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直々に選んだプレゼント!
しおりを挟む後日、ダンジョンでお会いする機会がありました。私、鼻を鳴らしましてよ。
今回もダンジョンの最終地点にて、名無し殿にプレゼントをお渡しすることになったのでした!! ふふ、包装もしていましてよ。
「なんだろう、こちらまで楽しみになってくる」
「そうでしょう、そうでしょう!」
楽しい気持ち、伝染しまして?
「ああ……」
「ふふふ」
名無し殿から感嘆の声がもれてました。これは当たりですわね!!
ふふふ、名高いリゲル商会よ!! 本当にありがとう!! ああ、冒険者公認ショップよ!! 貴店で販売されている名品のおかげでしてよ!!
――『あの伝説の冒険者がついに!! 初立体化フィギュア』は素晴らしくてよ!! 朝早くから並んだ甲斐がありましてよ!!
ええと……こちらの御仁も半裸ですわね。名無し殿が尊敬する冒険者、そのような調査結果でした。リスペクトここまでですの? ただ、御仁は魔物マスクは被ってはいませんわね。
「……私が憧れていた、尊敬していた方なんだ。励みにもしてきた。か細かった私、精神も弱かった私は彼のようになりたくて――」
――ここまで鍛え上げたのだと。あなたの大切な方だったのですね。
「ありがとう、ご令嬢……」
「いいえ?」
名無し殿はフィギュアを丁寧に机に置いた後――私の手を握ってきたのです。それだけ感激しましたのね?
「……いや、アリアンヌ様」
「……」
彼に名を呼ばれた。あの昼下がりの時以来。
「もう一度呼びたかった。勢い任せも大事だな」
「え、ええ……」
私の両手は彼に包まれたまま。どこか緊張しているのか、汗ばんでもいて。わかりますわぁ、緊張による汗ばみは……。
「――そろそろ行きません?」
「はっ!」
冷え切ったイヴの声。今回のイヴ、留まったままでしたわね!! 彼に失礼なことを!!
「イヴ、ごめんなさいまし!! あなたの分もありましてよ!」
白き宝箱からですわね。現在も出現してますの。ええ、赤いのも。ふふ、イヴの分も包装してましてよ。
「……いいなぁ、アリアンヌ様直々に選んでいただけて」
不満そうにしているのはイヴ。彼の表情はどこか影をさしていて、そして――。
「……面白くないな」
「……イヴ?」
最近の口癖ですの? 私が彼を見ていると。
「……あ、もちろん嬉しいです!! こうしてもらえるなんて、夢のよう!」
いつもの彼の笑顔。何事もなかったかのようにでした――。
帰宅すると、たくさんの贈り物が!何事かとメイドに尋ねると。
「まあ……サミュエル様が」
彼からの返礼品なのでしょう。私が贈ったもの以上の量……こちらがさらにお返ししたいくらいでしてよ。
私が自室で確認した好感度――友愛を迎えた名無し殿、彼は素顔を晒した状態でした。サミュエル様が青い薔薇を携え、微笑を浮かべられていました。
ハテナは残り一つ、ついにここまで――。
「セレステ……」
セレステ、あなたに辿り着けるの? ……次のループで今度こそ?
「あと、運命の日ですわね……」
運命の日も近づいてきましたわ……何かが起こる予感がしてならなくて。
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