片思いしている先輩には好きな相手がいるっぽいという事に気づいてしまった話

よしゆき

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後編

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 サークルの部室で睦月は孝臣と二人きりになっていた。孝臣は椅子に座り、睦月を自分の膝に座らせ雑誌を読んでいる。

「孝臣先輩、重くないですか?」
「全然」
「俺が膝に乗ってたら、雑誌読みにくくないですか?」
「全然」

 孝臣は睦月を背後から抱き締めるような体勢で雑誌を読んでいる。正直、こんなにくっつかれたら睦月はドキドキしてしまう。もちろん、孝臣は全く意識していないのだろうが。
 だって、孝臣には巳春という好きな人がいるのだから。

「………………先輩って合コンとか行かないんですか?」

 睦月はポツリと尋ねた。
 睦月は彼への気持ちを諦めると決め、新たな出会いを求めて行動に出た。
 けれど、孝臣にはそんな様子は見られない。サークルなどの普通の飲み会には参加するが、合コンには誘われても断っている。

「合コン? 面倒だから行かないかなー」
「そうですか……」

 孝臣が巳春の事を忘れて新しい恋を探したいと思っているのなら、睦月は全面的に協力したい。けれど、彼がそれを望んでいないのなら余計なお世話でしかない。
 孝臣の傷ついた心を少しでも癒したいと思うけれど、睦月にできる事は何もないのだろうか。

「ところで睦月さー」

 孝臣は読んでいた雑誌を閉じてテーブルに置く。

「何ですか?」
「このTシャツ何? 大きすぎない?」
「えっ、ああ、コレですか……」

 睦月はTシャツの裾を軽く引っ張る。

「ネットで見つけて、デザインがすごく気に入っちゃって絶対欲しいって思ったんですけど、もうサイズが大きいのしか残ってなかったんですよね」

 睦月が着るとブカブカだ。でもTシャツだしまあいいか……と思い購入した。
 友達にも何も言われなかったし、サイズが大きくても別に変ではないと思っていたのだが。
 孝臣は何故か不満そうに言う。

「わかってんの? コレ、ちょっと屈んだら乳首見えるよ?」
「へっ? あ、そうかもですね……」

 いけない事のように指摘されるが、睦月はあまりピンとこなかった。自分が女だったら気にしただろうけれど。

「でも俺、男ですし……。多少胸が見えても問題ないかなって……」
「へぇ……。あんなに感じやすい乳首、人に見られても平気なんだ?」

 いつ誰が入ってくるかわからない場所でとんでもない事を言われ、睦月は慌てふためき立ち上がる。

「はぇっ……!? べ、別に、感じやすくは……っ」
「俺に弄られてあんあん言ってたくせに?」
「そ、そんな……!! そんな、事は……っ」
「あるでしょ。もう忘れちゃった?」

 忘れるわけがない。忘れられるわけがない。あの夜の事は睦月の記憶にしっかりと残っている。
 顔を真っ赤にする睦月を、孝臣は意地悪そうな目で見ていた。

「思い出した? 自分の乳首がどれだけエロいのか」
「えっ、え、えろくなんて……っ」
「じゃあ今弄って確かめてみようか? 睦月が感じなかったらエロくないって認めてあげる」
「ええっ……!?」

 そんなの無理だ。絶対感じてしまう。他の誰かに触られても嫌悪感しか湧かないだろうが、孝臣に触られたら気持ちよくなってしまうに決まっている。

「うぅ……わかりました……」
「何が?」
「え、え、えろいって事で、いいです……」

 耳まで赤く染めてそう言えば、孝臣はニッコリ微笑んだ。
 
「そっか。じゃあ、そんな感じやすくてエロい乳首、人に見せちゃダメだよな」
「は、はあ……」
「わかったら、そのTシャツは二度と外で着ないこと。家の中でしか着ちゃダメだぞ」
「ええー……でも……」

 お気に入りのTシャツなのだ。今日はじめて着たのだ。もっと外に着て歩きたい。
 睦月が渋ると、孝臣は笑顔のまま圧をかけてくる。

「…………睦月、お前、自分にできる事なら何でもするって俺に言ったよな?」
「えっ……それは、言いましたけど……」
「じゃあ、俺の言う事きけるよな?」
「わかりました……」

 睦月は頷いた。孝臣が本気でそれを望むのなら拒否はしないけれど。
 何でもするとは言ったけれど、まさかここでそれを持ち出されるとは思わなかった。何だか睦月が考えていたのと違う。

「はい、家に帰るまでコレ着てて」

 そう言って孝臣は自分が上に羽織っていたシャツを脱いで睦月に渡してくる。

「ちゃんとボタン上までとめて。乳首見えないようにして」
「……はーい」

 一体どうしてそんなにも睦月の胸の露出が気になるのかわからない。わからないけれど、睦月はおとなしく孝臣の指示に従った。






 ある日の事。バイトを終え、睦月は夜道を一人で歩いていた。すると、すれ違った人物に声をかけられる。

「あっ、ねぇ、ちょっと君……っ」
「え?」
「ああ、やっぱり……睦月くんだよね?」

 スーツ姿の男性に名前を呼ばれ、睦月は首を傾げる。

「そ、そうですけど……えっと……?」
「あれ、覚えてないかな? この前、バーで一緒に飲んだ……」
「あっ、あー、あの時の……!」

 言われて思い出す。もうすっかり存在を忘れていた。

「すみません、俺、バーを出たところまではなんとなく覚えてるんですけど……それからの記憶が曖昧で……何か失礼な事とかしませんでしたか……?」
「あはは……かなり酔ってたみたいだしね。大丈夫だよ。睦月くんこそ、あの後大丈夫だったのかな?」
「はい。気づいたら大学の先輩の家にいてビックリしましたけど……」

 そんな会話をし、朗らかに笑い合う。

「ところで睦月くん、よかったら連絡先交換しない? また一緒に飲みたいなってずっと思ってたんだ」
「はい、いいですよ」
「え、いいの?」

 すんなり頷けば驚かれた。睦月はきょとんとする。

「あー、いや……あれ以来バーに来てないみたいだったから、もしかして嫌われちゃったのかと思ってたんだけど……」
「まさか、そんなんじゃないですよ。行きたかったんですけど、忙しくて行けてないだけで。また時間ができたら行くつもりです」
「そうなんだ、よかった」

 また時間が合えばバーで飲む約束をして、連絡先を交換する。男性とはそのまま別れた。
 未だに孝臣にドキドキさせられっぱなしだが、諦めるという気持ちはまだちゃんとある。絶賛新しい恋を探している。
 今のところあの男性をそういう対象として見ているわけではないが、彼と親交を深める事によって出会いが増え、新しい恋が見つかる可能性が広がるはずだ。出会いのチャンスは逃したくない。
 新しい連絡先が登録されたスマホをポケットに押し込め、睦月は帰路に就いた。





 その日の講義を終え、孝臣と外で食事をして、その後は彼の家で過ごす。それがすっかり習慣化していた。
 今日も睦月は孝臣の家にいた。二人掛けのソファなのに並んで座らず、ソファに座る孝臣の脚の間に睦月が座る。これももういつもの事だった。
 他愛のない会話をしながら、ゆっくりとした時間を過ごす。
 孝臣とこうして一緒にいられるのは嬉しい。彼は睦月が失恋し落ち込んでいると思って傍にいてくれるのだろう。孝臣は優しいから、失恋したと知ってしまった以上、きっと放っておけないのだ。
 でも、これでは孝臣が気が休まらないのではないか。毎日のように一緒にご飯を食べて部屋に入れて、睦月とばかり過ごして嫌になっていないだろうか。
 孝臣は会話をしながら睦月の頭を撫でたり、頬を優しくつまんだり、後ろからぎゅっと抱きついてきたりする。
 本当はこういう事を、睦月ではなく巳春にしたいと思っているのではないか。
 そう考えると胸が痛み、孝臣の気持ちを思うと悲しくなる。
 こんな時、自分が巳春の代わりになれたらと強く思ってしまう。そうしたら、全力で彼を慰めるのに。巳春の分も、それ以上に彼を愛すのに。
 しかしそれは叶わぬ願いだ。
 やるせなさにふと溜め息を零した時、手に持っていたスマホが震えた。
 画面を見ると、つい先日連絡先を交換したあの男性からメッセージがきていた。簡単な挨拶と、飲みの誘いだった。
 どう返事をしようか迷っていると、ずしりと背中に重みがのし掛かる。

「睦月、ソレ誰?」

 孝臣がスマホの画面を覗き込みながら訊いてくる。しかし訊かれても困る。一度飲んだだけの関係で、誰と尋ねられてもどう答えればいいのかわからない。

「え、えーと……知り合いの人……?」
「まさか、前に睦月を酔わせた男じゃないよな?」

 孝臣の声は明らかに不機嫌で、正直に言えなくてしどろもどろになる。

「っ……それは……その……」
「…………睦月、好きな人の事はもう忘れられたの?」
「まだ、です……」
「好きな人いんのに、その男と会うの?」
「それはその……好きな人を忘れる為に、色々と出会いを探していて……。新しい、好きな人を見つけたくて……」
「それなら俺にしなよ。俺と付き合おうよ」
「っ……」

 言われた言葉が信じられなくて、睦月は体を離し振り返る。
 孝臣と目が合う。彼は真剣な顔をしていた。とても冗談を言っているようには見えない。真摯な双眸で睦月を見つめている。
 何でそんな顔でそんな事を言うのだろう。いっそ冗談だったらよかった。
 ずっと孝臣に言われたかった言葉。
 でも彼に好きな人がいると知ってしまった今、絶対に言われたくなかった言葉。
 睦月の事など好きでもないくせに。他に好きな人がいるのに。睦月よりもずっとずっと、長い間片思いしている相手がいるのに。
 睦月は震える声を絞り出す。

「それ、は……できません……っ」
「何で? あんな会ったばっかりの男でいいなら、俺でもいいだろ?」
「だって……だって……先輩は、巳春くんの事が好きなのに……」
「え……?」
「俺がどれだけ先輩の事を好きでも、俺なんかじゃ、巳春くんの代わりになんてなれません……っ」
「は? え……?」

 孝臣は動揺している。こんな風に、彼の気持ちを暴くような真似をしたくなかった。

「すみません……。勝手に先輩の事、詮索して……でも俺、気づいちゃって……孝臣先輩は巳春くんの事が好きなんだって……ずっとずっと、片思いしてるんだって……」
「へ……? や、違う違う違う、してないしてないしてないっ」

 孝臣は困惑した表情で否定する。

「ちょっと待って、ちょっと待った……ええ? 何でそんな勘違いしてんの?」

 膝の上から下ろされて、隣に座らされる。孝臣は睦月と向かい合い、改まった様子でこちらの反応を窺っている。

「いつどこで俺が巳春に片思いしてるなんて勘違いしたんだ?」
「前に、孝臣先輩が巳春くんと二人で歩いてるのを見て……。めちゃくちゃ仲良さそうで、親密な感じで……恋人っぽい雰囲気で、すごくお似合いだったから……」
「そりゃ仲はいいよ。幼馴染みだし、小さい頃から一緒だし。でも、巳春のことを恋愛対象として見た事は一度もないよ。俺にとって巳春は家族に近くて、もう一人の弟みたいなものだから」

 孝臣は巳春に片思いしているのだと思い込んでいる睦月は彼の言葉をすんなりと受け入れられなかった。

「……でも先輩、好きな人がいるって。それって、巳春くんの事じゃないんですか……?」 
「違うから。それは睦月の事だから」
「俺……?」

 睦月は訝しげに眉を寄せる。孝臣が自分の事を好きだなんてあり得ないと思っているからこその反応だった。

「そうだよ。俺が好きなのは巳春じゃなくて睦月だよ」
「そんなわけ……。俺は巳春くんみたいに可愛くないし……孝臣先輩とお似合いなのは、巳春くんみたいな子で……俺は……。先輩は巳春くんにずっと片思いしてて、でも巳春くんは先輩の弟さんと付き合ってて、だから先輩はずっと気持ちを隠して二人の前では涙をこらえて笑顔でいるんじゃ……」
「えっ、そんな事考えてたの……? っていうか、巳春が紘と付き合ってるって教えたっけ?」
「この前会った時、二人手を繋いでたから……」
「あー、なるほど。俺は見慣れてて全然気にしてなかったけど、そうだよな。手ぇ繋いでたら恋人だってわかるよな」

 そこで孝臣はふと気づいたように声を上げる。

「あっ……もしかしてあの時睦月が泣いてたのってそういう事? 脳内ドラマって俺が主演って事?」
「はい……。先輩はずっと、叶わない恋に辛い思いをしてるんだと……」
「マジか……それであんな泣いてたの?」
「だって……先輩の気持ちを考えたら胸が痛くて……っ」
「今も泣きそうになってるし……。つーかそれ誤解だし。俺は巳春に片思いしてるわけじゃないからね」
「う、うそ……」

 自分はただの勘違いであんなに号泣したというのか。睦月は愕然とする。

「そんな事より、睦月の好きな人って俺の事だったわけ? 失恋した相手って俺なの?」

 詰め寄られ、そういえば先程さらっと「好き」と言ってしまった事を思い出す。今更ながら顔が熱くなる。

「あ、あの……」
「俺の事好きなのに、諦めようとしてたんだ?」

 真顔で問われ、言葉に詰まる。

「それ、は……だって……」
「だって?」
「先輩は、巳春くんの事が好きだと思ったから……。巳春くんみたいな子が、先輩には相応しいって思って……」
「それで諦めようとしたの? 睦月の気持ちってその程度なんだ?」
「ち、違っ……」
「簡単に諦められるって事は、そもそも大して好きじゃなかったって事だろ?」
「違います……!!」

 睦月は考えるよりも先に声を張り上げていた。

「俺は孝臣先輩が大好きです!! 絶対俺が一番先輩の事好きです!! 先輩に片思いしてる人達の誰よりも俺が先輩の事を好きな自信あります!! 俺の孝臣先輩への気持ちは誰にも負けません!!」

 気づけば大声でそう主張していた。
 はあはあと息を荒げる睦月に、孝臣は笑った。可愛くて仕方がないというような目で見つめられ、睦月は一瞬息が止まる。

「そんなに好きなら、相応しくないとか、お似合いとか、他の誰かからどう見えるかなんてどうでもいいんじゃない?」
「…………」
「俺は睦月が好きで、睦月も俺が好きで、それだけで充分なんじゃないの?」
「っ…………」

 孝臣の真摯な言葉に泣きそうになる。

「……孝臣先輩、ほんとに俺の事好きなんですか?」
「好きだよ。好きじゃなかったら抱いたりしないよ」

 そういえば、それが謎だったのだ。どうして彼が、自分を抱いたのか。慰めるにしても、他に方法はいくらでもあったのに。

「睦月に好きな人がいるってわかって、そしてその人の事を諦めようとしてるって言われて……。他の奴に取られるくらいなら、失恋してる弱みにつけ込んででも俺のものにしちゃおうって思ってたんだ。まあ、睦月の好きな人が俺だったって事は弱みにつけ込むも何もなかったんだけど……」

 孝臣は苦笑する。それから改めて、睦月をまっすぐに見つめた。

「好きだよ、睦月。俺と付き合って」
「っ……」

 一生してもらえる事などないと思っていた、孝臣からの告白。
 睦月は感極まって泣きそうになりながらも大きく頷いた。

「俺も好き、大好きですっ……。だから、よろしくお願いします!」

 孝臣はにっこりと微笑む。見惚れるような美しい笑顔だ。
 笑みを浮かべたまま孝臣は言った。

「それじゃあ睦月、あの男の連絡先は消そうか」
「…………え?」
「さっき、メッセージきてたよね?」
「あっ、ああ、はい」
「俺と付き合うんだから、もうあの男と連絡取る必要ないよな?」
「そうですね……」
「じゃあブロックしても問題ないだろ」
「で、で、でも俺、また一緒に飲むって約束しちゃって……」
「は?」
「あ、や、もちろん、もう行くつもりはないですけど、でもその、行けなくなったって連絡した方がいいんじゃないかなって……。いきなりブロックなんてしたら失礼だし……」
「睦月はさぁ、俺に焼きもち焼かせたいの?」

 笑顔のまま圧をかけられ睦月は戸惑う。

「孝臣先輩……焼きもち焼くんですか……?」
「当たり前。睦月の乳首も誰にも見せたくないし」「あっ! あれって、そういう事だったんですか……?」
「それ以外に何があるの」
「そ、そうだったんですね……」
「心が狭くてガッカリした?」

 彼の問いに、睦月はぶんぶんと大きく首を横に振る。

「ガッカリ、なんて……。嬉しいです、焼きもち……」

 頬を紅潮させながらそう言えば、孝臣の笑顔がふ……と和らぐ。

「可愛い」
「お、俺は、別に可愛くは……」
「可愛いよ。睦月はすごく可愛い」

 甘い眼差しに見つめながら蕩けるような声音で囁かれ、睦月の顔がこれ以上ないほどに赤く染まる。
 恥ずかしくて視線を逸らせば、頬に手を添えられ顔を近づけられる。
 至近距離で目が合って、思わずぎゅっと瞼を閉じればちゅっと音を立てて唇にキスをされた。
 ビックリして目を開ければ、愛しげにこちらを見つめる孝臣の視線にとらわれる。
 再びゆっくりと近づいてくる唇を、睦月は受け入れた。
 啄むような甘く優しいキスを繰り返され、睦月の瞳はとろんと蕩ける。
 胸がドキドキと高鳴り、体温が上昇する。

「んっ……ふぁ……っ」

 キスは徐々に深くなり、鼻にかかったような声が漏れた。
 舌が触れ合い、絡み付き、吸い上げられる。
 恥ずかしくて、気持ちよくて、頭がふわふわして、睦月は孝臣にしがみつく。
 口の中をねぶられ、唾液を啜られ、濃厚な口づけに睦月の体は昂り、ぶるりと震えた。
 長い長いキスが終わる頃には、睦月はすっかりぐずぐずにされていた。

「は、ぁっ……は、ふ……たかおみ、せんぱい……」

 潤んだ瞳で見つめれば、情欲の滲む孝臣の視線と絡み合う。彼の視線にぞくりと背中が震えた。

「ベッドに行こうか」

 熱を孕んだ彼の言葉に、睦月は小さく頷いた。
 寝室に移動し、ベッドに押し倒される。睦月の視線は泳ぎまくり、火がふきそうなほどに顔が赤くなっていた。

「睦月、大丈夫?」
「あ、ぅ……すみません、恥ずかしくて……」
「二回目なのに?」
「そ、そうなんですけど……最初の時は、なんか……夢見心地というか……あんまり現実感がなくて……」
「睦月お酒飲んでたし、それにお互い相手の気持ちを知らない状態だったしね」

 孝臣は柔らかく微笑み、真っ赤に染まる睦月の頬を撫でる。

「じゃあ、はじめてをやり直そうか」
「え……?」
「前のもはじめてだけど、今日もはじめてのつもりで抱くから」
「は、はい……」
「うんと優しくするからね」

 そうしてたっぷりと時間をかけ、睦月は孝臣の与える快感をしっかりと覚え込まされた。
 何度も何度も好きだと囁かれ、体の隅々まで愛撫され、腹の奥深くまで念入りに執拗に愛されて、睦月は身も心もとろとろに溶かされたのだった。 









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