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ようこそ――レヴァンタジアへ
しおりを挟む「驚きですわ……」
「うん……私たち、そこまで回収していたわけじゃないのに」
「やはり、あったではないか」
私たちは驚愕していました――殿下に対して。彼は『えー?』と笑ってますけれども。
薄暗い書庫である最終地点、そちらに着いた私たちに還元されるは獲得したもの。お金もそうですし、宝箱もですわね? 私たちが把握していたより倍近く、手に入っていたのでした!
それになんでしょう、一気に強くもなったような? ステータスが上がった、といったところでしょうか?
「自動スキルか……」
「自動スキル……ごくり」
名無し殿の推察に私は喉をゴクリと鳴らしました。真麻さんに教えてもらいましたのよ。殿下……へらへらと笑っていますけれども。何気にチートではありませんの?あなたは無自覚で増幅するスキルをお持ちではありませんか!
「ははは、いいぞ……いいぞ! アリアンヌ、もっとだ! もっと、俺を尊敬するんだ!」
「ええ、すごいですわ……!」
本当に素晴らしきことだと思いますわ。本当に尊敬すべきこと。
「ですが殿下、ご容赦くださいませ。時間は待ってくれませんの」
「ええー……」
もっと余裕がある時でしたら、もっと讃えたかったのですが。殿下、抗議する目を向けてきますわね、本当にご容赦くださいまし。
「ふむ。書籍も見慣れないものがあるのだな。私は読ませてもらおうか」
マイペースな名無し殿、彼はどかりと近くにあった椅子に腰かけていました。何冊か見繕って読み始めているのです。
「そうでしたわね……あなたはここまでの路までと」
「ああ、そうだ。私は読み終えたら、アルブルモンド側に帰還させてもらう」
名無し殿、お付き合いはここまででしたのね。ええ、十分に有難きことでした。
「まあ……道中世話になったな」
「ありがとうございましたっ! さすがはトップランカーって感じ、スカウトしたいなぁ……」
渋々といった体の殿下に、両手を組んでお願いしているブリジット様。ええ、私も。
「ありがとうございました、名無し殿。またご一緒できますように」
「ああ……タイミングが合えばな」
「ええ。こればっかりは、ですわね」
私はあなたの本当の名も知らない。普段どのように生活をされているのかも。ダンジョンを生業にしてらして?それも預かり知れないことですわね……またご一緒できたらと願うばかりです。
「結構ショートカットできたかな? ふふ、イヴ君を追い越しちゃったりして」
「有り得ますわね。ええ、お待ちしていましょう」
私がそういうと、ブリジット様も殿下も同意してくださいました。出待ちですわね。一日近くかけたものの、それで済んだと思っております。鉄道を使ってももっとかかるところでしょうから。
「……イヴ」
私たちはレヴァンタジア側に出ることになります。あなたに辿り着ける一歩とならんことを――。
魔法陣を踏み、外の世界に放り出された私たち。初めて訪れることになる地――レヴァンタジア。
「まあ……」
地中いたるところにある洞窟。空にも浮かんでいたり、遠くに見える海にも繋がっているかのよう。
ブリジット様の案内によって、私たちは都の中心部へ。ええ、出たら歩いていける距離でしてよ。ダンジョンが身近といったような……?
「ふふ、不思議がっている」
ブリジット様がくすりと笑っていました。私、ちょっと恥ずかしくなりましたわ。
「ここはね、ダンジョンと隣り合わせの国なの」
女神マーサのものとは違った、そうブリジット様は加えてました。彼女はダンジョン群を背に、両手を広げたのです。
「ようこそ――ダンジョン国家レヴァンタジアへ」
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※作者創作の世界観です。史実等とは合致しない部分、異なる部分が多数あります。
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