魔王のペットの嫁

よしゆき

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 寧斗ねいとは一年以上前、異世界へと召喚された。
 この世界は人間と魔族が共存している。長い間戦争していたが、平和協定が結ばれ、今は人間と魔族が争う事なく生活している。
 魔族の王である魔王がこの世界を治める形になったが、あくまで人間と魔族は平等の立場である。
 そしてこの辺境の土地の管理者である領主は、魔術で異世界から人間を召喚し、その人間を売って金を儲けていた。
 別世界からランダムに若い人間を十数人召喚する、という召喚術で寧斗はその十数人の中に選ばれてしまった。
 怒り喚き暴れる者がいれば魔法で動きを拘束し、抗う気が起きなくなるように痛め付ける。泣き叫ぶ者がいれば魔法で精神を操作する。
 魔法を使えない異世界人は逃げる事も抵抗する事もできなかった。
 そうして、寧斗と共にこの世界に召喚された人間は一人、二人と売られていった。買うのは人間だったり魔族だったり、バラバラだ。好みの人間を見つけ、提示された金額の金を払い買った人間を連れて去っていく。
 愛玩動物、性奴隷、労働力、買っていく理由も様々だ。
 そして寧斗はその売れ残りとなった。
 目付きが悪く、不愉快な顔をしているから。だから、誰も寧斗を買わなかった。
 元いた世界でも、寧斗は何もしなくても周りから嫌われていた。睨んでいないのに睨んでいると難癖をつけられる。反抗的な態度を取ったわけでもないのに生意気だと怒られる。言いたい事など何もないのに、言いたい事があるなら言ってみろと怒鳴られる。
 両親にも、しょっちゅう可愛くない子供だと吐き捨てられてきた。
 だから、異世界に来ても同じなんだな……とただ思うだけだった。
 召喚してしまった人間を、元の世界へ帰す方法はないのだという。
 寧斗を召喚してしまった領主である貴族の人間は、仕方なく寧斗を使用人として自分の屋敷に住まわせる事にしたのだ。
 もちろん寧斗の意志など尊重されない。
 それから寧斗はずっとこの屋敷で暮らしていた。
 大量のシーツを、屋敷の裏に一枚一枚干していく。わざと泥で汚したシーツや、使っていない洗う必要のないシーツまで洗わせられたりするのはいつもの事だ。
 屋敷にいる人間は、領主もその家族も他の使用人達も、毎日毎日飽きもせず寧斗に嫌がらせをする。嫌がらせをしなければ気が済まないとでもいうように。
 寧斗は黙ってそれを受け入れた。
 逆らえば、待っているのは暴力だ。
 逃げたところで行く宛などない。逃げたところで、逃げた先でもどんな目に遇わされるかわからない。
 いつまでここでこんな生活を続けていればいいんだろう、なんて考えない。考えても意味はないから。
 寧斗は自分の人生はこういうものなのだと諦めていた。
 全てのシーツを干し終えて、ふう……と一息ついた時だ。
 黒い生き物が足元にいた。

「…………犬?」

 っぽいけれど、寧斗の知る犬とは違う。
 子犬くらいの大きさの、黒い獣だ。モップのような見た目で、モジャモジャの毛に覆われて顔がどこかもわからない。
 寧斗はしゃがみ、まじまじとその獣を見つめる。

「この世界の犬とか……? お前、野良なのか?」

 この世界に来て、動物を見るのははじめてだ。この世界の事を殆ど知らない寧斗は、どんな動物が生息しているのかもわからない。危険なのか、無害なのか。
 危機感の薄い寧斗は近寄ってくるそれから逃げなかった。
 獣は、すんすんと寧斗の手の匂いを嗅ぐ。

「もしかして、腹が減ってるのか? 悪いけど、俺は食べ物は持ってないぞ」

 食べる物を求めて屋敷の敷地内に入ってきてしまったのだろうか。
 何も与えられない事を申し訳なく思っていると、手に噛みつかれた。

「いっ……!?」

 痛みに声が漏れた。
 牙が掌に突き刺さっている。
 攻撃されたのかと思ったが、どうやら血を吸われているようだ。

「お前、吸血鬼……吸血犬? なのか?」

 人の血がこの獣の食糧なのだろうか。
 寧斗は振り払う事なく血を吸わせた。

「俺の血、不味いんじゃないか? 俺、めちゃくちゃ不健康だから」

 寧斗はここに来てから健康的な生活を送れていない。
 食事は朝と夜にパンとスープを用意されるが、たまにスープに砂が混じっていたりパンにカビが生えていたり、まともに食べられない事もある。そんな食生活なので、血も美味しくなさそうだ。
 この獣も、長い間食事できていなかったのかもしれない。だから味なんてどうでもいいのだろうか。
 少しして、獣は口を離した。

「ん……もういいのか?」

 腹は満たされたのか、それ以上血を吸う様子はない。

「お前、早くここから離れた方がいいぞ。屋敷の人間に見つかったら、何されるかわかんないからな」

 この屋敷の人間は、正直、小動物を可愛がるような人柄には思えない。追い払われるか、捕まえられて痛め付けられるか。そんな想像しかできなかった。
 言葉が通じたのかわからないが、獣はそこから離れていった。

「俺も早く戻んないと……」

 寧斗は立ち上がる。遅くなったらサボっていたのかと怒鳴られたり嫌味を言われたり、罰として食事を抜かれてしまう。

「…………あれ?」

 噛まれたはずの手を見ると、血が出ていなかった。それどころか、噛み痕も残っていない。

「ま、いっか……」

 噛んでも牙の痕は残らない。そういう生き物なのだろう。ここは異世界。寧斗の常識に当てはまらない事などいくらでもある。
 手当てをせずに済んで良かったと思いながら、寧斗は急いで屋敷に戻った。





 翌日。寧斗はゴミを持って焼却炉の前にやって来た。
 ゴミ袋には砂が詰められ不必要に重くされているので、運ぶのも一苦労だ。袋も泥で汚されていて、ここまで持ってきた寧斗の手も泥で汚れた。
 どうして。何で自分だけがこんな目に。
 そんな事は考えない。寧斗にとってはこれが普通なのだ。
 ただ淡々と仕事をこなしていく。
 ゴミを燃やしていると、また黒い獣が現れた。

「お前、また来たのか?」

 近づいて来たので寧斗はしゃがむ。

「もしかして、俺の血を吸いたいのか? あっ、手からはダメだ。汚れてるから。吸うなら、別のところからにしろ」

 汚れた手を引っ込める。
 言葉が通じたのかジェスチャーで伝わったのか。獣は寧斗の肩にぴょんと飛び乗り、うなじに噛みついた。

「っ……」

 牙が刺さる痛みに顔を顰める。
 しかし痛みはすぐになくなった。思えば昨日も、噛みつかれた瞬間は痛かったが、それ以降は全く痛みを感じなかった。
 また血を吸っているようだ。

「俺の血、不味くないのか?」

 それとも、誰からも血を吸わせてもらえないから仕方なく寧斗の血を吸っているのだろうか。

「お前、ペットとして誰かに飼ってもらえないのか? 犬っぽいし、可愛がられそうだけどな……やっぱ、血を吸うっていうのがよくないのか……?」

 モップのような毛に覆われて顔はわからないが、愛嬌のある見た目をしている。子供が見たら家に連れて帰りたくなるのではないか。この世界では動物を飼うという概念がないのだろうか。
 この世界の常識やこの世界の住人の感覚が寧斗にはわからない。

「誰かに飼ってもらえたらいいのにな。健康的で、貧血じゃない人に。血がご飯ならお金もかかんないし、ちょっとなら毎日吸っても大丈夫だろ。一人だと大変だから、四人とか五人とかの家族にさ」

 そうしたら、わざわざこうしてご飯を求めてさ迷う事もない。でも、それが無理だからこの獣はこうしてここにやって来たのだろうか。

「……お互い大変だな」

 苦笑を浮かべ、しみじみと呟く。
 暫くして、満足したのか獣は肩から降りた。

「お前、ここの人間に見つからないようにホント気を付けろよ。噛みつくのは俺だけにしとくんだぞ。他のヤツに噛みついたりしたら、酷い目に遭うかもしれないんだからな」

 言葉が通じているのかわからないまま、寧斗はしつこく警告した。もし捕まってしまったら、寧斗には助けられないのだ。
 獣はじっと寧斗の足元にいる。
 毛で隠れてどこを見ているのかわからないが、きちんと寧斗の顔を見て話を聞いてくれているように見える。
 言っている事を理解してくれている事を祈りながら、寧斗は屋敷に戻った。






 暗闇に包まれ、しん……と静まり返った屋敷から寧斗はそっと抜け出した。向かった先は井戸だ。
 寧斗は週に一度しか風呂を使わせてもらえない。だからこうして夜中にこっそり井戸の水を使い体を拭いているのだ。

「大分寒くなってきたな……」

 この世界にも季節があり、季節によって気温が変わる。
 暑い時期ならいいが、寒い時期だと空気も水も冷たくて、震えながら体を拭く羽目になる。
 地面に膝をつき服を脱ぐと、冷えた風が肌を刺す。手早く済ませてしまおうと、汲んだ水で布を濡らし体を拭いていった。

「……って、うわ……!?」

 いつの間にか黒い獣が傍にいた。

「おっ……前……いっつもいきなり現れるな……。ビビったー……」

 心臓がバクバクしている。

「黒いから、暗いと全然姿見えないな」

 黒い毛に覆われた獣の姿は暗闇に溶け込んでいる。

「っていうか、まだここにいたんだな……。ここが危険だって事、伝わってないのか……」

 誰にも見つからなければ問題はないが、こうも頻繁に姿を現せばいつか屋敷の人間に気づかれてしまうだろう。
 寧斗の心配をよそに、獣は膝に飛び乗ってくる。そうして、寧斗の脇腹に噛みついた。

「んっ……ちょ、そこ、擽ったいな……」

 僅かに身を捩りつつも、また拒絶せずに血を吸わせる。
 寧斗がこうして血を与えるから、この獣も警戒せずに何度も屋敷の敷地内に入ってくるのだろうか。

「いつまでもここにいたら危ないって、どうしたら伝えられるんだ……?」

 言葉が通じていないとしたら、それを伝えるのは難しい。思えばこの獣は鳴き声を上げない。意志疎通ができない生き物なのかもしれない。
 そんな事を考えている内に、獣は離れた。

「俺はいいけど、ここにいる他の人間から血を吸おうとするなよ」

 通じている可能性は低いものの、一応言っておく。
 立ち上がって、ふと思う。
 昨日から結構血を吸われているはずだが、貧血にならないのはどうしてだろう。ふらついたりしそうだが、目眩を起こす事もない。寧ろ体力が回復している気がする。
 血を吸う相手を元気にする効果でもあるのだろうか。
 結構な量の血を吸われていると感じたが、実際はほんの少ししか吸われていなかったのか。

「ま、別にいいか……」

 考えてもわからないのだから。それよりも、いつまでも外にいるのはまずい。
 寧斗は急いでやる事を済ませた。





 翌日もまた、寧斗は朝から働き続けた。この世界に来てから休みなど一日ももらえていない。休みをもらってもする事などないけれど。疲労で倒れていないのが不思議なくらいだ。
 厨房で皿洗い、洗濯物の回収、ベッドメイク、洗濯、屋敷内の掃除。使用人達からの嫌がらせを受けながら、寧斗はひたすら働いた。
 逃げても行く宛などなく、逆らえば暴力を振るわれる。それならば、言われた事にただ従っている方がいい。
 夜になり、今日は浴室を使わせてもらえた。限られた短い時間で全身を洗い、慌ただしく自分の部屋に戻る。
 自分の部屋といっても、屋敷の隅にある物置だ。ここが寧斗に宛がわれた部屋だ。
 窓があるが開かないので中は埃っぽい。暑い時期は蒸し風呂のように暑く、寒い時期は凍えるほどに寒くなる。
 床は石なので寝ると体が痛くなる。与えられたのは毛布一枚。
 こんな環境ではまともに眠れないが、そのお陰で寝坊せずに済んでいた。

「寒いなぁ……」

 床に転がり毛布にくるまる。
 じっと身を縮めていると、いつの間にか黒い獣が目の前にいた。

「ぅわっ!? びっくりした……」

 寧斗は瞬きを繰り返しながら獣を見つめる。獣は確かにそこにいるようだ。

「お前、屋敷の中まで入ってきちゃったのか? 危ないって言ってんのに……」

 手を差し出せば、獣はすぐに噛みつき血を吸いはじめる。空腹でここまでやって来てしまったのだろうか。寧斗の居場所は匂いでわかるのかもしれない。
 物置のドアは閉じたままだ。
 でも、この獣は異世界の不思議な生き物なのだ。瞬間移動でも何でもできたとしても別におかしくない。
 血を吸われていない方の手を、そっと獣へと伸ばす。
 動物に懐かれるなんてはじめてだ。実家にいた猫と犬も、寧斗には懐いてくれなかった。手を伸ばせば威嚇されるか逃げられた。

「…………違うか」

 懐かれているわけではない。この獣はただ寧斗の血を吸いたいだけだ。
 獣を撫でようとして伸ばした手を引っ込める。
 寧斗から触れようとすれば、きっと嫌がられるだろう。
 嫌われるのは慣れているけれど、あからさまに拒絶されるとやはり傷つく。だから自分から触れるのはやめておく。
 寧斗の心情など気づく事もなく、獣は一心に血を吸い続けている。
 寧斗は苦笑を浮かべた。

「俺の血、そんなに美味いのか……? 絶対不味いと思うんだけどな」

 それとも単に、他に血を吸える相手がいないから寧斗から吸うしかないのだろうか。

「…………俺の血でもいいならさ……全部、吸ってもいいからな」

 冷たい石の床の上にいるのに、じわじわと体が暖まっていく。

「俺の血、全部お前にやるよ」

 心地よい暖かさに、睡魔が襲ってくる。
 とろりと意識が溶けていく。
 寧斗の言葉が伝わっているのかわからないが、獣は相変わらずこちらにじっと顔を向けているようだ。
 ただ餌にされているだけだというのに、それでもこうして傍にいてくれる事を嬉しいと感じてしまう。
 寧斗は穏やかに微笑み、そのまま眠りに落ちていった。





 全身を包む温もり。まるで誰かに抱き締められているような。
 そんな感覚を感じながら寧斗の意識は覚醒する。
 暖かくて、このままずっと微睡んでいたい。

「んんー……」

 小さく声を漏らしながら、寝返りを打つ。
 隣に気配を感じ、重い瞼を持ち上げた。

「…………へ?」

 目を丸くし、瞬きを繰り返す。

「えっ!? えっ……ええっ!?」

 弾けるように体を起こした。
 寄り添うようにぴったりと体をくっつけていたのは、寧斗よりも大きな黒い獣。

「はっ……えっ? でか……えっ……一晩でこんな成長したのか……?」

 眠る前に見た時は、抱えられる程度の小型犬くらいの大きさだったというのに。あまりの急成長ぶりに頭が混乱する。
 呆然としていたが、窓から入る日の光に気づいて我に返る。

「って、今何時だ!?」

 立ち上がり、窓に張り付き空を見上げる。日の高さから、もう昼の時間だとわかった。

「ヤバい、寝坊した……!」

 温もりが心地よくて、熟睡してしまったようだ。うっかりでは済まされないほどの寝坊だ。
 しかし、誰も起こしにこないとは。わざと放置されたのだろうか。その分多大な罰を与える為に。

「っていうか、どうしよう……」

 大きく成長した獣を見つめ途方に暮れる。こんなに大きくなってしまったら、バレずに外に出るのは難しい。

「そうだ、夜になるまでここでじっとしてればいいのか。皆が寝てから外に出ればバレないよな」

 なんて考えていたら、獣は寧斗の目の前でみるみる内に体を小さくしていった。そして元の小型犬くらいの大きさに戻った。
 足元にちょこんと座る獣。寧斗はそれをポカンと見下ろす。

「…………もしかして、自在に体の大きさ変えられんのか……?」

 さすが異世界の生き物だ。生態が謎すぎる。

「まあでも、これならバレずに外に出れるよな」

 寧斗は獣を腕に抱え、上着で覆い姿を見えないようにした。

「よし、行くぞ」

 物置部屋のドアを開け、屋敷の廊下に出る。

「…………あれ?」

 最初に感じた違和感は、やけに静かだという事だった。
 屋敷に暮らしているのは、領主とその家族。そして数人の使用人。屋敷の中がこんなに静まり返っている事など今までなかった。
 まさか誰もいないのだろうか。
 不審に思いながら、寧斗は廊下を進む。
 誰の声も、物音も聞こえてこない。やはり静かすぎる。

「……何か、あったのか……?」

 自然と獣を抱える腕に力が入った。
 緊張に固唾を呑みながら、慎重に足を進める。

「っあ……!?」

 廊下に使用人が倒れている。うつ伏せの状態で、ピクリとも動かない。

「ど、どうして……どうすれば……」

 混乱し、この状況に対処できる人物を求めて急いで別の場所へ向かう。

「だ、誰かっ……」

 震える声を上げるが、屋敷の中にいる住人は全員倒れていた。

「なん……なんで……っ?」

 どうすればいいのかわからない。何が起きたのか。どうして自分だけ無事なのか。
 酷く動揺しながらも、玄関へ移動した。屋敷の中に助けを求められる人がいないのなら、外に捜しに行くしかない。
 開けようとしたドアが外側から開けられた。

「ひっ……!?」

 ビックリして、鋭い悲鳴が漏れる。

「っ……何だ、お前……。こんな所で何をしてる?」

 ドアの向こうにいたのはこの屋敷の主である領主だった。
 そういえば、彼は昨日外泊していて屋敷にはいなかったのだと思い出す。そしてこのタイミングで帰ってきたのだ。
 領主は胡乱げに寧斗を睨み付ける。

「何をしているんだと訊いているだろう? まさか、逃げるつもりだったのか?」
「ち、違っ……そうじゃ、なくて……」

 説明しようとするけれど、領主の高圧的な態度に萎縮してしまいうまく言葉が出ない。
 焦る寧斗の腕から獣が飛び降りた。

「あっ、お前……!」
「っ……何だ、コイツ……?」

 床に降り立った獣を見て、領主は怪訝そうに眉を顰める。

「お前が連れ込んだのか?」
「そ、それは……」

 領主に詰め寄られ、寧斗は口篭る。

「人の屋敷で、勝手な真似をするな! 売れ残りの役立たずが、余計な事を……っ」

 領主は寧斗に掴みかかろうとする。
 身構える寧斗だが、領主の動きがピタリと止まった。
 領主はハッとしたように獣へと顔を向ける。
 獣は威嚇するように身を震わせていた。毛に隠れた獣の目が光る。

「うっ……!?」

 呻き声を上げ、領主がバタリとその場に倒れた。
 屋敷の中にいた住人達と同じように動かなくなる。
 寧斗は呆然と獣を見下ろした。

「もしかして、ここにいるヤツらが倒れてるの、お前が……?」

 喋らない獣は否定も肯定もしないが、今の状況を見る限りその可能性は高い。
 寧斗は膝をつき、獣に向かって声を上げる。

「お前、早くここから離れろ! 遠くへ逃げるんだ!」

 この獣が彼らに何をしたのかはわからないが、もし見つかれば処罰を受ける事になるだろう。処分されてしまうかもしれない。
 誰かに見つかる前に、どうにかこの獣には遠くへ行ってもらわなければ。

「早くしろ! ここにいちゃダメなんだ!」

 必死に声をかけるけれど、やはり言葉は通じないのか獣は動こうとしない。
 抱えて屋敷の裏に広がる森まで連れて行き、そこに置いてくればいいだろうか。
 そう考えて、再び獣を抱えようとした時。

「待たせたね、ポチ」
「っ……!?」

 開きっぱなしのドアから誰かが姿を現した。弾かれるようにそちらへ顔を向ける。
 長い黒髪に金色の瞳。そして頭部に生えた二本の角。
 彼は魔王だ。見た事はないが、魔王がどんな容姿をしているかは耳にした事がある。
 どうしてここに。あまりにも突然の事に頭が真っ白になる。
 床にへたり込み、寧斗ははくはくと口を動かしてどうすべきかを考えた。
 すぐそこに領主が倒れている。魔王は犯人を捜そうとするだろう。

「お、俺です……!!」

 頭で考えるよりも先に声を上げていた。首を傾げる魔王を見上げ、言葉を続ける。

「俺がやりました! 屋敷の人達が皆、倒れてるの……俺がやったんです……!!」

 全く説明になっていないのはわかっていたが、焦って考えがまとまらない。今のうちに獣がどこかへ行ってくれる事を願いながら、寧斗は自分が犯人だと魔王に訴えた。
 魔王は寧斗と獣へ交互に視線を送る。

「ふむ。なるほど」

 納得したように頷いて、それから寧斗に向かって言った。

「ポチを庇っているんだな。大丈夫、その子は私のペットだ。屋敷の中の人間達は、私の指示でポチが眠らせた。だから、心配する必要はない」
「…………え?」

 言われた事の意味をすぐに理解できなかった。

「……ペット……ですか?」
「ああ」
「この……この子、が……魔王様の?」
「そうだ。ポチが世話になったな」
「ポチ……」

 ポチと呼ばれた黒い獣を放心したように見つめる。
 野良ではなかった。寧斗が心配する事など何もなかったのだ。全てが杞憂に過ぎなかったのだという事に気付き、寧斗は胸を撫で下ろす。
 魔王のペットならば飢える事もない。罪を犯したわけでもなく、処分される事もない。

「そっか……そうだったのか……。よかった……」

 寧斗は心から安堵した。

「ポチをそこまで思っていてくれるとは……さすがポチが選んだ嫁だな」

 嬉しそうに魔王は言う。
 寧斗は耳を疑った。

「え……と……今、なんて……?」
「さすがポチが選んだ嫁だな」

 魔王は丁寧に同じ言葉を繰り返してくれる。しかし意味がわからない。

「嫁って……何の事です?」
「ネイトが、ポチの選んだ嫁という事だ」
「嫁? 嫁って……結婚相手、とか、そういう意味の言葉ですか……?」
「ああ、そうだ」

「嫁」という言葉に寧斗の知らない違う意味があるのかと思ったが、寧斗の知る「嫁」と違わないようだ。
 だとしたら、魔王は何を言っているのだろう。

「えっと……違うと思います……。俺が嫁に選ばれたとか、あり得ないです。多分、誤解です」
「誤解なものか。既にネイトの体には、ポチの血が半分混じっているではないか」
「…………は?」

 更にわけのわからない事を言われて理解が全く追い付かない。
 もう何を訊けばいいのかわからないが、何か言おうと口を開いた。けれど声を発する前に、寧斗は暗闇の中にいた。

「……えっ? ……えっ!?」

 目の前にいたはずの魔王の姿がない。屋敷の中にいたはずなのに、周りには何もない。ただ暗闇が広がっている。
 真っ暗なのに、自分の姿ははっきり見える。

「なんで……? っていうか、ここ、どこだ……?」

 混乱する寧斗の前に黒い獣がどこからともなく現れた。小型犬の大きさではなく、寧斗よりも大きな姿で。明かりのない暗闇の中なのに、やはり黒い獣の姿もしっかりと視認できた。
 よくわからないが、ここはそういう不思議空間なのだろうと勝手に結論付けた。

「お前……。ポチって名前だったんだな」

 まさか魔王のペットだなんて思いもしなかったから、今まで的外れな事を色々言ってしまった。

「てっきり野良なんだと思ってたから……勘違いして、変な事いっぱい言っちゃってたな……。はは、恥ずかしいヤツだな、俺……」

 自嘲する。思い返すと、恥ずかしい事この上ない。

「……でも、良かったよ。お前にちゃんと、帰る家があったんなら」

 魔王のいる城は、ここから随分遠く離れた場所にあるらしい。どうしてこんな辺境の地にいたのか事情はわからないが、魔王が現れたのはポチを迎えに来たのではないか。
 しかし、屋敷の住人達は魔王の指示で眠らせたと言っていたが、一体どうしてそんな事をしたのか。
 わからない事だらけだ。

「そういえば、『嫁』ってどういう事なんだろうな……?」

 黒い獣を見つめ、首を傾げる。

「魔王……様は、『ポチの選んだ嫁』とか言ってたけど、そんなわけないのにな」

 あり得ない誤解を受け、寧斗はハハハ……と乾いた笑いを零す。

「なんでそんな勘違いされたのか……ひゃっ!?」

 いきなり服の中にスルリと何かが入ってきて鋭い悲鳴を上げる。

「えっ、なに、え、えっ……!?」

 うぞうぞと蠢く無数の触手。それが黒い獣から伸びていて、寧斗の体に絡み付いていた。
 モップのようだと思っていた獣の毛は、その一本一本が触手だったのだ。
 いや、獣なんかではない。目の前にいるのは寧斗の知らない、理解の及ばない怪物のような生き物なのだ。

「な、なに……なにするんだ……?」

 触手は寧斗から衣服を脱がせていく。何故そんな事をするのかわからない。
 もしかして、殺されるのだろうか。目的がわからなすぎてそんな考えが頭に浮かぶ。
 それでも寧斗は抵抗したり、逃げようとはしなかった。殺されるなら、それでいいと思っていた。だって、生きていても辛い事しかないのだから。
 ただ、痛いのや苦しいのは怖いけれど。
 寧斗がおとなしくされるがままになっているので、触手によってあっという間に全裸にされた。

「ぽ、ポチ……俺、抵抗とかしないから……だから、その……できればあんまり痛くないように、してほしい……」

 不必要に痛め付けたり苦しめたりはしないでほしい……そういう願いを込めて訴えた。
 すると触手が優しく身体中に絡み付いてきた。

「ひゃっ……待って、擽った、あっ……」

 沢山の触手が脇腹や首筋などを擦り、擽ったさに身を捩る。
 ぐらりと体が傾けば、触手に支えられ仰向けに横たえられた。寝そべる寧斗の上にポチが覆い被さる。目の前に広がるのは無数の触手が蠢く光景だ。

「あっ、んっ……ひぃんっ」

 触手が、体の至るところに触れてくる。確かめるように、撫でるように、愛撫するかのように。

「んぁっ、なに、んっんっ」

 触手の先がすりすりと、あちこちに優しく擦り付けられる。擽ったいだけではない感覚が生まれ、寧斗は翻弄された。

「なんで、あっんっ、なに、してんの、ひっぁっ、ポチ、なに、なにを……っ」

 自分が何をされているのかわからず混乱する。
 素肌の上を触手が這い回り、どんどん怪しい感覚が芽生えてくる。

「ま、待って、んっんっ、へん、変な感じ、するから……あんまり、いっぱい、触んないで、あっひっ」

 抵抗する気はないのだが、物凄く恥ずかしい事をされている気分になってきてもじもじ体を動かしてしまう。

「ひぅっ、あっ、やっ、ほんとに、待って、んぁっ」

 触手が耳を、首筋を、胸を、腹を、脚を撫で擦る。そんなつもりはないのに、寧斗の体は勝手に快感を拾いぞくぞくっと震えた。

「ぽちぃ、おねが、あっあっ、こんなの、俺、おかしくなるから、んあぁっ」

 開いた唇に、ぴちゃりと濡れた感触が這う。触手とは違うそれに、ビクッと目を丸くした。
 熱くて、ぬるぬるしたもの。これは、ポチの舌なのではないか。

「んっあっ……俺のこと、舐めてるのか……? あっ、んん……っ」

 ぴちゃぴちゃと唇の上を這っていたそれが、口の中に入ってくる。

「んぅっ……んんっ……」

 長い舌が口腔内を余すところなく舐め回す。口の端から唾液を零しながら、寧斗はそれを受け入れる。

「ふぁっ……んっんっ……ぅんんっ」

 舌が舌に絡み付く。まるでキスをされているみたいだと、そんな風に考えてしまった自分を寧斗は恥じた。
 そんなわけがないのに。
 しかし口の中を味わうように楽しむようにねちっこくねぶられるこの行為の意味がわからない。

「んむっ、んっ……はっ……んぁ……っ」

 恥ずかしいのと口の中を舌で掻き回される感覚に、どんどん体が火照っていく。
 胸元を這う触手が、両方の突起を掠める。そのまま狙うようにそこを擦られる。

「んんっ、ひっ、ぁっ、ぅんっ、んんっ」

 柔らかかった乳首は、刺激を受けて徐々に固くなっていく。ツンと尖ったそこを触手の先端でくりくりと転がされ、はじめて味わう感覚に背中が仰け反った。

「まっへぇ、んっ、んっ、そこ、ぉっ、いじられ、ると……かりゃだ、へんに……んぁっ」

 口の中を舐められたまま、どうにかやめてもらえないかと声を上げる。
 けれど触手はやめてくれない。寧ろ寧斗が反応すればするほど、色んな弄り方をしてくる。
 触手の先端でくにゅくにゅと捏ね回され、寧斗は顎を反らして身悶えた。

「んぉっ、んっ、りゃめっ、それ、んっんっんっんぅうううっ」

 ぷっくり膨らんでしまった乳首に触手が絡み付き、扱くように擦られる。

「んひっ、ぅんっんっ、んぁっ、なんれ、んっ、きもち、いっ、んっんっ」

 環境が環境なだけに、快楽とは無縁の生活を送ってきた。乳首を弄られて感じてしまう自分に戸惑う。自分の体がおかしくなってしまったようで怖くて、でもどうすればいいのかわからない。

「んんっ、あっ、んっ、ぽち、んっんっ、ぽちぃ、俺、どうして……んぅっ、んんんっ」

 わからなくて、無意識に縋るようにポチを呼ぶ。
 すると両手に触手が絡み付いてきた。手を握って宥めるように。
 寧斗は指に絡み付く触手をきゅっと握り締める。そうすると心が落ち着いた。

「ふ、ぁっ……ぽち、んっんっ、はぁっ、んんっ」

 蠢く触手は胸だけではなく体の隅々まで刺激してくる。首筋を、背中を、へそを、そしていつの間にか勃ち上がっていたペニスも。

「んぁっ、しょこ、らめっ、んむっ、んっ、あんっんっ、こしゅったら、らめ、んんぅっ」

 舌で寧斗の口の中を蹂躙しながら、触手はペニスに巻き付く。
 根本から亀頭まで絡み付かれ、触手の先端が尿道口をくるくると円を描くように擦る。

「んんんぅっ、ひっ、んっ、うう゛~~っ」

 強い刺激にビクビク体が震えた。先走りが溢れ出す。とろとろと滴る自分の体液で、更に快感が増した。ぬちゅぬちゅとぬめった音が下肢から響いてくる。

「あ゛っ、んんっ、待っ、ぅんんっ、まっへ、ぽちぃっ、んっんっ、そこ、こしゅるの、ぉっ、んっ、まっへ、へぁっんっ」

 そんなに擦られたら射精してしまう。それを伝えたいのに、快感と口の中に入れられた舌のせいでうまく話せない。
 その間にも、ペニスを擦る触手の動きは速くなっていく。触手の先端が体液を漏らす鈴口をくちゅくちゅと撫で回す。

「ひうっ、んっ、も、でる、うぅっ、んっひっ、ぽち、れちゃう、んんんっ」

 うまく話せない状態で必死に訴えるけれど、触手は止まらなかった。

「んっ、ひっ、でる、ううぅっ、れる、れるっ、んっ、ううう゛~~~~っ」

 刺激を与えられ続ければ我慢などできるはずもなく、寧斗は激しく腰を震わせ射精した。絡み付く触手に、べっとりと精液がかかる。

「ぁっ、あっ……ごめ、ごめ、なひゃ……んっ、うっ……うぅっ……」

 とんでもない粗相をしてしまった。恥ずかしさと情けなさと申し訳なさに、寧斗はぼろぼろと涙を零す。
 すると口からポチの舌が離れていき、流れる涙を舐め取った。そのままぺろぺろとこめかみや頬をねぶられる。

「ひっ、んっ……擽った、ぁんっ」

 まるで慰められているようだ。大型の動物にじゃれつかれるとこんな感じなのだろうか。
 なんて油断していると絡み付く触手によって脚をM字に開かれた。

「待っ……ちょ、これ、恥ずかし……っ」

 なんともはしたないポーズをとらされて動揺する。全裸にされた時点で充分恥ずかしかったが。
 大きく脚を開かれて陰部を晒される羞恥に全身が赤く染まる。

「ぽ、ぽち……なにすん、んひっ!?」

 寧斗の体液で濡れた触手が後孔に触れ、驚きに悲鳴が漏れる。触手は構わずそこをぬるぬると擦る。

「ひっ、や、やめっ……ぽち、そこだめっ、汚い、からぁ……触っちゃ、だめだ、ぁっんっ」

 止めたいが、体は動かせない。そこは触れてはいけない場所なのだと教えたいが、舌で耳をねぶられ、触手で乳首とペニスを弄られて快感で何も言えなくなってしまう。

「ひっうっ、んんっ、待って、ぽちぃ、あっ、だめ、いろんなとこ、いっぺんにされたら、ぁんっ、んっあっあっあっ」

 気持ちいいところをあちこち刺激され、意識が後孔から離れる。その隙を狙ったかのように触手がぬぷりと挿入された。

「ひあっ!? あっ、うそ、ぉっ……なか、は、はいってる、うっ、んうぅっ」

 後孔に入ってきた触手は、中を探るように蠢く。緊張に身を固くすれば、乳首やペニスを刺激され快楽で体から力が抜ける。
 適度に快感を与えられながら、後孔を探られる。

「んっ、あっあっあっ、待って、んんっ」

 尻の中で触手が動く。痛みはないが違和感が大きい。どうしてそんなところを弄られているのかもわからない。

「ひっあっ、ぽち、ぅんっ、んっ」

 わからないまま受け入れていると、いつしか後孔で快感を感じはじめていた。ある箇所を擦られると、気持ちよさに腰が浮く。

「んあっ、なに、なんでっ……あうぅっんっ」

 前立腺の存在を知らない寧斗は戸惑い、困惑した。けれど触手は狙ったように、その感じる箇所ばかりを弄りはじめる。

「ひうっ、んっあっあっ、ぽちぃ、そこ、ぉっ、待って、あっあっ、だめ、んうぅっ」

 触手の先が器用に敏感な膨らみを撫で回し、くちゅくちゅと擦ってくる。
 気持ちよくて体が勝手に反応してしまう。腰が揺れ、甘い嬌声が口から漏れる。

「あっあっんんっ、ひっ、あぁっ、なんで、んあっ、あぁっんんんっ」

 乳首やペニス、後孔だけでなく色んなところを触手に撫でられ擦られ、寧斗はただ与えられる快楽に翻弄され続けた。

「あっ、ひぃんっ、んぁっ、待って、だめぇっ」

 解された後孔に、二本目の触手が入り込んでくる。二本の触手はバラバラに動き、ぐちゅぐちゅと中を掻き回し、ぐりゅぐりゅと膨らみを押し潰す。

「んひぃっ、ひっあっあっあっあーっ」

 強い快感に悲鳴じみた嬌声が上がる。
 弄られ続けた乳首は赤く染まりぷっくりと膨らんでいる。ペニスは再び勃起し、だらだらと先走りを漏らしている。二本の触手を咥え込んだ後孔はすっかり快楽を覚え、きゅんきゅんと収縮していた。
 沢山の触手によって、寧斗はまた絶頂へと追い上げられていく。

「ひっ、あっあっ、んあぁっ、あぁっ……!?」

 しかし、もう少しというところでピタリと触手の動きが止まった。

「あ……」

 無意識に物足りないと言わんばかりの声を出し、情けなく腰がカクカク動いてしまった。
 自分の痴態を恥じ、俯く寧斗の後孔からゆっくりと触手が抜けていく。

「あぁ……っ」

 引き止めるように後孔をきゅうぅっと締め付けてしまうが、ちゅぽっと音を立てて触手は抜かれた。埋められていたものを失い、そこは物欲しげにヒクヒクと開閉する。
 胎内に蓄積した熱を持て余し、けれどどうする事もできずにいると、ポチの下半身と思われる場所から触手とは違うものが伸びてきた。
 黒い触手とは違い、それは赤黒く、触手よりも太く、ビクビクと脈打っている。
 触手とは明らかに違うそれは、恐らくポチの陰茎なのだろう。

「っ……」

 それに気づいて、息を呑む。
 ここにきて漸く、自分がポチにされようとしている事が何なのか察する事ができた。
 きっと、多分、これは性行為なのだ。
 自分には一生無縁の事だと思っていたからその発想に至らなかった。
 太くて長い陰茎が、ひくつく後孔に触れる。
 触手が全身に絡み付き、寧斗は身動きが取れない。でも、もし動けたとしても逃げようとはしなかっただろう。

「あっ……あ……!!」

 ぬぷぬぷ……っと肉棒が後孔に差し込まれる。

「ひっ、あぁっ……おれの、なか……ぽちの、はいってきてる、んうぅっ」

 自分の中に、ドクドクと脈打つ熱塊が埋め込まれていく。
 一生経験する事がないと思っていた。誰かと体を繋げる行為。
 誰からも必要とされず、周りから疎まれ続けてきた。
 だから、寧斗は嬉しかった。ポチがどういうつもりで自分を相手にこんな行為をするのかはわからない。
 それでも寧斗は喜びを感じていた。
 自分が誰かに求められていると思えた。たとえただの錯覚だとしても。愛に飢えていた寧斗の心は満たされた。

「んひっ、あっあっ、ぽちぃっ、ひあっ、あああぁんっ」

 ぬぽっぬぽっと出し入れされる陰茎に敏感な膨らみを繰り返し擦られる。太い肉棒に抉るように刺激を与えられ、快感に身をくねらせた。
 ポチの舌が唇に触れ、寧斗は自ら舌を伸ばしそれを迎え入れた。

「ぁんんっ、んっ、ひっ、あっ、んんぅんんっ」

 ポチの舌に吸い付きながら、胎内を擦られる快楽に耽溺する。
 両手に、両足に、体全てを包み込むように触手が絡み付いている。全身を抱き締められているみたいだ。そんな風に感じて、寧斗の胸に喜びが満ちる。
 そんな寧斗の気持ちと連動して、後孔がきゅうきゅうと陰茎を締め付けた。きつく締め付ければ、その分内壁を擦られる刺激も強くなる。

「ひぅっ、んんぅっ、んぁっ、んっ、ぽちぃっ、んんっ、はっ、ぅんんっ」

 気持ちよくて、溢れた先走りでペニスはもうどろどろだ。ずっと弄られている乳首もじんじんと熱を持ちすっかり敏感になってしまった。
 口の中をポチの舌で掻き混ぜられ、零れた唾液で口元はべたべたになっている。
 寧斗はもう何も考えられず、顔をぐちゃぐちゃにして快楽に溺れる。

「んぉっ、おれ、ぽちとせっくす、してるぅっ、んんんっ、きもちぃっ、ぽちとせっくす、きもちいいぃっ」

 心も体もぐずぐずに蕩け、ひたすらに与えられるものを享受する。
 そんな寧斗に煽られるように、埋め込まれた陰茎の動きは速く激しくなっていった。
 ポチも自分と同じように興奮し、喜んでくれていたら嬉しい。
 そう願いながら、胎内を擦り上げられる快感に悶える。

「あっ、ひぅっんっ、いくっ、んうぅっ、んっ、ううぅ゛~~~~っ」

 背を仰け反らせ寧斗は絶頂を迎えた。痙攣する腹の内に、どぷどぷどぷ……っと熱い体液を注がれる。
 体の奥にじわじわと熱が広がっていくのを感じ、ポチも達したのだとわかった。
 寧斗はうっとりとした顔でそれを受け止める。

「あっ、あっ……きもちいい……っ」

 瞳をとろんとさせ、熱い息を吐く。
 頭がふわふわする。気だるくて、指一本動かすのさえ億劫に感じる。
 駄目だと思うのに、瞼が閉じていく。心地よい疲労感に包まれ、寧斗はそのまま意識を手放した。





「ん……」

 寧斗は目を覚ます。暖かくて柔らかくて肌触りのいい感触に全身が包まれていて、とても寝心地の良い場所にいる。
 それに気づいて、弾かれるように体を起こした。

「ここ……どこだ……?」

 物凄く広くて豪華な部屋の、物凄く広くて豪華なベッドの上にいる。
 隣にはポチが寝そべっていた。毛……ではなく触手に覆われているので相変わらず顔が見えない。眠っているのだろうか。
 ポチは寧斗と同じくらいの大きさになっていた。やはり体の大きさは自在に変えられるようだ。
 シルクのような滑らかなシーツの敷かれたベッドの上に、寧斗は全裸で寝かされていた。
 汗やら体液で汚れていたはずの体はすっきり綺麗になっている。しかし乳首やペニス、後孔には散々弄られた感触がしっかり残っているので夢や幻覚を見ていたわけではないはずだ。
 意識を失う前にされた行為を思い出して、恥ずかしさに一人で顔を赤くする。
 しかし羞恥に悶えている場合ではない。
 ここはどこなのか。自分がこの高級そうなベッドの上にいてもいいのか。ひょっとしてここは高貴な人の部屋で、自分は許可も得ず勝手にその人のベッドを使ってしまっているのではないか。しかも全裸で。
 不安になりベッドを降りようとするが、着るものがなくて躊躇っていると外からドアをノックする音が聞こえてきた。

「入るぞ」

 そんな声と共にドアが開き、寧斗は慌てて布団の中に体を隠した。
 部屋に入ってきたのは魔王だ。

「ま、魔王、様……っ」

 寧斗は焦った。この世界で一番偉い相手を前にベッドの上にいてもいいのか。ベッドを降りて平伏すべきなのでは。しかし全裸でそんな事をして許されるのか。
 どうするのが正解なのかわからずアワアワしていると、察した魔王に「そのままでいい」と制された。

「そんなに畏まる必要はない。ネイトはもう私の身内も同然なのだから」

 身内? 何故? にこやかに告げられた言葉の意味がわからず困惑する。

「とりあえず、色々説明させてくれ」
「は、はい……」

 頷く寧斗に、魔王は説明をはじめた。
 人間と魔族が平和協定を結び魔王が世界を治める事になってから、まだそれほど年月が経っていない。色々と片付けなければならない問題が山積みで、世界の端々にまで目が行き届かない。そこで魔王は、沢山いる自分のペット達を遠くの場所へ偵察に向かわせた。
 ポチもその中の一匹だった。そしてポチは偵察に向かった先で領主の重罪を発見する。

「人でも物でも、異世界から何かを召喚する事は禁じられているのだ。そして人身売買もな」
「え……」

 では、あの領主はとんでもない大悪党だったという事なのか。寧斗は魔王の言葉にその事実を知る。この世界の常識などわからない寧斗は、異世界から召喚したり、人を売り買いする事は珍しい事でもないのだと思っていた。

「ポチから連絡を受けすぐにでも領主を捕らえに向かいたかったが、早急に解決しなければならない問題を抱えていて、すぐには向かえなかったのだ。すまなかった、ネイト」
「え、いえ、そんな……」

 頭を下げられて、寧斗は両手を胸の前でブンブンと振る。

「え、えっと、じゃあ、ポチは偵察にあの屋敷に来て、魔王様はポチから連絡を受けて領主を捕まえる為に来たんですね……」
「ああ、そうだ。この件に関わる者全てに、それ相応の罰を与える。それと、召喚された異世界の人間も保護も行う。元の世界に帰す事は不可能だが、できる限りの事はするつもりだ」
「そう、ですか……。あの、俺はこれからどうすればいいんでしょうか……?」
「言っただろう、ネイトはポチの嫁になったと」

 何を当たり前の事を、みたいな顔で魔王は言う。

「いや……それって、何かの間違いじゃ……」
「何を言う。もう夫婦の契りを交わしたとポチから聞いたぞ」
「ふ、夫婦の……ちぎり……?」

 って、あの行為の事だろうか。触手に包まれ快楽を教え込まれたのを思い出し、寧斗の顔に熱が上る。

「で、で、でも、どうして、俺なんかが……」
「理由は私も聞いていないからわからないが、ポチがネイトがいいと言ってネイトを選んだんだ」
「ポチが……」

 隣に寝そべるポチを見るが、こちらの話を聞いているのかいないのか、微動だにしない。

「その……ポチの嫁になったというのはわかりました。それで、俺はこれからどうすればいいんですか……? 嫁って、何をすればいいのか……」
「別に何も。ポチの傍にいればいい」
「え……?」
「もちろん、ネイトにしたい事があるならすればいい。希望があるなら言ってくれ」
「その、働いたりとかはしなくていいんですか……?」
「その必要はない。今まで、あの領主の元で散々な目に遭っていたのだろう? これからは、好きなようにするといい」

 そう言われても、喜びよりも戸惑いの方が大きかった。好きにしていいとなると、どうしていいのかわからない。

「まあ、当分はゆっくり過ごせばいい」
「えっと……俺、どこで生活すればいいですか?」
「ここだ」
「ここって……この部屋ですか……? でも、こんな広くて立派な部屋……」
「ここは、私の城の中のポチの部屋だ」
「えっ!?」

 思わず大きな声を出してしまう。まさかポチの部屋だったとは。

「ネイトはポチの妻になったのだから、これからはポチの部屋で生活すればいい」
「はい……」

 寧斗はもっと狭くて質素な部屋でいいのだが、拒否すればポチと同じ部屋が嫌だと言っているように思われるかもしれない。
 こんな豪華な部屋で生活するなんて落ち着かない。物置での生活が長かったので余計にそう感じるのだろう。

「必要な物はすぐに用意させる」
「そんな……必要な物なんて……」
「着るものが必要だろう」
「ぁ……それは、お願いします……」

 全裸な事を思い出し、頬を染めて俯く。

「ネイトはもっとわがままを言っていい」
「え……?」
「私の管理が至らなかったせいで、ネイトはこの世界に召喚されて、理不尽な目に遭わされたのだ。もっと怒って、憎んでもいいくらいなんだぞ」
「それは…………あっ!?」

 何と言っていいのかわからず口籠っていると、背後から伸びてきた触手が体に絡み付く。

「えっ、ちょ……わっ、あっ……!?」

 触手に体を引っ張られ、ポチの方へと引き寄せられる。

「な、なに、急に……」

 話の途中で、どうしたのだろう。

「ポチよ、ヤキモチなぞ焼かなくても私はネイトを取ったりしないぞ。…………ああ、わかった、わかった。悪かったな、長く話し込んで。私はもう行くからそんなに怒るな」

 魔王は呆れたようにポチを見ている。彼はポチと話ができるようだ。ポチは鳴き声や言葉を発する事はないので、念話みたいな事なのだろう。寧斗には聞こえないが。

「では、私はもう行く。何かあれば遠慮なく言ってくれ」

 そう寧斗に言い残し、魔王は部屋を出ていった。
 ドアが閉まると、触手の動きは一層活発になる。

「ひゃっ、んっ……待っ、あっ……ポチ……っ」

 素肌に触手が絡み付く。快感を覚えさせられたばかりの体は、過敏に反応を示した。
 乳首もペニスも後孔も、耳も手も足も、全身が触手から与えられる刺激を求めていた。

「ぽちぃ……っ」

 名前を呼ぶ声が、無意識に媚びるような甘さを帯びてしまう。
 気持ちいい事を期待してしまっている。己のはしたなさを恥じるが、ポチはその期待に応えるように触手を動かした。
 二つの乳首を転がすように擦られ、ペニスも上下に擦られ先端をすりすりと撫でられる。

「あっ、あっ、あぁんっ、んんっ、ぽちぃっ」

 気持ちよくてカクカクと腰が揺れた。自ら陰部を晒すように脚を大きく広げてしまう。
 伸びる触手で寧斗の体のあちこちを刺激しながらポチの体が下の方へとずれた。そして、ぬめった感触が後孔に触れる。

「えっ、あっ……!?」

 触手とは違うその感触は、ポチの舌だ。

「うそ、だめだ、そんなとこ、舐めちゃ、あっあっあぅんっ」

 ぴちゃぴちゃと表面を舐められ、後孔がヒクヒクと疼く。

「だめ、あっあっ、ぽち、んっあっ、だめぇっ」

 駄目だと言いながら、後孔は誘うように口を開閉する。綻んだそこへ、ぬぷりと舌が差し込まれた。

「ひあっ……!? うそ、ぉっ、舌、あっ、なか、入ってる、うぅっ、んあぁっ、なか、舐めちゃ、だめ、んっああぁっ」

 ポチの熱くぬめった長い舌がぬちゅぬちゅと内壁をねぶる。その間も触手が乳首やペニスを刺激してくる。

「ひっあっあっ、きもちぃの、いっぱいされたら、あぁっ、ひっうんんっ」

 舌が器用にうねり、敏感な膨らみを押し潰すように捏ねる。強い快感が全身を駆け巡り、寧斗は嬌声を上げて身悶える。

「んあぁっ、きもちいっ、あっあっ、きもちいいぃっ、ひっあっあぁっ、ぽちにされるの、ぜんぶきもちいぃっ、んぁっああぁっ」

 快楽で身も心もぐずぐずにされる。口元を擽る触手にちゅうちゅうと吸い付き、抵抗もせずポチの与えるものを全て受け入れた。

「あひ、ぃいっ、いく、ぅううっ、いくぅっ、あっ、あ~~~~っ」

 乳首を弾かれペニスを擦られ前立腺を舐め回されて、寧斗はあっという間に絶頂を迎えた。ぶるぶると内腿を痙攣させ、精液を吐き出す。

「へぁっ、あっ、きもち、きもちいいっ」

 瞳を蕩けさせ、射精の快感に身を震わせる。
 達しても体は満足していなかった。後孔は舌をきゅうきゅうと締め付け、ヘコッヘコッと情けなく腰が上下に動く。

「ぁっ、あっ……ぽちぃ……っ」

 自分の欲求を押し付けるなんてはしたない、浅ましい。わかっているのに望んでしまう。
 そしてポチは、すぐに寧斗の望みを叶えてくれるのだ。
 にゅるりと舌を引き抜かれ、代わりに押し当てられるのは熱く猛ったポチの陰茎だ。
 待ちきれないとばかりに後孔がパクパクと口を開ける。涎を垂らさんばかりの勢いで開閉するそこに、太い肉棒がめり込んでくる。

「んおぉっ……はっ、あっ、あ──っ」

 ぬぷぬぷぬぷぬぷ……っと肉壁を擦り上げながら雄蘂が埋め込まれる。それだけで気持ちよくて、寧斗のペニスはとぷりと体液を漏らした。

「ひっ、あぁっ……おなか、はいってくる、ぅっ、んっあっ」

 一度目よりも更に奥へと陰茎が入り込んでくる。腹の中を圧迫される感覚に目を見開く。

「あっ、ひあぁっ……ふか、あっんっ、んんぅうっ」

 陰茎がずちゅずちゅと動かされるたび、肉筒全体を擦られる。快感にとめどなく嬌声が上がる。
 全身に触手が絡み付き、ありとあらゆるところが気持ちよくて、自分の体がどうなってしまっているのかもわからない。

「んひっ、あっあっ、ぽちぃ、んぁああっ」

 縋るように名前を呼べば、ずんっと深く奥を突き上げられた。
 強く触手にしがみつきながら、訪れる絶頂に体を震わせる。
 人間ではない生き物に体をいいようにされ犯されて、寧斗は喜びを感じていた。
 そんな自分はおかしいのだろうと思う。恐怖を感じ逃げ出そうとするのが、きっと正常な反応だ。
 自分が異常だとわかっているが、それでも、どうしようもなく嬉しかった。錯覚でも何でも、求められている、必要とされている。そんな風に感じられる事が、堪らなく嬉しいのだ。
 まるで愛し合ってるみたいだ。そんなわけないのに、快楽にまみれた思考がそう錯覚させる。

「あっあっ、ぽちぃ、んあっ、ぽち、ぽちぃっ、んひぁっ、あ~~~~っ」

 目一杯腕と脚を伸ばしてポチにしがみつく。
 深く体を繋げ、抱き締め合う。寧斗はその幸せに浸った。





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