脳筋悪役令嬢の華麗なる恋愛遊戯~ダンジョン攻略駆使して有利に進めてみせます!~

古駒フミ

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続いていく日々ED①

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→戻りたい。

 もう戻れなくなる……? 
 目の前のセレステは、真剣に案じてくれている。私はあなたと離れたくないよ? アークとも仲良くなりたいし。それなのに……? 

「こっちのことはいい。ユイはどうなの――本当に後悔しないの?」  
「後悔……」

 私は想像できた。この機会を逃せばもう――戻れなくなると。 

 私は自身の胸に手をあてて、問う。本当にそれでいいのかと。

 アリアンヌ様だって戻って来られた。本物の彼女、私は紛い物。

 あの世界にはもう、私の戻る場所はない。私は役目を終えた。私は。
 私は、私は、私は――。

「……ふふ」

 私は自分自身に笑ってしまった。どれだけ考え込んでしまったのかと。

 私はって……私はなに? ――脳筋じゃない。それに、こうして考えていても結局はそう。
 ――この世界で生きていきたい。それが私の一番になってしまった。

 ごめんなさい、アリアンヌ様……私はそう望んでしまったんです。

 私は結衣の姿で生きることになるのかな。それでも充分だから。

「行きなよ、ユイ」
「セレステ、ごめんなさい……」

 私はあなたを残して、それでも戻りたいと願ってしまっていた。

「ううん、私はもう一人じゃない。どうとでもなるって」

 気にしないでって、言ってくれてるんだ。

「ほら、元気でね? ブリジットにもよろしく」

 私をそうやって励ましてくれている、だけど。

「……だから、もう行きなって」

 本当は泣き出しそうなのを堪えていて、くしゃくしゃになってしまっている表情。
 別れ難いって思ってくれている。それでも、私を――。

「……お願い、早く行って」

 セレステに懇願されてしまった。そのまま俯き、これ以上こちらを見ようともしなくなった。

「……」

 そう、ブラウン管のモニターは辛うじて一画面だけ。別れの時はもう近づいている。猶予なんてない。

「……セレステ」

 ねえ、顔を上げてと。私は相手の頬に両手を添えた。

「え……」
 大きく目を開いて、こちらを見上げるセレステ。

「私は欲張りだから。今はとても難しくても――また、あなたに辿り着いてみせるから」

 今は一時的な別れ、そう思うことにした。だから私は笑ってみせた。

「また会おうね」

 画面が荒れだした。砂嵐がもう止まらない。ここまでだ、もう戻らないと。

「……うん」

 セレステは不器用に笑ってくれた。うん、ありがとうね……。

「――もう一度、イヴ・ポルトを媒介にする」
「!」 
 
 そう、戻る方法。イヴが扱えなくなっていたはずだけど、セレステは自分ならどうにか出来るって。

「――聞こえる、イヴ・ポルト!? 手を上にかざして、意識を集中して!」  
『な、なに……? この声、どこから?』 

 ……イヴ!! モニターの砂嵐に混じって、イヴの声が!! 

 ただ、彼は警戒をしていた。セレステの言う通りにしようとはしない。

「イヴ……イヴ君、お願い!」 
 
 私の声、どうか届いて!! あなたが信じてくれないと!! 

『その声は……』 
「!」 
 
 ……届いた? あ、画像がまた映し出された――イヴ君の姿が! 届いたんだ!!

『――ユイ!』  

 私の姿を見て彼はそう呼んだ。迷いもなく。私が不思議に思っている間もなく。

『早くこちらへ!』 
 
 イヴ君が手を差し出してくれている。ぎりぎりまで伸ばそうと。

「ほら、ユイ。迎えてくれてるんだからさ?」  
「うん……」

 セレステは送り出してくれる。

 私はセレステを置いて――元の時代に戻る。簡単に会えることなんてない。本当にとてつもないこと。やっと会えたのに……再会できたのに。

 セレステは最後まで泣かなかったのに……私は泣いてしまった。

「ユイ、ありがとう。会えて良かった」

 背伸びをしたセレステ。私の頬に口づけると、微笑んだ。

「……!」  

 お、驚いちゃった。そうやって驚愕している間もなく、私は白い光に包まれていく。

 今は……離れ離れになってしまうね。セレステは笑ってくれている。なら、私も。

「またね、ユイ」
「うん、そうだね……またね!」 
 
 またね、セレステ。

 泣き笑いながら――私はモニターに手を伸ばした。


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