脳筋悪役令嬢の華麗なる恋愛遊戯~ダンジョン攻略駆使して有利に進めてみせます!~

古駒フミ

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別日の告白現場。

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 来る四月、入学式ですわ。講堂にて代表挨拶も終え、私は自分のクラスへと戻ることに。

「――ごきげんよう、皆様」

 私の入室と共に、教室は沸き立つ。『きゃあ、アリアンヌ様よ!』とか。『麗しいですわ、お近づきなれたら』とか。ああ、久しい反応ですわ! 皆々様も歓迎していだだけるようで――。

「……」

 この刺すような視線はなんですの。一体、どなたが……。

「……ああ」

 ヒューゴ殿……? 何故、と言いたいところですが、原因は思い当たりますわ。
 結局、ダンジョンにも行くこともなく。あなたに会いに訪れても、今度はあなたがいないという。なんという間の悪さですこと。

「……ふう。よろしくお願いします、アリアンヌ様」
「ええ。よろしくお願いしますわ」

 溜息はついたものの、ヒューゴ殿は私に挨拶をしてくれました。その後、雑談にも加わってくれました。彼は大人ですわね……。

「――って、遅刻じゃないよな!?」 

 勢いよく教室の扉が開かれました。発言の主はオスカー殿。

「残念ながら遅刻です。入学式は終わってますよ?」
「まじかぁ……」

 ヒューゴ殿がすかさず指摘をすると、オスカー殿はがっかりしていました。

「……オスカー殿」

 こうして遅刻することが度々ありましたわね。今になって思うのです。あなたは無理を強いられていたからと――。

「……」

 ああ、周囲の目がありますわ。どれも緊張したもの。私が怒鳴りつけるのか。叱責するのかと。そう思われていますのね。

「よろしくお願いわしますわね――同じクラスになれましたわね?」
「……っ! うん、そうだね。よろしく!」

 私はにこやかに彼を迎え入れたのでした。



 入学して少し経ってのこと。その日の放課後、私は先生から教わっていたこともあり、遅い時間になってしまいました。鞄は教室に置いています、取りに戻りませんと。

「……?」

 教室に着くと、話し声がします。この状況……デジャブでしょうか。ものすごく覚えがある展開でしてよ。
 仕方ありません、時間をどこかで潰しましょう。私は踵を返そうとしましたが。

「――友達として好きだよ。友達としか思ってない」

 そのお声はオスカー殿のものでした。話はそこまで進んでいましたのね。
 それにしても……なんて冷たい声。オスカー殿の冷ややかな声が、私の頭から離れてくれない。

「そんな……ううん、友達でもいい。友達からでもいいから! お願い、オスカー君!」

 相手の婦人は前とは別の方でしょう。彼女は涙声で彼に縋っているようです。

「……ごめん、友達以外無理。それに君、貴族令嬢でしょ。もっと良いご縁があるって」
「それは……それなら、それこそオスカー君がいい! 父上にも話をして――」
「親を通されちゃ断れないけど。それでも……ごめん」

 オスカー殿はどこまでも――彼女の言葉を受け入れないようです。『ごめん』、この言葉に彼の思いが込められていました。

「……っ!」

 彼女の言葉にもならない声。すぐに開かれたのは教室の扉、飛び出してきたのは彼女。

「きゃっ」

 私と彼女はぶつかってしまった。私は彼女を抱き留める形となった。

「アリアンヌ様……ごめんなさい」

 彼女は私から離れ、またしても走り去っていきました。そんな彼女を迎えるのは、ご友人のようです。心配したのか、ついてきたのでしょう。友人に慰められながらも後をしたのでした……。


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