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粉砕された好感度……?
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「ああ、復活しましたわ!」
朝一番、私は全快しました! 朝食や支度も終え、あとは学園に向かうばかりですわ! もちろん、時間にゆとりもありますもの。読書でもしようと思っておりましたが。
遠慮がちなノックの音。イヴと名乗っておりました。私は招き入れることにしました。
「おはようございます。どうなさったの?」
「……うん、おはよう。体調良さそうだね」
「ええ、おかげ様で。あなたも献身的に看病してくれたとか」
「……それは別に」
私は労おうとしたのですが、イヴは手にした本をしきりに気にしていました。
「……復活したっていうなら、話さないとって」
「……イヴ」
「……言いづらいけど、ちゃんと伝えるから」
病み上がったというのに、私の体は冷えていくかのようでした。歓迎できない話であることは明白でしたから。ですが、大事なことなのでしょう。私は彼の言葉を待つことに。
「……うん。見てもらった方が早いかな。大丈夫になったら言ってね?」
イヴは心の準備が出来たのでしょうか。今度は私の準備が整うを待っているようです。ですが――。
「ええい、ままです! ……イヴ、私は勢い任せに動くタチなのです。さあ、さあ……!」
私はイヴに迫りました。この勢いがある内に、さあ早く……!
「わ、わかったから。はいっ!」
慌てふためいたイヴは、勢いよく該当のページを開きました。そちらは――好感度が記されたページ。
「……こ、これは」
オスカー殿も、殿下も、殿下付きの彼も。こちらの三名は、バツ印がなされていました。
ゲーム時にはなかったものです。好感度が底面なのは、結衣の時でも見ていました。ですが、このようにバツ印がなされるなど。
いえ、これまでも予測できなかったことが発生し続けてますから。イレギュラーの連発でもありますから。こちらは――フラグが成立しなかった。好感度が足りなかったから。今はそう思っておきましょう。何より。
何よりです。私が愕然としてしまったのは。
「ヒュ、ヒュ、ヒューゴ殿……?」
良い関係を築けたと、そう仰ってくれたのに。なんて、なんてことなのでしょう。
「そ、そんな……」
彼にはバツ印はありません。全くの別物となっておりました。
好感度を示すハートは、いわばハート型の器だったのでしょうか。中身も液体でしたから。それが、それが……。
粉々になっておりました。割れたそれが、残骸となって表示されていました。
液体はもれている状態です。元の数値がわからなくなるほど。どれだけ液体が、好感度があったのかが。
ああ、何故なのでしょうか。一体、何がどうしてこうなった! プレゼント攻撃がまずかったのでしょうか? 時間差がありますから、それが今になって? 上限突破してしまったのでしょうか、プレゼント責めのせいで? 物量作戦もあったから? ……ああ!
「はっ! ヒューゴ殿の精神に悪影響は……」
「それは大丈夫そうだけど……」
割れて粉々でしてよ? なんらかの悪影響を与えているのでは? 顔面蒼白の私に対し、イヴは指で示しました。そちらはヒューゴ殿のイラスト――普段通りの彼。
わかりません……! イラストのヒューゴ殿が通常運転なのが、かえって怖いくらいです……!
「……本当に何これ。あんなに抱きしめておいて」
「……」
ええ、そうでした。あの現場はイヴ達もいましたから。はっきりと見られていますからね。ええ、しっかりしましょう。
「……私にとっても不明ではありますが。駄目ならバツ印があるはず」
と、思うしかありません。私は確かに抱きしめられました。あの時の彼の鼓動、言葉も。前のような私に対する嫌悪は感じられなかった。関係は確かに良くなったのだと。
「――学園に向かいましょう」
決戦の日は着々と近づいてきています。数日休んだことにより、何らかの変化もあるかもしれません。私は覚悟を決め、登校に至りました。
朝一番、私は全快しました! 朝食や支度も終え、あとは学園に向かうばかりですわ! もちろん、時間にゆとりもありますもの。読書でもしようと思っておりましたが。
遠慮がちなノックの音。イヴと名乗っておりました。私は招き入れることにしました。
「おはようございます。どうなさったの?」
「……うん、おはよう。体調良さそうだね」
「ええ、おかげ様で。あなたも献身的に看病してくれたとか」
「……それは別に」
私は労おうとしたのですが、イヴは手にした本をしきりに気にしていました。
「……復活したっていうなら、話さないとって」
「……イヴ」
「……言いづらいけど、ちゃんと伝えるから」
病み上がったというのに、私の体は冷えていくかのようでした。歓迎できない話であることは明白でしたから。ですが、大事なことなのでしょう。私は彼の言葉を待つことに。
「……うん。見てもらった方が早いかな。大丈夫になったら言ってね?」
イヴは心の準備が出来たのでしょうか。今度は私の準備が整うを待っているようです。ですが――。
「ええい、ままです! ……イヴ、私は勢い任せに動くタチなのです。さあ、さあ……!」
私はイヴに迫りました。この勢いがある内に、さあ早く……!
「わ、わかったから。はいっ!」
慌てふためいたイヴは、勢いよく該当のページを開きました。そちらは――好感度が記されたページ。
「……こ、これは」
オスカー殿も、殿下も、殿下付きの彼も。こちらの三名は、バツ印がなされていました。
ゲーム時にはなかったものです。好感度が底面なのは、結衣の時でも見ていました。ですが、このようにバツ印がなされるなど。
いえ、これまでも予測できなかったことが発生し続けてますから。イレギュラーの連発でもありますから。こちらは――フラグが成立しなかった。好感度が足りなかったから。今はそう思っておきましょう。何より。
何よりです。私が愕然としてしまったのは。
「ヒュ、ヒュ、ヒューゴ殿……?」
良い関係を築けたと、そう仰ってくれたのに。なんて、なんてことなのでしょう。
「そ、そんな……」
彼にはバツ印はありません。全くの別物となっておりました。
好感度を示すハートは、いわばハート型の器だったのでしょうか。中身も液体でしたから。それが、それが……。
粉々になっておりました。割れたそれが、残骸となって表示されていました。
液体はもれている状態です。元の数値がわからなくなるほど。どれだけ液体が、好感度があったのかが。
ああ、何故なのでしょうか。一体、何がどうしてこうなった! プレゼント攻撃がまずかったのでしょうか? 時間差がありますから、それが今になって? 上限突破してしまったのでしょうか、プレゼント責めのせいで? 物量作戦もあったから? ……ああ!
「はっ! ヒューゴ殿の精神に悪影響は……」
「それは大丈夫そうだけど……」
割れて粉々でしてよ? なんらかの悪影響を与えているのでは? 顔面蒼白の私に対し、イヴは指で示しました。そちらはヒューゴ殿のイラスト――普段通りの彼。
わかりません……! イラストのヒューゴ殿が通常運転なのが、かえって怖いくらいです……!
「……本当に何これ。あんなに抱きしめておいて」
「……」
ええ、そうでした。あの現場はイヴ達もいましたから。はっきりと見られていますからね。ええ、しっかりしましょう。
「……私にとっても不明ではありますが。駄目ならバツ印があるはず」
と、思うしかありません。私は確かに抱きしめられました。あの時の彼の鼓動、言葉も。前のような私に対する嫌悪は感じられなかった。関係は確かに良くなったのだと。
「――学園に向かいましょう」
決戦の日は着々と近づいてきています。数日休んだことにより、何らかの変化もあるかもしれません。私は覚悟を決め、登校に至りました。
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