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水底へ。
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私は隣の席のオスカー殿と話していました。窓際の席も譲っていただきましたわ。力押しされましたが、良かったのかしら……。
「本当にいいから。アリアンヌ様の横顔と景色、同時に堪能できるじゃん?」
「そ、そういうものですの……?」
「そっ。じゃあさ、一緒に見よう? ほら、水中だよー、綺麗だねー?」
私たちは触れない距離。それでも二人して丸窓を見ることになりました。
潜水艦は底の方へと、深く潜っていってます。目指すは――水底にある遺跡なのでしょう。最初から底から入ればというわけにはいかず、上からのみ侵入経路があったのだとか。
「……綺麗だけど、怖いね」
「ええ……」
水底にあるのは朽ちた建物たちでした。水没し廃墟と化した都市。原型を留めているとはいい難いものですわね。
「……」
近づくにつれ悪寒が増していくようです。息苦しくもなっているよう。得体の知れない何かが蠢いているかのような――。
『――もうじき到着となる。各自、準備をお願いしたい』
名無し殿のアナウンスが到着を告げます。ええ、準備は怠らないようにしませんと。イヴも断りを入れてやってきました。私たちの後ろにいるお二人はというと。
「ぐーがー」
「……」
……静かだとは思っておりましたのよ。大爆睡のシルヴァン殿に、窓を眺めたままのヒューゴ殿。
「……ふがっ!? なんだ、着いたのかっ?」
ええ、見事なタイミングでシルヴァン殿は起きられました。
「……ああ、起きられたのですね。到着、ですか」
ヒューゴ殿はずっと……窓の外を見たままでした。それに……顔色も優れないような。船酔いか、気圧の関係か……とにかく、苦しそうなのは確かです。
「ヒューゴ殿、お体が優れませんの?」
「いえ、私は大丈夫ですから……」
ヒューゴ殿はそう仰いますわ、けれども。
「……大丈夫とは思えませんわ。名無し殿にお願いしましょうか……帰還が可能かどうか」
「帰還なら僕のスキルでなんとか出来るかも。水中でも通用するか聞いてみる」
そうでしたわ。イヴが所持していましたわね。それからのことはその時に考えれば良いのです――。
「……迷惑、かけたくないんです。病院にかかるほどでもなくて。私は向かえますから……!」
迷惑かけたくない、そのお気持ちは重々理解しているのです。それでも、その顔色で仰るとなると――。
「ダメだよ、ヒューゴ。それじゃ連れていけない」
「……悪い、気づいてやるべきだった」
ヒューゴ殿は向かおうとしているけれど、誰しもが止めたいと思うことでしょう。
「……ええ、思わしきところはあったのに。遅くなってしまいましたわね。せめて。こちらで安静なさって」
「……こちらが申し訳ありません。自分でもわからなくて」
「そうして喋るだけでも辛そうですわ。ええ、安静していただきませんと」
あとは、どなたかがついていた方が良さそうですわね。ヒューゴ殿をお一人にしておけないのは確かです。
「――ヒューゴ様、調子悪いんだ。あの、私がついてましょうか?」
「ブリジット様……?」
「私……治療にも通じていますから。それに私、彼についていてあげたいの」
名乗り出たのはブリジット様でした。彼女の力ならば、ええ、ヒューゴ殿の原因不明の症状も和らげてくれることでしょう。
「ブリジット様、そうしていただきましょか。ウチは仕切らなあかんし、うちの連中数名に残ってもらいますわ。でも、それだけなのもあかんですな。あとは――」
女性がちらりと冒険者たちを見ると、彼らは一斉に手を上げました。自分が、自分が残るのだと。ブリジット様と残るのだと、主張が止みません。最終的には選抜で残留組が決められることとなりました。
「――では、行って参りますわね?」
ヒューゴ殿たちを残すことになってしまいましたが、私たちは探索に向かうことにしました。
「本当にいいから。アリアンヌ様の横顔と景色、同時に堪能できるじゃん?」
「そ、そういうものですの……?」
「そっ。じゃあさ、一緒に見よう? ほら、水中だよー、綺麗だねー?」
私たちは触れない距離。それでも二人して丸窓を見ることになりました。
潜水艦は底の方へと、深く潜っていってます。目指すは――水底にある遺跡なのでしょう。最初から底から入ればというわけにはいかず、上からのみ侵入経路があったのだとか。
「……綺麗だけど、怖いね」
「ええ……」
水底にあるのは朽ちた建物たちでした。水没し廃墟と化した都市。原型を留めているとはいい難いものですわね。
「……」
近づくにつれ悪寒が増していくようです。息苦しくもなっているよう。得体の知れない何かが蠢いているかのような――。
『――もうじき到着となる。各自、準備をお願いしたい』
名無し殿のアナウンスが到着を告げます。ええ、準備は怠らないようにしませんと。イヴも断りを入れてやってきました。私たちの後ろにいるお二人はというと。
「ぐーがー」
「……」
……静かだとは思っておりましたのよ。大爆睡のシルヴァン殿に、窓を眺めたままのヒューゴ殿。
「……ふがっ!? なんだ、着いたのかっ?」
ええ、見事なタイミングでシルヴァン殿は起きられました。
「……ああ、起きられたのですね。到着、ですか」
ヒューゴ殿はずっと……窓の外を見たままでした。それに……顔色も優れないような。船酔いか、気圧の関係か……とにかく、苦しそうなのは確かです。
「ヒューゴ殿、お体が優れませんの?」
「いえ、私は大丈夫ですから……」
ヒューゴ殿はそう仰いますわ、けれども。
「……大丈夫とは思えませんわ。名無し殿にお願いしましょうか……帰還が可能かどうか」
「帰還なら僕のスキルでなんとか出来るかも。水中でも通用するか聞いてみる」
そうでしたわ。イヴが所持していましたわね。それからのことはその時に考えれば良いのです――。
「……迷惑、かけたくないんです。病院にかかるほどでもなくて。私は向かえますから……!」
迷惑かけたくない、そのお気持ちは重々理解しているのです。それでも、その顔色で仰るとなると――。
「ダメだよ、ヒューゴ。それじゃ連れていけない」
「……悪い、気づいてやるべきだった」
ヒューゴ殿は向かおうとしているけれど、誰しもが止めたいと思うことでしょう。
「……ええ、思わしきところはあったのに。遅くなってしまいましたわね。せめて。こちらで安静なさって」
「……こちらが申し訳ありません。自分でもわからなくて」
「そうして喋るだけでも辛そうですわ。ええ、安静していただきませんと」
あとは、どなたかがついていた方が良さそうですわね。ヒューゴ殿をお一人にしておけないのは確かです。
「――ヒューゴ様、調子悪いんだ。あの、私がついてましょうか?」
「ブリジット様……?」
「私……治療にも通じていますから。それに私、彼についていてあげたいの」
名乗り出たのはブリジット様でした。彼女の力ならば、ええ、ヒューゴ殿の原因不明の症状も和らげてくれることでしょう。
「ブリジット様、そうしていただきましょか。ウチは仕切らなあかんし、うちの連中数名に残ってもらいますわ。でも、それだけなのもあかんですな。あとは――」
女性がちらりと冒険者たちを見ると、彼らは一斉に手を上げました。自分が、自分が残るのだと。ブリジット様と残るのだと、主張が止みません。最終的には選抜で残留組が決められることとなりました。
「――では、行って参りますわね?」
ヒューゴ殿たちを残すことになってしまいましたが、私たちは探索に向かうことにしました。
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