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48.薬草を求めて②

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結果から言うとその日、リキュール草は見つから無かった。
見た目がわからずに名前だけしか分からないので無理もない。
そもそも群生している場所も正しいか分からない。

菌やウィルスに抵抗がある薬草は、
菌やウィルスが繁殖しやすい場所に生えている可能性が高いだけ。
日も暮れるのでただでさえ暗い森の中の探索は困難な為、
その日の探索は打ち切った。

まる一日人海戦術で薬草を集めたので、
一定以上の収穫があったのが救いだ。

ダンさんを送り届ける前に私は聖女にバレないように、
コッソリ食べ物をダンさんにだけ渡した。

「ダンさん、これは体力回復効果がある飲み物ですので、
王太子に飲ませてあげて下さい。
ただ、夜中に吐き戻してしまうと呼吸が出来なくなるので、
背中に何か添えて、横向きの体制で寝かせて上げて下さい。
あと、こちらはダンさんの食べ物です、魚貝中心ですがお腹はたまると思いますので、
食べる時は必ず手を良く洗って下さいね。
ちなみに聖女の分はありません、靴が全く汚れていませんでしたので、
どうせサボっていたのでしょう。
暇な時間があるなら自分の食料位は用意させないと」

「ありがとう、こんな優しい女性に俺はあんな酷いことを、すまない」
「意外に泣き上戸何ですね、そちらはダンさんだよりですので、
無理にでも寝て体力は回復して下さい」

私はそう言うと旦那様達の元に戻った。

拠点に戻った私達は、菌の持ち込みを恐れて、
まずは洞窟前で洗濯をした、
普段は外回りが多い二人の分も私がしているのだけど、
汚れが酷く洗うのに時間がかかるので各自で洗ってくれて助かった。

体は皆露出が少ない服装をしていたが、
ついでにお風呂代わりに丹念に洗っておいた。
食事も予め調理して格納能力で保存しているもので簡単にすませて、
今日の皆の情報を集まって共有した。

「まずは三人組の能力についてです、
聖女は不明ですがその他の二人の能力はコチラで予想していた通りで、
脅威にはなりません」

「聖女の能力が分からないのは仕方がない、
逆に考えて聖女はルシエルに近づけ無いので、
物理魔法攻撃などは安心だろう」

「次に私ですが、採取したもの以外は特別にありませんね。
転移できるポイントは増えましたので、共有地図に書いておきます」

「最後は俺か、俺も特にはないな、皆も分かっていると思うが、
怪しい場所に大きく移動するとき以外は、高速移動にさほど意味がないな、
せめてどんな色形をしているか分かるだけでも違うんだが。
後は風魔法で森の上に出て確認したが、予想以上にこの島はでかいな。
下手すれば小国並の広さがある、未探索な中央部分も含めると、
島全体を確認するのにかなりの時間がかかるだろう」

島が大きい事はとても良いのだけど、
それだけ大きい島がどの国の管轄下にも入っていないのは不自然ね。
聖女が乙女ゲームらしい発言をしてたみたいだから、
隔離された島なのかも知れない。

生活が安定したら一度島から出れるか確認した方が良さそうね。

その夜はお勉強は無しで、
お義兄様にしていなかったスキンシップだけして眠った。

洞窟の中は熱くて寝苦しいはずなんだけど、
ルー君の吐息で温度が調整されているみたいで、快適な眠りを取れた。
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