ご主人様に幸せにされた奴隷

よしゆき

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 奴隷の母から産まれたエミルは産まれたときから奴隷だった。
 母に似た美しい容姿を主人はいたく気に入り、エミルをいたぶり、快楽を与え、幾度となく性欲の捌け口とした。道具を使い、友人に貸し出し、数人の使用人に犯させその様を見て楽しみ、嬲って嬲って、体の隅々まで陵辱し尽くし、そしてエミルが十五を過ぎた頃には飽きて、あっさり奴隷商館に売り飛ばした。
 散々使われた中古のエミルはなかなか買い手がつかなかった。顔は整っていても、体は汚され手垢にまみれている。男の欲望と道具で拡張されまくった後孔を使うくらいなら、客は高くてももっと若い未使用の性奴隷を買う。
 売れそうもない奴隷に奴隷商はお金をかけない。満足な食事も与えられず、どんどん衰弱し、このまま買い手がつかなければいずれ死ぬことになるのだろう。
 エミルのような中古を買う物好きがいたとしても、きっと死ぬまで嬲り者にされるだけだ。
 どちらにしろ、エミルにとって幸せな未来など待ってはいない。
 もうどうでもいいと思っていた。ただ無気力に毎日をやり過ごす。
 そんな日々を送っていたある日。
 とても綺麗な人が商館にやって来た。
 頭のてっぺんから爪先まで、全てが洗練された美しい青年。精悍な顔立ちに、スラリと均整のとれた体格。
 檻の中に入れられた奴隷達は彼に見惚れ、あの青年に買われたいと見つめたり、微笑みかけたり、精一杯のアピールをする。
 エミルはただ呆然と青年を見上げていた。
 青年がこちらに顔を向け、目が合う。
 絡んだ視線を、エミルは咄嗟に逸らした。
 自分の存在が堪らなく恥ずかしく思えた。
 けがれた醜い自分の姿を、あんな綺麗な人の目に映してはいけないと感じた。
 狭い檻の中を限界まで後ろにさがり、じっと身を縮める。
 ゆっくりとこちらに近づく足音。それはエミルの檻の前で止まった。
 びくりと肩を竦ませ、恐る恐る目線を上へ向けると、あの綺麗な青年がこちらを見下ろしていた。
 慌てて目を伏せるエミルの耳に、青年の澄んだ声が届く。

「店主、この子を買いたいのだが」

 え? とエミルは思わず顔を上げる。
 聞き間違いかと驚くエミルと同じく、店主もええ? と面食らった表情を浮かべる。

「お客様、その奴隷は中古ですから、あまりお勧めはしませんよ。性奴隷をお求めなら、もっと若く新品の方が断然楽しめますから」

 店主はどれだけエミルが使い古されているかを長々と説明し、そして新品のよさを熱弁した。金持ちの客には高い商品を買わせたい、ということだろう。身なりから青年が富者だと判断し、店主は売れ残りのエミルではなく高く仕入れた他の奴隷を買わせようと必死だ。
 けれど、店主になにを言われようと青年は他の奴隷を買おうとはしなかった。
 そして、その美しい青年はエミルの新しい主人となった。
 青年に連れられ、大きな屋敷にやって来た。
 まず浴室に入れられ、体を綺麗にされた。自分で洗いますと恐縮するエミルに、青年は怪我がないか確かめたいからと隅々までエミルの体に触れた。そして伸びたまま放置されていた髪を切って綺麗に整えてくれた。
 浴室から出たら清潔な服を着せてもらい、そして首に新品の首輪をはめられた。
 首輪は奴隷の証だ。所有者がいることを示すものだ。だから、エミルを守るものでもある。
 エミルの頭を撫でて、青年は満足そうに微笑んだ。

「うん。これで今から、エミルは私の奴隷だよ」
「ご主人様……」
「名前で呼んで。ノルベルト、と」
「のるっ、べると様……」

 緊張して噛んでしまった。
 謝るエミルに、彼はクスクスと笑みを零す。

「ノルでいいよ。そう呼んで」
「ノル様……」
「うん。よろしくね、エミル」
「よろしくお願いします、ノル様……」





 奴隷だと言いながら、ノルベルトはエミルを奴隷のように扱うことはなかった。
 エミルはノルベルトに読み書きを教わり、それ以外の時間は屋敷で働く使用人と一緒に掃除や洗濯をする。失敗しても罵られたり暴力を振るわれることもない。使用人も誰一人エミルを奴隷だからと見下したりしない。
 広い一人部屋を宛がわれ、毎日ちゃんとした服を着て、三食欠かさず食事をさせてもらう。
 自分はなんの為に買われたのだろう。ノルベルトに尋ねれば、一人が寂しかったからだと彼は答えた。
 体を求められることもなく、いたぶられることもなく、こきつかわれることもない。
 奴隷とは思えない生活が続いた。
 優しく甘やかされ、いつしかエミルはノルベルトに恋心を抱いていた。
 大好きな主人に恋い焦がれる。
 けれどどれだけ優しくされようと、酷い扱いを受けないからといって、エミルが奴隷であることは変わらない。
 奴隷が主人を慕うことは正しいが、エミルの感情は奴隷のそれを逸脱している。主人に対して抱いてはいけない浅ましい思いだ。
 触れてほしい。エミルの体を使って性欲処理をしてほしい。どんなに乱暴に扱われても構わない。性処理の道具として使ってほしい。
 そんな願望を抱いていた。
 ノルベルトはそんなこと、望んではいないというのに。
 散々けがされたエミルは、心の中までけがれている。
 こんな醜い感情を、こんなに優しく清廉な主人に抱くなんて。今まで色んな男に触れられたけがれた体を、性処理として使ってもらいたいなんて烏滸がましい。
 浅ましいことを考える自分の汚さを思い知り、そんな自分が心底嫌になった。
 こんな気持ちをノルベルトに気づかれたら、嫌われてしまう。ノルベルトの望む奴隷でいなければ、捨てられてしまう。エミルの代わりなどいくらでもいるのだから。
 体は主人を求めて浅ましく発情するが、エミルはそれを必死に抑えていた。快楽を教え込まれたアナルは主人の熱を埋めてほしいと疼きエミルを苛むが、懸命にその欲望を押し殺した。
 こんなこと、絶対にノルベルトに悟られてはいけない。
 だから、エミルは夜、こっそりと浴室に入って冷水を浴びる。ノルベルトは寝る前にエミルの部屋にやって来て、ベッドで本を読み聞かせてくれるのだ。ベッドの上でぴったりと体を寄り添わせ、ノルベルトの柔らかく聞き心地のよい涼やかな声を間近で聞いていると、どうしても体がはしたなく反応してしまう。だからこうして前もって火照る体を冷やしておくのだ。
 寒さに震えながらパジャマを身に付け、ノルベルトが訪ねてくるのを待つ。やがて現れた主人の穏やかな微笑みを見ただけで冷えていた頬がじんわりと熱くなった。
 いつものように一緒にベッドに上がり、ノルベルトは本を開いた。彼の声が文字を読み上げていく。
 主人の顔を見つめたいのを我慢して、エミルは本の文字を目で追いかけた。
 ノルベルトの美しい声にうっとりして、肩に触れる彼の温もりにドキドキと胸が高鳴る。冷水で冷やした体がどんどん火照り、下半身がじくじくと疼きだす。
 主人の声に、体温に、匂いに、体が勝手に発情してしまう。
 せっかくノルベルトが時間を割いて本を読んでくれているのに。
 こんな風になってしまう自分の体が厭わしく、堪らなく恥ずかしかった。
 下着の中で頭を擡げるペニスが心の底から忌まわしく思える。
 衝動のままにエミルは衣服の上からペニスをきつく握り込んだ。こんなもの、なくしてしまいたい。
 ぎゅうぅっと握り潰す勢いで手に力を込める。
 痛みに涙が滲んだ。

「こらっ、なにしてるんだ!?」

 気づいたノルベルトが布団を剥ぎ、エミルの手を掴んだ。

「あっ……ノル様……」

 はっと我に返って顔を上げると、ノルベルトが厳しい表情でこちらを見下ろしていた。
 一気に血の気が引いていく。

「あ……ぼ、僕……」

 ガクガクと体が震える。
 大好きな主人に捨てられてしまう。
 汚いものを見るような目で見られ、二度と見向きもされなくなる。
 恐怖に青ざめれば、ノルベルトは掴んだ手を離した。

「ああ、怖がらせてごめんね。でも、泣くほど強く握ったりしてはいけないよ。自分を傷つけるような真似はしないでくれ」

 優しく頭を撫でられ、ぽろぽろと涙が零れた。
 やはりノルベルトは優しい。自分のような汚い奴隷が思いを寄せていい相手ではない。とても清らかで、そんな彼の奴隷として、エミルはあまりにも相応しくない。

「ノル様……僕……す、すみません……申し訳……っ」
「わあっ、どうしたの、エミル?」

 ベッドの上で土下座しようとするエミルをノルベルトが止める。

「わかってくれたなら、それでいいんだよ。そんなに謝らなくて大丈夫だから……」
「で、でも、僕……こんな……申し訳、ありません……っ」
「エミル?」
「僕……僕は、奴隷のくせに、ノル様を汚い目で見て……ノル様をけがしているんです……」

 顔を伏せた状態で涙が溢れ、シーツにぽたぽたと落ちた。
 これからもずっとノルベルトの傍にいたい。
 死ぬまで彼の奴隷でいたい。
 捨てられたくない。
 でも、自分のような醜い存在が彼の傍にいてもいいのだろうか。
 そんなことが許されていいのだろうか。
 エミルの心も体も、こんなにも欲にまみれているのに。
 それを隠してノルベルトの傍にいるなんて、あまりにも罪深いことなのではないか。

「すみません……せっかくノル様に買って頂いたのに、僕はノル様に相応しい奴隷になれなくて……っ」

 とめどなく頬を流れる涙を、ノルベルトの指が優しく拭う。

「どうして相応しくないと思うの?」
「っ……僕……ノル様に、性欲の捌け口として、使って頂きたいって、そんな浅ましいことを、望んでいるのです……」
「……そうか。エミルは前の主人に色々とされていたんだったね。だから体が求めてしまうのか」
「違っ、違いますっ、僕は、ノル様が……っ」

 顔を上げると、こちらを見つめるノルベルトと目が合った。
 いつも穏やかな彼の双眸が、艶を孕んでまっすぐにエミルを見つめている。
 ぞくんっと腹の奥が戦慄いた。
 そんなはずがないのに、情欲を向けられていると錯覚して悦びに体が震える。

「私が? なぁに? 言ってごらん、エミル?」
「っ……」

 口にしてはいけないのに、ノルベルトの言葉には逆らえない。

「ノル様が、好き、で……だから、僕は……僕の体は……っ」

 愛しているから、こんなにもノルベルトを求めている。
 それは、奴隷であるエミルが主人に向けていい言葉ではない。

「も、申し訳、ありません……っ」

 頭を下げようとするが、顎を掴まれ目線を合わせられる。
 ノルベルトは柔らかく目を細め、微笑んでいた。

「どうして謝るの?」
「ど、奴隷なのに、ご主人様に、す、好き、だなんて……っ」
「奴隷が主人を好きになってはいけないの?」
「い、いけません……。奴隷の分際で、ご主人様に卑しい下心を抱くなんて、許されません……」
「私は、喜んでいるのに?」
「っえ……」

 まん丸く見開かれたエミルの瞳を、ノルベルトは愛おしむように見下ろしている。

「主人が望んでいても、それは許されないことなの?」
「そ、それは……」

 エミルは混乱した。
 なにを言われているのかわからない。
 彼の言葉を何度も頭の中で反芻する。
 望んでいる?
 なにを?
 必死に考える。
 自分の発言を思い出す。
 性欲の捌け口として使ってほしいとエミルは言った。
 それをノルベルトも望んでいるということなのか。
 エミルを性処理に使ってくれるということなのだろうか。

「の、ノル様が望むのなら、僕は、僕にできることなら、なんでもします、させて下さい……っ」

 縋るように言った。
 ノルベルトはうっそりと微笑む。

「じゃあ、もう一度好きって言って」
「す、好き、です……ノル様が、好きです……」
「私も好きだよ。私のエミル」

 ノルベルトの顔がゆっくりと近づいてくる。
 エミルはそれを呆然と見ていた。
 唇が重なる。柔らかな感触が伝わり、エミルはキスをされていることに気づいた。
 気づいた途端、ぶわっと顔に熱が上った。全身からどっと汗が噴き出すような感覚がした。
 唇を舐めて食まれ、エミルは信じられない気持ちでただそれを受け入れる。
 幸せ過ぎて頭がくらくらした。
 これは本当に現実なのかと、夢を見ているのではないかと、そんな風に思うけれど、唇の隙間から舌を差し込まれ、口の中を舐め回され舌をしゃぶられ唾液をたっぷりと流し込まれ、喉を鳴らしながらそれを飲み込んで、夢であればこんなリアルな感覚を味わうことなどできるはずがないと、あまりにも濃厚な口づけに現実なのだと実感する。
 心臓が喜びにドコドコと跳ねる。長らく使用されていない後孔が刺激を求めて蠢いている。萎えていたペニスも再び熱を持ちはじめた。
 糸を引きながら唇が離れ、角度を変えて再び貪られる。
 エミルはノルベルトから与えられるキスにすっかり陶酔していた。唾液が唇の端から零れるのも構わず、舌を伸ばして絡め合う。

「んはぁっ、はあっ、ノルさまぁ……っ」
「蕩けた顔……。キスだけでいっぱいいっぱいになっちゃった? 続けても大丈夫? エミルの中に、私を受け入れてくれる?」
「は、はいっ、して、してください……っ」

 許可なんて取らずに、いつでも使ってほしい。ノルベルトの望むまま、エミルはいつだって体を差し出す。
 全裸に剥かれながら、後孔が早く早くと催促するように収縮を繰り返している。
 ここに、ノルベルトの欲望を埋めてもらえるのだ。精を吐き出してもらえる。
 ずっと望んでいた願いが叶うのだと思うと、期待に体がぞくぞくと震えた。
 そのとき、前の主人の言葉が脳裏を過った。

『使い過ぎて、すっかりゆるくなったなぁ』
『こんなんじゃ、もう楽しめない』
『そろそろ飽きてきたし、新しいものと取り替えるか』

 そう言って、前の主人はエミルを売った。使い込まれたエミルは安値で取り引きされた。
 楽しめないから売られたのだ。主人を満足させられなくなったから。
 また涙が零れ落ちる。
 せっかくノルベルトに使ってもらえると思ったのに。
 エミルはもう、性欲処理としては役に立たないのだ。
 涙を流すエミルの頬を、ノルベルトが優しく撫でる。

「どうしたの? やっぱりやめる?」
「ノル様……ぼ、僕の体、たくさん使われてて……」
「うん」
「だから、もう、ゆ、ゆるくなってるって、言われて……」
「そうなの?」
「はい……」

 こんな体じゃ、性欲処理なんてできない。そう言葉を続けようとしたが、その前にノルベルトが口を開いた。

「それならちょうどよかった」
「え……?」
「エミルに辛い思いをさせなくて済みそうだ」

 ぽかんとするエミルに、ノルベルトは穏やかな笑みを浮かべながら言った。

「私のものは、人よりも大きいみたいだから」
「は……」

 おもむろに取り出されたノルベルトの男根を見て、エミルは目を見開いた。
 それは勃起していない状態でもかなり大きかった。ずっしりと太く、長く、亀頭の出っ張りも凄まじい。玩具でも生身でも、ここまでのサイズははじめて見た。

「す、すごい……」

 エミルはごくりと喉を鳴らした。
 凶器のようなそれも、ノルベルトのものだと思うと見ているだけで気持ちが昂った。じくじくと後孔が疼く。
 触れたい。ノルベルトに、愛する主人に奉仕したくて堪らなくなる。
 大好物を前にした犬のように息を乱し、エミルは蕩けた瞳でノルベルトを見上げた。

「ノル様、お願い、します……っ」
「うん?」
「ご奉仕、させてください……ノル様の、大きいの、僕のお口で……」
「こんなものを、そんなにうっとりした目で見つめちゃって。怖くないのかい?」
「怖く、なんて……そんなこと、思うはずありません」

 ノルベルトの体の一部なのだ。愛おしいと思いこそすれ、怖いだなんて微塵も思わない。

「ノル様のことが好きです。僕は、ノル様の全部が好きなんです」

 彼にならなにをされても構わない。彼の為にならなんだってできる。
 思いを込めて伝えれば、ノルベルトは嬉しそうに目を細めた。

「本当に、エミルは可愛い。私はエミルが愛しくて堪らないよ」

 優しく頬を撫でられて、エミルは身も心もとろとろに蕩けていくような感覚を味わった。
 ノルベルトの指が薄く開いたエミルの唇に触れる。

「この可愛い小さな口で、ご奉仕してくれるの?」
「は、はい……。させて、ください……っ」
「いいよ、してごらん」

 許可をもらい、エミルは嬉々としてノルベルトの下肢に顔を埋めた。
 まず挨拶をするように、ちゅっちゅっと全体に唇を落としていく。
 握ると掌に彼の熱が伝わってくる。熱くて、ドクドクと脈打っているのを感じる。
 ノルベルトのものだと思うと愛しいという感情が込み上げ、エミルはすりすりと頬擦りした。
 ノルベルトが密やかに笑う。

「エミルの頬は柔らかくて気持ちいいね」

 その言葉が嬉しくて、熱心に頬に擦り付けていると、それは徐々に固さを増していった。
 ノルベルトが欲情してくれているのを目の当たりにして気持ちが高揚し、堪らず舌を伸ばして舐め上げた。味わうようにじっくりと、大きなそれに隅々まで舌を這わせる。

「はむっ、んっ、はっ、んっんっ」

 陰嚢を舐めてしゃぶったあと、ちゅぱちゅぱと音を立てて裏筋に柔らかく吸い付く。固くて太くてビキビキと血管が浮き上がる逞しい幹を、エミルは恍惚とした表情で舐め上げた。ご馳走を口にしているかのように涎がどんどん溢れてくる。
 たっぷりと唾液が溜まった口腔内に、ゆっくりと先端を含んでいく。大きな亀頭を目一杯広げた口内に迎え入れた。

「ぁんっ、ふっ、ぅんっ、んんっ」
「小さい口で一生懸命ご奉仕してくれてるね。可愛いよ、エミル」
「んふぅっ」

 ぼこりと膨らんだ頬を外側から指先でなぞられ、ぞくんっと背中が震えた。
 目線を上げると、こちらを愛しげに見つめるノルベルトと目が合って、体の奥がきゅうっと疼く。
 頑張って口を開くけれど、ノルベルトの欲望は大きすぎて奥まで咥えるのが難しい。余った部分を手で擦りながら、舌で括れを刺激して亀頭を吸い上げる。

「んくっ、んっうっんっんっんっ」

 ノルベルトに気持ちよくなってほしい一心で、懸命に口を動かす。
 ちろちろと鈴口を舌で擦り、ごきゅっと喉を鳴らして滲み出す先走りを嚥下する。口の中がいっぱいで飲み込むのも一苦労だ。
 もっと喉奥まで迎え入れたいのに、大きすぎて自分ではうまくできない。
 エミルは唾液を滴らせながら、一度口を離した。

「んはっ、はっ、ノル、さまぁっ……」
「どうしたの、エミル?」
「僕、自分でできなくて……。お願いします、僕の喉の奥まで、入れてください……」
「いいの? 奥まで入れたら苦しいよ」
「大丈夫です、ノル様の、奥まで入れてほしいです……お口いっぱい使って、ノル様に気持ちよくなってほしいです……」

 エミルは唾液に濡れた口をノルベルトに見せるように大きく開き、はあっはあっと熱い息を吐く。
 そんなエミルを見下ろし、ノルベルトは微笑んだ。慈しむようにエミルを見つめながらも、その双眸には情欲が滲んでいる。
 その視線にぞくぞくと震え、エミルのぺニスからたらりと蜜が溢れた。触られてもいないのに、ノルベルトに性欲をぶつけられているということに興奮して体は昂る一方だ。

「そんなことをお願いするなんて、エミルは本当にいやらしくて可愛い」
「はっ、はあっ、はあっ……」

 開けっ放しの口内に唾液がじゅわじゅわと溜まっていく。

「いいよ、可愛いエミルのお願いだからね」
「はあっ、はっ、あっ……」
「準備はいい? 入れるよ?」

 ノルベルトの確認に、僅かに頷くことで応えた。
 そして、ぐぽっと口の中に剛直を突っ込まれる。

「んぐうぅっ、ふっ、んんっ」
「ああ、エミルの口の中、涎でどろどろで、あったかくて、気持ちいい……」

 ノルベルトは優しく、けれどがっちりとエミルの頭を押さえ、腰を振って雄蘂を出し入れする。
 亀頭が喉の奥にぐぅっと入り込んできた。
 口腔内は喉の奥までノルベルトの欲望でいっぱいにされている。
 それを受け入れるエミルは陶酔した表情を浮かべていた。
 決して歯は立てないよう、舌を動かし唇を窄め、できる限り自分からも刺激を与える。

「ふんんっ、んふっ、ふっ、うっんんっんっ」
「喉の奥がきゅうって締まって、すごく気持ちいいよ」

 ノルベルトの言葉に歓喜し、エミルは涙を流しながら一生懸命奉仕を続ける。
 苦しくて、でもそれがエミルにとって堪らない愉悦だった。
 ノルベルトの僅かに乱れた息遣い、興奮に上擦る声音、優しいけれどギラギラと欲を孕んだ眼差し、口の中で先走りを漏らす固く反り返った肉棒、全てが愛しく、悦びに繋がった。こんな風に思うのは、相手がノルベルトだからだ。
 今まで、乱暴にされ苦痛を与えられても、ただ辛いだけだった。ひたすら耐え、時間が過ぎるのを待つだけだった。早く終わってほしくてそれを祈るだけだった。
 でも今は、もっともっとと強く望んでいる。
 ノルベルトの為になんでもしたい。体を捧げたい。こうして彼に使われることがエミルにとってなによりの至福だった。
 じゅぽっじゅぽっと激しく口の粘膜を剛直に擦られる。ごりゅごりゅと喉奥を抉られながら、エミルはノルベルトから目を離さない。ノルベルトも、エミルから片時も目を離さずに口を犯し続ける。
 涙と涎でぐちょぐちょの顔はかなりみっともない状態だろう。けれどそんないびつに歪んだエミルの頬をノルベルトが愛しげに撫で、嘲笑することもなく熱を帯びた瞳で見つめている。
 だからエミルもノルベルトから視線を外さない。彼の快感に濡れる瞳も僅かに紅潮する頬も、その見惚れるほどに美しい欲情した表情を目に焼き付けるように見つめ続けた。

「そろそろ出すよ、エミル。エミルの喉の奥に出すからね」
「んぐっ、ふっ、んっんっんっ」

 返事はできない。声を出すことも頷くこともできないから、視線で必死に伝える。出してほしいと。
 それが伝わったのだろう、ノルベルトは口に笑みを浮かべ、更に腰の動きを速くした。
 がぽがぽと小刻みに奥を貫かれ、エミルが射精を促すように喉を締めれば、膨らんだ肉棒から精液がびゅくびゅくっと吐き出された。
 ノルベルトの淫欲を受け入れる悦びに一気に気持ちも体も昂り、エミルのぺニスからも気づかぬ内に精が放たれていた。
 前の主人に散々嬲られたぺニス。何度も繰り返し射精させられたり、逆に射精できないように縛られたり。そんなことをされ続け、エミルのぺニスは少量を漏らすような射精しかできなくなってしまった。

「んっ、んんんんぅっ……」

 嘔吐きそうになりながらも、エミルは流し込まれる粘液を嚥下する。一滴も零さないよう、しっかりと唇を窄め剛直に吸い付いた。

「ああ、すごい、搾り取られるみたいだ。気持ちいいよ、エミル」

 髪を掻き混ぜるように頭を撫でられ、ノルベルトの色っぽく掠れた声を聞き、エミルは瞳をとろんとさせる。
 残滓まで吸い上げて、ゆっくりと頭を後ろに下げながら口から陰茎を引き抜いていく。ちゅぽっと音を立てて亀頭が抜けると、途端に口寂しい気持ちになり、エミルはちゅっちゅっと名残惜しむように肉棒に口づけた。

「ありがとう、エミル。とっても気持ちよかったよ」
「嬉しいです、ノル様……」

 甘い声音で褒められて、エミルは陶然となった。
 ゆるみきったエミルの頬を、ノルベルトが撫でてくれる。

「じゃあ、次は私の番だよ」
「え……」
「今度は私にエミルをたっぷりと可愛がらせてね」
「は、はい……」

 なにをされるのだろう。わからないけれど、ノルベルトが望むならば、どんな痛いことも耐えられる。なにをされても構わない。エミルは身も心も彼のものだ。奴隷だからというだけではなく、エミルがそれを望んでいるのだ。
 ころりとベッドに転がされ、精液に濡れたぺニスがノルベルトの目に入る。

「おや。エミルも出しちゃったの?」
「え、あっ……」

 指摘され、そこで漸くエミルは粗相に気づいた。

「あんな乱暴にされて、苦しかっただろう? それなのに、ぺニスから精液を漏らしちゃったのかい?」
「あ、ぅ……すみません……ノル様に、気持ちよくなってもらえたの、嬉しくて……出してしまいました……。か、勝手に、すみません……」

 肩を縮めて謝るエミルに、ノルベルトは穏やかに笑う。

「ふふ。別に怒ってないよ。こんなにエミルに愛されてるなんて、私は幸せだよ」
「ノル様……」

 ちゅっと唇にキスを落とされ、エミルの心はぽわんと温かくなる。
 ぽうっとしていると仰向けの体を引っくり返され、四つん這いにされた。ノルベルトに臀部を向けるような体勢は落ち着かないが、エミルはおとなしくされるがままになった。

「あっ……」

 ノルベルトの手が尻臀を掴み、むにっと左右に広げる。
 そんなことをされたら、丸見えになってしまう。散々使われ、男達の欲を吐き捨てられ続けたアナルが。
 自分のそこがどうなっているのかは見たことがないけれど、決して綺麗な形ではないはずだ。
 それを見て、ノルベルトはどう思うだろう。不快に思われたらどうしよう、と不安に駆られた。
 ノルベルトの指が、アナルの縁をなぞる。

「ひゃっ、う……」
「エミルのここ、ふっくらしてるね。濃くていやらしい色……」
「んっ、んっ……」

 感触を楽しむようにふにふにと柔らかく押される。
 ノルベルトの声は変わらず甘やかで、エミルが不安に思っていたようなことはなさそうで胸が軽くなった。

「美味しそう……」

 そんな呟きの後に、ぬるりとした感触が後孔に触れた。

「ひっ、あ……?」

 びっくりして首を後ろに向け、ノルベルトの顔が双丘に埋まっているのが見えて更に驚愕した。
 ぬるっぬるっと後孔を撫でるそれが彼の舌なのだと気付き、エミルは悲鳴のような声を上げる。

「ぃやぁっ、だめ、だめぇっ、ノル様っ、やめてくださいっ」

 ノルベルトがそんなことをしてはいけない。そこは排泄器官だというだけでなく、数えきれないほどの男達の性欲の捌け口にされてきた不浄の場所だ。そんなところに主人のノルベルトが舌を這わせるなど、あってはならない。

「お願いします、ノル様っ、それは、それだけは……っ」

 必死に懇願すれば、ノルベルトはそこから顔を離した。

「抵抗するの、エミル?」

 ノルベルトの一言に、エミルはひゅっと息を呑む。

「私はエミルのなに?」
「ご、ご主人様、です……」
「エミルは私のなに?」
「奴隷、です……」
「うん。ちゃんとわかってるね、エミルはお利口だ」

 優しい手付きで尻臀を撫でられる。

「もう一度訊くよ、エミル? 抵抗するの?」
「す、すみません……抵抗、しないです、ノル様の望むようにしてください、お願いします……っ」

 エミルは縋るように、先ほどとは真逆のことを口にする。
 そうだ。なんて愚かなことをしてしまったのだろう。奴隷が主人を拒むなんて許されない。エミルはただ、ノルベルトのすることを受け入れるだけだ。

「いい子だね、エミル。じゃあ、中まで舐めやすいように自分で広げてごらん」
「は、はい……っ」

 エミルは両腕を臀部へと伸ばす。肘で上半身を支えられなくなり、腰だけを突き出すような体勢になった。その状態で尻臀に手をかけ、震える指でそこを左右に広げた。
 卑猥な穴が、ノルベルトの目に晒されている。そう思うと羞恥に頭がくらくらして、ぞくぞくっと体が火照った。

「上手にできたね。いいって言うまでそのままだよ」
「ひゃい……」

 もう口もうまく回らないエミルの後孔に、再びぴちゃりと粘膜が触れた。
 表面に唾液を塗りつけるように、皺の一本一本まで丁寧に執拗にねぶられる。

「はっ、あっ、あぅっ……」
「ふふ、気持ちいい? ひくひくしてるよ」
「きもちい、です……っ」

 エミルは素直に答えた。
 罪悪感は悦楽に塗り潰される。温かい粘膜がぬるぬると這う感触は、紛れもない快感をエミルに与えた。

「ふぁっ、ひっ……」

 ぱくぱくと開きはじめた後孔に、ぬぢゅっと舌が差し込まれる。
 中の粘膜を舐められる感覚は表面とはまるで違った。敏感な肉襞を舌で擦られ、痺れるような快楽にエミルは悶えそうになるのをこらえた。はしたなく尻を振ってしまいそうになるのを耐えながら、ぬぷぬぷと埋め込まれるノルベルトの舌を受け入れる。

「んひぁっ、あっ、あぁうっ」

 じゅぷじゅぷと音を立てながら、舌が出し入れされる。肉壁をねっとりと舐められ、ぐるりと回した舌に中を掻き回された。
 長い間使われていなかった後孔は、けれどすぐに綻びはじめる。肉筒は浅ましくもノルベルトの舌に絡み付き、奥へと誘い込むように蠕動した。
 蠢く内部に、ノルベルトの唾液を流し込まれる。唾液でぬるぬるにされた肉筒は、うねるたびにぬちゅぬちゅと水音を鳴らした。
 舌で解され、唾液で濡らされた後孔からちゅぷっと舌が抜かれる。
 ノルベルトの体液を一滴も零したくないのに、指で広げていたら溢れてしまいそうだ。まだ「いい」と言われていないから指で広げていなくてはいけない。けれど零してしまうのが嫌で、後孔をきゅっと窄めてしまう。
 エミルの葛藤に気づいたように、ノルベルトが笑みを漏らす。

「もういいよ。手を離して」
「は、はひ……」

 臀部を掴んでいた手を離す。
 同時に、きゅうっと強く後孔を締めた。中でくちゅりと秘めやかな音が鳴った。
 ノルベルトが笑みを含んだ声で言う。

「こら、そんなに締めないで。緩めてごらん」
「んはっ、はぃ……」

 力を抜くと、緩んだ後孔に今度は指を埋められた。

「ふあぁっ……」

 体は歓喜し、すぐさま彼の指にしゃぶりつく。濡らされた肉壁は、ぬぷぬぷと奥へ進む指を受け入れた。
 ノルベルトの指だと思うと、媚びるように中を締め付けてしまう。
 きゅんっきゅんっと蠢動する内部で、ゆっくりと指が動いた。

「あっあっひあっ」
「大丈夫? 痛くはない?」
「はひっ、大丈夫、です、ぅんっあっあっ」

 探るように、解すように指が回される。中にある敏感な膨らみを擦られ、エミルはきつく後孔を締め付けた。

「んひぁあっ、あっああぁっ」
「エミルの気持ちいいところはここ?」
「ひっあっあっ、そこ、そこれすっ、あひっんんんっ、きもちぃ、ですぅっ」
「すごいね、ここを擦ると中がびくびくして……もう指一本じゃ足りないかな? もう一本入れるよ?」
「はひぃっ、入れて、くらさいっ、あっあっ、入って、んっあっあっあぁっ」

 増やされ、二本の指で中を掻き回される。内部を広げながら前立腺を刺激され、エミルは嬌声を上げ身悶えた。
 膨らみをごりゅんごりゅんと押し潰され、捏ね回される。

「ひはぁああっ、あっあーっ」

 全身が痺れるほどの強烈な快楽に、エミルはまた意識せずに精液を漏らしていた。ぷるぷる震えるぺニスから滴り、ぽたぽたとシーツに染みを作る。

「よかった、随分気持ち良さそうだ。可愛いよ、エミル」

 エミルが快楽に溺れ悲鳴のようなよがり声を部屋に響かせても、ノルベルトはそれを咎めず褒めてくれる。
 エミルの意識は全てノルベルトに向けられ、彼の指の動きに、言葉一つに、顕著に反応を示した。
 三本に増やされた指を、後孔は既に根本まで咥え込んでいた。絡み付く内壁を擦りながら、じゅぽじゅぽと抜き差しを繰り返す。

「んあっあっあっあっ、ノルさまぁっ、ひあぁあっあっ、んっんんっ」
「エミルのここ、もう指じゃ物足りないみたいだね? もっと奥にほしいって、私の指を吸い上げようとしてるみたいだ」
「んひっんっ、ノルさま、あっあっ」

 ノルベルトの言葉に体が勝手に先を期待して、切なく疼きだす。けれど自分からねだることはできない。エミルには、入れてほしいと催促することはできない。
 ノルベルトは焦らすことはなく、指を抜いてエミルの体を反転させた。
 エミルは仰向けになり、ノルベルトと向かい合う。
 覆い被さるノルベルトに真上から見下ろされ、エミルの心臓は破裂しそうなほど高鳴った。
 ノルベルトの手がエミルの膝裏を掴み、ぐいっと持ち上げる。
 脚を広げられ、腰が浮き、陰部が晒される状態になった。
 
「後ろからの方が楽だろうけど、最初はエミルの顔が見たいから、苦しくても我慢してね」
「は、はひっ……」

 苦しくても痛くても構わない。ノルベルトの欲望をこの身に受け入れられるだけで幸せだ。
 ぱくぱくと口を開ける後孔に、ノルベルトの太い亀頭が押し付けられるのがエミルの目にもしっかりと見えた。
 興奮に息が上がり、心臓がばくばくと脈打つ。
 後孔が待ちきれないというように、亀頭にちゅうちゅうと吸い付いた。

「入れるよ、エミル」
「は、ひぃいいっ、ひっ、ひぉおっ」

 ぐぽっと、亀頭がめり込む。
 そこに男の欲望を受け入れるのは久々で、そしてそれが今まで経験したことのない大きさだったので、エミルは衝撃に目を見開いた。
 けれど懸命に息を吐き、ずぷ、ずぷ、と埋め込まれる剛直を飲み込んでいく。
 前立腺を磨り潰すように擦り上げ、亀頭が奥へ押し込まれた。
 強烈な快感と圧迫感、ノルベルトの肉を自分の身に咥え込んでいる悦び、エミルは様々な理由で涙を零し、嬌声を室内に響かせる。

「んひぁあっあっあっあっ、ひぅうっ」
「やっぱり苦しいかな」
「んひっ、らいじょ、でひゅうっ、う、うれひ、れす、ひっあっあっ、おく、おくまれ、のるひゃまので、いっぱいれ、うれしっ、んっんんぅっ」
「ふふ。そんなに蕩けた目をして……。本当に喜んでくれてるんだね」
「はひっ、はひぃっ」
「でも、まだ終わりじゃないよ。もっと奥まで入るからね」
「んへぇっ……?」

 エミルは間抜けな顔で間抜けな声を上げた。
 今も既に経験したことのないほど深い場所まで犯されているのに、更に奥があるというのか。
 誰にも犯されたことのない最奥を、ノルベルトに犯してもらえるのか。
 エミルは歓喜し、だらしなく頬を緩めた。

「ひっひぅっ、うれひ、うれひぃ、れす、あっあっ、のるしゃまが、もっとおくまれ、はいるの、おっあっ、うれひぃっ」
「いい子。可愛いよ、エミル」

 うっそりと微笑み、ノルベルトは腰を進めた。
 じゅぶっと剛直を突き入れられ、亀頭がなにかに当たり止まる。
 ノルベルトはそこを、ぐりゅぐりゅと擦った。

「ひぉっ、あっあっあっ」
「ここの、奥に入れるからね」
「はひっ、ぃあっあっ、あぁっ」

 ごちゅっごちゅっごちゅっと、最奥への入り口を広げるように突き上げられる。
 エミルは一切抵抗せず、恐怖もなく、ただノルベルトに身を任せていた。
 徐々に亀頭がめり込んでいくのを感じる。

「はっはっひぃっ、ひぉっおっ、は、はいって、んひっ、ひぁあっあっあっああああっ」

 ぐぽんっと、亀頭が最奥を突き抜けた。
 全身を駆け抜ける強烈な快感に、エミルは射精せずに絶頂を迎える。
 焦点の合わない瞳で虚空を見つめ、ぶるぶると体を震わせた。

「大丈夫かい、エミル?」
「はっ、はひ、んっんっあっ」

 ノルベルトに呼び掛けられ、エミルの意識は再び彼に向けられる。

「頑張ったね、全部入ったよ。私を受け入れてくれてありがとう、エミル」
「はへっ、んっあっ、のるしゃまぁっ」

 感謝してるのはエミルの方だ。
 ノルベルトの熱に腹の奥まで貫かれ、エミルはこの上ない愉悦に浸る。
 渇望しながらも、決して望んではいけないのだと諦めていたのに、彼はこうして与えてくれた。こんな幸せなことはなかった。

「はっひうっんんっ、うれし、うれひぃ、れす、僕のいちばん奥、誰も知らないところに、のるひゃまの、はいって、うれしぃっれす、んっひっひっあっ」

 ぽこりと膨らむ腹部を撫で、エミルは恍惚とした笑みを浮かべた。
 涙と涎でべとべとのみっともないその顔を、ノルベルトが愛しげに見下ろす。

「可愛いよ、エミル、私のエミル……」
「のるしゃまぁっ、あっあっあっ、ひはぁっああっあっあっひうぅっ」

 ばちゅっばちゅっと腰を打ち付けられる。亀頭が最奥を繰り返し貫き、硬い幹が腸壁を擦り、エミルは頭がおかしくなりそうなほどの快楽にただ喘ぐことしかできなかった。
 ぬぐぬぐぬぐっとギリギリまで引き抜かれた陰茎が、ぐちゅんっとまた一気に奥まで突き入れられる。エミルの体はされるがままに揺さぶられ、ぺニスは壊れたように精を飛び散らせていた。

「はっひっひうぅっ、のるしゃまっ、あっあっあっ、のるしゃまぁっ」

 馬鹿みたいに愛する主人の名前を呼び続けた。
 だらしなく開いた口にノルベルトの唇が重なり、じゅるじゅると舌を強く吸い上げられる。唇の端からだらだらと唾液が流れ落ちていった。

「エミル、この、一番奥に、射精するからね」

 ごっごっごっと亀頭で最奥を突き上げながらノルベルトが言う。
 誰にも汚されていない、ノルベルトしか知らないところに、彼の欲を吐き出してもらえる。
 脳髄が蕩けるような歓喜に包まれ、エミルのぺニスからじょろっと尿が漏れた。

「あっ、あぁっ……」

 気づいて焦るけれど、一度溢れたそれは止まらない。ちょろちょろと溢れるそれはエミルの下腹を汚した。

「ひぁっ、ごめ、なひゃ、ぁあっ、すみ、ませ、あっあっひうぅっ」

 エミルは涙を流して謝った。
 ノルベルトの体にかからなかったのが不幸中の幸いだ。
 とんでもない粗相をしてしまったエミルに、ノルベルトは陶然と微笑む。

「ああ、なんて可愛いんだ、エミル。私の言葉に喜んで、お漏らししてしまうなんて」

 ノルベルトは怒ってはいなかった。寧ろ嬉しそうだった。
 けれど、エミルが失態を犯してしまったことに変わりはない。
 きちんと謝ろうとするエミルの脚を更に深く折り込み、ノルベルトは真上からずどんっと腰を落とした。

「んひあああっ、あっ、ひっ、んぉおっ」

 ばちゅんっばちゅんっばちゅんっと肉のぶつかる音が結合部から響いた。
 暴力的な律動に、エミルは強い快楽の波に襲われ揉みくちゃにされる。何度も絶頂へ追い上げられ、そこから下りてくる暇もなくそれを繰り返された。

「ひぐっううっあっあっひっ、のるしゃまっあっあっ、のる、さまぁっああぁっあっ」
「可愛い、エミル、私のエミル……っ」
「んひぃいっひあっ、あっ、のるしゃまぁっ、あっあっおっ、ひんぅうっ」
「出る、出すよ、エミルの中に……」

 快楽に溺れていてもノルベルトの言葉を聞き逃さず、体は勝手に後孔を締め付けた。
 ぎちゅうっと最奥に押し込まれた肉棒から、びゅっびゅーっと精液が噴き出す。
 熱い体液を胎内に浴びながら、エミルはまた尿を漏らしていた。
 顔も体もぐちょぐちょに汚し、エミルは浅い呼吸を繰り返す。

「よく頑張ったね、いい子だよ、エミル」

 エミルの脚をゆっくり下ろし、ノルベルトが優しく頭を撫でてくれる。
 ノルベルトの手の感触にうっとりしながらも、この後のことを考える。色んな体液にまみれた体を綺麗にしなくては。シーツも取り替えないといけないだろう。
 そう思うのに、ノルベルトに頭を撫でられるのが心地よくて、体がなかなか動かせない。

「そのまま眠ってもいいよ」

 ノルベルトの穏やかな声に、とろんと瞼が下がってしまう。
 駄目だ。後始末をちゃんとして、眠るのはその後だ。
 わかっているのに、一度閉じてしまった瞼を持ち上げることができない。

「おやすみ、エミル」

 ノルベルトの声に促されるように、エミルは深い眠りに落ちていった。




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 読んで下さってありがとうございます。



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