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第二章

高級ハムは厚めに切って焼いて食え!!

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馬車で揺られて丸一日
ハインデルク公爵家の領内に入り
公爵家の門を通り越すと屋敷が見えて来た

普通なら邸内に自家の馬車で直接乗り付けるのでは無く
公爵家から迎えに来た馬車で訪れるか
門で一度自家の馬車を降りて
公爵家内の馬車で移動するのであるが
王都に入る際に形式的ではあるが馬車の確認も済ませており
許可もおりていた

荷物を乗せた馬車と護衛の乗る馬車は
邸門門の前でとめて
リーナの乗る馬車に関しては
門番に軽く挨拶程度の確認をして
直接乗って来た馬車で公爵邸の前まで乗りつけた

馬車の扉が開かれてサクラさんに連れ添われて
馬車から降り立つと
邸内の使用人たちが左右に整列して
屋敷の扉の前には整った顔立ちをした人が何人か出迎えてくれていた
これからお世話になるハインデルク公爵家の方方であろう

リーナが緊張しながらも挨拶すると
リーナの父親と同じ位の歳のハインデルク公爵家当主と思われる
銀髪で薄い青色の瞳をしたおじさまが
いざ口を開こうとする直前に少女の声が聞こえた

「え、なにこの豚」

そして時は止まった

前から気になっていたクラスの男の子
クラスで一番カッコいいと言うわけではないが
そこそこ顔立ちも整っており何より自分に優しい

少し前に告白されて何度かデートを重ねて迎えたクリスマスイブの夜

少し背伸びをして予約してくれたレストランのテーブルに座ると
「今日君の為に用意したプレゼントだよ」
そう照れながらも綺麗にラッピングされたプレゼントを渡してくれた

「嬉しい、いま開けて良い?」
少し熱がこもって赤くなった頬
私は精一杯可愛いらしい顔で尋ねると彼は頷いてくれた

指輪やネックレスとかを入れるには
少し大きな箱だったのできっとバックか何かが入っているのであろう

慌てつつも綺麗にリボンを外して
包装を外してプレゼントの箱の蓋をあけた
箱の中に入っていたプレゼントは・・・

ごんぶとのハムであった

「え、なにこのハム」

泣けた

現状を受け入れやすくする為の
私の脳内で繰り広げられた小芝居が終わった
(うん、気持ちは分かるよ)

そして、時は再び動き出す
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