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新婚初夜の籠城①

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リンドス伯爵家長女として生まれた私の名前はセシリア
伯爵とは名ばかりの貧乏な家で細々とした生活を送っていた。

ある程度裕福な商家の娘の方が余程良い暮らしをしている。

但し領地の民衆からの信頼は厚く家族仲も良好だった。

そんな中、去年の不作と疫病の流行で遂に財政が破綻した。
ギリギリの生活をしていた為に貯蓄もなかった。

元々貧乏な暮らしをしていたので
爵位を返上するのに抵抗は無かったが、
領民が苦しむの位ならと

自分の結婚を対価に莫大(等家比)な支度金を用意してくれる人を探した。

その要求を了承して私との結婚を望んだのは
ブラッド伯爵家のヴァレンタイン伯爵当主で
噂ではかなり年配で見目も酷く人前には一切顔を見せないそうだ。

こちらから出した条件が条件だけに酷い体罰さえされなければ良い
あまりに酷かったら修道院に逃げ込もう。

そう覚悟はしていて嫁いだ先は余りにも酷かった。
まさか自分の旦那になる人が我が一族の宿敵とは思いもよらなかったのだから。

修道院って24時間受け付けしてくれるかしら
そんな事を考えながら私は今自分に用意されたという部屋に籠城している。
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