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ただ痴漢されたかっただけ
しおりを挟む痴漢されたくて女装して電車に乗った男子高校生が痴漢されて喜んでいたら痴漢していたのが同級生だった話。淫語が飛び交うアホエロです。
高校生 美形×平凡
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百瀬歩には人には言えない性癖があった。
痴漢願望だ。
痴漢をしたいのではない。痴漢されたい願望だ。
胸を張って言える性癖ではないが、されたい側なので犯罪に走る心配がないのが救いだった。
しかし、男で、平凡な歩が痴漢される可能性は限りなく低い。ゼロに等しい。
それでも痴漢はされたい。通学するときは毎日わざと混雑する時間を狙って電車に乗る。
けれどやはり痴漢はされない。
そこで考えたのが女装することだった。通販で女性用の服と下着とウィッグを購入し、学校帰り、人気のないビルのトイレでそれに着替え、満員の電車に乗る。
長めの髪で顔を隠し、短いスカートで痴漢を誘う。
もちろん、女装したからといって痴漢されるとは限らない。それでも、可能性は少しは上がるはずだ。
女装趣味もないのにこんな格好をして、そこまでして痴漢されたがる自分の願望の強さにびっくりだ。
運良く痴漢されたとしても、男だとバレればすぐに終わってしまうだろう。
それでも、少しでもいい。お尻を少し撫でるだけでいいから、痴漢してほしい。
そんな願いを胸に抱き、歩はぎゅうぎゅうの電車に揺られていた。
そのときだった。
「っ……」
さわ……っと臀部になにかが触れる。鞄ではない。人の掌の感触に、歩は思わず歓喜に声を上げそうになった。
寸でのところでそれをこらえ、じっと息を潜める。
なで、なで、とスカートの上から尻を少しだけ撫でられる。
もっと大胆に撫で回してくれて構わないのだが、そんな歩の心情など知らない痴漢の動きは慎重だ。
歩は両手に鞄を抱え、ぎゅっと胸に抱き締める。
痴漢からは、痴漢に怯え震えているように見えたかもしれないが、実際は興奮に打ち震えていた。
ありがとうございますと感謝の気持ちを伝えたいくらいだ。でもそれはできないので、おとなしく痴漢されておく。
仕方がないのだが、痴漢の触り方はあまりにも焦れったい。
もっと、揉みしだくほど触ってほしい。スカートの中に手を入れて、我が物顔で無遠慮に弄ってほしい。そんなことをされたら男だとバレてしまうけれど。
でも、物足りなくて、歩はつい、少しだけお尻を突き出してしまう。ほんの少しだけ。もっと触ってと催促するように。
すると、それに応えるように痴漢の手の動きが触っているのかいないのか微妙なものから、明らかに撫で回す動きへと変化した。
ぎゅっぎゅっと掌で尻臀を揉まれる。
「ぁっ……」
唇を噛み締め、声を殺す。
快感というよりも興奮で下腹部がきゅんきゅんして、収まりの悪い女性用の下着に包まれたぺニスが反応する。
(あっあっ、お尻、もみもみされちゃってる、僕、痴漢されちゃってるぅっ、あっ、どうしよう、おちんぽ勃っちゃうよぉ)
たまらなく気分が高揚して、このままではスカートを持ち上げるほどぺニスが勃起してしまう。
どうしよう、と考えながらも痴漢から逃げようだなんて一切思わなかった。心の奥底ではもっともっとと痴漢に凌辱されることを望んでいた。
「っん……!?」
(あっ、スカートの中に、手が……!)
防御力のない短いスカートはあっさり痴漢の侵入を許した。その為に、デザインなどそっちのけで長さで選んだのだ。
下着越しに、痴漢の掌が臀部の上を這い回る。双丘の狭間を指が辿り、ぞくぞくっと背筋が震えた。
(あぁんっ、お尻の穴、指で擦られてる、こすこすされてる、痴漢されるの気持ちいいよぉ、でも、こんなに触られたら、もう男だってバレちゃう)
バレたら、この幸せな時間はそこで終わってしまう。
そんなの嫌だ、と思っていたら、片方の手が前に回された。
(あっ、だめ、おちんぽ触らないで、バレちゃう、男なのバレちゃう、もっと触ってほしいのに……っ)
願いは虚しく、痴漢の手が下着を押し上げるぺニスに触れた。
(あっあっ、うそっ、おちんぽ擦られてるぅっ)
完全に男だとバレてしまったはずなのに痴漢は手を引くどころか積極的にぺニスを刺激しはじめた。
(あんっ、僕のこと、はじめから男だって気づいてて触ってきたの……?)
それとも途中で気づいたのか。
わからない。けれどそんなことはどうでもよくなっていった。
(あぁっ、下着の中に入ってくる、直接触られてるぅっ)
後ろを触る手が、するりと下着の中に忍び込んできた。むにむにと尻臀を揉み、アナルをふにふにと弄る。
ぺニスは下着越し擦られ、漏らした先走りで下着がどんどん濡れていく。
(はぁんっ、きもちいいっ、おちんぽもお尻もきもちいいぃっ)
歩はきつく唇を噛み締め、必死に声を我慢した。強く鞄を抱き締め、周りにバレないよう顔を伏せて隠す。
歩が抵抗しないので、痴漢は好き勝手に下半身を弄り回した。
ぺニスから漏れる蜜を指ですくい、それをアナルに塗りつける。
(あっ、うそっ、そんな、電車の中で、周りにいっぱい人いるのに、お尻に指入れられちゃうぅっ)
ぬぷ……っと指が後孔に挿入される。
(あっあっあっ、指、動かされて……あっ、そこ、そこっ、だめぇっ)
指先が中の膨らみに触れる。押されたしこりがこりゅんっと指から逃げる。
「っふ……ふぅっ、ふぅっ」
あられもない嬌声を上げそうになり、必死にそれを押し殺す。
歩は痴漢されたいだけであって、露出的な性癖はない。痴漢されている姿を周りに見られたいとは思っていないので、バレないようにひたすら身を縮めていた。
びくびくと震える歩の反応から、痴漢の指は的確に前立腺を狙って容赦なく刺激を与えてくる。ぺニスも下着ごと扱かれ続けていた。くちゅくちゅと秘めやかな音がスカートの中で響いている。
(あっあぁっ、そんなくちゅくちゅしないで、周りに聞かれちゃう、痴漢におちんぽ擦られてだらだらお汁漏らして気持ちよくなってるのバレちゃうよぉっ)
痴漢は確実に歩を絶頂へと追い詰めていった。
濡れて下着がぴったりと張り付く亀頭をこちゅこちゅと擦り、アナルに差し込んだ二本の指で前立腺をぐりぐりと押し潰す。
(ひあっあっ、そんなにされたらいっちゃうぅっ、痴漢されていっちゃう、電車の中で射精しちゃうぅっ)
「んっ、くっ……うぅ……っ」
歩は抱き締めた鞄に顔を押し付け、絶頂を迎えた。面積の少ない下着の中に、たっぷりと精液を吐き出す。
痴漢の手が下着を整えてから離れていく。親切な痴漢だ。
パンツはぐちょぐちょに濡れてしまった。このまま帰るわけにはいかないので、トイレでパンツを履き替えなくては。
そんなことを考えていると、後ろから腕を掴まれた。歩の真後ろに立っていた人物。歩に痴漢していた相手に、腕を掴まれている。
思わず振り返り、歩は息を呑んだ。
痴漢されることが目的の歩は、誰に痴漢されているのかなんて深く考えていなかった。
ただ、なんとなく脂ぎった中年の男性を想像していたのだが、そこに立っていたのは全く想像と違う人物だった。
(朝倉……!?)
朝倉来人は同じ高校に通う同級生だ。
髪も染めてピアスを開けて制服を着崩すその姿は一言で言ってチャラい。歩とは真逆の人種だ。
朝倉がなにかを言おうと口を開いたとき、電車が停車しドアが開いた。
歩は朝倉の手を振り払い、その場から逃げ出した。呼び止める声が聞こえた気がしたけど無視して走り続けた。
(どうしよう、どうしよう……!!)
まさか痴漢が朝倉だったなんて。
朝倉とは一年のときに同じクラスだったが、殆ど話したことはない。二年に進級してクラスが別れてからは一切関わりはなかった。
朝倉が地味で目立たない歩の存在を認識している可能性は低い。
だから、女装して電車に乗り痴漢されて喜んでいた変態が同じ学校の生徒だなんてバレていないはずだ。そう願いたい。そうでなければまずい。
歩はびくびく怯え土日を家で過ごし、そして月曜日。戦々恐々としながら学校へ向かった。
まさか朝倉も、歩が痴漢目的で女装していたことまではわからないはずだ。だからもし噂になるとしたら、女装趣味の変態とか、女装して電車に乗って男に痴漢されて公共の場で射精する変態がいるとか、そういうものになるのだろう。
朝倉が言い触らせば、あっという間に噂は広まるはずだ。歩は変態のレッテルを貼られ、男子からは嘲笑され、女子からは軽蔑の眼差しで見られるのだ。
妄想は膨らみ、歩は一日中気が気ではなかった。しかし、女装趣味の生徒がいるという噂は耳に入らないまま放課後を迎えた。
とりあえず安心したが、もちろんまだ油断はできない。
もう二度と女装するまいと心に誓った歩は、学校帰り、普通に制服で電車に乗った。アイドルのイベントがあるとかで、狙ったわけではないが車内は混雑していた。
いつもだったら満員電車に乗れば痴漢されるかもなんてドキドキソワソワしていたが、今はそういう気分にもなれなかった。
明日こそ、歩の噂が学校中に広まるかもしれない。
自分の妄想に怯えていたそのとき。
(っえ……!?)
ふと臀部に違和感を覚える。なにかがお尻に触れている。触れるどころか撫でている。
(うそっ、なんで、また……)
今まで一度も痴漢なんてされたことがなかったのに、連続で痴漢されるなんてあり得ない。
呆然としていたが、途中で気づいた。触り方が前回のときと一緒なのだ。つまり、痴漢しているのは朝倉だ。
前回と違うのは、最初から大胆な動きで臀部を揉みしだいていることだ。
(あっ、どうして、こんな……)
もちろん偶然ではないだろう。女装して痴漢されていた相手が歩だと、朝倉は気づいているのだ。
止めなければ、歩が痴漢されて喜ぶ変態だとバレてしまう。今度こそ言い触らされてしまう。
そう思うのに、歩は身動ぎもせずされるがままになっていた。
ズボンの上からアナルをカリカリと擽られ、咄嗟に唇を噛んだ。
満員の車内では、少し声を出すだけで歩が痴漢されていると周りに気づいてもらえる。それなのに歩は周りに助けを求めようとせず、声を押し殺し痴漢行為を受け入れていた。
やがて片手が移動し、ズボンの前を寛げる。既に下着の中で膨らみかけていたぺニスを、掌でやんわりと揉み込まれた。
「ふぅっ……は、んっ……」
(あっ、だめだめぇっ、触られたら、また電車の中でいっちゃうのに……っ)
「ぁっ……」
(うそうそうそっ、直接触っちゃだめぇっ)
あろうことか、痴漢の手は下着の中に入り込み直接ぺニスを握り込んだ。
「んっ……ふぅんっ……」
歯を食い縛って懸命に声を抑える。そうしなければ、はしたない喘ぎ声を車内に響かせていた。
(あんっあっあっ、きもちいっ、おちんぽごしごし気持ちいいよぉっ)
ガクガク震える足でくずおれそうになる体を支えながら、歩は与えられる快感に酔いしれる。
そのとき、ぐっと背後から身を寄せられた。背中に体がぴったりと密着する。そして耳元に興奮したような荒い息がかかった。
まさか、彼も興奮しているのだろうか。歩に触れて、興奮してくれているのだろうか。
(あっ、お尻に、ごりってぇ……)
臀部にぐりぐりと硬いものを押し付けられる。確かめなくても、それが彼の男根なのだとわかった。
(あぁっ、そんなことされたら、余計に興奮しちゃうよぉっ)
ぐりっぐりっと硬い楔を双丘の狭間に擦り付けられ、歩は自らも腰を突き出し、いやらしく尻を振った。
歩の痴態に、痴漢の呼吸はますます乱れる。うなじに熱い吐息がかかり、歩の体温も上昇していく。
(もっとして、もっと触ってぇ……っ)
痴漢される悦びに情欲を滾らせていたとき、電車が急ブレーキをかけ、大きく揺れた。ぐらりと傾く歩の体を、背後にいた彼が支えてくれる。たたらを踏んだ歩の体は反転し、彼と向かい合うことになった。
そこにいたのは予想通り朝倉だった。ざわざわと騒がしい車内で、歩と朝倉は互いに無言で見つめ合う。
アナウンスが流れ、再び電車が走り出した。
すると、朝倉の痴漢行為も再開した。下着からぺニスを取り出され、掌に包まれる。
「はぅっ……」
歩は思わず目の前の朝倉の胸に顔を埋めた。
「んっ、ふっ、ふぅっ……」
滲み出た先走りを塗り込めるように先端を擦られ、強い快感が全身を駆け抜ける。
(すごい、朝倉にされるの気持ちいいっ、自分でするのと全然違うぅっ)
自慰では得られない蕩けるような快楽に溺れる。
朝倉の胸に額を擦り付け陶然としていると、鞄を持っていない右手を掴まれた。そのまま、朝倉の股間へと持っていかれる。
「俺のも触って」
「っ……」
耳元で小さく囁かれ、歩はごくっと喉を鳴らす。
(触ってって……朝倉の、これを……?)
掌に押し付けられる彼のそれは、ズボンの上からでもわかるほど張り詰めていた。どくどくと脈打つのが伝わってくるようだ。
「っは、はあっ……」
歩は浅い呼吸を繰り返しながら、震える指でズボンの前を寛げた。そこからどうしようと迷っていると、催促するようにぺニスを擦り上げられた。
「んっ……ふぅっ……」
唇を噛んで声を抑えながら、下着をずらして朝倉の男根を露出させる。
(う、わぁ……おっき……)
直接彼の欲望に触れ、その熱さと大きさに息を呑む。
自分がされているのと同じように、掌に握り込んだ。
人の性器に触れていることに歩は興奮を覚えていた。こんなのもう痴漢でもなんでもないのに、これ以上ないほどに気持ちが昂る。
熱に浮かされたように朝倉の陰茎を弄っていると、再びお尻を触られた。
朝倉は鞄を肩にかけているので両手が使えるのだ。歩のぺニスを握ったまま、もう片方の手は臀部をまさぐる。
「ぁっ……ぅんっ」
後ろの方も下着の中に侵入し、直接尻臀を揉みはじめた。
(あっあっ、また、おまんこほじほじされちゃうぅっ)
後孔に指がくぽくぽと浅く出し入れされる。
数日前の快感を思い出し、後孔は期待に収縮を繰り返した。きゅんきゅんと蠢き、朝倉の指を更に奥へと飲み込もうとする。
「すげ、めっちゃくぱくぱしてねだってんの、えっろ……」
朝倉の揶揄するような囁きが耳に届き、羞恥を感じながらも興奮が冷めることはなかった。寧ろ悦ぶように埋め込まれた指を締め付けてしまう。
歩の期待に応えるように、朝倉は指を奥へ進めた。そして前のときと同じく前立腺をぐりゅぐりゅと擦る。
「んんっ……」
ぺニスと後孔、両方を刺激される快感に歩は必死に声を我慢する。
(気持ちぃっ、あっあぁんっ、ちんぽとおまんこ、両方されるの気持ちいいっ、あっあっ、腰、揺れちゃうよぉっ)
声だけでなく、腰がへこへこと動いてしまいそうになるのも我慢する。けれど完全には我慢できなくて、もじもじと腰を揺すったら、歩のぺニスが朝倉のそれに擦れた。
「あっ……」
声が漏れそうになり、慌てて目の前のネクタイに噛みついた。
「俺のちんぽに擦り付けて気持ちよくなってんの?」
「んっ、ふぅんっ……」
違う、と緩くかぶりを振るけれど、歩は腰の動きを止められなくなっていた。朝倉の陰茎に擦り付けるのが気持ちよくて、やめられない。
「ふっ、んっんっ……」
咄嗟に朝倉のネクタイに噛みついてしまったが、早く離さないと痕がついてしまう。でも今離したら絶対声を出してしまうだろう。だが離さないと唾液も染み付いてしまう。
「いいよ、そのまま噛んでて」
歩の心の内を読んだかのように朝倉が小声で言った。
その言葉に甘えてしっかりとネクタイを噛み直したとき、朝倉が互いの性器を重ねるように握り、ごしゅごしゅと激しく扱きはじめた。
「ふっふぅっ……んんっ」
(あんっあんっ、きもちいっ、朝倉のおちんぽとごりごり擦れるのきもちいいっ、おまんこも指でずぽずぽされるのきもちいいよぉっ)
歩は陶然とした顔を朝倉の胸に押し付けて隠し、淫らな行為に耽った。
二人のぺニスから先走りが漏れて、ぬちゅぬちゅと水音が鳴っている。周りの雑音に紛れてはいるが、歩の耳にはしっかりとその淫猥な粘着音が聞こえていた。
(あっ、いくっ、もういっちゃう、また電車の中で精液ぴゅーぴゅーしちゃうっ)
必死に耐えようとぷるぷる体を強張らせていると、朝倉が耳元で囁いた。
「いいよ、イッて」
「んっんっんんっ……」
射精を促すように、差し込まれた二本の指で前立腺を抉るように擦られる。
(やだ、朝倉も、一緒じゃなきゃ、やだぁっ)
一人だけ上り詰めるのが嫌で、歩は朝倉の亀頭をこちゅこちゅと掌で擦った。掌が朝倉の先走りでぬるぬるになる。
「っは、マジえっろ……」
興奮に掠れる朝倉の声に、ぞくぞくとした感覚が背筋を這い上がる。
「いいよ、一緒にイこ」
「んっ、ふっ、ふぅっ、ふぅっ」
ぺニスをぐちゅぐちゅと上下に扱かれ、後孔を指でじゅぷじゅぷと犯され、歩はガクガクと脚を震わせ絶頂を迎えた。ほぼ同時に、朝倉も吐精する。
手もぺニスも二人分の精液でべっとりと汚れた。
ネクタイを口から離し乱れた呼吸を整えていると、朝倉は狭い車内で器用に鞄からタオルを取り出し汚れを拭う。
「あ、このタオル綺麗だから安心してね」
訊いてもいないことを説明して、丁寧に歩の手と股間を拭いてくれた。動けないでいる歩のパンツとズボンも整えてくれた。
そうこうしている内に、熱に浮かされていたような感覚がどんどん冷めていった。
冷静になり、歩は愕然とした。
なんてことをしてしまったのだろう。朝倉相手に快楽に溺れ周りにたくさん人がいる電車の中で淫らな行為に及んでしまった。
その事実を改めて思い返し、血の気が引いていく。
今度こそ完全に、同性に痴漢されて喜ぶ変態だと思われただろう。
明日こそ確実に学校で言い触らされる、そう考えたとき電車が停車しドアが開いた。その瞬間、頭で考えるより先に体が動いていた。朝倉から逃げようと足を踏み出す。
するとそれを見越していたかのように朝倉に腕をがっしりと掴まれた。強い力で捕まえられ、今度は振り払うことができなかった。
歩はそのまま駅のトイレに連れていかれた。
誰もいない男子トイレの個室に押し込まれ、いきなりキスをされる。
「んっ、ふぁっんんんっ」
舌で唇を割られ、口腔内をくちゅくちゅとねぶられる。舌を舌で擦られるとぞくぞくして、歩の瞳がとろんと蕩ける。持っていた鞄が音を立てて床に落ちた。
朝倉も鞄を床に放り、歩の体を抱き締めて更に深く唇を重ね合わせる。
「んぁっ、やんっんっ、はっ、ぁんっ」
抵抗もできず、激しく貪るようなキスに翻弄される。
上顎を擦られるのも、絡め取られた舌をちゅうっと吸われるのも気持ちよくて、徐々に体から力が抜けていく。止めなくてはと思いながら、もっとしてほしいと望む気持ちが確かにあった。
唇を離される頃には、歩の口許は二人の唾液でべたべたに汚れていた。
体に回された朝倉の手が、歩の臀部をむにむにと揉む。
「あんっ、やっ、やだぁっ」
「嫌? キスだけでそんな蕩けた顔してんのに?」
「やぁっあっ、だめっ」
「ほら、もうちんぽ勃ってんじゃん」
「ひゃあんっ」
ぐりっと膝で股間を刺激される。朝倉の言う通り、歩のそこは彼のキスで再び頭を擡げていた。
「だめ、だめぇっ、ぐりぐりって、しないでぇっ」
顔を真っ赤にして、歩はいやいやとかぶりを振る。
「そんなエロい顔してダメとか、全然説得力ねーし」
朝倉は興奮したように頬を紅潮させ、舌舐めずりして歩を見つめる。
情欲の滲む視線に晒され、歩はぞくりと戦慄いた。
ろくな抵抗もできないまま、ズボンと下着を足元に落とされる。下半身を剥き出しにされ、歩は心許なさに身動いだ。
「あっ、やだぁっ……」
「嫌とか、ちんぽ勃たせたまま言っても逆効果だから。わかってて言ってんの?」
「ち、違っ……」
反論は朝倉の唇に飲み込まれた。
再び唇を重ねられ、口内を我が物顔で蹂躙される。
「はんっ、んっんっんーっ」
朝倉のキスは初心者の歩が太刀打ちできないほどに巧みで、じゅるっじゅるっと舌を吸い上げられると気持ちよくて抵抗する気など起きなくなる。気づけば流し込まれる唾液を躊躇いもなく飲み込んでいた。
キスでぐずぐずになる歩の臀部に朝倉の手が触れる。両手で揉み込まれ、狭間に隠された後孔がひくひくと疼いた。
期待するように収縮を繰り返すそこに、つぷりと指が入ってくる。
「んぅっ……ふっんんっ」
喘ぎ声はキスに塞がれ、唾液ごと啜られる。
先ほど散々弄られて柔らかくなっていた後孔は、簡単に彼の指を二本受け入れた。内部を解すように、中をぐるぐると指で掻き回される。
「はぅんっ、んっはっ、ぁんんっ」
キスで嬌声を抑えられ、くぐもった声を漏らしながら歩は快感に身悶えた。
足がガクガク震え、ドアに背中を押し付けて体を支える。
ぺニスは萎えることなく、それどころか完全に勃起しだらだらと先走りを溢れさせていた。これでは感じているのは明らかで、どれだけ言葉で嫌がろうと嘘にしか聞こえないだろう。
だからなのか、朝倉はアナルを弄る手を止めない。電車の中でされたときよりも激しい指遣いで胎内を攻め立てる。
ぺろりと唇を一舐めして、朝倉は漸く顔を離した。
歩は酸素を取り込みながら快感に喘ぐ。
「んあっあっあっあぁんっ」
「ははっ、可愛い声。指マン気持ちいいんだ?」
「ひぁあぅっ、そこ、こりこりだめぇっ」
「また嘘ばっかり。ここ気持ちよくてたまんねーんだろ」
「はひっ、あっあっあっあひぃんっ」
既に後孔には三本の指が挿入され、前立腺に狙いを定め、そこばかりを弄り続けている。
「だめ、だめなのっ、そこ弱いからぁっ、あっはぁあんっ、そんなにされたら、変になっちゃうぅっ」
「あはっ、可愛い、変になっちゃえよ」
「あぅんっ」
ぬぽんっと一気に指を引き抜かれた。やめてほしかったはずなのに、刺激を失ったアナルが物欲しげにぱくぱくと開閉する。
朝倉に体を反転させられ、腰を掴まれぐっと後ろに引かれる。歩は腰を突き出すような体勢にされ、トイレのドアに上半身を押し付けた。
「っあ、なに……!?」
アナルに、固くて熱いものが擦り付けられる。歩はギクリと体を強張らせた。
「百瀬って童貞だよね?」
言われて、朝倉が歩の名前を知っていたことに驚いた。同じクラスだったとはいえ、名前を呼ばれたことなんてなかったはずだ。
反応が遅れ、それを咎めるようにぺニスをきゅっと強く握られた。
「ひゃんっ」
「答えて」
「っ、童貞、だけど……」
「じゃあ、まんこにちんぽ突っ込まれたことはあるの?」
「なっ、ないよ、そんな……っ」
あるわけがないのに、なんでそんなわかりきったことをわざわざ尋ねるのだろう。
「ふーん。じゃあ、百瀬の処女、俺がもらうから」
「んぇっ? えっ、あっ、ひっ、あっあっ、入って、入ってくるぅっ」
「うん。百瀬のおまんこに俺のちんぽずっぽり突っ込んじゃうね」
「ひっはっあっ、んひぃんっ」
柔らかく解された後孔に、ぐぬぐぬと太い肉棒が埋め込まれていく。
肉壁を硬いエラで擦り上げられる感触は、歩にたまらない愉悦をもたらした。ごりゅんっと亀頭で膨らんだしこりを押し潰され、痺れるような強烈な快感に全身が震える。
「あっあっあっひあっ、しゅご、しゅごいぃっ、おまんここしゅられてるぅっ」
「エッロいなぁ、これで処女かよ」
「ひっあっあぁっ、おちんぽでお腹いっぱいなるぅっ、奥まで入れないでぇっ」
「入れないわけないだろ……っ」
「ひうぅんっうんんっ、ひっあっあっんっ」
ずんっずんっと腰を突き上げられ、そのたびに肉棒が内部を押し広げ、奥へ奥へと突き進んでいく。
「やああぁっ、らめ、らめなのっ、おちんぽらめっ、抜いてぇっ」
歩は横に首を振り立て、抜いてと訴える。
「へえ? 抜いていいんだ?」
「あっ……」
ずるっと、奥まで入っていた男根が抜けていく。
「もうおまんこの中ずりずりしなくていいんだ? こうやって擦ったり」
「ひはぁあんっ」
「奥、ずんっ、てっ」
「あああぁっ」
「できなくなっちゃうけど、抜いていいんだ?」
「んゃぁあっ」
じわじわと抜き去られていく感覚に、歩は必死に後孔を締め付けた。
「やらぁっ、抜かないでっ、もっとおまんこぐじゅぐじゅしてぇっ、奥までおちんぽでいっぱいにしてぇっ」
快楽に弱い歩はあっさり陥落した。尻を振り、奥に入れてと催促する。
「はあっ、マジエロすぎ、可愛いっ」
「ひああぁんっ」
ずぼっと、一気に奥まで剛直を捩じ込まれる。
歩は胎内を突き上げられる快感に涙を流し嬌声を上げた。
シャツの裾から差し込まれた朝倉の手が、歩の胸元を探る。興奮で固く尖った乳首を指で弾かれ、びくんっと背中が仰け反った。
「ひんっ」
「触る前から乳首こりっこりじゃん」
「ひぁんっあっあっ、こりこり、しちゃ、あっんあぁっ」
小さな突起を摘まんで捏ね繰り回される。痛いような鋭い感覚は、快感となって歩を悦ばせた。
「乳首気持ちい?」
「んひっ、ぃいっ、きもちいいっ、ちくびと、おまんこ気持ちよくて、あっあっ、僕、もうっ……」
絶頂へと駆け上がっていたそのとき、突然朝倉に口を塞がれた。抽挿もピタリと止まる。
ギリギリのところで絶頂に辿り着けず、ぺニスは物足りなさそうにぶるぶる震え、たらりと蜜を滴らせた。
どうして、と困惑する歩の耳元で朝倉が言った。
「誰か入ってきた」
そこで漸く、ドアの外の足音に気づいた。二人連れのようで、会話をしながら小便器に向かっているようだ。
「声、出しちゃダメだよ。百瀬のエロい声、他の奴に聞かせないで」
掌で歩の口をしっかりと覆い、朝倉はゆっくりと腰の動きを再開した。
(あっ、そんな、おまんこ気持ちよくされたら、声出ちゃうのにぃっ)
声を出すなと言いながら、朝倉は容赦なく快感を与えてくる。ぬるぬるーっとゆっくり剛直を抜き、そしてまたぬぷぬぷぬぷ……っとゆっくり埋め込んでいく。
「っふ……ぅ、んっ……」
歩は必死に声を噛み殺す。
(あっあっ、だめ、ゆっくりされるのもきもちいいっ、ゆっくり、ずるずるーって、おちんぽ抜かれるのきもちいいよぉっ)
きゅんきゅんと後孔が締まり、朝倉も背後で苦しそうに息を詰めている。
(あんっあぁっ、ゆっくりも気持ちいいけど、もどかしいっ、ずんずんってされたい、おちんぽでおまんこいっぱい突いてほしいぃっ、早く、早くしてっ、おまんこ突いてぇっ)
もじもじと腰が揺れる。
すると朝倉に耳朶を齧られた。
「んっ……」
「こら、まだ我慢だよ。それともエロい下品な声、他の奴らに聞かせたいの? トイレの中で後ろからおまんこパコパコされてんの知られたい? 見られたいとか思ってんの?」
ひそひそと耳に吹き込まれる言葉に、歩は首を横に振る。
「じゃあ我慢して。すぐにおまんこ思いっきり突いてあげるから」
ぐるっと緩慢な動きで腰を回して後孔を掻き混ぜながら、熱っぽく囁く。
期待に肉筒がきゅうきゅうっと蠢動した。
「んっ……ふぅっ……」
口を押さえられているので鼻から荒い息を漏らし、歩は今か今かとそのときを待った。
そして漸く、二人組がトイレから出ていく。
足音が聞こえなくなった瞬間、朝倉は勢いよく腰を突き上げた。
「んっ!? ~~~~~~っ!!」
最奥を激しく貫かれ、歩のぺニスからびゅくびゅくっと精液が飛び散った。
口を塞がれていなければ、トイレの外にまで声を響かせていたかもしれない。それほど強い絶頂だった。
余韻に浸る暇も与えられず、ぐちゅんっぐちゅんっと肉壁を抉られ、奥を穿たれる。
「んひぁあっあっ、まっへぇっ、いってぅ、いってうからぁっ、まって、おまんこごちゅごちゅまってぇっ」
口を解放された歩は必死に訴えるが朝倉が動きを止めてくれることはなかった。ばちゅんっばちゅんっと肉のぶつかる音を響かせ、何度も何度も突き上げられる。
「あっあっあっあっ、まっ、あっ、いくぅっ、いくの止まんないっ、ずっといってうのっ」
「ははっ、おまんこ穿られてメスイキしちゃった?」
「してるっ、めしゅいきしてるからぁっ、まってぇっ、やらぁっ」
「ウソつけっ、悦んでんだろ、まんこぎゅうぎゅう締めやがってっ」
「あっひぃんっ、らめ、らめぇっ、きもちぃっ、きもちよしゅぎておかひくなるぅっ」
「なれよっ、俺のちんぽでおかしくなれ」
「ひあぁっあっあっあああぁんっ」
「イくっ、出すよ、中に出すからな、中出しして女にするからな」
「あっしょんなっあっひっひっあっ」
そんなのダメ、と頭の中では思うのに、体はそれを望むように朝倉の雄蘂を搾り上げ、精液を貪ろうとする。
「っく、出る……っ」
朝倉が低く呻き、それから胎内で熱が弾けた。
熱い体液を最奥で浴び、歩はぶるぶる愉悦に震えた。
脱力する歩の体を、朝倉が背後から抱き締め支える。そして体を繋げたまま、朝倉は後ろの便器に座った。
「んひっ……」
体勢が変わり、中に居座る男根に内部を擦られ声が漏れた。
達したばかりの朝倉の性器は、再び膨らみはじめている。
「ひっ、まっあっあっ、ぬい、んっんっはっあぁっ」
「んー?」
「あっあっあっひんっんっはあっんんっ」
ゆさゆさと軽く上下に揺さぶられ、歩の体はまた快楽に支配されていく。
シャツのボタンを外され、はだけられ、晒された乳首を指でくにくにと押し潰される。
「んあっあっあんっ、きもちぃっんんっ」
「気持ちいい? おまんこと乳首可愛がられるの好き?」
熱を帯びた声に尋ねられ、歩は蕩けた思考でこくこくと頷く。
「好きっ、好きぃっ、きもちいのっ、好きっ」
「あー、可愛い。じゃあ、俺の彼女になる?」
「んえっ? かのじょ、あっあっ、朝倉の、んっあっあっ、僕が、ぁあっあっ」
「うん、そう。彼女になったら、毎日こうして可愛がってあげる。乳首ピンピンってしたり、こりこりってしたり」
「ひあっあっあっあぁんっ」
「おまんこも、こうやってぐりぐりーってしたり、ずんずんって、たくさんしてあげる」
「んああぁんっあっあんっ、で、でもぉっ」
「彼女にならないんなら、もうやめようか。俺、恋人としかこういうことしたくないし」
どの口が言っているのだということを飄々と言ってのける朝倉。
まともにものを考えられなくなっている歩は、陰茎を抜かれそうになった瞬間、咄嗟に彼に縋っていた。
「やあぁっ、なる、かのじょ、なるからぁっ」
「エロくてチョロすぎ、可愛いけどめちゃくちゃ心配なるよ、百瀬」
朝倉の呟きは、歩の耳には届かなかった。
「やっ、抜かないで、朝倉のかのじょにしてっ、もっといっぱい気持ちよくしてぇっ」
「うんうん、よしよし、じゃあ好きって言って、来人好きって」
「好き、来人好きぃっ、あっあっんあっ、好き、好き、大好きっ」
「あーっ、可愛い、俺も大好き、歩、ちゅーしよ、こっち向いて」
「んっ、ぁんっんっんっんんぁっ」
顔を後ろに向ければ、食べられてしまうような激しいキスをされた。
下から腰を突き上げられ、乳首を扱かれ、ほったらかしのぺニスが切なげに先走りを漏らす。
「んっはあっんっ、朝倉、おちんぽもっ、おちんぽも擦ってぇっ」
「自分で擦っていいよ」
「やらぁっ、朝倉がいいっ、朝倉にしてもらう方がきもちいいっ、ごしごしってしてぇっ」
「はあ……なんでそんなエロいの、可愛すぎるよ歩」
朝倉が感嘆の溜め息を零す。
「名前で呼んで、おねだりして。そしたらしてあげる」
「はひっぅうんっ、らいと、僕のおちんぽ気持ちよくしてぇっ、お願いぃ、らいとぉっ」
「可愛い、好き、いいよ、いっぱい気持ちよくしてあげる」
「あぁっあんっあっひぅんっ」
背後から回された手にぺニスを握られ、上下に擦られる。
かりかりと括れを優しく引っ掻かき、鈴口を指の腹で円を描くようにぬるぬると撫で、朝倉は快感で歩を悶えさせた。
「んぁあんっ、きもちいっ、おちんぽきもちいいよぉっ」
「おちんぽだけ? おまんこは?」
「おまんこもっ、あっあんっあんっ、ぐちゅぐちゅされるのきもちいいっ、おく、ぐりぐりすきぃっ」
「エロくて素直でエロくて可愛いっ」
「あっあっあっ、もぅいくっいくっいっちゃうぅっ」
「ん、いいよ、俺も出す、中に出していいよね、もう恋人だもんね、彼氏の精子受け止めてくれるよね」
「うんっうんっ、あっあっあっあっあ~~~~~~っ」
内奥をぐちゃぐちゃに突き上げられ、歩は朝倉の手の中に射精した。
一拍置いて、朝倉も精液を吐き出す。
彼の体液がじわりと胎内に染み渡るのを感じ、歩は恍惚とした表情を浮かべていた。
そして、何故か歩は朝倉と付き合うことになっていた。
朝倉は一年のときから歩のことがずっと好きだったのだという。信じられない話だが、更に信じられないことに朝倉は毎日登下校中、歩の後をつけていたらしい。本人曰く話しかけるタイミングをはかっていたとのことだ。
そんなとき、歩が突然学校帰りに女装して電車に乗った。後をつけていた朝倉はいきなり女装した歩に驚きつついつものように同じ電車に乗り込んだ。歩のスカートの短さに危機感を抱いた朝倉は、忠告の意味を込めて痴漢したのだという。こんなに短いスカートを履いて電車に乗ったら痴漢されてしまう、ということを伝えたかったらしい。本当に少し触るだけのつもりだったようだが、痴漢される歩が可愛くて、しかもなんの抵抗もされず寧ろ喜んで痴漢されている歩を見て止められなくなった。とのことだ。
そして痴漢をきっかけに歩に声をかけようとしたのに逃げられ、ショックを受けつつ諦めずにまた痴漢というきっかけを作り、恋人になるに至った。
なんだそれ、と思わなくはないが、痴漢されたくて女装した歩が言えたことではない。
「ところでなんで女装してたの?」
と朝倉に訊かれ、
「趣味とかじゃないから! 別に好きであんな格好してたわけじゃないから!」
と強く否定してしまい、じゃあなんでしてたのかと強く問い詰められ、歩は一生誰にも言わずにいるつもりだった自分の願望を包み隠さず話さなければならなくなった。
救いなのは、朝倉が嘲笑したり軽蔑したりしなかったことだ。女装姿を見られた時点でからかわれてもおかしくなかったのに、誰にも言い触らさずにいてくれたのはつまり歩のことが好きだったから、ということらしい。
「痴漢されたいなら、これから毎日俺がするよ!」
と胸を張って朝倉に言われたが、歩はそれを断った。
それは痴漢プレイであって、痴漢ではない。
それに、一度痴漢されて満足してしまったのか、もう痴漢されたい願望は薄れていた。
女装して痴漢されたあのときが歩の中でピークで、今後もし痴漢されたとしてもあのときほどの興奮は味わえない。そう確信していた。
だからもう痴漢されなくてもいいのだと伝えても、朝倉はなかなか納得しなかった。
満員電車はできるだけ避けて、絶対誰にも痴漢されないようにと約束させられた。もし痴漢されたらすぐに逃げるか痴漢の手を握り潰すように言われた。
そもそも常に朝倉が同じ電車に乗って歩の真後ろに立っているのだから痴漢などされようもないのだが。
ただ痴漢されたかっただけだったのに、なんでこんなことになったのだろうと歩は首を傾げるばかりだ。
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読んでくださってありがとうございます。
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