脳筋悪役令嬢の華麗なる恋愛遊戯~ダンジョン攻略駆使して有利に進めてみせます!~

古駒フミ

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両親は推したい。

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「――ほら、あなた? お話は一旦、ここまでにしましょう? お腹も空いているではありませんか、朝食にしましょうね。今から作りますから、お待ちになってくださいね?」

 母は父と、それからオスカー殿にも話しかけていました。

「いいんですか! では、ごちそうになります!」
「ええ、たくさん召し上がってね? それと、アリアンヌ?」

 オスカー殿に笑いかけたあと、母はこちらまでやってきました。私の近くでささやきます。

「身支度してらっしゃい? いつでも入れるようにしてますからね?」
「……は、はい。かしこまりました」

 母はにこりと笑い、私の背を軽く叩きました。私は挨拶をして、退室させていただきました。

 ああ、お母様のお気遣いに感謝です……! 今になって気づきましたわ。私、拘束された間お風呂にも入っておらず……水で洗うぐらいでしたもの。それからも大暴れでしたものね。ああ、オスカー殿とも密着していたではありませんか……ああ! 

 廊下に出るとメイド達が待機していました。

「奥様より徹底的に磨き上げてほしいと。そう承っております」
「ええ、お願いしますわね……?」

 既に話が進んでいたのでしょうか。私はあれよこれよと浴場まで連れていかれて、彼女達にそれこそ徹底的に洗われました。
 それだけではありません。次は衣装部屋へ。

「こちら、奥様が愛用されていたワンピースです。勝負服とも仰っていました」
「勝負服ですって……?」

 メイドが持っているのはクラシカルなデザインのワンピース。ええ、昔の写真で拝見したことありますわ。若かりし頃の両親が仲睦まじく写っていて、母も確かに着ていたような。勝負服……? 
 それからの私は化粧も施され、髪も編んでもらいました。私は鏡台を見て驚きます。彼女たちは本気を出したと言っていました。なるほど、ここまでの仕上がりですものね……!  



「お待たせいたしました。アリアンヌが戻りました」

 応接間では父母とオスカー殿が談笑していました。あら、オスカー殿? 彼もお風呂を借りたのでしょうか。さっぱりしてらっしゃること。服装もシンプルなものを着こなしておられますわ。何でも似合いますのね。

「おかえりなさい……って、うわぁ……」

 振り向かれたオスカー殿から視線が感じます。なんでしょう、かなり見られているようですわ。

「ふふ、オスカーちゃんったら。どう? すごく可愛いでしょう?」
「はい、すごく可愛いです!」

 母の言葉にオスカー殿は即答していますわ……父も何度も頷いています。

「では、オスカー君。お待ちかねの朝食だ。遠慮なく食べてくれ」
「はい、いただきます!」

 私達は朝食をとることにしました。ええと……オスカーちゃんにオスカー君? 私が不在の間にさらに打ち解けているようですわね。喜ばしいことではありますわ。

「……」

 私は彼らの次に、漂っている二匹の蝶を見ました。ずっと飛んだままでしてよ。


 楽しい朝食も終えましたが、私達は雑談をしておりました。父母はこれから所用があるということで外出です。婚約破棄のことで色々あるのでしょう……。

「アリアンヌ。あなたは何も悪くないのよ。お父様にお任せしておけばいいし、私もあなたの味方よ」
「はい、お母様……」

 母に穏やかな目で見守られ、私の心は軽くなりました。

「オスカーちゃん、ゆっくりしていってね? 私達はこのへんで失礼させていただくわ」
「はい、ありがとうございましたっ! いってらっしゃいませ!」
「いってらっしゃいませ」

 お二人を玄関まで送ったあと、私はこのあとのことを考えることにしました。

「オスカー殿、東屋でお話しませんか?」

 話をするつもりでしたものね。私がそう提案していたところ。

「まあ、アリアンヌ! この曇り空なのよ? いつ降り出すかもわからないでしょうし、お勧めはできないわ」

 お母様、戻ってらしたの? 父は玄関の外で待っているようですわね。

「ええ、曇ってはおりますわね」

 廊下を歩いた時に知ったのですが、外はどんよりとした空模様でした。雨季の時期に入ったところですものね。

「ですが、お母様。屋根もありますし、雨も凌げますから」
「まあ、アリアンヌ? もっと良い場所があるではありませんか」

――アリアンヌのお部屋。母は言い残して、今度こそ出かけられました。

「……」
「……」
 
 残された私達はとても気まずいものでした。私の部屋で。オスカー殿と。二人きり? 

「……東屋行こうか」
「ええ、そうですわねっ!」

 オスカー殿はあさっての方向をみていました。私は私で即答しました。

「その前にアリアンヌ様は着込んでくること。寒がりでしょ? まあ……その服も可愛かったけどさ」

 どこか残念そうにしながらも、オスカー殿はそう提案してくれました。冷えそうですものね、そうしましょう。

「……ええ。お待ちくださいね?」

 彼の優しさが嬉しく思えました。



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