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タイトル『狂王――』
しおりを挟む私たちの探索は続いてます。崩れて欠けた建物たちですが。
「……?」
――既視感と申しましょうか。どうしてもなのです。初めて訪れたようには思えないと。イヴのスキルがあるとはいえ、迷いもなく進んでおりますの。
「――おっ。まーた、捻った場所にあるなー? よっと」
「まあ、ありがとうございます……!」
「へへっ」
私がどうしても欲しい『虹色の宝箱』。殿下に対応しているものですわ。まあ……大体取りづらい、見つけにくいところにあります。それを難なく獲得してくださるのはオスカー殿ですわ。
「僕も見つけたっ。お渡ししておくねっ」
「イヴもありがとうございます」
彼からも虹色の宝箱をいただきました。私も精進して参りませんと。
「よっし、続けてゲットぉ! あ、渡すから。後でちゃんと渡すから、なっ?」
「ありがとうございます……?」
シルヴァン殿も宝箱の回収に協力的ですわ。私が感謝の気持ちを述べると、彼は白い歯を見せて笑っていました。まるで何も下心などないと思わせるような。いいえ、何かお考えなのは確かです。茶色のものばかり優先的にとっているのも私、気づいてましてよ?
魔物が出現することもなく、私たちの回収は捗るばかりです。さらに深部へと進んでいきます。
「――もうじき最終地点になるよ」
イヴが教えてくれました。これだけ開けた場所ですが、最終地点なるものは存在しているようです。かなりの距離を歩きましたわね。
奥まで進んだ先にあったのは、お馴染みの魔法陣でした。こちらで晴れて獲得に至るのです。
「まあ……」
最終地点ではお約束の本棚があります。こちらにもあるにはありました。ただ……本棚も倒れていており、本も乱雑に散らばっています。
「……僕は『あの本』を持って帰らないと」
私たちが一息ついている間に、イヴは何かの本をくまなく探しているようです。あった、と彼は発見したようですわ。手にとっています。それから――。
「ちょ、イヴ君!?」
「おいおい……借りパクときたか?」
彼らの驚くのも無理はない、イヴは本をバッグにしまい込んだのですから。これはもう、持って帰るのだと。
「借りパクいうな。ちゃんとお返しするから。だから今度も僕を連れていってくださいね? アリアンヌ様?」
「くっ……イヴ、あなた大したものですこと」
「えへへ」
まあ、イヴはきちんとしていますから。次の来訪時に返却はすることでしょう。
そもそも、本って持って帰っても問題なかったような? 叡智を求めてとか……ああ、あやふやですわ。それに次回の約束のとりつけときましたわね。愛らしく笑っても、その事実は覆りませんわよ?
イヴが借りた本は――『狂王』にまつわるものでしょう。前も彼はしきりに気にしていましたもの。それは――この私も同じですわ。今となってですけれども。
「……」
私は密かにシルヴァン殿を見ました。無邪気に笑っている彼であれど――狂王という言葉に恐怖していることでしょう。ダンジョンにあったとしても、無関係とも思えませんわ。
――鍵になっている気がしてならないのです。
今度は別の道を辿ってみよう。帰還スキルは潜水艦のところだと確認済み、私たちはイヴのスキルのお世話になるのでした。
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