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最終話

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 本が出版され女性達の欲求が満たされたことで国内は沈静化した。

 メルデスもこれで心置きなく娘に王位を譲れると胸を撫で下ろしたのだが、今度は別の問題が浮上してきた。
 本が売れ過ぎたのである。

 元々この手の本は同好の士の間で回し読みするのが常であった。もちろん直筆で複数あったとしても写本である。
 今回初めて出版されたと言っていい2冊の本は、その種の嗜好の女性だけではなく一般女性からも娯楽本として圧倒的に支持された。
 実際女性向けの娯楽本が初めて(流通)販売されたという国も多々ある状況だったし、帝国のような大国でも他の出版が盛んな国でも女性向けの娯楽本は驚く程に少なかったのである。

 とてもクルミア王国の印刷及び製本能力だけでは賄い切れず、複数の国での生産が開始されているがまだまだ需要に追い付いていない状況である。
 そんな中で国外売却益の初期見積書が王国府宛に届いたのだが……

「年間予算の倍だと!」

 財務卿が驚くのも無理はない。
 たかが本の売り上げなのだから。
 大陸にある半数以上の国の王都や帝都より予算規模の小さいクルミア王国ならではのことだが。

 しかし時期が悪い。
 只でさえ帝国による厳しい処罰で南部諸国が喘いでる時である。
 ほぼ処分を受けなかったクルミア王国だけ儲けていれば間違いなく南部諸国の反発を買うだろう。

 御前会議の開催を財務卿・外務卿の両名から求められたがメルデスはこれを退けた。

「我らで全てを対処しては若い世代から仕事を奪うことになろう。娘に次期閣僚と留任が決まってる者とで非公式に協議する場を設け、即位と共に公布せよと伝えるがいい」


 1ヵ月後、クルミア王国にて新女王の戴冠式が執り行われた。

 それと同時に幾つかの政策が公布される。
 国外では帝国に小さいながらも大使館を建設するのと、帝国以外の各国の教会や孤児院に大規模(クルミア王国にとっては)な援助が行われることになった。
 国内においては新規の公共事業が幾つか開始されることになる。

 その内の1つが今後の大陸の歴史を大きく動かすことになる『王国学校』の建設であった。
 王国民であれば誰でも無償で入学することができるという画期的な学校で、数多くの英才・鬼才・奇才を生み出していくこととなる。(入学料と授業料が無償なのであって、その他は本人負担)







========1年後========

 私達は2ヵ月前に王都から南に新たに建設された離宮に移り住んだ。

 本来であれば娘の即位と同時に城を離れなければいけないのだが、妊娠中に住まいが変わることの心身に対する負担を考慮されたのである。

 生まれたのは娘だ。王族から男子が生まれることはほとんどなく、歴代の王も3名を除いて全員女性だ。

 私は避妊薬を飲むようになった。


 離宮の寝室でクルスと抱き合っている。
 しかしクルスと繋がってはいない。

 その後ろからミアがクルスの腰を掴み、自身に付けたアレをクルスの後ろに出し入れしている。
 私はクルスの体をサワサワと撫でながらクルスの表情をじっと観察している。
 今私が最も気に入っている行為である。

 自分で動いてクルスを喘がすのも捨て難いのだが、
 間近でクルスの感じてる顔をじっくり見物できるのがたまらない。

「ダメよ。クルス、私の目をきちんと見なさい」

「だ、だって…」

 恥ずかしがって顔を背けようとするクルスの顔を両手で挟み込んで固定する。

「これから後ろだけで何度も果てるのよ。全部私が見ててあげるから」

 私のお腹には特注で作らせた台座が置かれている。
 私の上に乗るクルスの体を固定して、クルスのアレが私のお腹に当たらないようにする為のものだ。

 私は直接に刺激を与えずクルスを果てさせるのが大好きになってしまったのだ。

 クルスの嬌声と泣き声がこの先ずっと離宮に響き続けたという。




                   ========完========
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