵家から夫を迎えることである。
本来王家の、特に王配になるような男性を他国から婿入りさせる場合は王族が基本である。
それを貴族から迎え入れるなど屈辱でしかない。
ただ、敵対した国家への処分としては軽過ぎた。
そもそも祝い事ということもあって処罰という形式ではなく、あくまでも慶事として扱われるのである。
敗戦国に対して破格の待遇といえよう。
もっとも他の同盟国への処遇が大変で適当に扱われた。あまりにも弱小国家なので普通に処罰してしまうと他国の印象が悪い。そもそも敵対してたことすら帝国側は知らなかった。といった噂が街を賑わしている。
前夫が事故で他界してもう10年が過ぎた。
当時は大分ふさぎ込んでしまったが、仕事に打ち込むことで気を紛らわせた。
1年ほど前に同盟を強化する目的で南方国家群の幾つかと再婚話が持ち上がったのだが、敗戦と同時に立ち消えになってしまった。
それがまさかこんな形で再婚するとは夢にも思わなかった。
相手はルガード公爵家の三男だ。
確か歳は39歳で私より1歳上だ。
数年前に妻と死別して以来独り身という。
妾はいないのだろうか?
お互い歳が歳なんだし、目立たなければ好きにしてもらって構わない。
最初はてっきり次期女王が内定している娘に話を持ってきたのかと思った。
娘は既に結婚してるが、帝国であればどうにでもできることだ。
処罰という面を強調する為に現役の私が選ばれたのだろうか?
だとしたら娘に王位を譲らないままで来たのは私の最大の功績になるかもしれない。
あるいは将来に渡って禍根を残さないようにとの帝国側の配慮かもしれない。
城の前で出迎えてる私達の前に再婚相手を乗せてる馬車が止まった。
馬車のドアが開く。
降りてきたのはまだ可愛さが残る少年だった。
北方にある強大な帝国に対して、南方国家群は対帝国同盟を組み立ち向かったが3年も経たず敗退してしまった。
クルミア王国はそんな南方国家群のうちの1つであり、国土も広くなく、人口も少なく、特産物もない、治安を守るのがせいぜいの軍隊とは名ばかりの警備兵がいるだけの無害な国家だ。
対帝国同盟に参加したのも近隣の国との付き合いからで、同盟に糧秣を少し提供した程度で帝国軍と戦火を交えることはなかった。
そのことが幸いして同盟に参加した各国が重い処分を受ける中、極めて軽い処罰が下された。
その処罰とはクルミア王国第36代女王である私に帝国公爵家から夫を迎えることである。
本来王家の、特に王配になるような男性を他国から婿入りさせる場合は王族が基本である。
それを貴族から迎え入れるなど屈辱でしかない。
ただ、敵対した国家への処分としては軽過ぎた。
そもそも祝い事ということもあって処罰という形式ではなく、あくまでも慶事として扱われるのである。
敗戦国に対して破格の待遇といえよう。
もっとも他の同盟国への処遇が大変で適当に扱われた。あまりにも弱小国家なので普通に処罰してしまうと他国の印象が悪い。そもそも敵対してたことすら帝国側は知らなかった。といった噂が街を賑わしている。
前夫が事故で他界してもう10年が過ぎた。
当時は大分ふさぎ込んでしまったが、仕事に打ち込むことで気を紛らわせた。
1年ほど前に同盟を強化する目的で南方国家群の幾つかと再婚話が持ち上がったのだが、敗戦と同時に立ち消えになってしまった。
それがまさかこんな形で再婚するとは夢にも思わなかった。
相手はルガード公爵家の三男だ。
確か歳は39歳で私より1歳上だ。
数年前に妻と死別して以来独り身という。
妾はいないのだろうか?
お互い歳が歳なんだし、目立たなければ好きにしてもらって構わない。
最初はてっきり次期女王が内定している娘に話を持ってきたのかと思った。
娘は既に結婚してるが、帝国であればどうにでもできることだ。
処罰という面を強調する為に現役の私が選ばれたのだろうか?
だとしたら娘に王位を譲らないままで来たのは私の最大の功績になるかもしれない。
あるいは将来に渡って禍根を残さないようにとの帝国側の配慮かもしれない。
城の前で出迎えてる私達の前に再婚相手を乗せてる馬車が止まった。
馬車のドアが開く。
降りてきたのはまだ可愛さが残る少年だった。
1
あなたにおすすめの小説
次期国王様の寵愛を受けるいじめられっこの私と没落していくいじめっこの貴族令嬢
さら
恋愛
名門公爵家の娘・レティシアは、幼い頃から“地味で鈍くさい”と同級生たちに嘲られ、社交界では笑い者にされてきた。中でも、侯爵令嬢セリーヌによる陰湿ないじめは日常茶飯事。誰も彼女を助けず、婚約の話も破談となり、レティシアは「無能な令嬢」として居場所を失っていく。
しかし、そんな彼女に運命の転機が訪れた。
王立学園での舞踏会の夜、次期国王アレクシス殿下が突然、レティシアの手を取り――「君が、私の隣にふさわしい」と告げたのだ。
戸惑う彼女をよそに、殿下は一途な想いを示し続け、やがてレティシアは“王妃教育”を受けながら、自らの力で未来を切り開いていく。いじめられっこだった少女は、人々の声に耳を傾け、改革を導く“知恵ある王妃”へと成長していくのだった。
一方、他人を見下し続けてきたセリーヌは、過去の行いが明るみに出て家の地位を失い、婚約者にも見放されて没落していく――。
断罪された私ですが、気づけば辺境の村で「パン屋の奥さん」扱いされていて、旦那様(公爵)が店番してます
さら
恋愛
王都の社交界で冤罪を着せられ、断罪とともに婚約破棄・追放を言い渡された元公爵令嬢リディア。行き場を失い、辺境の村で倒れた彼女を救ったのは、素性を隠してパン屋を営む寡黙な男・カイだった。
パン作りを手伝ううちに、村人たちは自然とリディアを「パン屋の奥さん」と呼び始める。戸惑いながらも、村人の笑顔や子どもたちの無邪気な声に触れ、リディアの心は少しずつほどけていく。だが、かつての知り合いが王都から現れ、彼女を嘲ることで再び過去の影が迫る。
そのときカイは、ためらうことなく「彼女は俺の妻だ」と庇い立てる。さらに村を襲う盗賊を二人で退けたことで、リディアは初めて「ここにいる意味」を実感する。断罪された悪女ではなく、パンを焼き、笑顔を届ける“私”として。
そして、カイの真実の想いが告げられる。辺境を守り続けた公爵である彼が選んだのは、過去を失った令嬢ではなく、今を生きるリディアその人。村人に祝福され、二人は本当の「パン屋の夫婦」となり、温かな香りに包まれた新しい日々を歩み始めるのだった。
【完結】神から貰ったスキルが強すぎなので、異世界で楽しく生活します!
桜もふ
恋愛
神の『ある行動』のせいで死んだらしい。私の人生を奪った神様に便利なスキルを貰い、転生した異世界で使えるチートの魔法が強すぎて楽しくて便利なの。でもね、ここは異世界。地球のように安全で自由な世界ではない、魔物やモンスターが襲って来る危険な世界……。
「生きたければ魔物やモンスターを倒せ!!」倒さなければ自分が死ぬ世界だからだ。
異世界で過ごす中で仲間ができ、時には可愛がられながら魔物を倒し、食料確保をし、この世界での生活を楽しく生き抜いて行こうと思います。
初めはファンタジー要素が多いが、中盤あたりから恋愛に入ります!!
子供にしかモテない私が異世界転移したら、子連れイケメンに囲まれて逆ハーレム始まりました
もちもちのごはん
恋愛
地味で恋愛経験ゼロの29歳OL・春野こはるは、なぜか子供にだけ異常に懐かれる特異体質。ある日突然異世界に転移した彼女は、育児に手を焼くイケメンシングルファザーたちと出会う。泣き虫姫や暴れん坊、野生児たちに「おねえしゃん大好き!!」とモテモテなこはるに、彼らのパパたちも次第に惹かれはじめて……!? 逆ハーレム? ざまぁ? そんなの知らない!私はただ、子供たちと平和に暮らしたいだけなのに――!
お兄様、冷血貴公子じゃなかったんですか?~7歳から始める第二の聖女人生~
みつまめ つぼみ
ファンタジー
17歳で偽りの聖女として処刑された記憶を持つ7歳の女の子が、今度こそ世界を救うためにエルメーテ公爵家に引き取られて人生をやり直します。
記憶では冷血貴公子と呼ばれていた公爵令息は、義妹である主人公一筋。
そんな義兄に戸惑いながらも甘える日々。
「お兄様? シスコンもほどほどにしてくださいね?」
恋愛ポンコツと冷血貴公子の、コミカルでシリアスな救世物語開幕!
「ご褒美ください」とわんこ系義弟が離れない
橋本彩里(Ayari)
恋愛
六歳の時に伯爵家の養子として引き取られたイーサンは、年頃になっても一つ上の義理の姉のミラが大好きだとじゃれてくる。
そんななか、投資に失敗した父の借金の代わりにとミラに見合いの話が浮上し、義姉が大好きなわんこ系義弟が「ご褒美ください」と迫ってきて……。
1~2万文字の短編予定→中編に変更します。
いつもながらの溺愛執着ものです。
婚約破棄された際もらった慰謝料で田舎の土地を買い農家になった元貴族令嬢、野菜を買いにきたベジタリアン第三王子に求婚される
さら
恋愛
婚約破棄された元伯爵令嬢クラリス。
慰謝料代わりに受け取った金で田舎の小さな土地を買い、農業を始めることに。泥にまみれて種を撒き、水をやり、必死に生きる日々。貴族の煌びやかな日々は失ったけれど、土と共に過ごす穏やかな時間が、彼女に新しい幸せをくれる――はずだった。
だがある日、畑に現れたのは野菜好きで有名な第三王子レオニール。
「この野菜は……他とは違う。僕は、あなたが欲しい」
そう言って真剣な瞳で求婚してきて!?
王妃も兄王子たちも立ちはだかる。
「身分違いの恋」なんて笑われても、二人の気持ちは揺るがない。荒れ地を畑に変えるように、愛もまた努力で実を結ぶのか――。
婚約破棄したら食べられました(物理)
かぜかおる
恋愛
人族のリサは竜種のアレンに出会った時からいい匂いがするから食べたいと言われ続けている。
婚約者もいるから無理と言い続けるも、アレンもしつこく食べたいと言ってくる。
そんな日々が日常と化していたある日
リサは婚約者から婚約破棄を突きつけられる
グロは無し
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる