【完結】ヒールで救った獣人ショタがマッチョに進化!? 癒しが招く筋肉のカタチ

たもゆ

文字の大きさ
60 / 86
番外編

グルメ狩猟ツアー④ ※R描写あり

しおりを挟む
(※性的描写あり。苦手な方はご注意ください)





 熱の奔流が引いていく。脱力した背中に伝わるのは、揺らめく暖炉の火ではなく——クー自身の熱い屹立。布越しに感じるその存在感が異様に生々しい。

 背筋がぞくりとした。焦燥と興奮が奇妙に混ざり合う。ゆっくりと振り返ると、クーが困ったような笑みを浮かべていた。瞳には抑え切れない欲望が揺らめいている。

 俺は少し勇気を振り絞って。彼の太腿に手をかけた。
 「……今度は俺がしてやるから」

 息を整えながら告げた言葉に、クーは一瞬、驚いたように目を見開いた。震える指でベルトの金具に触れると、彼は何も言わず、ただ俺の動きを見つめている。
 その視線の熱だけが、空気を震わせるように肌を焦がしていく。
 硬く膨らんだ質量に直接触れる前に、一度深く息を吸った。

 (……改めて見ても、やっぱりデカいな)
 開いた隙間から現れたそれは、血管の浮いた灼熱の得物。先端は既に濡れて艶を帯び、脈打ちながら天井を仰いでいた。
 今まで、よくこんなものを自分の中に受け入れてたな……と、我ながら感心してしまう。

 「ちょ……ちょっと待ってユーマ」
 クーが慌てて声を上げる。珍しく余裕のない表情だ。
 「ユーマがそんな……汚れちゃうから」
 「……いまさら?」
 苦笑すると、彼は困ったように眉を下げた。俺は意を決して右手を添える。驚くほど熱くて張りつめているそれを、ゆっくりと上下させると、手の中でさらに硬度が増した。

 「う……ぁ…」
 クーの吐息が髪を揺らした。首筋にかかる息が熱い。左手を彼の太腿に置いたまま親指で先端を撫でると、ぬるりと粘液が絡む。その感触に背中が粟立った。

 「……気持ちいい、か?」
 「……ん、すごく、気持ち、いいよ……」

 (俺がクーを悦ばせてるんだ……)
 奇妙な優越感と、不安が胸の奥でせめぎ合う。
 クーの呼吸が荒くなるたび、その熱が俺の肌に伝わり、高鳴る鼓動が、同じリズムを刻みはじめた。

 こんなぎこちない愛撫でも、彼の雄が応えてくれる。
 羞恥と欲望が渦を巻いて、頭の中がぐちゃぐちゃになる。 満足に呼吸ができないほどに、俺の感情は、完全に彼に支配されていた。

 もっと悦ばせてみたくて、よつ這いになり、肘をついて彼の太腿の間に顔を埋めた。
 「あ……っ……ユーマ!」

 自分の心臓の音がうるさくて、焦る気持ちをどうにかしたくて、勢いで唇を彼のものに押し付ける。だが、慣れない体勢と緊張で、どこか指先が硬直してしまっているのが自分でも分かった。

 舌先でそっと先端に軽く触れる。塩気とクー特有の野生の匂いが鼻腔を刺激し、理性を揺さぶった。口を開いて含もうとするが──すぐに限界を感じ、半分も収められずに咽てしまう。

 仕方なく、咥えるのは諦め、舌と唇だけを使うことにした。大きく張り出した雁首を唇で挟むようにあむあむと食む。すると想像以上の反応が返ってきた。

 「っ……!?」
 クーの腰が跳ね上がる。予想外の刺激に困惑した表情が可愛く思えた。調子に乗って何度も唇で擦るように往復させ、鈴口に吸い付くような、触れるだけの柔らかい愛撫を繰り返す。

 「あ……っ……ユーマ……それ……!」
 声が裏返った。見上げた視線の先で、クーは後ろに手をついた体勢で、眉根を寄せ目を瞑り、必死に耐えていた。その姿が愛おしくてたまらず、さらに角度を変え、舌で裏筋を丁寧になぞると、熱い脈動が唇越しに伝わってきた。

 「……!!」

 クーが息を詰まらせた瞬間だった。

 「もうダメ……我慢できないっ!」

 鋭い叫びと共に視界が反転した。
 床に敷かれた毛皮の温もりが背中に伝わり、気がつけばクーが覆いかぶさっていた。
 獣のように光る瞳、荒く熱い吐息。
 俺を組み敷いた筋肉質な腕は微かに震えている。

 「クー……?」
 「ごめんユーマ……でももう……止まれない」

 囁きは嵐前の静けさを孕んでいた。次の瞬間

 「あ゛っ……!?」
 灼熱の質量が体内に侵入してくる。予兆のない衝撃に喉が詰まった。クーは歯を食いしばりながらゆっくり腰を沈めていく。

 「き、つ……」
 呻き声と共に奥まで貫かれると同時に、熱い指が俺の硬くなりかけた愚息を握りしめた。
 「あっ……まっ、て……そこ……っ」

 律動が始まるなり前立腺を容赦なく抉られ、同時に敏感な陰茎を揉みしだかれると意識が飛んだ。肌のぶつかる音が室内に響き渡る。

 「ユーマ……好き……愛してる……!」
 まるで譫言《うわごと》のように繰り返されるその声と、打ちつけられる力強い腰の動きが、怖いほどの快感となって全身を電流のように駆け抜けた。
 痛みと快楽の境界が溶け、全てがひとつに混ざり合う感覚。
 俺は抗えず、ただ溺れるように、喘ぎに身を任せるしかなかった。

 「ひ……っ…ああ……!!」
 背筋を弓なりに反らせると内部の角度が変わり、より深くクーを受け入れてしまう。互いの熱が溶け合う感覚。絶頂の波がすぐそこまで迫っていた。

 「……ユーマ、好き……大好き!」
 クーの囁きと同時に前立腺を押し潰される。同時に鈴口を爪で擦られ――目の前が閃光のように弾けた。

 「……やあぁッ……アアッ……!!」
 「……っ、ユーマ……!!」

 二人の喘ぎが重なる刹那。クーの熱が爆ぜるように奥底へ放たれ、その衝撃で俺も痙攣するように果てた。熱い飛沫が自分の腹にパタリと落ちる。
 暖炉の火がぱちりと弾け、静寂に小さな音を落とした。

 互いの荒い呼吸だけが、長い沈黙を埋めていく。
 クーは泣き出しそうな顔で、そっと俺の頬に両手を添えた。その手のひらは、先ほどの熱とは違う、冷たい不安を帯びていた。

 「……ユーマ、ごめんね。怖かったよね? 痛かったよね?」
 震える声でそう言うと、クーは俺の額に自分の額をそっと合わせてきた。
 「……ん、少しだけ、な」
 掠れた声で答えると、クーはすぐに俺の肩口に顔を埋め、後悔と自己嫌悪を滲ませながら呟いた。
 「……ほんとにごめん。こんなつもりじゃなかったのに……我慢できなかった」
 「……いや、大丈夫だって。気にするな」

 (まぁ、最悪ヒールあるしな……)
 そう心の中でだけ付け足す。声に出したら、この男は絶対泣く。

 突っ伏しているクーのクマ耳に手を伸ばし、落ち着かせるみたいに撫でつけた。

 「……その、あれだ……。お前がいつも、俺の身体を傷つけないように抱いてくれてるの、知ってるから……。ありがとな」
 ぽつりと告げると、クーの肩が小さく震えた。
 さっきまでしょんぼり垂れていた丸い耳の縁が、ゆっくりと――救われたみたいに持ち上がる。

 「……ユーマあぁぁ!」

 猛獣みたいな唸り声とともに、ぎゅうっと抱き寄せられ、荒々しく、こめかみに唇を押しつけられた。

 「んー……好き♡♡」

 その勢いに苦笑しながら、俺はクーの背をぽんぽんと叩く。
 「……はいはい」

 「ねぇ、ユーマ、そこは『俺も好きだよ♡』って返すとこだよ」
 「……さっき言っただろ?」

 照れ隠し半分でそう返すと、クーは「もー」と口を尖らせ、次の瞬間、言葉の代わりに俺の唇を塞いだ。
 炎の光が揺れ、その揺らめきが、クーの瞳の中で煌めいた。
 触れた唇の熱に、世界がゆっくりと溶けていく。
 クーのキスは、熱く、深く、そして逃げ場のない――温もりの檻を完成させるようだった。

 そのまま、俺たちはもう一度、静かに愛し合った。
 先ほどの荒々しさとは違い、吐息は穏やかで、まるで柔らかなまどろみの海に身をゆだねているようだった。



 ***

 次の日。
 家へ帰る途中、森で拾った木の実やキノコを鞄いっぱいに詰め込んだ。
 さらに、クーが仕留めたプテガルス――丸々と太った小型の鳥系魔物も何羽か。
 チビたちへのお土産だ。

 家に着くと、チビたちはもちろん大喜び。
 「かたじけねぇ兄貴! 腐る前にガツンと捌きやしょうかね!」
 台所へ張り切って運び込む姿に、思わず笑みが零れる。

 ――だが、その笑顔も長くは続かなかった。

 玄関ホールに立つガウルとアヴィ。
 ガウルは腕を組み、アヴィは腰に手を当て、二人そろって仁王立ち。
 目が据わっている。まるで狩りの獲物を睨みつけるような視線が、俺たちに突き刺さった。

 「……た、ただいま……?」
 声が自然と震える。
 この二人が揃ってこうして立っている時は――たいてい、ろくなことがない。
 だが、なぜ怒っているのか、俺にはまるで見当がつかなかった。
 
 「クーさん。聞きましたよ。『誕生日だから』という理由で、ご主人様をデートに誘ったとか」
 「うん! そだよー♡ それがどうかしたの?」
 クーは呑気に顔を覗かせ、悪びれた様子もなく笑っている。

 「……おい。お前、この前も『誕生日だからユーマを貸して欲しい』って言ってたよな?」
 「つい先月もですよ。僕の先約があったのに、『誕生日だから』って頼まれて、仕方なく譲ったんですけど?」

 (……おんやぁ……?)

 「……そうだったっけ?」
 隣を見やると、クーは相変わらずとぼけた顔で無邪気に笑っていた。
 だがそれは、俺の優しさという抜け穴を知り尽くした――確信犯の笑みだった。

 「『そうだったっけ?』じゃないですよ! いったい貴方は一年に何回誕生日があるんですか!」
 「しばらくユーマとの外出は禁止だな」
 「ええー!!」

 ​この後、クーはガウルに首根っこを掴まれ、寝室に連行された後、二人にみっちり絞られていた。
 ​だが、クーは全く堪えていない。
 ​アヴィが規則と規律を説き、ガウルが積もり積もった鬱憤をぶち撒けても、​クーは終始、俺を巡る「勝利」の余韻に浸っているかのようだった。
 ​結局、二人のほうが疲弊し、呆れ返ってしまったのは言うまでもない。

 ​――まったく、知恵があるんだかないんだか。

 ​(多分、全部わかってやってるんだろうな……)

 ​狡猾なのか、ただの愚鈍なのか――。
 ​どちらにせよ、手の付けられない猛獣のようなクーを、それでもなんだかんだ憎めないのが、俺にとってのクーという男であった。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

異世界に転生したら竜騎士たちに愛されました

あいえだ
BL
俺は病気で逝ってから生まれ変わったらしい。ど田舎に生まれ、みんな俺のことを伝説の竜騎士って呼ぶんだけど…なんだそれ?俺は生まれたときから何故か一緒にいるドラゴンと、この大自然でゆるゆる暮らしたいのにみんな王宮に行けって言う…。王宮では竜騎士イケメン二人に愛されて…。 完結済みです。 7回BL大賞エントリーします。 表紙、本文中のイラストは自作。キャライラストなどはTwitterに順次上げてます(@aieda_kei)

家族転生 ~父、勇者 母、大魔導師 兄、宰相 姉、公爵夫人 弟、S級暗殺者 妹、宮廷薬師 ……俺、門番~

北条新九郎
ファンタジー
 三好家は一家揃って全滅し、そして一家揃って異世界転生を果たしていた。  父は勇者として、母は大魔導師として異世界で名声を博し、現地人の期待に応えて魔王討伐に旅立つ。またその子供たちも兄は宰相、姉は公爵夫人、弟はS級暗殺者、妹は宮廷薬師として異世界を謳歌していた。  ただ、三好家第三子の神太郎だけは異世界において冴えない立場だった。  彼の職業は………………ただの門番である。  そして、そんな彼の目的はスローライフを送りつつ、異世界ハーレムを作ることだった。  ブックマーク・評価、宜しくお願いします。

悪役令息を改めたら皆の様子がおかしいです?

  *  ゆるゆ
BL
王太子から伴侶(予定)契約を破棄された瞬間、前世の記憶がよみがえって、悪役令息だと気づいたよ! しかし気づいたのが終了した後な件について。 悪役令息で断罪なんて絶対だめだ! 泣いちゃう! せっかく前世を思い出したんだから、これからは心を入れ替えて、真面目にがんばっていこう! と思ったんだけど……あれ? 皆やさしい? 主人公はあっちだよー? ユィリと皆の動画をつくりました! インスタ @yuruyu0 絵も皆の小話もあがります。 Youtube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます。動画を作ったときに更新! プロフのWebサイトから、両方に飛べるので、もしよかったら! 名前が  *   ゆるゆ  になりましたー! 中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー! ご感想欄 、うれしくてすぐ承認を押してしまい(笑)ネタバレ 配慮できないので、ご覧になる時は、お気をつけください!

呪いで猫にされた騎士は屈強な傭兵に拾われる

結衣可
BL
呪いで猫にされた騎士は屈強な傭兵に拾われる

やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。

毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。 そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。 彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。 「これでやっと安心して退場できる」 これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。 目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。 「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」 その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。 「あなた……Ωになっていますよ」 「へ?」 そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て―― オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。

俺がこんなにモテるのはおかしいだろ!? 〜魔法と弟を愛でたいだけなのに、なぜそんなに執着してくるんだ!!!〜

小屋瀬
BL
「兄さんは僕に守られてればいい。ずっと、僕の側にいたらいい。」 魔法高等学校入学式。自覚ありのブラコン、レイ−クレシスは、今日入学してくる大好きな弟との再会に心を踊らせていた。“これからは毎日弟を愛でながら、大好きな魔法制作に明け暮れる日々を過ごせる”そう思っていたレイに待ち受けていたのは、波乱万丈な毎日で――― 義弟からの激しい束縛、王子からの謎の執着、親友からの重い愛⋯俺はただ、普通に過ごしたいだけなのにーーー!!!

ブラコンすぎて面倒な男を演じていた平凡兄、やめたら押し倒されました

あと
BL
「お兄ちゃん!人肌脱ぎます!」 完璧公爵跡取り息子許嫁攻め×ブラコン兄鈍感受け 可愛い弟と攻めの幸せのために、平凡なのに面倒な男を演じることにした受け。毎日の告白、束縛発言などを繰り広げ、上手くいきそうになったため、やめたら、なんと…? 攻め:ヴィクター・ローレンツ 受け:リアム・グレイソン 弟:リチャード・グレイソン  pixivにも投稿しています。 ひよったら消します。
誤字脱字はサイレント修正します。
また、内容もサイレント修正する時もあります。
定期的にタグも整理します。

批判・中傷コメントはお控えください。
見つけ次第削除いたします。

竜の生贄になった僕だけど、甘やかされて幸せすぎっ!【完結】

ぬこまる
BL
竜の獣人はスパダリの超絶イケメン!主人公は女の子と間違うほどの美少年。この物語は勘違いから始まるBLです。2人の視点が交互に読めてハラハラドキドキ!面白いと思います。ぜひご覧くださいませ。感想お待ちしております。

処理中です...