3 / 16
一章
3話『凪は程遠く』
しおりを挟む
"キンッ"
胸を貫くと思われた銃弾は車を貫いていた。何が起こったか頭の中が混乱中の今知ることはできなかった。
「ゆーや!車に乗って!」
情報が押し寄せてきたせいか頭の中は何も処理ができず唯一命令文での未来の言葉だけが処理され返事をせず言われるがまま車のエンジンをつけ女とは真反対の方に走り去った。
※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
エンジンに足を置き続け加速する車体と同時にあの女から離れているという事象に安堵感を寄せていた。
「ゆーや大丈夫?怪我は...大丈夫そうね、」
「あぁ、ありがとう。そんなことより未来は大丈夫か?」
「うん。私は大丈夫だけど、さっきのーーー」
「あーら、お互いの心配なんて可愛いじゃないですかぁ」
この車内にはあるはずのない声が耳朶に触れると同時に加速していた車は急ブレーキにより音を立てながら止まった。それと同時に安堵に浸っていた俺の思考は再び緊張へと引っ張られていくのであった。
「未来!外に出ろ!」
俺の掛け声も虚しく喉元には冷たく鋭利なものが突きつけられていた。何かはわからないが先ほど拳銃を見た今何が突きつけられているかは言うまでもないだろう。それ以前に未来は僕の喉元を見ながら表情が強張り硬直している。それ以前に俺と未来の間に存在する一見優男のような男はこの車内では異彩を放っていた。
「何が目的だ」
「いやいや、だって外に走って逃げられたら追いつけないじゃん、僕免許ないし、もぉ、依頼でしょ、アルケー探偵さん」
「依頼?どういうこどた?なぜそれをお前が知っている、」
「だからぁ、僕が受け渡し人」
「受け渡し人...仮に受け渡し人ならなぜ俺に刃物を向ける必要がある、俺は話をしたいのだが」
「僕も同じさ、元々僕も争うつもりはないし...それより車は走らせてくれない?さっきやつが追いついてくるだろうし、話は走りながら」
と彼がサバイバルナイフを手際よく胸ポケットにしまうのを見届け車は再び動き出した。そして再び緊張に包まれ沈黙となった空気を見境もなく破ったのは間違いなくこの空気の根源である自称受け渡し人であった。
「はい、じゃあ自己紹介しよーか、名前も知らないんじゃ話も出来ない」
この緊張した空気に似つかわしくない彼の飄々とした喋り方は何故か俺たちの敵意を削いでいく。しかし信頼を勝ち取るまでもいっているわけではないため沈黙を選んだ二人にため息をこぼし自ら淡々と話し始めたのは話題提起をした人物だった。
「お二人さん、そんな緊張しないでよ、一応お客さんよ、僕。まぁ無理だよねぇ、あんなことがあったなら...じゃあ僕から自己紹介しようかな、僕の名前は犀川志熊。来たところは言えないけどまぁさっきも言った通り受け渡し人兼配達物さ」
「...ちょっと待て、受け渡し人兼配達物?」
「そう、君たちの依頼は僕をISAB日本支部局に運ぶことだけど...聞いてなかった?」
「待て待て待て待て、情報過多で絶賛混乱中だ!、ISBA?なんでその名が、」
「詳しくは言えないけど僕が特記能力持ちであなたたちはその護衛輸送...みたいな?」
遂に脳の情報限界許容量まで達した二人は呆然とただ遠くを見つめるのであった。
胸を貫くと思われた銃弾は車を貫いていた。何が起こったか頭の中が混乱中の今知ることはできなかった。
「ゆーや!車に乗って!」
情報が押し寄せてきたせいか頭の中は何も処理ができず唯一命令文での未来の言葉だけが処理され返事をせず言われるがまま車のエンジンをつけ女とは真反対の方に走り去った。
※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
エンジンに足を置き続け加速する車体と同時にあの女から離れているという事象に安堵感を寄せていた。
「ゆーや大丈夫?怪我は...大丈夫そうね、」
「あぁ、ありがとう。そんなことより未来は大丈夫か?」
「うん。私は大丈夫だけど、さっきのーーー」
「あーら、お互いの心配なんて可愛いじゃないですかぁ」
この車内にはあるはずのない声が耳朶に触れると同時に加速していた車は急ブレーキにより音を立てながら止まった。それと同時に安堵に浸っていた俺の思考は再び緊張へと引っ張られていくのであった。
「未来!外に出ろ!」
俺の掛け声も虚しく喉元には冷たく鋭利なものが突きつけられていた。何かはわからないが先ほど拳銃を見た今何が突きつけられているかは言うまでもないだろう。それ以前に未来は僕の喉元を見ながら表情が強張り硬直している。それ以前に俺と未来の間に存在する一見優男のような男はこの車内では異彩を放っていた。
「何が目的だ」
「いやいや、だって外に走って逃げられたら追いつけないじゃん、僕免許ないし、もぉ、依頼でしょ、アルケー探偵さん」
「依頼?どういうこどた?なぜそれをお前が知っている、」
「だからぁ、僕が受け渡し人」
「受け渡し人...仮に受け渡し人ならなぜ俺に刃物を向ける必要がある、俺は話をしたいのだが」
「僕も同じさ、元々僕も争うつもりはないし...それより車は走らせてくれない?さっきやつが追いついてくるだろうし、話は走りながら」
と彼がサバイバルナイフを手際よく胸ポケットにしまうのを見届け車は再び動き出した。そして再び緊張に包まれ沈黙となった空気を見境もなく破ったのは間違いなくこの空気の根源である自称受け渡し人であった。
「はい、じゃあ自己紹介しよーか、名前も知らないんじゃ話も出来ない」
この緊張した空気に似つかわしくない彼の飄々とした喋り方は何故か俺たちの敵意を削いでいく。しかし信頼を勝ち取るまでもいっているわけではないため沈黙を選んだ二人にため息をこぼし自ら淡々と話し始めたのは話題提起をした人物だった。
「お二人さん、そんな緊張しないでよ、一応お客さんよ、僕。まぁ無理だよねぇ、あんなことがあったなら...じゃあ僕から自己紹介しようかな、僕の名前は犀川志熊。来たところは言えないけどまぁさっきも言った通り受け渡し人兼配達物さ」
「...ちょっと待て、受け渡し人兼配達物?」
「そう、君たちの依頼は僕をISAB日本支部局に運ぶことだけど...聞いてなかった?」
「待て待て待て待て、情報過多で絶賛混乱中だ!、ISBA?なんでその名が、」
「詳しくは言えないけど僕が特記能力持ちであなたたちはその護衛輸送...みたいな?」
遂に脳の情報限界許容量まで達した二人は呆然とただ遠くを見つめるのであった。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
5
1 / 2
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる