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新たなる日々ED⑦
しおりを挟む休みながらで、ようやくの都に到着。ごめんよ、愛馬よ。久々だから、距離感掴めてなかった。これは秒で用事を終わらせて、帰りはゆっくり帰ろうね? 私は彼を休ませ、一人で都を歩くことにした。
さて、ここはアルブルモンドの首都。遠くに見えるは荘厳なる王城。そう……かつては何度も訪れた場所とほぼ一緒。その美しさまでも。
活気あふれる街。人々の笑い声。ああ、本当に懐かしい。アリアンヌ様だった頃は私も訪れていたから。広場も、カフェも、ああ、何もかも。そのままだった。懐かしい……あの頃の記憶が蘇るかのよう。
「まあ、おほほ――」
「あら、本当でしてよ?」
扇子を携えたご令嬢たち。アリエス学園の生徒みたい。護衛を忍ばせながら、散策なさっているのかな。これもまた懐かしいな。
煌びやかで綺麗な方々。かたや今の私は……うん、モブみたいというか。いちアルブルモンド人って感じで……うん。
映える彼女たちがする噂話、それは街の夫人たちもこぞってしていたこと。
「ああー……」
なんともまあ、な内容。やるせないというか、なんというかな内容。
「――王太子、エミリアン殿下か」
うん、殿下。名前もお姿もそのままの彼。
新聞でのお写真で確認したくらいだけれど。共に過ごした『彼』なのか、それはわからないまま。今となっては雲の上の存在だったから。
そうそう、アリエス学園にいないだろうなって最大の根拠が彼。殿下が通われていないから。家庭教師をつけられているって、これも新聞情報。
「でもって……」
これも新聞情報。ゴシップ寄りだけど。殿下は――昔からの許婚、公爵令嬢と婚約破棄したばかりだった。それも、相手の令嬢が駆け落ちしたことによって。さすがにアリアンヌ様ってことはなかった。別のご令嬢、生まれ変わりってことはない……ないかなって。
ならば、他の由緒ありし令嬢が新たなる婚約者になる、それが定説というもの。ですが殿下、そうはなさらず。
彼は今度行われる盛大なる夜会にて――お相手探しをされるのだとか。親が決めた相手ではなく、自分の目で見定めるのだと。多くの反対の中、押し切っていた。
「……」
殿下は苦労をされていた。こちらでは狂王と賢者の話は伝わっている。瓜二つ、しかも彼は生まれた直後に『自分はエミリアン』と名乗ったとも。それはもう大騒ぎだったことでしょう。でも彼は逆境をものともせず、見事に地位を築き上げられた。
実質、彼による治世の賜物といっていいもの。こんなにもこの世界が平和なのは。
「お元気ならいい、うん」
もう遠い存在だから。
殿下だって皆様だってそう、息災ならばそれで。
「……」
って、浸っている場合じゃない。まずは制服の調達。それから、揃えられるものは揃えておきたい。
あと、学生寮のお世話にもなるでしょ? 特待生は無料っていうなら、それはもうね、乗るしかないでしょ! ご挨拶にもいっておきたいよね。よし、気合で回ろう!!
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